新語時事用語辞典とは?

2013年8月28日水曜日

内国民待遇

読み方:ないこくみんたいぐう
別名:内国民待遇原則
英語:National Treatment

ある国家が自国の国民や企業などに与える待遇と同じ待遇を外国の企業や個人などにも認めること。具体的には、自由貿易体制下において、外国から輸入される産品などに国内のものと同じ待遇を与えることを指す場合が多い。

内国民待遇はWTO協定の基本原則の一つであり、自由貿易をより円滑にし、外国産品が不当な不利益を被らないようにする効果が期待されている。またWTO協定以外にも、知財の貿易の側面に関する協定であるTRIPS協定などにも、自国の各アクターや商品に与えられる待遇と同じ待遇を諸外国にも与える内国民待遇の考えが盛り込まれている。

輸入品に対しては関税がかけられることが一般的だが、内国民待遇では関税以外の隠された貿易障壁を撤廃することが期待されている。

ワシントン大行進

読み方:ワシントンだいこうしん
英語:The Great March on Washington

1963年8月28日、アメリカ合衆国の首都ワシントンDCで人種差別の撤廃を訴えるために行われたデモ。

1950年代に起きたローザ・パークスのバスボイコット事件などを契機にして、黒人の参政権などを求める公民権運動が活発化した。しかし1960年代には依然として、人種によってレストランの席やトイレ、あるいは教育機関などが分けられることもあった。

人種による差別を撤廃し、かつ有色人種の公民権を求める運動の一つとしてワシントン大行進が行われた。現在でも広く知られるマーティン・ルーサー・キング(キング牧師)の「I Have a Dream」というスピーチが行われたのもこのときである。

国際原子力事象評価尺度

読み方:こくさいげんしりょくじこひょうかしゃくど
別名:国際原子力事故評価尺度
別名:INES
英語:International Nuclear Event Scale

主に原子力関連の事故や施設の故障などの評価行うもの。レベル0から7まで表され、数字が高くなるほど、事態が深刻であることを示す。

国際原子力事象評価尺度は1992年に正式に国際的に導入された。レベル1から3までが異常事象で、レベル4から7までが事故とみなされる。最高レベルのレベル7は、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故と2011年の福島第一原発事故の2件である。

国際原子力事象評価尺度の各レベルの基準は主に事業所外と事業所内への影響に分けられ、それぞれ放射性物質の外部放出量、原子力関連施設の損傷の度合などによって評価される。

シリア内戦

読み方:シリアないせん
別名:シリア騒乱

2011年3月頃から続く、シリア国内における政府と反体制派の間における一連の衝突。騒乱と表現するメディアもある。

2010年から2011年にかけて、北アフリカや中東を中心に民主化運動が拡大し、チュニジアのベンアリ政権、リビアのカダフィ政権などの長期に渡った独裁政権が崩壊した。

北アフリカや中東のアラブ諸国を中心に生じた「アラブの春」の影響を受けて、シリア内部でもアサド大統領をはじめとする現体制側への反発が高まった。アサド大統領は実父を継いで、2000年に大統領に就任し、独裁体制を維持してきた。

シリアでは2011年3月頃から市民による反政府デモが勃発し、日に日にエスカレートしている一方で、アサド政権側もこれに応じて、市民を容赦なく銃撃したり、離反兵を空爆したりと、徹底的に弾圧する構えを取っている。

2013年7月25日には、国連の潘基文事務総長がシリア内戦の犠牲者が10万人を超えたことを発表した。2012年当時シリアで取材を行っていた日本人ジャーナリストの山本美香も取材中に射撃され、内戦の犠牲になっている。また、150万人以上が他国へと逃げ、難民となっているとされる。

2013年8月には、シリア内戦で化学兵器が使用された疑いがあると発表された。西側諸国などは、アサド政権側が化学兵器を使用したとする一方で、シリア政府は、化学兵器を使用したのは反体制派だと主張した。化学兵器の調査に国連の調査団が送り込まれたが、何者かに銃撃され、調査活動が停滞した。

米国は、大量破壊兵器である化学兵器の使用について「超えてはならない一線」と表現しており、2013年8月28日現在、米国などが主導する軍事介入の姿勢が強まっている。

関連サイト:
シリア内戦の犠牲者10万人超す 国連事務総長 - CNN
シリア内戦 反体制派「毒ガス攻撃、1300人以上死亡」 政権側は否定 - MSN産経ニュース

敵基地攻撃能力

読み方:てききちこうげきのうりょく

敵国や組織の基地や拠点などを直接攻撃する能力、及びその軍備。敵基地攻撃能力には、主に敵の基地などに設置されている軍事関連の施設を攻撃することなどが含まれる。

日本国憲法第9条では戦争の放棄などが定められている。したがって2013年8月現在、原則として日本が他国を先制攻撃することはできないとされている。

2012年12月の安倍政権発足後、憲法改正や集団的自衛権の見直しを進める政府は、敵基地攻撃能力の保有にも意欲を見せている。その背景には、北朝鮮の核開発やミサイル発射によって緊張状態が続く東アジアの安全保障を日米で強化していくことなどがあるとされる。

敵基地攻撃能力の保有について、自国の領域が他国によって攻撃を受けた場合に、防衛力で敵を撃退する専守防衛の考えに反するといった批判もある。


関連サイト:
敵基地攻撃力、日米で協議=小野寺防衛相が会談 - 時事通信

民間人校長

読み方:みんかんじんこうちょう

公立および国立の小中学校、あるいは高校などの校長のうち、教師をはじめとする教育関係の職歴がない校長。民間人校長は、過去に企業人であった場合が多いとされている。

2000年の学校教育法施行規則の改正によって、教職免許を有さない者も民間人校長になることができるようになった。企業をはじめとする民間での経験を活かし、学校組織の活性化や斬新な学校運営などが期待されている。

他方で、学校組織における運営は民間企業と異なる側面も多く、民間人校長は教育の場に適応することが容易ではない場合もある。

26業務

派遣労働のうち、派遣期間に制限のない業務。合計で26の業務がある。

26業務は労働者派遣法によってその内容が規定されている。主に、財務、文書作成、ファイリング、機械操作などが26業務に含まれる。特に業務を行うために専門的な知識や経験が必要である業種が多い。

2013年8月21日の日本経済新聞の記事によると、政府は労働者派遣制度の見直しを進めており、専門26業務の区分けを撤廃することを検討している。

関連サイト:
政令で定める26業務 - 厚生労働省
派遣継続、選択に幅 厚労省改革案 - 日本経済新聞

公共クラウド

読み方:こうきょうクラウド
別名:自治体クラウド

政府や各自治体が所持するデータをクラウドに集積して、それぞれに関係する住民などがそれらの情報を共有し、必要に応じて使用するシステム。

例えば、災害時における避難場所などの情報や各地の観光情報などをクラウドに保管し、民間に開放することなどが2013年8月現在、主に総務省を中心に議論されている。

公共クラウドの導入によって、行政運営コストの削減や行政サービスの拡張、あるいは緊急事態への対応の高度化などが期待されている。

関連サイト:
自治体クラウドポータルサイト - 総務省

無医村

読み方:むいそん

常勤の医師がいない村。

無医村におおむね共通する特徴は、僻地であって人口の少ない過疎地であるという点である。地理的要因などにより、常勤の開業医がいても満足に医療を受けられるのは一部の住民のみで、他の多くの住民にとって医師不在に等しい状況となっている場合も、無医村の問題に含めて扱われる。

無医村は、長年その地域で診療所を営んできた医師が高齢化によって退職したが、後任が見つからない、といった事情により発生する。後任の医師が見つかった場合でも、地域住民がほかの地域からやってきた(ヨソ者である)医師を受容せず、排他的に扱ったり、ムラ社会の権力関係や理不尽なしきたり・因習の遵奉を強いたりした結果、医師の医療従事者としての志を失わせてしまうケースもあると言われている。

山形県酒田市の離島・飛島は、2012年春に医師が引退してから2013年8月に後任医師が見つかるまで無医村だった。また、秋田県上小阿仁村は2010年前後の数年で数名の医師が立て続けに就任後まもなく辞めており、断続的に無医村になるという状況になったことで知られるようになった。

コピノ

英語:Kopino

韓国人とフィリピン人との間に望まれずに生まれた子供の通称。多くは韓国人男性の留学生や観光客とフィリピン人の現地女性との間に生まれた子。ライダイハンと共に問題視されることが多い。

フィリピンは英語を公用語としており、地理的にも韓国にほど近い。そのため、韓国では英語習得のための留学・滞在先としてフィリピンに人気がある。滞在先で韓国人男性がネイティブの英語話者でもある現地女性と接触し、交流関係を持ち、性的な関係に至り、その末に妊娠させるケースがままあるという。フィリピンでは堕胎が違法であり、宗教的にもタブー視されている。しかも男の側は子を認知しようとしないことが多く、結果として片親の子が生まれる。

ほとんどの場合、コピノは満足に養育できない環境で育てざるをえない。コピノの存在は正確には把握されていないが、フィリピン全体で1万人いるとも2万人ほどいるとも言われている。

関連サイト:
結婚を避ける韓国社会 - 中央日報日本語版 2013年6月27日