新語時事用語辞典とは?

2012年1月23日月曜日

オフィスアワー

英語:office hours

教育機関における教員や会議の講演者、あるいは企業における上級職などが、質問に応じたり相談を受けたりするための時間として設ける特定の時間。またはそうした時間を定期的に設ける制度。

オフィスアワー制度を実施している教員や上級職は、特定の時間帯に所定の場所に待機していることが約束されている。このため、学生などが訪れて質問や相談をしやすくなる。

オフィスアワーは欧米で始められたとされる。現在では国内の大学の多くがオフィスアワーを導入・実施している。大学によっては学生が学長に直接質問できる「学長オフィスアワー」を設けている所もある。

また、広島県広島市では、市長が市民に対してオフィスアワーを設けるという取り組みを2003年以前から行っている。

関連サイト:
オフィスアワー(市民と市長の対話) - 広島市役所

AMPA受容体

英語:AMPA receptor

神経細胞におけるグルタミン酸受容体の一種。主に興奮性神経に存在する受容体であり、疼痛、てんかん、神経変性疾患などに影響を与えると考えられている。

グルタミン酸受容体はAMPA受容体を含めて3つのタイプに分類されている。AMPA受容体のほかにはNMDA受容体、カイニン酸受容体がある。

製薬会社のエーザイは、AMPA受容体に拮抗する新薬「ペランパネル」を開発しており、2011年12月には米国FDAに対して新薬承認申請を再提出したと発表している。「ペランパネル」はてんかんの部分発作に対する治療薬として用いられる予定である。

関連サイト:
AMPA受容体拮抗剤「ペランパネル(E2007)」の新薬承認申請を米国FDAに再提出 - エーザイ株式会社 プレスリリース 2011年12月26日

NMDA受容体

別名:N-メチル-D-アスパラギン酸受容体
別名:N-methyl-D-asparate受容体
英語:N-methyl-D-asparate receptor
英語:NMDA receptor

興奮性アミノ酸の受容体。記憶・学習の過程などに関与しているとされる。

NMDA受容体は、カルシウムイオンを透過させるイオンチャネルとして知られており、観測手法にはカルシウムイメージング法などが用いられる。

関連サイト:
NMDA受容体について - 長崎労災病院 循環器科
痛み関連受容体 滋賀医科大学 痛みと鎮痛の基礎知識
シナプス伝達を超える脳の謎 - 理化学研究所 理研BSIニュース 2008年7月号

大規模スパインイメージング法

読み方:だいきぼスパインイメージングほう

科学技術振興機構(JST)と東京大学大学院が共同研究において開発した、神経細胞の観測手法。従来一般的に用いられてきた「カルシウムイメージング法」の難点を改良し、より多くの神経細胞の活動を同時に観測可能とするもの。

カルシウムイメージング法は、細胞の活動に深く関わるカルシウムイオンと結合して蛍光を発する色素(カルシウム蛍光指示薬)を使用して細胞活動を観測する手法である。カルシウム濃度により蛍光の度合いが異なるため、活動の有無だけでなく活動の状況をより細かく観察できる利点がある。

科学技術振興機構のプレスリリースによれば、カルシウム蛍光指示薬の蛍光は微弱なため、観測するために強いレーザー光を当てる必要があり、観察中に細胞が死んでしまうという困難があった。これに対して「大規模スパインイメージング法」は、抗酸化剤を用いて死滅する細胞を減らし、また光透過性が高い光学レンズと高感度デジタルカメラを使用するなどの改良を行うことで、同時に活動が観測できる細胞の数を、従来の100倍程度に高めることに成功したという。

2012年1月20日、JSTと東大大学院は、大規模スパインイメージング法を使用した実験により「ニューロンが1000分の1ミリレベルで局所集中した回路を正確に編んでいる」ことを証明したという研究成果を発表した。

関連サイト:
脳回路が驚くほど精密に配線されていることを発見(新開発の撮影技術で、数十年来の脳科学の謎を解決) - 科学技術振興機構(JST)プレスリリース 2012年1月20日
Locally Synchronized Synaptic Inputs - Science 20 January 2012

カルシウム蛍光指示薬

英語:fluorescent Calcium Indicators

カルシウムイメージング法と呼ばれる細胞の観測手法で使用される試薬の総称。カルシウムイオンに結合して蛍光を発する、または蛍光の波長を変化させる性質を持つ。

カルシウム蛍光指示薬は、カルシウムイオンの濃度に合せて蛍光の強弱の度合いが変化するという特性がある。このため、カルシウムイオンの有無だけでなく、どの程度のカルシウムイオンが存在しているかを判別することができる。

カルシウム蛍光指示薬、およびカルシウムイメージング法は、細胞活動で重要な役割をすると考えられているカルシウムイオンの働きを可視化できるため、神経細胞の活動を観測する手法として広く利用されている。

なお、科学技術振興機構(JST)と東京大学大学院は、「大規模スパインイメージング法」と呼ばれる新たな観測手法(撮影技術)を開発、2012年1月20日に研究成果として発表している。

関連サイト:
脳回路が驚くほど精密に配線されていることを発見(新開発の撮影技術で、数十年来の脳科学の謎を解決) - 科学技術振興機構(JST)プレスリリース2012年1月20日
脳発達の「臨界期」が終了した後でも変化する神経細胞群を発見 - 理化学研究所 プレスリリース 2010年1月27日

カルシウムイメージング法

読み方:カルシウムイメージングほう
別名:カルシウム画像化法
別名:Ca画像化法
英語:calcium imaging

カルシウムイオンと結合して蛍光を発する色素(カルシウム蛍光指示薬)を使用して細胞などを着色し、画像情報として観測可能にする手法。イメージング技術の一種。

カルシウム蛍光指示薬は、細胞内のカルシウムイオンの濃度によって蛍光の度合いが変化する。このため、生体内の活動している神経細胞のカルシウムイオンの濃度を観察することができ、カルシウムイオンが関与する細胞活動の詳細な観測を行うことができる。カルシウムイメージング法は脳細胞の研究などで広く利用されている。

カルシウムイメージング法で用いられるカルシウム蛍光指示薬は、微弱であり、観測の際に強いレーザー光を照射する必要がある。このレーザーにより、観測対象の細胞が観測中に死滅してしまうという困難があった。2012年1月20日に、科学技術振興機構(JST)と東京大学大学院が発表した研究では、新たに「大規模スパインイメージング法」と名づけられた観測手法(撮影技術)を開発、細胞の死滅を減らしてより多くの細胞を観測可能にした。

関連サイト:
脳回路が驚くほど精密に配線されていることを発見(新開発の撮影技術で、数十年来の脳科学の謎を解決) - 科学技術振興機構(JST)プレスリリース2012年1月20日
カルシウムシグナル研究 - 東京大学医学部薬理学教室
カルシウムイメージングで分かること - 東北大学 大学院医学系研究科 保健学専攻 医用画像工学分野 小山内グループ