新語時事用語辞典とは?

2011年6月27日月曜日

原子力電池

読み方:げんしりょくでんち
別名:アイソトープ電池
別名:ラジオアイソトープ熱源
別名:RI電池
英語:nuclear battery
英語:atomic battery
英語:isotope battery

放射性同位元素が原子核崩壊を起こす際に発する放射線のエネルギーを使用して発電する装置の総称。

原子力電池を実現する仕組みにはいくつかの種類が存在するが、「熱電変換」と呼ばれる方式が一般的である。放射線が生む熱を閉じ込め、外気との温度差を利用して直接電力に変換する方式が主となっている。

熱電変換方式の原子力電池では、放射性同位元素として、プルトニウム238が用いられることが多い。プルトニウム38は半減期が87年と長く、放出される放射線もアルファ線であり、遮断しやすいという利点がある。

原子力電池には管理上のリスクが大きいが、長期間にわたり恒久的な電力が得られるなどのメリットがある。宇宙開発においては、「ボイジャー1号」をはじめとするいくつかの探査機に原子力電池が搭載されている。

関連サイト:
原子力電池(アイソトープ電池) - ATOMICA

熱電変換

別名:サーモエレクトリック効果
英語:Thermoelectric effect

熱エネルギーと電気エネルギーを直接に変換する技術。実現する原理としては「ゼーベック効果」などいくつかの原理が知られている。

熱電変換は、構造が比較的単純であり、その分小型化が可能で高い信頼性を保つ事ができる。従来は大気中に放出するだけだった排熱を発電に利用することが可能となり、温暖化の原因とされる二酸化炭素を排出することもないという、省エネ・クリーンさも大きな特徴となっている。ただし、2011年6月の時点では、採算の取れる高効率のシステムを実現するには至っておらず、宇宙開発など一部の用途で利用されているに留まる。

上関原子力発電所

読み方:かみのせきげんしりょくはつでんしょ
英語:Kaminoseki Nuclear Power Plant

中国電力が山口県の瀬戸内海沿い、長島の最西端を埋め立てて建設を計画している原子力発電所。改良型沸騰水型原子炉(ABWR)を2基建設予定であり、出力は1基につき137.3万キロワット。

上関原子力発電所は2018年の1号機稼動を目指して工事が進められ、2011年3月の時点で一部の森林開発や埋め立て準備などを行っている。埋め立ては反対派の地域住民による妨害活動などもあって度々延期されている。

埋め立て事業を行うには県から免許(公有水面埋め立て免許)を得る必要があり、中国電力は工事が延期されるに伴い免許の延長を申請してきた。2011年6月27日、山口県は2011年3月に東京電力福島第一原子力発電所で原発事故が発生したことを背景に、県は免許の延長を許可しない方針を決めた。このため上関原子力発電所の建設計画は大幅な見直しが必要な状況となっている。

関連サイト
上関原子力発電所(準備工事中) - 中国電力

水電池

読み方:みずでんち

電池の一種。水分を注入することで発電する。基本的な原理はボルタ電池(湿電池)と同様。電力量は比較的小さいが、有害物質を使用せず、水の補充によって再利用が可能であるといった利点がある。

ナカバヤシが製品化した「水電池 NOPOPO」は、一般的な乾電池の形状をしており、乾電池の代わりに使用できるタイプの水電池である。形状は乾電池であるが、構造は厳密に言えば乾電池ではない。注水用の穴が開いており、専用のスポイトで水を入れることで発電する。

一般的な乾電池は、使用していなくてもわずかに放電を続けており、数年単位で放置すると電気容量が減り、未使用新品でも使えない場合がある。これに対して、水電池は水を入れるいことではじめて化学反応を起こすものであるため、水を入れなければ10年以上の長期保存が可能である。なお、水は水道水でもコーヒーでも涙でも何でもよい。

電力が弱まったら、注水すると再度発電できる。数回は繰り返して使用できるという。ただし、電力量は微弱であるため、大量の電力を必要とする電子機器などへの使用には向いていない。

水電池NOPOPOは、乾電池よりも軽いという特徴もあり、家庭や公共施設などでの備蓄に適するという。

ホウ酸水

読み方:ホウさんすい
別名:ホウ酸水溶液
英語:Boric acid solution

ホウ酸(BH3O3)の水溶液。弱酸性。毒性を持つため、害虫駆除のために用いられる。また、中性子を吸収する効果を利用し、原子炉で核分裂反応を制御するためにも用いられる。

2011年3月に東京電力福島第一原子力発電所で発生した原発事故では、事故発生直後に燃料棒が露出するという事態に至り、急遽、原子炉1号機に海水を用いたホウ酸水が投入された。海水は真水の代替で燃料棒を冷却するため、ホウ酸は、中性子を吸収して燃料棒の核分裂反応を抑制し、再臨界が生じるのを阻止するためのものである。

2011年6月には、原子炉3号機の使用済み核燃料プールに対してホウ酸水の注入が行われた。これは、使用済み核燃料プール内に建屋のがれきが落下したことで冷却水がアルカリ性になり、使用済み核燃料を乗せているアルミニウムのラックが腐食するおそれがあるため、酸性を示すホウ酸水を注入して中和しようという措置である。