新語時事用語辞典とは?

2011年3月21日月曜日

石油列車

読み方:せきゆれっしゃ

石油を積載した貨物列車(タンク貨車)。主に、寒冷地に燃料用のガソリンや灯油を輸送するために運行される。

2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震では、残寒の厳しい東北の被災地で深刻な燃料不足が発生した。本震発生から約1週間後となる3月18日に石油列車が編成され、神奈川の根岸を出発、日本海側から迂回するようにして、青森を経由し、19日夜半に盛岡へ到着した。

オデッセイの夜明け

読み方:オデッセイのよあけ
別名:オデッセイの夜明け作戦
英語:Odyssey Dawn
英語:Operation Odyssey Dawn

カダフィ政権と反カダフィ勢力との間での内戦が発生しているリビアにおいて、ガダフィ大佐を中心とした政府軍による反カダフィ勢力へ対する空爆を抑止することを目的としたアメリカ合衆国における軍事作戦の名称。

同作戦の内容は、2011年3月17日に国連の安全保障理事会において「国際連合安全保障理事会決議1973」として採択されている。

「オデッセイの夜明け作戦」に基づき、アメリカ、イギリス、フランス軍を中心とする多国籍軍は、2011年3月19日にリビアの政府軍の施設へ対するトマホークミサイルによる攻撃を実行した。

なお、「オデッセイの夜明け」作戦は、イギリスでは「エラミー作戦」、フランスでは「ハルマッタン作戦」とそれぞれ呼ばれている。

原発メーカー

読み方:げんぱつメーカー
別名:原子力発電所メーカー
別名:原子力プラントメーカー
別名:原発プラントメーカー

原子力発電所の施設(原子力プラント)の製造を行う事業者。

2011年時点で、日本には三菱重工業、東芝、日立製作所の3社が原発メーカーとして事業を推進している。それぞれ、フランスのAreva、米国のWestinghouse、同じく米国のゼネラルエレクトリック(General Electric)と提携・統合が進み、世界的に見ても三菱重工業、東芝、日立製作所が絡む3大グループが競合している構図となっている。

1980年代から90年代には、スリーマイル島原子力発電所事故やチェルノブイリ原子力発電所事故が原子力発電事業に影を落とし、日本を含むいくつかの推進国を除いては原発に消極的な姿勢をとらせていた。2000年代半ば以降は、原子力がクリーンエネルギーであることも大きな長所として受け入れられるようになり、各国が原発の導入に対し前向きに検討するようになった。原発市場は活況に転じ、こうした状況は「原子力ルネッサンス」とも呼ばれた。日本は諸外国と原子力協定の締結を進めるなど、原子力技術の輸出に積極的に取り組み、原子力立国としての地位の確立を目指した。

2011年3月21日現在、東京電力福島第一原子力発電所で発生した原発事故はまだ決着を見ていないが、日本の原子力外交や世界の原子力ルネッサンスの流れに、大きな影響を与えるだろうと予測されている。

五井火力発電所

読み方:ごいかりょくはつでんしょ

1963年の初号機の営業運転が開始された千葉県市原市にある東京電力の火力発電所。電力設備は1号機~6号機までと6号機ガスタービンがあり、2011年3月現在の総出力は188.6万kW。使用燃料はLNGである。

また、2011年3月半ばの段階では、五井火力発電所では一部の電力設備について定期点検中であったが、東日本大震災の影響により福島原子力発電所などを初めとした東京電力の管内の発電所からの電力供給が不足したため、点検作業は前倒しで行われた。

関連サイト:
五井火力発電所 - 東京電力

テラベクレル

別名:兆ベクレル
別名:TBq
英語:terabecquerel

放射能の強さを表す単位「ベクレル」の1兆倍。1テラベクレルは1兆ベクレルである。1000ギガベクレル、100万メガベクレルに相当する。

ギガベクレル

別名:GBq
英語:gigabecquerel

放射能の強さを表すSI単位「ベクレル」の10億倍。1ギガベクレルは、10億ベクレル、100メガベクレル、100万キロベクレル、0.001テラベクレル、と言い換えられる。

過去に放射能の強さを表す単位として用いられた「キュリー 」は、1キュリーが即ち37ギガベクレルと換算される。

キロベクレル

別名:kBq
英語:kilobecquerel
放射能量(放射能の強さ)を示す単位(SI単位)の一つ。ベクレル(Bq)に1000倍を表すSI接頭辞「キロ」が付いたもの。1キロベクレルは1000ベクレルであり、1000キロベクレルは1メガベクレルである。

1ベクレルは1秒間に1個の原子核崩壊を起こし、放射線を1つ発する強さである。1キロベクレルといった場合、放射性物質などから秒間1000本の放射線が発せられる状態であるといえる。

ただし、人体への影響などは放射性物質の種類や遮蔽物の有無などにより異なるため、何キロベクレルだからより悪い、より良い、といった比較ができるものではない。放射線の強さそのものを表す単位としてはグレイ(Gy)やシーベルト(Sv)などの単位がある。

メガベクレル

別名:MBq
英語:megabecquerel

放射能量(放射能の強さ)を示す単位(SI単位)。ベクレル(Bq)に100万倍を表すSI接頭辞「メガ」を付けて表すもので、例えば2メガベクレルは200万ベクレルに換算される。

1ベクレルは1秒間に1個の原子核崩壊を起こして放射線を発する性質(放射能)の強さを表す。1メガベクレルの強さは秒間100万本の放射線が発せられることを表す。

放射性物質である「放射性ヨウ素」や「放射性セシウム」の放射能の強さは、数十メガベクレル~数百メガベクレル単位で表されることが多い。

ただし、放射線の種類や物体に到達するエネルギーは放射性物質や環境などによって異なるため、何ベクレルであるかを単に比較してもただちに人的影響へ結びつけることは難しい。

ちなみに、放射能の強さを表すベクレルに対して、グレイ(Gy)やシーベルト(Sv)などの単位は放射線の強さそのものを表す単位である。

緊急時における食品の放射能測定マニュアル

読み方:きんきゅうじにおけるしょくひんのほうしゃのうそくていまにゅある

厚生労働省によって作成され、平成14年3月に全国の自治体に送付された、原発事故や原子力関連テロなどが発生した緊急時において食品に含まれる放射性物質を測定するためのマニュアルのこと。

「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」は、平成12年度の厚生科学研究費補助金特別研究事業「原子力施設の事故等緊急時における食品の放射能の測定と安全性評価に関する研究(主任研究者は国立公衆衛生院放射線衛生学部長の出雲義朗)」の報告書を踏まえ、厚生労働省医薬局食品保健部監視安全課により策定されている。

「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」では、「農畜水産食品の放射能汚染に関する食品衛生上の問題を検討するための環境試料である葉菜、原乳及び農畜水産物における放射能の分析方法」(同マニュアル3ページから引用)について取り纏めている。

「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」の内容としては、「NaI(Tl)シンチレーションサーベイメータによる放射性ヨウ素の測定法」をはじめとした「食品中の放射能の各種分析法」について紹介している他、「緊急時モニタリング計画における食品の放射能測定・分析」などに関する解説が記載されている。



関連サイト:
緊急時における食品の放射能測定マニュアル - PDFファイル
放射能汚染された食品の取り扱いについて - 厚生労働省

特定規模電気事業者

読み方:とくていきぼでんきじぎょうしゃ
英語:power producer and supplier
英語:PPS

電力供給を事業とする会社のうち、一般電気事業者には該当せず、50kW以上の高圧電力を必要とする需要家を対象に電力の小売り供給を行う事業者。

特定規模電気事業者は一般電気事業者の電線網を借り受けて特定の需要家に電力供給を行っている。電力供給の相手先、および供給対象となる場所ごとに、届出を行い経済産業大臣の許可を受ける必要がある。

特定規模電気事業者は、いわゆる「電力自由化」によって可能となった業態である。他にも、電力会社に対して電気の販売を行う「独立発電事業者」(IPP)などがある。

関連サイト:
電気事業の概要 - 経済産業省関東経済産業局
特定規模電気事業 - 経済産業省北海道経済産業局

乳児用調製粉乳

読み方:にゅうじようちょうせいふんにゅう
別名:育児用粉ミルク

出生から離乳期までの乳児が飲むのに適した成分に調製された粉ミルクのこと。特別用途食品の一つ。粉乳には「全粉乳」や「脱脂粉乳」など様々な種類があるものの、単に「粉ミルク」と言う場合、しばしば「乳児用調製粉乳」のことを指す。

なお、乳児用調製粉乳の規格は、厚生労働省が管轄しており、食品衛生法の付則である「乳等省令」にて決定されている。

関連サイト:
乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインについて - 厚生労働省

廃炉

読み方:はいろ

原子力関連施設の原子炉を廃止すること。

老朽化や故障などによって機能に支障を来した場合、もしくは来すおそれのある場合に、修繕して採算が合わなければ廃炉とされる。施設の解体と撤去を行う必要があるが、解体により発生する廃棄物は膨大な量に上り、そのうち数パーセントは放射性廃棄物となる。工期は10年がかりとなり、解体作業に必要となる費用は数百億円の規模に上る。

日本では、国内初の商用原子力発電所として建設された東海発電所が、採算性などの問題から廃炉とされ、1998年に運転停止、2001年に廃止措置着手、2008年に初めて放射性廃棄物でない廃棄物の搬出を行っている。

関連サイト:
東海発電所の廃止措置 - 日本原子力発電株式会社

常流

読み方:じょうりゅう
英語:subcritical flow

水深が深く流速が比較的遅い水の流れや津波の流れのこと。


常流に対して、水深が浅く流速が非常に速い水の流れは「射流」と呼ばれる。

射流

読み方:しゃりゅう
英語:supercritical flow

水深が浅く流速が非常に速い水の流れや津波の流れのこと。


射流に対して、水深が深く流速が比較的遅い流れは「常流」と呼ばれる。

なお、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって東北地方太平洋側の沿岸部で甚大な被害をもたらした津波については、東京大学地震研究所の都司嘉宣准教授の分析によれば「射流」であったとされている。

関連サイト:
2011年3月 東北地方太平洋沖地震 - 東京大学地震研究所
東京大学地震研究所 - 公式サイト
高速・凶暴な特殊津波「射流」で被害拡大、滝のような水の壁が…東大が分析 - msn 産経ニュース

災害救助法

読み方:さいがいきゅうじょほう
英語:Disaster Relief Act
英語:Disaster Relief Law

災害発生時に、応急的な救助の要請、食料品や飲料水の提供、救急医療などを行い被災者の生活の救済を行うことを目的とする法律。主に都道府県が救助の要請および費用負担を行う。

災害救助法が適用された地域の住民には、企業の判断により、水道料金や携帯電話の基本料金や大学入試の受験料、あるいは入学金などが減免される場合もある。

震災救援隊

読み方:しんさいきゅうえんたい

震災に見舞われた被災地に赴き救援作業に従事する部隊。いわゆる「災害救助隊」の他に、被災地で救急医療に従事する医師などを含めた表現として用いられていることが多い。

飲食物摂取制限

読み方:いんしょくぶつせっしゅせいげん
別名:飲食物摂取制限に関する指標

原子力安全委員会が「原子力施設等の防災対策について」の中で規定している、放射能汚染された食物の摂取を制限する指標。

飲食物摂取制限は、原子力施設の放射能漏れなどに際して、内部被ばくを回避・低減するために、放射性ヨウ素、放射性セシウム、あるいはプルトニウムなどの摂取制限に関する目安として公開されている。

2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の原発事故では周辺地域に放射性物質の影響の及ぶことが危惧されている。厚生労働省は飲食物摂取制限をもとに、食品衛生法に基づき「食品衛生法の暫定規制値」を臨時に発表している。

関連サイト:
原子力施設等の防災対策について - 原子力安全委員会(付属資料14に「飲食物摂取制限について」の項目あり)

暫定規制値

読み方:ざんていきせいち
別名:暫定基準値

暫定的な制限値や規制値の総称。

2011年3月21日現在では、特に、2011年3月11日から発生している福島第一原子力発電所事故を受け臨時に設定された放射性物質を含む食品に関する「食品衛生法の暫定規制値」の略とされることが多い。

放射性物質を含む食品に関する「食品衛生法の暫定規制値」には、2011年3月21日現在では、原子力安全委員会が定めた「飲食物摂取制限に関する指標」が使われている。

この指標では、農産物をはじめとする食品に含まれる可能性のある放射性物質の許容量が規定されており、その値を上回った食品は、食品衛生法に基づき、消費者の口に入らないよう出荷や販売の停止などの対応が検討される。

関連サイト:
放射能汚染された食品の取り扱いについて - 厚生労働省 東北地方太平洋沖地震の原子力発電所への影響と食品の安全性について(PDF) - 厚生労働省

放射能リスク

読み方:ほうしゃのうリスク
別名:放射能のリスク

原子力関連施設からの放射能漏れや、併発する放射能汚染などによる健康被害の危険度(リスク)。

原発事故などで放射能漏れが発生すると、放射性物質の周辺地域への飛散などが危惧される。大気を舞って近隣都市へ降ったり、近隣の農産品が放射能汚染の被害を受け消費者を内部被ばくの危険にさらすといった事態に発展する可能性がある。

しかしながら、放射能リスクは往々にして報道あるいは風評を通じて誇張され、自然放射線と大差なく健康被害の影響も危惧する必要のないレベルでも大きな騒ぎに発展したり、産地が事故発生地域と同県だというので不買のあおりを受けたりするケースが少なくない。

逆に、報道機関などで放射性物質の量を「胸部レントゲン撮影の放射線以下のため、ただちに健康に影響が出るものではない」としている場合でも、同じ線量率で放射線を受け続ければ十分に危険であることがあり、十分な警戒も必要とされる。

2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の原発事故では、炉心溶融や使用済み燃料プールの水位低下などへの対処が進捗を見せる一方で、近隣地域で牛乳やホウレンソウから放射性物質が見つるなどし、危惧する声が高まってきている。

関連サイト:
リスク:原子力施設と放射線 - 日本原子力研究開発機構

挙国内閣

読み方:きょこくないかく
別名:挙国一致内閣
別名:大連立内閣

国を挙げて立ち上げられる内閣。すなわち、与野党の対立する政党もひっくるめて全体を包含した内閣。

国難などを機として、通常は対立関係にある第1党・第2党が協調関係を組むことは「大連立」とも呼ばれる。

都市活動用水

読み方:としかつどうようすい

生活用水のうち、家庭以外で使用される水。具体的には、飲食店や事務所、ホテル、病院、学校、公園などの施設で用いられる水を指す。

家庭で使用される水は家庭用水と呼ばれ、都市活動用水と家庭用水をまとめて生活用水と呼んでいる。生活用水に対しては工業用水や農業用水などの分類がある。

生活用水

読み方:せいかつようすい

家庭や飲食店などにおいて、生活を営むために引いて来る水。飲用や炊事用、あるいは風呂、トイレ、洗濯といった洗浄などに使用される。

生活用水のうち、飲食店や学校、病院、事業所といった(家庭外の)施設で使用される水を「都市活動用水」と言う。家庭内で使用する水を「家庭用水」といい、都市生活用水は「非家庭用水」とも言う。都市生活用水と家庭用水を併せて生活用水と総称する。

生活用水に対して生産に使用する水は工業用水、田畑に引く水は農業用水、火災発生時の消火のために用意されている水は防火用水などと呼ばれる。

食品衛生法の暫定規制値

読み方:しょくひんえいせいほうのざんていきせいち
別名:食品衛生法の暫定基準値
別名:食品衛生法上の暫定規制値
別名:食品衛生法の暫定的規制値

食品の安全性確保などを主な目的とした「食品衛生法」の中で、有害な物質などが含まれる食品の販売などを禁止する条項である「第6条第2号」に該当するレベルの有害な物質が農産物や食品に含まれているかどうかの「規制値」のこと。

食品衛生法そのものの中で「規制値」が定められている訳ではないため、規制値そのものは、食品や農産物などの種類や有害物質の種類などに応じて、専門機関などが作成した摂取制限に関する指標などを元にして、政府によって別途定められる。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響で福島原子力発電所において「福島第一原子力発電所事故」が発生し、放射性物質が周辺地域などで検出されている。

これに伴い厚生労働省は、放射性物質に関しては、原子力安全委員会により示された「飲食物摂取制限に関する指標」を暫定規制値とすることを各自治体に通知している。

2011年3月21日現在、放射性物質に関する、食品衛生法の暫定規制値は下記の通りである。

飲食物摂取制限に関する指標
核種 原子力施設等の防災対策に係る指針における摂取制限に関する指標値。下記の数値は全て「Bq/kg(1キロ当たりのベクレル)」
放射性ヨウ素 (混合核種の代表核種:131I) 飲料水 300ベクレル
牛乳・乳製品 注) 300ベクレル
野菜類 (根菜、芋類を除く。) 2000ベクレル
放射性セシウム 飲料水 200ベクレル
牛乳・乳製品 200ベクレル
野菜類 500ベクレル
穀類 500ベクレル
肉・卵・魚・その他 500ベクレル
ウラン 乳幼児用食品 20ベクレル
飲料水 20ベクレル
牛乳・乳製品 20ベクレル
野菜類 100ベクレル
穀類 100ベクレル
肉・卵・魚・その他 100ベクレル
プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種 (238Pu,239Pu, 240Pu, 242Pu, 241Am, 242Cm, 243Cm, 244Cm放射能濃度の合計) 乳幼児用食品 1ベクレル
飲料水 1ベクレル
牛乳・乳製品 1ベクレル
野菜類 10ベクレル
穀物 10ベクレル
肉・卵・魚・その他 10ベクレル
『放射能汚染された食品の取り扱いについて(別紙)』 - 厚生労働省(平成23年3月17日)から引用

なお、この「飲食物摂取制限に関する指標」については「100 Bq/kgを超えるものは、乳児用調製粉乳及び直接飲用に供する乳に使用しないよう指導すること」との注意書きも添えられているため、留意が必要である。


関連サイト:
放射能汚染された食品の取り扱いについて - 厚生労働省(平成23年3月17日)
緊急時における食品の放射能測定マニュアル - 平成14年3月 厚生労働省医薬局食品保健部監視安全課(PDFファイル)