新語時事用語辞典とは?

2011年12月13日火曜日

ヒッグス粒子

読み方:ヒッグスりゅうし
別名:ヒッグスボソン
英語:Higgs boson

物質に質量を与えていると考えられている未知の素粒子。素粒子物理学の標準理論の中で、唯一まだ発見されていない。そのため「最後の素粒子」などとも呼ばれる。

現代物理学では、空間はヒッグス粒子で満たされていると仮定されている。あらゆる粒子は、ヒッグス粒子にぶつかって抵抗が生じる。この抵抗、つまり動きにくさが質量となる。この「ヒッグス粒子に満たされた場」の仮定を「ヒッグス場」という。

光の粒子は、ヒッグス粒子の抵抗を受けず、そのため光速で進むことができるとされる。そこで、あらゆる素粒子は、もしヒッグス粒子の抵抗を受けなければ、光速で進むことができると考えられている。

ヒッグス粒子の存在は1960年代にすでに予言されていたが、長らく現実に観測・確認されることがなかった。ヒッグス粒子が発見されれば、素粒子物理学の基礎理論が全て揃うことになるという。

2011年12月、CERN(欧州原子核研究機構)は、巨大粒子加速器「LHC」での実験の結果、ヒッグス粒子の存在する兆候が見つかったと発表した。2011年12月13日現在、正式な発表が待たれている。

ヒッグス機構

読み方:ヒッグスきこう
英語:Higgs mechanism

ヒッグス粒子の作用によって物質に質量が発生する仕組みや過程。

ヒッグス粒子に満ちていると仮定される空間(ヒッグス場)の中を物体が進むことにより、粒子がヒッグス粒子の抵抗を受けて、動きにくくなる。これが質量となる、という考え方である。

ヒッグス場

読み方:ヒッグスば
別名:ヒッグスフィールド
別名:Higgs field

素粒子物理学における「ヒッグス粒子」理論に基づく、ヒッグス粒子が満ちた空間としての場。

ヒッグス粒子の理論では、宇宙空間はヒッグス粒子に満ちており、あらゆる粒子はヒッグス粒子にぶつかって抵抗が生じ、動きにくさが生まれる。これが質量となる。

ヒッグス場は水の入ったプールに例えられることがある。プール内で前進しようとすると水の抵抗を受ける。この水がヒッグス粒子に相当する。また、プール全体がヒッグス場に相当する。

LHC

別名:Large Hadron Collider
別名:大型ハドロン衝突型加速器
別名:大型ハドロンコライダ
別名:ラージハドロンコライダ

CERN(欧州原子核研究機構)が運用している円形の大型加速器。スイスとフランスの国境をまたぎ、地下175メールに設置された環状トンネルで、円の全周は約27キロメートルに及ぶ。

LHCは2008年に稼動を開始した。主要な目的として、素粒子理論において唯一の未知の素粒子とされる「ヒッグス粒子」の発見、および、超対称粒子の発見などがある。

2011年12月には、ヒッグス粒子の存在する徴候が、LHCの実験により見つかったと発表された。実際にヒッグス粒子の存在が確認されれば、現在の素粒子理論における全ての素粒子が発見されたことになり、ヒッグス場、ヒッグス機構と共に素粒子理論の基礎が完成することになるとされる。

関連サイト:
The Large Hadron Collider - CERN

適格消費者団体

読み方:てきかくしょうひしゃだんたい

消費者の利益擁護のために、差止請求権の行使ができる消費者団体のこと。消費者契約法により規定されている。

適格消費者団体は、内閣総理大臣の認定を受けた消費者団体で、消費者被害の発生や拡大を防止するために、事業者などに対して不当な行為の停止や予防などを求めることができる。

2011年12月現在、適格消費者団体は、消費者機構日本や全国消費生活相談員協会など全国に9団体ある。

適格消費者団体の主な要件は、民法上で認められた法人か特定非営利活動法人であること、弁護士などの法律の専門家がいること、消費者の利益擁護のための活動を相当期間継続して行っていることなどである。

なお、2011年12月現在、消費者庁では消費者の利益擁護のために訴訟を起こしやすくする新たな訴訟制度を、2012年度の通常国会に提出することを目指して検討を進めている。

関連サイト:
消費者契約法
「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子」についての意見募集及び説明会について - 消費者庁

株主損害賠償請求

読み方:かぶぬしそんがいばいしょうせいきゅう

会社の株主が、その会社に対して損害賠償を請求すること。

株主損害賠償請求は、会社に民法や金融商品取引法(金商法)で定められた不法行為が認められ、その結果として株主が損害を被った場合に、株主が会社を相手取って提訴することである。

民法上での不法行為で株主損害賠償請求できるケースとしては、民法709条の「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」に該当する場合が挙げられる。

また、金融商品取引法(金商法)での不法行為で株主損害賠償請求できるケースとしては、有価証券報告書虚偽記載で損害が発生した場合や、記載すべき重要事項を記載しなかったことによって損害が発生した場合などが挙げられる。なお、株主損害賠償請求は通常その会社に対して行うが、会社の役員や監査法人に対して行うこともできる。

関連サイト:
民法
金融商品取引法(金商法)

貸出債権

読み方:かしだしさいけん

お金を貸し出した際のリスクを内包している商品のこと。クレジット市場で取引されている。

貸出債権の買い手は、貸出債権の売り手に対して定期的にプレミアを支払う。その代わり、貸出債権がデフォルトに陥った場合には、その損失額が補填される。一方、貸出債権の売り手は、貸出債権の買い手から定期的にプレミアを受け取る。その代わり、貸出債権がデフォルトに陥った場合には、その損失額を補填しなければならない。

なお、貸出債権は、日本のクレジット市場で一番規模の大きい商品である。

重過失致死

読み方:じゅうかしつちし

必要な注意を怠るなどして、重大な過失によって人を死傷させること。

重過失致死は刑法により規定されており、重過失致死傷罪に問われると5年以下の懲役、または、禁錮か50万円以下の罰金に処せられる。業務上過失致死傷罪と同じ裁量である。ちなみに、「重」のない過失致死傷罪には懲役刑はない。

関連サイト:
刑法

クレジット市場

読み方:クレジットしじょう
英語:credit market

信用リスクを内包する商品を取引する市場のこと。

クレジット市場で取引されている商品には、貸出債権や社債、コマーシャルペーパー(CP)、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)などが挙げられる。また、住宅ローンや消費者ローン、不動産ローンなどのリスクを証券化した証券化商品などもクレジット市場で取引されている。

野村総合研究所によれば、日本のクレジット市場で一番規模の大きい商品は貸出債権で、続いてCDS、社債が続いているとされる。

関連サイト:
クレジット市場における情報インフラ整備の意義 - 野村総合研究所(PDF)