新語時事用語辞典とは?

2013年11月18日月曜日

段波

読み方:だんぱ
別名:ボア
英語:bore

水位の高さが異なる非連続の段のような差が生じ、段の低い側へなだれ込むようにして水が押し寄せる現象。水面の段差により生じる波。

段波が海洋上で大規模に発生した場合、大量の海水が移動して陸地に溢れる事態を招くことがある。この場合、現象としては「津波」によく似る。段波は単に波形を示す語であり、津波は海底面の変動により生じた大規模な波を指す語であって、対象は重複し得るが必ずしも一致しない。

段波は潮汐、気象現象、地形などの要因による発生することがある。河川において水門が決壊した場合、水面の高さに差があれば段波が発生する。 アマゾン川で発生する流水の遡上現象「ポロロッカ」は、潮汐に起因する段波である。

2013年11月にフィリピンに大規模な台風が上陸し、レイテ島の沿岸部などに壊滅的といえる被害をもたらした。11月18日のNHKの報道によれば、レイテ島の沿岸部の海域では、台風の強烈な風と台風通過直後の吹き返しの風によって段波が発生し、津波のようになって沿岸部を襲った可能性があるという。

関連サイト:
フィリピン 「段波」で被害拡大か - NHKニュース 2013年11月18日

太陽極域磁場の反転

読み方:たいようきょくいきじばのはんてん
別名:太陽極域磁場反転
別名:太陽の磁極反転

太陽の北極と南極において、極域磁場の反転(ポールシフト)が起こる現象。約11年周期で、太陽活動の極大期に伴って生じるとされている。極域磁場の反転は、地球など他の天体でも起こっている現象だが、地球の反転周期は数万年から数十万年だといわれており、太陽ほど頻繁に起こる現象ではない。

太陽極域磁場の反転が起こると、太陽圏電流シートと呼ばれる電流が発生し、宇宙線の地球への侵入量に変化が生じるとされている。宇宙線量の変化は、宇宙飛行士や宇宙探査機の活動に影響を及ぼしたり、地球の気候に影響を及ぼすことが知られている。

北極と南極における磁場反転は、必ずしも同時に起こるとは限らない。例えば、2012年から2013年11月現在にかけて、太陽の北極でS極からN極への磁場反転が進行している様子が観測されたが、南極の磁場はN極のままほとんど動きが見られていない。このような太陽磁場の状態は異常だといわれており、N極とS極がそれぞれ2つずつ存在する「4重極磁場」の状態になっているともいわれる。メディアなどでは、この状態と地球寒冷化を結びつける説が取り上げられることもあるが、因果関係はまだ明らかになっておらず、専門家の多くは継続的な観測が必要だとしている。

地球寒冷化

読み方:ちきゅうかんれいか
英語:global cooling

地球の平均気温が長期的に低下すること。地球は長い歴史の中で、寒冷化と温暖化を幾度も繰り返してきたが、一般的に「地球寒冷化」という語や「地球寒冷化説」が言及するのは、20世紀後半から2013年現在にかけて、今まさに起こっているとされる「寒冷化」である。しかし、地球の大気や海水温に関連する多くの研究の成果をまとめると、「現在地球寒冷化が起こっている」という主張は根拠に乏しいといわれている。また、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめた「第4次評価報告書」には、「温暖化には疑う余地がない」と記されており、地球寒冷化説は完全に否定されている。

地球は寒冷な氷河期(氷期)と温暖な間氷期を周期的に繰り返してきたが、約1万年前に終了した最終氷期以後、2013年現在に至るまで間氷期にあるといわれている。現在、地球寒冷化が起こっているという「地球寒冷化説」の多くは、地球が氷期に突入しつつある、あるいは間もなく氷期が始まると主張する説である。

地球寒冷化を引き起こす具体的な原因としては、太陽活動の低下が挙げられることが多い。2012年には、日本の国立天文台とNASAの研究グループが太陽活動が低下傾向にあることを発表したが、それが地球寒冷化に及ぼす影響は不明だとしている。そのほか、太平洋の海水温が数十年周期で変動を起こす「太平洋十年規模振動(PDO)」が寒冷化の原因として挙げられることがある。しかし、それらの要因と比較しても、人為的要因が温暖化の方向にもたらす影響の方が遥かに大きいという説が定説となっている。

1970年代には地球寒冷化説が盛んに唱えられ、地球が間もなく氷河期に入るという説が、新聞や一般向け書籍などによって取り上げられ、広く認知された。しかし、1970年代当時も、査読つき学術論文の多くは、むしろ人為的要因による温暖化を指摘していたとされる。2013年現在には、かつて唱えられた地球寒冷化を支持する諸説は誤りであるという見方が大勢を占めている。しかし、「地球寒冷化説」はなおも、地球温暖化に対する懐疑論として引き合いに出されることがある。

ムスリム街

読み方:ムスリムがい
別名:イスラム街
別名:アラブ人街
別名:アラブ街
英語:Muslim town

イスラム教徒(ムスリム)が多く暮らしている地区のこと。シンガポール、タイのバンコク、スペインのグラナダ、イギリスのロンドン、フランスのパリなど、世界各地の都市に見られる。イスラム街には、ハラールの食事を提供しているレストラン、イスラム教徒向けの生活用品を扱う店、モスク(礼拝堂)などが立ち並んでいる。

マレーシアのクアラルンプールには、元々ムスリム街と呼べる規模の地区は存在しなかったが、観光当局がアラビア語を話せる学生を斡旋したり、アラブ諸国との航空便を増やしたりするなど、イスラム教徒の観光客誘致を推進した結果、2000年代後半には「アインアラビア(アラブ広場)」を中心としたムスリム街が生まれている。

日本には2013年11月現在、ムスリム街と呼ばれる地区は見られないが、近年のインドネシアやマレーシアなどからのイスラム教徒観光客の増加に伴い、礼拝や食事などの面でイスラム教徒の便宜を図ろうとする動きは見られる。2013年11月には、千葉市の熊谷俊人市長が、2020年の東京オリンピック開催を見越して、「横浜の中華街に匹敵する」規模のムスリム街を千葉に設け、イスラム教徒の観光客を積極的に誘致するという構想を明らかにした。この構想に対しては、イスラム教徒に関連する各国の移民問題や、イスラム教徒に対するテロのイメージなどを理由として、反発の声も多かった。

COP19

読み方:コップナインティーン
別名:国連気候変動枠組条約第19回締約国会議
別名:2013年国連気候変動ワルシャワ会議

気候変動枠組条約の第19回締約国会議。2013年11月11日から22日の日程で、ポーランドのワルシャワで開催された。COP19と同時に、京都議定書の締約国会議である「MOP9」や、3つの補助機関の会合も開催された。

COP19の主目的の一つは、2015年の策定、2020年の発効が予定されている、新たな国際枠組みへの合意に向けての交渉を進めることである。また、各国の温室効果ガス削減目標と、地球の平均気温上昇を2℃未満に減らすために必要とされる温室効果ガスの削減量に大きな開きがあり、その差は80億から120億トンともいわれることから、差を埋めるための各国の削減目標の底上げも大きな課題とされている。

COP19で日本は、温室効果ガスを「2020年までに2005年のレベルから3.8%削減する」という目標を掲げたが、この目標は1990年比では3.1%増となる。この目標は、民主党の鳩山由紀夫政権が2009年に掲げた「1990年比での25%削減」と比較して大幅な後退と捉えられており、国連気候変動枠組み条約事務局のクリスティアナ・フィゲレス局長やEU代表団などが日本の決定を批判する声明を発表している。日本代表団はこの目標について、東日本大震災による影響などを踏まえた現実的な目標だと述べている。

COP19では、平成25年台風第30号によって大きな被害を受けたフィリピンのナデレフ・サニョ代表が、異例の17分に及ぶ演説を行い、諸外国に支援を呼びかけるとともに、断食を宣言した出来事も話題となった。

加重逃走罪

読み方:かじゅうとうそうざい
別名:加重逃走

刑法第98条で定められている罪。刑法第97条に定められる逃走罪(単純逃走罪)よりも重い罪として定められており、単純逃走罪とは主体、実行行為、法定刑のそれぞれが異なっている。

加重逃走罪の主体としては、単純逃走罪の主体である「裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者」に加え、「勾引状の執行を受けた者」も挙げられている。また、加重逃走罪の対象となる実行行為、すなわち逃走の際の手段としては、「拘束のための器具」の「損壊」、「暴行」または「脅迫」、「通謀」の3つの手段が条文中に挙げられており、それらに該当しない場合には単純逃走罪となる。加重逃走罪が認められた場合、「3月以上5年以下の懲役」に処せられるが、単純逃走罪が「1年以下の懲役」であるのと比べ、より悪質性が認められるとの見地から、刑が重くなっている。

実際に逃走が行われなかった場合でも、それを目的として拘束具や拘禁場の壁などを損壊した場合に、「実行の着手」と見なされて加重逃走未遂に問われた例がある。また、条文中の「通謀」の相手は、同じく被拘禁者であり、同時に逃走に着手した者という条件がある。例えば、面会相手に逃走の援助を頼んだ場合や、逃走に着手しなかった被拘禁者に逃走を援助された場合などには、逃走した者には加重逃走罪は成立しない。