新語時事用語辞典とは?

2013年11月21日木曜日

インジェクションビーフ

別名:インジェクション肉
別名:インジェクション牛肉
別名:牛脂注入肉
別名:脂肪注入加工肉
別名:脂肪注入成形肉
別名:霜降り加工肉
別名:注入加工肉
英語:injection beef

牛の赤肉に牛脂あるいは軟化剤などの添加物を注入することで霜降り肉のような旨味・食感を再現した肉の通称。成型肉の一種。

食肉で筋繊維の間に脂肪が細かく入り込んでいる肉は「霜降り肉」と呼ばれている。特に牛肉においては、霜降り肉は上質で美味とされ、珍重される。したがって通常の赤身に比べて高級な食材となる。インジェクションビーフは、通常の赤肉に人工的に脂肪を注入して霜降り肉のようにしたものであり、より安価に霜降り肉の味わいを提供できる食肉加工手段となっている。

インジェクションビーフを製造する際、肉に油脂注入を行うなどの過程で、肉内部に雑菌が入り込むおそれがある。ただし、他の食材に比べて際立って食中毒の危険が高いというわけではない。軟化剤として用いられる添加物には、アレルギー物質が含まれる場合がある。また、実際にはインジェクションビーフでありながら天然の霜降り肉であるかのように偽装して販売流通させていたことが発覚して騒動に発展することがある。

セックスツーリズム

別名:買春ツアー
別名:売春ツアー
英語:sex tourism

買春を主な目的とした観光旅行のこと。セックスツーリズムは、全世界で数十億ドル規模の産業だともいわれている。

一般的に、成人の観光者が旅行先で、成人の売春婦を対象として合法的な買春を行うことは問題視されない。セックスツーリズムが問題視されるのは、買春の対象が未成年であった場合や、性的虐待や人身売買が関係する場合などである。特に、未成年の児童を対象としたセックスツーリズムは、「児童セックスツーリズム(CST)」として分けられることもある。

セックスツーリズムを行う観光客(セックスツーリスト)の多くは先進国の男性であり、セックスツーリズムの目的地となるのは主に、本国よりも安い金額で買春を行うことができる場所である。そのような場所は往々にして貧困地域であり、特にタイ、カンボジア、メキシコ、ブラジルなどの発展途上国が、セックスツーリズムが盛んな国として挙げられることが多い。

なお、女性観光客によって行われる「女性セックスツーリズム」という概念も存在するが、これは男性のセックスツーリズムとは性質が異なる場合もあるといわれている。特にジャマイカなどでは、「ロマンスツーリズム」と呼ばれる、本国では体験できない「ロマンス」を主目的としたセックスツーリズムが行われているという。

キャスク

英語:cask

原子力発電において、原子炉から取り出された使用済み核燃料を収納し、輸送するための容器。使用済み核燃料は初めに核燃料プールに移され、最低1年間の貯蔵を経て、ある程度温度が低下したのちにキャスクに移される。使用済み核燃料が原子力発電所から使用済燃料中間貯蔵施設や再処理工場などに輸送される際には、キャスクに収納された状態で輸送される。

キャスクは金属製の樽のような形状をしており、上部に密閉可能な二重の蓋が設けられている。キャスクは内部の使用済み核燃料を漏洩させないとともに、使用済み核燃料から放出される放射線を遮蔽するように設計されている。また、キャスクには、内部で発生する熱を適切に外に逃がし、臨界が起こることを防ぐ機能も求められる。キャスクの構造の規格としては、日本機械学会が作成した「使用済燃料貯蔵施設規格金属キャスク構造規格」が用いられている。

キャスクは内部に水が充填されている「湿式キャスク」と、水が充填されていない「乾式キャスク」に分類され、国内では湿式のものがより一般的である。なお、キャスクにはコンクリート製のものもあり、米国やカナダなどでは運用されているが、日本では2007年に設計および検査基準が定められたものの、実用には供されていない。

キャスクは落下、加熱、浸漬などの試験に合格したもののみが用いられるが、2013年11月現在、福島第一原子力発電所の4号機で行われることが予定されている使用済み核燃料の取り出し作業では、32メートルの高さからキャスクが落下するおそれがあるとされており、その高さでの落下試験の実績がないことが懸念されている。

靖国コンプレックス

読み方:やすくにコンプレックス
別名:야스쿠니 콤플렉스

2013年11月に、韓国の民間組織であり、「サイバー外交使節団」を名乗る「VANK」が、動画投稿サイト「YouTube」で公開した動画のタイトル。

「靖国コンプレックス」動画の主な内容は、靖国神社参拝を行う日本の「極右勢力」に対する批判と、参拝の不当性の解説である。VANKが主張するところの「極右勢力」には現職の首相である安倍晋三も含まれていることから、この動画は事実上、日本政府を批判する動画と見なされている。動画の中では、靖国神社にA級戦犯が合祀されていることを問題点として挙げた上で、「靖国コンプレックス」という言葉が示され、その意味について、「日本の極右勢力が過去の侵略と栄光の歴史に取り憑かれたことで生じた、靖国参拝に執着する歪んだ精神性」といった主旨の内容が述べられている。

VANKのパク・キテ団長は、「靖国コンプレックス」動画を公開した理由について、2013年10月に日本外務省が竹島の領有の正当性を解説する「竹島に関する動画」を「YouTube」で公開したことへの対抗措置だと述べている。「竹島に関する動画」が「みなさん、竹島をご存知ですか?」という問いかけで始まっているのに対して、「靖国コンプレックス」動画は「みなさん、靖国神社について聞いたことがありますか?」という類似した問いかけで始まっている。

なお、「靖国コンプレックス」という語は、2013年8月に中央日報に掲載されたコラム、「安倍政権の「靖国コンプレックス」」の筆者、チョン・オクヒョン教授によって用いられている。

関連サイト:
야스쿠니 콤플렉스 - YouTube
【コラム】安倍政権の「靖国コンプレックス」 - 中央日報

安重根

読み方:アンジュングン
別名:안중근
英語:An Jung-geun

1879年生まれの、韓国の民族主義者。1909年10月26日に中国のハルビン駅において、日本の初代首相であり、初代韓国統監を務めた伊藤博文を暗殺したことで知られる。

安重根は、伊藤博文を暗殺した理由として、伊藤博文に「15の罪」があるとし、「乙未事変の主導」や「第二次日韓協約の締結」などを挙げた。安重根は伊藤博文殺害後、すぐに官憲に捕らえられ、旅順の刑務所に移送されたのち、1910年3月26日に死刑が執行された。安重根は獄中で「東洋平和論」を著したが、未完に終わっている。

韓国では安重根は「義士」と呼ばれ、国民的英雄として讃えられている。安重根の思想や「偉業」をテーマとした記念館の設立、安重根の名に因んだ潜水艦の建造、安重根の肖像画を採用した200ウォン切手の製造など、2013年現在に至るまで、様々な場面で取り上げられ、民族意識の高揚に用いられている。また、安重根が洗礼を受けたカトリック信者であったことから、カトリックの教義で殺人が禁止されているにもかかわらず、韓国国内のカトリック教会が安重根を「聖人」に準じる「福者」に列福しようとした出来事もあった。韓国政府は2013年11月現在、殺害現場のハルビン駅に安重根の石碑を建立する運動を進めている。

安重根に対する評価は、国によって大きく異なっている。日本においては、安重根は政府要人を暗殺したテロリストであるという認識がされており、政府も安を「犯罪者」と表現している。伊藤博文が日韓併合に対して慎重論をとっていたことから、安重根による暗殺が逆に併合の動きを促進したと捉えられることも少なくない。一方、中国では韓国と同様に、安重根を抗日民族運動の英雄として扱う向きがあり、中国政府は2013年11月現在、韓国の石碑建立運動に協力的な構えを見せている。しかし、中国政府は日本や国内反日勢力への配慮もあり、安重根を積極的に礼賛しているわけではなく、過去にはハルビンに建設された安重根の銅像を撤去したこともある。

イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織

読み方:イスラムマグレブしょこくのアルカイダそしき
別名:AQIM
別名:イスラーム・マグレブ諸国のアルカイダ組織
別名:イスラム・マグリブ諸国のアルカイダ組織
別名:イスラーム・マグリブ諸国のアルカイダ組織
別名:イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ
別名:イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ機構
英語:Al-Qaeda in the Islamic Maghreb

アルジェリアに拠点を置くイスラム主義の軍事組織。アルジェリア政府の打倒を主な目的とし、アルジェリア政府や軍に対するテロ攻撃や、身代金目的での外国人の誘拐などを行っており、一般的にテロ組織と見なされている。2006年まで「説教と戦闘の為のサラフィー主義者集団(GSPC)」と名乗っていたが、2007年に「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」に改称し、国際テロ組織「アルカイダ」の一員を自称するようになった。

イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織は、アルジェリアを中心とした北アフリカのマグレブ諸国周辺に拠点を有し、構成員の多くはアルジェリア人だとされる。近年は南方のサハラ地域、サヘル地域にまで勢力を伸ばしている。2013年11月現在、最高指導者はアブ・ムサブ・アブデルワドゥード(アブデルマレク・ドルークデル)である。アブデルワドゥードは2007年に国連安全保障理事会の制裁対象に含められており、2012年にはアルジェリア法廷により、大量虐殺やテロ行為などの罪で死刑の判決を受けている。

イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織は近年、傘下の「西アフリカ統一聖戦運動(MUJAO)」とともに、マリ政府の支配力が不十分なマリ北部(アザワド)での勢力を強化する傾向が見られる。また、2013年1月にアルジェリア人質拘束事件を起こした「イスラム聖戦士血盟団」は、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織の元幹部が指導者であり、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織が分派した組織だと見られている。

2013年11月現在までに、アルジェリア軍をはじめ、フランス軍、マリ軍、チャド軍などがイスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織に対する掃討作戦を行っている。2013年3月にイスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織は、最高幹部の一人、アブデルハミド・アブゼイドがフランス軍およびチャド軍との戦闘によって殺害されたことを認めた。

関連サイト:
国際テロリズム要覧 (要約版) - 公安調査庁