新語時事用語辞典とは?

2013年8月21日水曜日

スイング・ステート

英語:swing state
別名:スイングステート

アメリカ合衆国の大統領選挙において、毎回激戦となり勝者が変動する州のこと。

アメリカでは民主党と共和党の2大政党が大統領の座を争ってきたが、州によって両者の地盤として確立している州もある。民主党はカリフォルニア州などの東西沿岸部に位置する州で支持者が多い一方で、共和党は中西部や南部を中心に固定した支持を獲得している。

固定した支持を得ている州の選挙人のみでは過半数に達しないため、アメリカ大統領選においては、スイングステートの得票によって勝敗が決することが一般的である。

有名なスイングステートとして、フロリダ、オハイオ、ペンシルベニアなどが挙げられ、特に選挙人割り当ての多いスイングステートでの勝利が重要だとされている。

ホストネーションサポート

英語:host nation support

同盟国の軍を受け入れるために受入国が行う支援。一般的に戦争や紛争といった有事の際を想定して準備される。

ホストネーションサポートでは、主に軍事施設の提供や燃料や装備などの補給を行う。例えば日米間における思いやり予算はホストネーションサポートだといえる。2013年現在では、公式には「思いやり予算」を用いず、「ホストネーションサポート」の語を使用している場合が多い。

ホストネーションサポートは、日本のような名目上軍隊を所持しない国家においては、安全保障に関する良い投資だとの意見がある一方で、そのような支援は不要であるという意見もある。

共通だが差異ある責任

読み方:きょうつうだがさいあるせきにん
別名:共通だが差異ある責任原則
英語:common but differentiated responsibilities

地球環境問題の責任に関する考え方。1992年にリオデジャネイロで行われた地球サミットで採択された、リオ宣言などで用いられてから普及した考え方である。

地球環境問題は21世紀のグローバルイシューの一つであるが、問題が越境的であることに加え、加害者と被害者を特定することが難しいこと、さらには先進国と途上国との間で責任の度合が異なることなど、他の国際的な問題と比べて複雑であるとされている。また、地球環境問題の国際会議の場などでは、先進国対途上国という対立構造が存在する。先進国は途上国にも責任があると主張する一方で、途上国は環境問題の原因の大部分は先進国にあると主張している。

先進国と途上国両者の歩み寄りを目的として、共通だが差違ある責任原則の考え方が形成されてきた。「共通だが差違ある責任」は、地球環境問題の責任は全ての国家にあるが、責任の程度には差違を設けるという考え方である。具体的には、地球温暖化防止のための温室効果ガス削減目標に差違を設けたり、削減期間を調整したりすることなどが行われている。

中国をはじめとする新興国の発展により、差違ある責任原則の見直しを求める声もある。

バーチャルウォーター

別名:仮想水
別名:間接水
別名:ヴァーチャルウォーター
英語:virtual water

主に農産品や工業製品の生産及び流通過程で消費された水、あるいは輸入国が、輸入した物品を自国で生産した場合に、どの程度の水資源が実際は必要であるかを試算したもの。

バーチャルウォーターの概念は、1990年代にイギリスのロンドン大学のアンソニー・アラン教授によって提唱された。

バーチャルウォーターの概念は、水資源の保全などに関連して議論される場合に用いられることが多い。環境省によると、2005年に日本に輸入されたバーチャルウォーターは約800億m³とされており、日本国内の年間の使用量と同程度であるとされている。

関連サイト:
Virtual water - 環境省

新興衰退国

読み方:しんこうすいたいこく
英語:Newly Declining Countries

主に経済力が低下しつつある国家を指して用いる語。

2013年現在、Newly Declining Countriesは主に日本とドイツを指す場合が多いとされているが、当初はNewly Declining Countryと単数形になっており、日本を揶揄して主に欧州のメディアが使用していた。

日本やドイツは第二次世界大戦後、急速な復興及び経済発展を遂げ、先進国としての地位を確立したが、21世紀に入ってから世界経済に占める両国のGDPの割合は低下を続けている。世界経済におけるプレゼンスが低下することに合わせて、日本の国際社会におけるプレゼンスも同時に低下していると危惧する声もある。

集団安全保障

読み方:しゅうだんあんぜんほしょう
英語:collective security

複数の国家が国際的な組織や枠組を形成しルールを定めることで、その国際的な枠組内における紛争などを未然に防ぎ、平和を維持しようとする安全保障体制。主権国家体制を基本とした勢力均衡論の代替物として広まった。

集団安全保障を行う場合には、将来的に敵になりそうな国家をあえて国際組織に加入させて、その潜在的な敵国の行動を抑制するといった狙いもあるとされる。

第一次世界大戦後、新たな安全保障体制としてアメリカ大統領のウッドロー・ウィルソンが集団安全保障の必要性を唱え、国際連盟が設立された。しかし大国が国際連盟に参加しなかったなどの要因で、国際連盟による集団安全保障体制は十分に機能しなかった。

第二次世界大戦後に設立された国際連合では、国際連盟の反省を活かし、アメリカをはじめとする大国が参加することで、より強力な集団安全保障体制を目指している。

21世紀現在では、集団的自衛権やPKOの活動などが集団安全保障の争点となっている。

エネルギー地産地消

読み方:エネルギーちさんちしょう
別名:エネルギーの地産地消

その地域の需要に合ったエネルギーを地域独自に生産し、その地域で消費すること。一般的に電力や熱が対象とする場合が多い。

エネルギー地産地消のためには、従来の化石燃料資源や原子力に依存した発電方法から脱却し、太陽光や風力といった自然エネルギーによって発電された電力を増加させることなどが不可欠である。またエネルギーの地産地消では、その地域にあった自然エネルギーをうまく活かすことが重要だとされている。

2013年8月19日の日本経済新聞の記事によると、総務省はエネルギーの地産地消を促進するために、自治体に補助金を出すことを決定した。エネルギーの地産地消を達成するためには、発送電分離などが同時に行われる必要もあるとされる。

関連サイト:
再生エネ「地産地消」拡大 自治体の計画を支援 - 日本経済新聞

介護休業制度

読み方:かいごきゅうぎょうせいど

家族が要介護状態となった場合に、仕事を一定期間休むことができる制度。「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」で規定された制度である。

労働者は要介護対象者1人につき93日まで介護休業を取得することができる。対象となる家族は、父母、配偶者、配偶者の父母、子、あるいは扶養家族である祖父母、兄弟などである。また、要介護状態とは、疾病などによって2週間以上常時介護を必要としている状態を指す。

アルバイトや派遣社員であっても、就業期間の定めがない雇用契約が結ばれている場合は、介護休業を取得できる。他方、入社一年未満、あるいは週所定労働日数が2日以下の労働者などは介護休業を取得することができない。

関連サイト:
介護休業制度について - 埼玉県

マザーズハローワーク

子育てをしながら職を探している女性を対象に、求人情報の提供などを行っている施設。

マザーズハローワークでは、仕事と育児の両立ができる職場の情報提供などを主に行っている。全国各地の多くのマザーズハローワークでは、ベビーカーを使用しながら利用できるスペースが設置されており、子ども連れでも利用しやすい環境整備を行っていることが特徴である。

また職業相談を担当制で行っていることなどから、一貫した就職支援が可能であるとされるに加え、保育所の案内といった総合的な支援も行っている。

間連サイト:
マザーズハローワーク・マザーズコーナー - 厚生労働省

激甚災害

読み方:げきじんさいがい

人々の生活に極めて甚大な被害をもたらした地震や台風などの災害。

とりわけ被災者に対して特別な援助が必要とされる災害が発生した場合に、その災害が激甚災害として指定される。激甚災害に指定された場合、国や地方自治体がその被害に合わせて補助を行うことが多い。激甚災害の指定は、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」に基づいて行われる。

2013年6月から8月にかけて中国地方や東北地方などで生じた豪雨被害を激甚災害に指定することを決定した。政府は8月15日に、同災害によって被害を受けた農地やその関連施設などの復興の補助を強化することを閣議決定した。

関連サイト:
過去5年の激甚災害の指定状況一覧 - 内閣府
激甚災害制度について - 内閣府

ハイパーループ

英語:hyperloop

アメリカ人のイーロン・マスク氏が考案した超高速移動列車、あるいは新交通システムの名称。

ハイパーループはロサンゼルスとサンフランシスコ間を結ぶ高速道路にチューブを設置し、その中をカプセル型の車両が走行する。ハイパーループが完成すれば、ロサンゼルス-サンフランシスコ間を約30分で結ぶと試算されている。

2013年8月13日のCNNの記事によると、ハイパーループは空気圧でカプセルを運ぶ気送管の原理で動くとされている。またハイパーループに必要な電力は全てソーラーパネルで賄うとされており、省エネの観点からも注目されている。

関連サイト:
超高速「ハイパーループ」計画、ロスからサンフランシスコまでわずか30分 - CNN.co.jp

キッチンキャビネット

英語:Kitchen Cabinet

アメリカ合衆国第7代大統領アンドリュー・ジャクソン政権下において、政策を議論するために結成された非公式の組織。

キッチンキャビネットは、非公式組織のメンバーがホワイトハウスの裏口を利用して出入りしたことに由来するとされる説が有力である。

当時のメンバーはエイモス・ケンドールやダフ・グリーンをはじめとするジャクソン大統領と親しいとされる有識者が占めた。

分裂政府

読み方:ぶんれつせいふ
英語:Divided government

主にアメリカ合衆国の統治形態を指して用いる語。ある一つの党が大統領職を務め、それ以外の党が連邦議会の上院と下院の両方、またはそのどちらかにおいて過半数を占め、議会を運営している状態を指して用いる語である。

分裂政府はその国家における政治的な権力の集中を回避することが目的の一つとされている。他方、分裂政府によって各政策決定が停滞するという批判もある。特に政党間において政策やイデオロギーの相違がある場合には立法府と行政府の対立を招くという意見もある。

ワイルドカード

英語:wild card

主にスポーツ競技において、他の選手とは違ったプロセスで大会に出場できる権利、またその対象者。各競技によってワイルドカードの意味する内容は異なる場合が多い。

米大リーグでは、追加で与えられるプレーオフ出場権をワイルドカードと呼ぶ。同様に米アメリカンフットボールリーグでも、プレーオフ出場権の追加枠を指してワイルドカードと呼ぶ。

大会側から選手やチームに与える推薦枠をワイルドカードと呼ぶこともあるほか、陸上競技などでは、前回大会覇者が特別枠として迎えられることもある。2013年モスクワで行われた世界陸上では、男子ハンマー投げの室伏広治が前回覇者として、ワイルドカードを得て出場した。