新語時事用語辞典とは?

2012年4月9日月曜日

爆縮高速点火

読み方:ばくしゅくこうそくてんか
別名:爆縮高速点火方式

レーザー核融合において、燃料となる原子核に対して高出力レーザーを照射し、急激な圧力をかけて「爆縮」(インプロージョン)した上で、超高温エネルギーにより点火する技術・手法のこと。

爆縮高速点火は核融合エネルギーを取り出す技術の一つとして有力視されている。2012年4月5日には、静岡県浜松市内で進められている産学共同研究プロジェクトにおいて、爆縮高速点火を利用したレーザー核融合の実験において100回連続して核融合反応を起こすことに成功したと発表された。

レーザー核融合

読み方:レーザーかくゆうごう

高出力レーザー使用して核融合反応を発生させること。非常に強力なレーザーを燃料に照射することで熱核融合を生じさせる。人工的に核融合を得る技術の一つとして研究が進められている。

核融合(原子核融合)は恒星の内部などで生じている反応で、爆発的なエネルギーが生まれる。水素爆弾は核融合反応を利用している。

現在実用化されている核エネルギー利用は、核燃料を元に「核分裂反応」を引き起こしてエネルギーを取り出す方式であるが、超長期にわたり放射線を放出する放射性物質の発生を伴うリスク、超臨界状態が暴走して制御不能になるリスクなどを伴い、人類にとって安全でない。核融合はより制御しやすく、より安全性が高いものと考えられている。

核融合反応は「夢のエネルギー」と形容されることもある。他方で、核融合の発生条件を揃えて、それを安定的に維持するには、高度な技術が必要となる。2012年時点ではまだ実用化のめどがたっていない。

2012年4月4日、光産業創成大学院大学、浜松ホトニクス株式会社などが参加する研究チームは、レーザー核融合発電の方式により100回連続で核融合反応を発生させることに成功した。中国新聞は2012年4月5日の記事において、「発電の実現に向けて大きな一歩になりそう」との見解を示している。

関連サイト:
連続レーザー核融合に成功 光産業創成大学院大や浜ホトなど - 中国新聞 2012年4月5日

トランジェント天体

読み方:トランジェントてんたい
英語:Transient Astronomical Objects

短時間の強いエネルギー放出を示す天体の総称。「トランジェント」(transient)は、一時の、瞬間的な、といった意味の英語。

トランジェント天体は、それまで何も検出されなかった位置に、突発的に観測可能な天体が出現するといった形で発見される。新星や超新星などもトランジェント天体に該当し、発見後、超新星であると判明するまでの間、便宜的にトランジェント天体と呼ばれる場合もある。

下水油

読み方:げすいあぶら
別名:地溝油

下水(地溝)、排水溝などにたまったドブ水から抽出・再精製された油。中国で食用油として流通しているとされ、社会問題化している。

下水油に対応する中国語の名称は「地溝油」という。日本ではより広い呼び名として「食用廃油」などの呼び方もあるが、日本では廃棄する天ぷら油のような廃油を指して「食用廃油」ということも多いため注意を要する。

中国人民日報のオンライン版「人民網」では、下水油について「レストランなどの排水溝や下水溝に溜まったクリーム状の油から精製した油」と解説している。また、原料となる下水の油から食用油を精製する技術は、単純な物理的分離だけであるという。

中国国内でも下水油は深刻な問題として扱われており、バイオディーゼル燃料として再利用するための開発なども進められている。


関連サイト:
下水油 - 人民網日本語版 経済用語集
専門家 毎年200万トン以上の「下水油」が食卓に - 人民網日本語版 2011年9月15日
中国衛生部、下水油の検測方法を一般募集 - 人民網日本語版 2012年1月4日

中国レアアース産業協会

別名:中国レアアース業協会
別名:中国希土行業協会
英語:rare earth association


中国北京市でで2012年4月8日に発足したと報じられた、レアアース関連企業による業界団体。

中国・人民日報によれば、中国レアアース産業協会は有色金属協会をはじめとする13の企業・団体を発起人として設立され、中国内のレアアース関連企業142社が参加しているという。

中国レアアース産業協会の発足は、2012年3月に日本・米国・欧州が中国のレアアース輸出規制を解除するように世界貿易組織(WTO)へ提訴したことを受けた対抗措置であると見られている。

関連サイト:
中国レアアース産業協会が発足 業界を大調整 - 人民網 2012年4月8日
China sets up rare earth body to streamline the sector - BBC NEWS 2012年4月9日

文化猿

読み方:ぶんかざる

宮崎県・幸島に生息する野生のサル。古くから自然分布していたといわれている。戦後、京都大学の研究チームらによって霊長類の研究対象となり、芋を海水で洗う知的行動、および、芋洗いが他の固体や世代に受け継がれていくことが確認され、「猿にも文化がある」という考え方の礎になった。

文化猿が生息する幸島は周囲4キロ程度の小島であり、現在は無人島となっている。宮崎県串間市には、幸島のほかに、野生馬「御崎馬」が生息することで知られる都井岬もある。

関連サイト:
宮崎県串間市ウェブサイト

ビュフォード

英語:Buford

米国の人名、およびそれにちなんだ地名。地名としてはワイオミング州ビュフォードが「住民1人の町」として特に知られている。

ワイオミング州ビュフォードは1900年代半ばに創設された。「住民1人の町」の異名を持つが、実際には行政主体としての町(市町村)がない非法人地域である。1992年、ドン・サモンズ(Don Sammons)が町を丸ごと購入し、商店を経営していた。

2012年4月、ドン・サモンズが町を丸ごと競売にかけ、90万ドルで落札されたと報じられた。