新語時事用語辞典とは?

2010年11月24日水曜日

劣化ウラン

読み方:れっかウラン
英語:depleted uranium

ウラン濃縮の副産物として生じる、核分裂を起こさないウラン238をもっぱら含むウランのこと。

天然のウランには、ウラン238が約99.3%、核分裂をよく起こすウラン235が約0.7%含まれるとされる。これを分離して、ウラン235の割合を数パーセントへ引き上げる作業がウラン濃縮であり、ウラン濃縮における残り滓が劣化ウランである。

高速増殖炉では、劣化ウランに中性子をぶつけることで、核燃料として利用できるプルトニウム239を生成することができる。

ウラン濃縮施設

読み方:ウランのうしゅくしせつ
英語:Uranium Enrichment Plant

天然資源として得られるウランから、核分裂を起こさないウラン238と核分裂しやすいウラン235を分離し、ウラン235の含まれる割合を高めた「濃縮ウラン」を生成するために利用される。

分離の方法としては、遠心分離やガス拡散などの方式がある。日本では遠心分離方式が採用されており、米国などではガス拡散方式が多く採用されている。

濃縮ウランは核燃料として条件がよく、原子力発電における主要な燃料として利用されているが、ほぼ同じ生成原理で核兵器も製造することが可能であり、しばしば議論の的となっている。2010年11月21日には、北朝鮮が遠心分離式のウラン濃縮施設を保有していることが報道され話題を呼んだ。

国際連合安全保障理事会決議第1874号

読み方:こくさいれんごうあんぜんほしょうりじかいけつぎだいせんはっぴゃくななじゅうよんごう
別名:安全保障理事会決議1874
別名:決議1874 (2009)
英語:S/RES/1874(2009)

2009年6月12日、国際連合の安全保障理事会第6141回会合にて採択された決議。

決議では、2009年5月に実施された北朝鮮の核実験に対して非難し、いかなる核実験をこれ以上実施しないことを要求している。

また、加盟国に対しては、自国領域での貨物検査をはじめ、公海上での船舶検査、検査協力、禁止品目の押収などを求めた。これを受けて日本政府は、2010年5月に貨物検査特別措置法を成立させている。

関連サイト:
安全保障理事会決議1874 – 国連広報センター
貨物検査特措法案の概要 – 首相官邸(PDF)

離散家族

読み方:りさんかぞく
別名:南北離散家族
英語:separated family

韓国・北朝鮮の2国間で、離れ離れになっている家族のこと。

朝鮮戦争の勃発と終結により、朝鮮半島は38度線で完全に分断され、互いに行き来することが不可能になった。その当時38度線の南北に離れていた家族は、そのまま再開できずに離れて暮らすことを余儀なくされている。また、戦時中に捕虜となったり、あるいは北朝鮮の工作により拉致されたことで離散家族となった例もあるとされる。

1970年代以降、韓国と北朝鮮は、南北赤十字会談を通じて離散家族の再会に関する協議を行っている。2000年からは離散家族の再会が定期的に実施されている。、2006年7月には北朝鮮への経済的支援の問題から離散家族再開は一時中断。2010年11月に実施される予定だった南北赤十字会談は延坪島における北朝鮮の砲撃事件により無期限に延期されている。

貨物検査特別措置法

読み方:かもつけんさとくべつそちほう
別名:国際連合安全保障理事会決議第1874号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法
別名:北朝鮮貨物検査法
別名:貨物検査特措法

北朝鮮に出入りする船舶や航空機について、海上保安庁や税関などが公海上でも検査が実施できるようにした法律。2010年5月、国会で可決、成立した。

もともと国内法では、公海上を航行している外国籍の船舶や日本向けの積み荷のない船舶の貨物検査は行うことができなかった。しかし、2009年6月に、国際連合安全保障理事会決議第1874号により、国連加盟国に対して、自国領域での貨物検査をはじめ、公海上での船舶検査、検査協力、禁止品目の押収などが求められたため、貨物検査特別措置法が制定された。

関連サイト:
貨物検査特措法案の概要 - 首相官邸(PDF)
安全保障理事会決議1874 - 国連広報センター

南北赤十字会談

読み方:なんぼくせきじゅうじかいだん
英語:North-south Red Cross talks

韓国・北朝鮮の赤十字社が取り持つ両国間の会談。1972年に第1回が催された。朝鮮戦争で生じた離散家族の再会、拉致問題など、主に人道的な問題に関する対話の場となっている。

2010年は11月25日に、韓国・坡州市において南北赤十字会談の開催が予定されていたが、11月23日に北方限界線(NLL)付近で北朝鮮による砲撃事件が発生。同日のうちに、韓国側から会談の無期限延期が発表されている。

日朝平壌宣言

読み方:にっちょうぴょんやんせんげん
英語:Japan-DPRK Pyongyang Declaration

2002年9月17日に、内閣総理大臣・小泉純一郎と朝鮮労働党総書記・金正日との間で行われた日朝首脳会談において調印された宣言のこと。

日朝平壌宣言では、具体的には、北朝鮮拉致問題の解決や日朝国交正常化交渉の開始などが盛り込まれた。

関連サイト:
日朝平壌宣言 - 首相官邸
日朝平壤宣言 - kahusi.org
Japan-DPRK Pyongyang Declaration - 外務省

哨戒艦事件

別名:哨戒艦事件
別名:哨戒艦撃沈事件
別名:韓国哨戒艦撃沈事件
別名:韓国哨戒艦沈没事件
別名:韓国哨戒艇沈没事件
別名:天安沈没事件
英語:ROKS Cheonan sinking
英語:Sinking of ROKS Cheonan

2010年3月26日、北朝鮮と韓国を分断する海上の軍事境界線である北方限界線(NLL)付近の韓国領海で、韓国軍の浦項級コルベット「天安(チョナン)」が爆発・沈没した事件の通称。

「天安」の乗組員104名のうち46名が死亡あるいは行方不明となった。原因は北朝鮮の魚雷などによる攻撃と見られているが、北朝鮮は否定している。

関連サイト:
岡田外務大臣談話 韓国哨戒艇沈没事件に関する国連安保理議長声明の発出について - 外務省

高校無償化

読み方:こうこうむしょうか
別名:高校の無償化

2010年度から実施されている日本の公立高等学校などの授業料を無償化し、私立高等学校などに就学支援金を支給して授業料を低減した制度、または法律の名称。

高校無償化は法律としては「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(いわゆる高校無償化法)」として成立しており、制度としては「高校授業料無償化・就学支援金支給制度」と呼ばれる。

2010年度から実施されている高校無償化の場合、各種学校も対象となっているため、教育基本法および学校教育法上の高等学校に該当しない朝鮮学校高級部も対象となっているものの、2010年11月23日に発生した北朝鮮によるNLL付近に位置する韓国領である延坪島(ヨンピョンド)への砲撃を受け、日本政府では朝鮮学校の授業料無償化について申請の受付を見合わせるなどの対応の検討が進められている。

関連サイト:
公立高校無償化・高等学校等就学支援金 - 文部科学省
公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律 - 平成二十二年三月三十一日法律第十八号

6カ国協議

読み方:ろっかこくきょうぎ
別名:核問題めぐる6カ国協議
別名:6か国協議
別名:六者会合
別名:六者協議
英語:Six-Party Talks

北朝鮮の核問題に関して対話による解決を目指すための関係各国の外交当局の局長級の担当者間での会議の名称。参加する「6カ国」は、アメリカ合衆国(米国)、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、大韓民国(韓国)、中華人民共和国(中国)、ロシア連邦、日本国の6か国。

関連サイト:
六者会合(北朝鮮の核問題等) - 外務省

軍事境界線

読み方:ぐんじきょうかいせん
英語:military demarcation line

内戦や内乱などによって元々1つであった国家が分裂したり分断したりした際の、分裂した国家間の境界線のこと。

主な軍事境界線としては、北朝鮮と韓国の境界である「38度線」(海上の場合は「北方限界線」)や、1954年のジュネーブ協定により成立しかつて北ベトナムと南ベトナムを分けていた「北緯17度線」、などがある。

延坪島

読み方:えんぺいとう
別名:ヨンピョンド

京畿湾北西部に位置する韓国(大韓民国)が統治する2つの島の総称。

延坪島は軍事境界線(北方限界線)の付近に位置しており、延坪島の周辺の海域では、1999年と2002年に北朝鮮と韓国の双方の海軍による砲撃戦が発生し死傷者が出るなど、しばしば軍事的な緊張が高まっている。

また、2010年11月23日には、延坪島の付近の北朝鮮側の海岸から砲撃があり、延坪島に着弾し、死傷者が出るなどしている。この砲撃は、1953年の朝鮮戦争休戦協定以降に韓国の陸上に北朝鮮が砲弾で攻撃したのは初めての事例となっている。

NLL

英語:North Limit Line
別名:北方限界線
別名:エヌエルエル

北朝鮮と韓国とを隔てる、海上に設定された境界線のこと。陸上における38度線に相当する。「北方限界線」とも呼ばれる。1953年に国連軍によって設定された。

1999年6月15日には、北朝鮮の艦船がNLLを侵犯し韓国の艦艇と銃撃戦となった「第1延坪海戦」が発生。

2002年6月29日には、黄海のNLL間近に位置する延坪島の付近において、北朝鮮と韓国(大韓民国)の艦艇による銃撃戦である「第2延坪海戦」が発生。

2009年11月10日には、大青島の近海のNLL付近で銃撃戦が勃発(大青海戦)。

2010年3月26日にはNLL付近に位置する白翎島の近海で韓国軍の天安(浦項級コルベット)の船体が、北朝鮮の魚雷と見られる原因により爆発し沈没する事件が発生(哨戒艦事件)。

2010年11月23日には、NLLの間近に位置する延坪島に対して北朝鮮側から砲撃があり、死傷者が出るなどしている(延坪島砲撃戦)。

55年体制

読み方:ごじゅうごねんたいせい

1955年に日本において成立した、自由民主党と日本社会党が二大政党として日本の政治において主導的な役割を果たしていた体制のこと。

光の道三法案

読み方:ひかりのみちさんほうあん

「原口ビジョン」における日本の長期的成長戦略において提示された、いわゆる「光の道」構想の実現に関連する3つの法案のこと。

2010年3月9日に開かれた、総務省政務三役会議の議事概要によれば、光の道三法案は下記の3点に集約される。一、NTTの経営形態を含んだアクセス網、ニ、国民の「光の道」へのアクセス権の保障、三、ICT利活用促進一括法案、である。

関連サイト:
議事概要(PDF) - 総務省 政務三役会議 議事概要
原口総務大臣閣議後記者会見の概要 平成22年3月5日 - 総務省

原口ビジョンII

読み方:はらぐちビジョンツー

原口一博総務大臣が2009年12月に報告した資料「原口ビジョン」を改め、より具体的な施策、時期、数値を盛り込んだもの。「光の道」として総務省の下検討が進められている、ブロードバンド回線の普及によるICTの徹底利活用の促進プランをはじめ、地域主権型社会の構築など、日本の長期的・持続的な成長に向けての実現計画が提示されている。

関連サイト:
「新しい成長戦略-原口ビジョンII-」(詳細版)を公表しました - 総務省