新語時事用語辞典とは?

2011年7月4日月曜日

FCLP

別名:陸上空母離着陸訓練
英語:Field Carrier Landing Practice

米国海軍が、陸上の滑走路を訓練場として、空母に対する戦闘機の離着陸の訓練を行うこと。陸上の滑走路を空母に見立てた練習。

日本における米軍基地の周辺では、夜間に米軍がFCLPを実施することによる騒音問題が長らく問題になっている。2011年7月、新たなFCLPの訓練場として鹿児島県西之表市の「馬毛島」に施設を移転できないかという案が上っており、同島を所有する企業に、防衛省がFCLPとしての利用を打診していることが明らかになっている。

耐圧強化ベント

読み方:たいあつきょうかベント

沸騰水型原発で事故が発生した際に、原子炉格納容器内の蒸気を外部に排出して容器内の圧力を下げたり、熱を取り除いたりする働きをする設備のこと。ベント設備の方式の1つ。

耐圧強化ベントで排出する蒸気には、放射性物質も含まれるとされる。

2011年7月3日、日本原子力発電株式会社の敦賀1号機において耐圧強化ベントが設置されていないことが分かり、急遽設置することが発表された。

ちなみに、ベント設備の方式には、耐圧強化ベントの他に、フィルター付ベントやダクトベントなどが挙げられる。

関連サイト:
日本原子力発電株式会社

震災結婚

読み方:しんさいけっこん

震災をきっかけに夫婦になること。

震災結婚は、震災のような非常事態に直面した際に、それまで気付かなかった相手の本性や価値観などの再発見がきっかけとなるケースが多い。

震災結婚は、日本においては、東日本大震災をきっかけによく見られ、新聞などで報道されている。一方、東日本大震災をきっかけにお互いの価値観の違いが浮き彫りになり離婚するケース(震災離婚)も見られる。

節電シフト

読み方:せつでんシフト

企業などが節電のために営業日、あるいは、営業時間をずらすこと。節電への取り組みの1つ。

節電シフトは、2011年7月より始まった経済産業省の大口利用者に対する15%の節電義務付けを受けて、各企業が取り組んでいる。

節電シフトの主な取り組み例としては、休業日を従来の土曜、日曜日から木曜、金曜日へずらしたり、始業時間を電力ピーク時間の始まる午前9時より前にすることなどが挙げられる。

関連サイト:
政府の節電ポータルサイト「節電.go.jp」

マンガンノジュール鉱床

読み方:マンガンノジュールこうしょう
英語:manganese nodule

深海数千メートルの海底において、「マンガンノジュール」と呼ばれる鉱物成分の塊が多数存在する地域。鉱物が埋蔵された「鉱床」と見なした表現であるが、マンガンノジュールは実際は球体に近い沈殿物である。

マンガンノジュールは、何らかの硬い物質をとりまくようにマンガンなどのミネラル分が付着し、時間をかけて生成したものとされる。マンガンの他にニッケル、銅、鉄、コバルトなどの成分を含んでおり、天然のレアアース鉱床としての利用が期待されている。

マンガンノジュール鉱床は世界中で見られるが、鉱床あたりの分布密度がまばらであるため、採算の問題などから商業利用されるには至っていない。

なお、2011年7月には、太平洋中程の海底において高濃度のレアアースを含む泥の堆積があることが発表され、「夢の泥」などと形容され注目を集めている。

DEPDC5遺伝子

読み方:ディーイーピーディーシーファイブ
別名:DEPDC5
英語:DEPDC5 Gene
英語:DEP domain containing 5
英語:DEP domain-containing protein 5


肝臓がんの発症に強い関連性を持つとされる遺伝子。2011年7月4日に理化学研究所らの研究チームが発表した。

研究では、C型慢性肝炎から肝臓がんに罹患した人の遺伝子を調べたところ、DEPDC5遺伝子のうち特殊なタイプのDEPDC5遺伝子多型を持つ人は、それを持たない人に比べて、約2倍ほど肝臓がんに罹患するリスクが高いことが判明したという。

DEPDC5の詳細な機能は、発表時点では不明であるが、ちなみに、「DEPDC1遺伝子」と呼ばれる遺伝子は膀胱がんとの密接な関連が指摘されている。

関連サイト:
C型慢性肝炎に起因する肝がん発症に深く関わる遺伝子を発見 - 独立行政法人理化学研究所

激しい雨

読み方:はげしいあめ

気象庁による雨の強さの分類のうち、雨量計で計測される1時間当りの降水量が30mm以上50mm未満程度の雨。

いわゆる「土砂降り」は、1時間当り降水量が30mm未満の強い雨を指す。激しい雨は、土砂降りよりも1段階程度が激しく、「バケツをひっくり返したような」と形容される降り方を指す。がけ崩れの危険が高まり始める。

激しい雨よりも強い、1時間当り50mm以上の雨は、気象庁の分類では「非常に激しい雨」に分類される。轟音を響かせて降り、視界が水しぶきで白くなる。土砂災害の危険も高くなる。

関連サイト:
雨の強さと降り方 - 気象庁

非常に激しい雨

読み方:ひじょうにはげしいあめ

気象庁による「雨の強さと降り方」の分類のうち、1時間あたりの雨量が50mm以上80mm未満程度の雨。単位の「mm」は雨量計の嵩のことである。

非常に激しい雨は傘で防ぐことが全くできず、水しぶきで視界も悪くなり、車を運転することも危険とされる。また、土砂災害の発生する危険性が高まる。非常に激しい雨が降ると予測される場合には、大雨警報などが発令され、十分な警戒が呼びかけれる。

「非常に激しい雨」を上回る降雨量は、「猛烈な雨」に分類される。猛烈な雨は見る者が恐怖を感じるほどの降り方とされ、大規模な災害を引き起こす可能性がある。

過去に発生した非常に激しい雨の例としては、静岡県で1974年7月7日に発生した「七夕豪雨」がよく知られている。1時間の降水量が63mm超という非常に激しい雨が約7時間にわたって続いた。最も激しい時は1時間当り84.5mmの「猛烈な雨」を記録している。

関連サイト:
雨の強さと降り方 - 気象庁
七夕豪雨 - 静岡県

ローンチカスタマー

英語:launch customer

主に航空業界において、航空機の新規開発の後ろ盾となる航空会社。メーカーにとってハイリスクである航空機の新規開発に対して、新型機の大量発注などを通じて具体的な需要を示し、開発着手に踏み切らせる役割を担う。

特定の1社がローンチカスタマーになる場合もあるが、複数社が発注してそれぞれローンチカスタマーになる場合もある。ボーイング社の大型旅客機「ボーイング777」では、エールフランスや日本航空など数社がローンチカスタマーとなっている。

または、ローンチカスタマーには新型航空機の「第1号機」が納品される通例がある。ボーイング777の後継機である「ボーイング787」は全日本空輸がローンチカスタマーとなっており、その1号機も同社に納品された。発注数は55機とされている。ボーイング787は、部品の3割以上を日本のメーカーが製造したことでも知られており、「準国産」機とも形容されている。

太平洋レアアース巨大鉱床

読み方:たいへいようレアアースきょだいこうしょう
英語:huge rare earth deposits found in the Pacific Ocean

太平洋の公海の海底で発見されたレアアースの大規模な鉱床。実体はレアアースを大量に含有した海底泥である。「夢の泥」などと形容される場合もある。

東京大学の研究チームの調査の結果、太平洋のいくつかの箇所で、大規模なレアアース鉱床が泥の堆積という形で広がっていることが明らかになった。

太平洋レアアース巨大鉱床では、厚さ数メートルから数十メートルにわたって堆積した泥の中に、高濃度のレアアースを含む泥が採取された。埋蔵レアアースの総量は900億トン近くに上るとされる。ちなみに、地上に埋蔵されているとされるレアアースの総量は1億トン余りである。

太平洋レアアース巨大鉱床は、高濃度なだけでなく、泥状になっているため採取しやすく(吸い上げるだけでよい)、また、加工もしやすいという。

レアアースはハイテク産業にとって重要な資源となっているが、レアアース市場は中国がシェアの90パーセントを占める独占に近い状態となっており、また中国がレアアースの輸出制限を表明したことから供給手段の模索が行われてきた。太平洋レアアース巨大鉱床の発見により、資源調達の活路が見出せることが期待されている。ただし太平洋レアアース巨大鉱床は大半が公海に存在するため、調整には時間がかかるだろうとも予測されている。

関連サイト:
Deep-sea mud in the Pacific Ocean as a potential resource for rare-earth elements - Nature Geoscience

レアアース鉱床

別名:希土類鉱床
英語:rare earth element deposit

レアアースを産出する鉱床。鉱床とは、地中から鉱物などの天然資源が採掘できる場所のこと。地形によってはレアアース鉱山とも呼ばれる。

世界最大のレアアース鉱床としては、中国・内モンゴル自治区の包頭市近くにあるバイユンオボ鉱床が知られている。2004年には54000トン、世界の50%超の酸化希土類をバイユンオボ鉱床だけで産出している。

米国カリフォルニア州のマウンテンパス鉱床(マウンテンパス鉱山)は、バイユンオボ鉱床に次ぐ規模を持つ。1960年代から1980年代にかけて、マウンテンパス鉱床は世界のレアアースの過半数を産出していた。その後、中国のレアアース市場参入による価格競争の激化に伴い、2002年に閉鎖・市場を撤退している。

マウンテンパス鉱床の撤退後、レアアースの市場は中国が世界市場の90%以上を産出するという状態が続いている。

2000年代の後半から終盤にかけて、中国はレアアース輸出規制を発表。2010年11月現在、マウンテンパス鉱床は20年振りに採鉱を再開したとされており、韓国・カザフスタンはレアアースおよびレアメタルの採掘において共同探査を進めることを発表。日本は、米国とレアアース鉱床やレアアース代替材料の開発について包括的関係を結ぶことを決定。またモンゴルともモンゴル内のレアアース鉱床の共同開発に関する協議を進めている。

なお、2011年7月には太平洋の公海の海底に陸上の数百倍にもおよぶ埋蔵量のレアアース鉱床が存在することを日本の研究チームが発見したと発表され、中国のレアアース市場独占の状況を打開しうるものとして期待されている。

関連サイト:
希土類鉱床のタイプとその特徴 - 産総研