新語時事用語辞典とは?

2013年6月25日火曜日

シャドーバンキング

別名:影の銀行
別名:影の銀行業務
別名:シャドーバンキングシステム
英語:shadow banking

一般的な銀行以外の諸金融機関による金融仲介システム。主にヘッジファンドや証券会社などが資金の貸出業務などを行うことが多い。

通常の銀行に比べ、シャドーバンキングに対する規制は緩いとされている。シャドーバンキングの実態を正確に把握することは困難とされるため、当局が介入することも難しいとされている。またレバレッジが大きく、一度に多額の資金が動くことなども問題視されている。

シャドーバンキングはリーマンショックの発生の原因の一つとされるなど、そのリスクが大きいことでも知られる。2013年現在、シャドーバンキングの規制に向けた動きがあるが、ヘッジファンドやアメリカの金融業界などからは、規制に対する反発がある。

中国でもシャドーバンキングが発展している。主に、小口の債権を販売したり、企業同士の資金の融通も行われ、その利回りは銀行に比べ高いとされる。2013年6月24日のロイター通信の記事によると、シャドーバンキングによって生じた資金が不動産投機などに利用され、不良債権の増加を招く可能性があるとしている。

中国でシャドーバンキングが発展する背景には、通常の銀行が大手の国有企業への融資に専念しているという現状があるとされている。

0増5減

読み方:れいぞうごげん
読み方:ゼロぞうごげん
別名:〇増五減

小選挙区制の選挙において、「1票の格差」を是正するために選挙区の議員定数を調整する案の一つ。議席数を計5つ削減し、それに対する定数の増加は行わない。

「~増~減」という表現方法は、「4増4減」にも見られる一種の様式である。

有権者の数が少ない選挙区は、有権者の数が相対的に多い選挙区に比べて、選挙に勝つために必要な得票数が少なくて済む。つまり、選挙区ごとに1票の価値や重みに格差が生じていることになる。0増5減の導入により、この格差の緩和が期待される。

0増5減の案に関する本格的検討の動きは、2012年初頭あたりから報じられるようになった。2012年7月に、民主党が0増5減の導入を含む選挙制度改革法案を国会に提出したが、このときは「比例定数の40削減」などとセットになっており、他政党の反対に遭って結局は廃案になっている。

民主党の選挙制度改革法案における0増5減の案は、山梨県、福井県、徳島県、高知県、佐賀県の5県でそれぞれ1議席ずつ減らし、議席増加はゼロ、という内容である。

0増5減の案は、先行可決を目指して他の法案と切り離され、2012年10月29日に改めて議会に提出された。自民党、公明党もこの法案について賛成の意を表明している。11月15日に衆議院本会議で賛成多数により可決し、翌16日の参議院本会議でも賛成多数で可決、0増5減の関連法案は成立することとなった。

なお、議員定数を調整する案としては、0増5減の他に「4増4減」などもある。4増4減は、全国で計4つの議員定数を削減し、その削減分を他の人口密集区域に振り分ける。2012年9月に、福島県と岐阜県の2県で2議席ずつ計4議席を減らし、神奈川県と大阪府で2議席ずつ計4議席を増やす4増4減案を盛り込んだ改正公職選挙法が提出されていたが、衆議院側で可決されず、先送りにされていた。11月16日の参議院本会議ではこの改正公職選挙法も可決し、4増4減案も成立した。

最大2.43倍の格差が確認された2012年12月の衆院選について、大阪高裁、東京高裁などはそれぞれ違憲判決を下した。さらに広島高裁は広島1区、2区の選挙を無効とし、同岡山支部は岡山2区の選挙を無効とした。これらを含めて全国で「選挙無効」が2件、「憲法違反」は14件に上る。

各裁判所の判決に伴い、自民党の石破茂幹事長は「0増5減」を含む改正案を2013年4月上旬に提出し、同年5月中の成立を目指している。与党の改定案によって17都県42選挙区の見直しが行われ、一票の格差は1.998倍まで縮小されると見込まれている。一方で、民主党の細野豪志幹事長は「0増5減」だけでは一票の格差の根本的な解決につながらないとして民主党で作成した案を提出する見通しである。

自民党による0増5減の法案は2013年4月23日に衆議院から参議院に送られた。野党は、みんなの党が提出した独自の区割り法案「18増23減」も同時に審議入りすることを求めた。

0増5減を行う公職選挙法改正案が、2013年6月21日までに参議院で採決されなかったため、与党は「みなし否決」を適用した。憲法59条では、衆議院が送った法案を参議院が60日以内に議決しないとき、参議院がその法案を否決したものとみなすことを規定している。

みなし否決を受けて、6月24日の衆議院本会議で、3分の2以上の賛成多数により、0増5減の法案は再可決された。

0増5減を含む改正案では、1票の格差が1.998倍まで縮小するといわれているが、依然として2倍近くの格差が生じるため、更なる格差是正措置を要求する声も多い。

放射性ストロンチウム

読み方:ほうしゃせいストロンチウム

ストロンチウムの放射性同位体の総称。ストロンチウム89、ストロンチウム90、ストロンチウム91がある。

ストロンチウムは体内で、特に骨に蓄積されやすいことが知られている。半減期の短いストロンチウム89は、放射線治療などに利用されているが、半減期が29年と長いストロンチウム90などが体内に取り込まれると、長期的にガンなどを引き起こす危険性が高くなる。

2011年3月に福島第一原子力発電所で原発事故が発生してから数日後、原発から数十キロ離れた地域で採取した土から、ごく微量の放射性ストロンチウムが検出されたことが発表されている。

2013年6月19日に、福島第一原子力発電所の2号機付近にある観測用井戸の水から、法律で定められた排出基準の約30倍の放射性ストロンチウムが検出された。

アベノミクス3本の矢

読み方:アベノミクスさんぼんのや
別名:3本の矢
別名:アベノミクス三本の矢
別名:三本の矢

安倍晋三第96代首相が打ち出した経済政策「アベノミクス」の柱となる3つの方針を指して用いる語。具体的には大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の3つの総称である。これらにより、デフレ及び円高から脱し、日本経済を改善することが目標とされている。

一般的に、金融政策が1本目の矢、財政政策が2本目の矢、成長戦略が3本目の矢とされる。具体的に金融政策では、2%の物価上昇率を設定し、金融緩和が行われる。また財政政策は、東日本大震災の復興や老朽化した公共インフラの整備などの公共事業の拡大を中心としているが、一部ではバラマキとして批判を受けている。

3本目の矢である成長戦略では、主に特区設置や規制緩和などを通じて、国内外からの投資拡大などが見込まれ、民間主導で景気を改善させることが重視されている。また、外資を呼び込むことや公共インフラの拡充なども成長戦略の中心といえる。

無投票層

読み方:むとうひょうそう

選挙権を有しているにも関わらず、選挙の際に投票をしない人々。2013年現在、特に20代、30代の若者に多いとされる。

無投票層には、単に政治に興味のない人だけでなく、その時点で行われている政治に失望し、投票に行かない人々なども含まれる。また仕事などが忙しいため、投票に行くことができないと主張する人もいる。

無投票層には、若者が多いとされるが、若者が選挙に行かないことで、自然と有権者の平均年齢が上がることが一般的である。したがって多数派の意見が尊重されやすい民主主義体制下では、高齢者向けの政策ばかりが重視されるシルバー民主主義となる場合が多い。

無投票層を減らすために、期日前投票の手続きの簡略化や電子投票解禁などを行うべきだという意見もある。

企業内保育所

読み方:きぎょうないほいくじょ
別名:事業所内保育施設
別名:事業所内保育所

働きながら育児を行う人を対象として、企業内あるいはその周辺の場所に設置される託児施設のこと。民間企業に限らず、病院などが行う託児サービスも企業内保育所としてみなされる場合もある。幼い子どもを持つ従業員が働きやすいような環境づくりの一つである。

企業内保育所は、保育所不足や待機児童問題を解決するといった、子育て支援の一環である。子育てしながら働ける環境を整えることで、女性の社会進出を支援することも目的の一つとされている。

企業内保育所に対して、国や地方公共団体が補助金を出すケースも増えている。埼玉県では、企業内保育所の設備費などの一部を県が補助し、保育サービスの充実を図っている。

企業内保育所には、利用者の安定確保や初期投資費用が大きいことなどが問題として挙げられている。2013年6月に政府が出した成長戦略には、企業内保育所への支援拡大が盛り込まれている。

早期勧奨退職

読み方:そうきかんしょうたいしょく
別名:退職勧奨
別名:肩叩き

主に中央省庁に勤める国家公務員が、その省庁で幹部職に就任できなかったことなどを理由に、定年に達する年齢より前の時点での退職を促すこと。

早期退職をした場合、退職した元公務員を、中央省庁と結びつきの強い公益法人や企業などに天下りさせることが多い。特に50歳を過ぎた国家公務員を対象として行われる。

長期間に渡って同じ人物が同じ階級や役職にいる場合、若手の昇進などに好ましくない影響を与えるとされ、中央官庁では早期勧奨退職が慣行となっている。

また早期退職者は定年まで働いた人々と比べて、より多くの退職金が払われることが一般的である。特に勧奨退職手当として、定年までに勤務した場合に支給されると予想される額以上の退職金が支払われ、その上、退職後の職も保障されることになっている。