新語時事用語辞典とは?

2013年12月6日金曜日

天体ヒミコ

読み方:てんたいヒミコ
別名:ヒミコ
別名:巨大天体ヒミコ
別名:巨大ガス天体・ヒミコ

地球から約129億光年ほど彼方の深宇宙にある巨大天体。2009年に米国カーネギー研究所の大内正己らの研究グループにより発見された。

天体ヒミコの発見当初、その正体はまるきり不明だった。命名にあたり、同様に謎に包まれている古代日本の伝説的女王・卑弥呼に因んで「ヒミコ」(Himiko)と名付けられた。2013年現在、天体ヒミコは原始銀河ではないかと見られている。

天体ヒミコはくじら座の方向にある。現在の技術で観測可能な天体の中でも最も遠い場所にある天体の一つである。距離から見て、地球で観測されたヒミコはビッグバンによって宇宙が誕生してからおよそ8億年ほど経過した頃の姿であることになる。現在の宇宙はビッグバンから138億年ほど経過しているという計算上、天体ヒミコはきわめて若い天体である。

従来の通説では、天体は若ければ若いほど小さい。しかしながら天体ヒミコは、極めて若い天体であるにもかかわらず、天の川銀河の半径程度の大きな広がりを持ち、太陽の数百億倍程度の質量を持つなど、通説を覆す特徴を持っていた。

2013年、東大宇宙線研究所などの研究グループは、ヒミコの内部構造を解明し、ヒミコがごく近傍に存在する3つの星団からなる天体だとする研究成果を発表した。ヒミコの大きさや質量、全体を包む巨大な水素ガス雲などの謎はこれによって明らかになり、ヒミコが盛んにエネルギーを放つ明るい天体であることも、3つの星団が衝突しつつあることから説明できるという。

2013年の研究では、ヒミコの内部で星が盛んに形成されていることが確認されたものの、「爆発的星生成銀河(スターバースト銀河)」に特徴的な電波は検出されなかった。このことから、ヒミコが銀河形成のごく初期の段階にあることが示唆され、銀河の生成過程の解明に繋がることが期待されている。

関連サイト:
An Intensely Star-Forming Galaxy at z~7 with Low Dust and Metal Content Revealed by Deep ALMA and HST Observations - The Astrophysical Journal
アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で迫る宇宙初期の巨大天体ヒミコ - 自然科学研究機構 国立天文台

虎網漁船

読み方:とらあみぎょせん

「虎網」と呼ばれる特殊な形状の大型の漁網を用いて漁を行う漁船の俗称。特に、東シナ海で虎網を使ってサバやアジなどを漁獲している中国籍の漁船を指す。

虎網漁船は、高出力の集魚灯を用いて魚を一箇所に集め、巨大な網で魚群を包囲して一気に捕獲するという形で行われる。大量の魚を、短時間で、少人数で捕獲できる、という点でたいへん効率的な漁法といえるが、網目が細かく稚魚も網にかかる、また網にかかった稚魚も逃さず漁獲してしまうなどの行為が目立ち、生態系への打撃が懸念されている。実際に虎網漁船の操業が確認されている海域では、虎網漁船の出没が確認された時期あたりから対象魚種の漁獲量が急速に減少しつつあるという。

なお、虎網漁船が使用する高出力の集魚灯も、日本では使用が規制されているほどのものである。

中国の虎網漁船は、日本の排他的経済水域(EEZ)に侵入して操業していることもあり、しばしば問題を引き起こしている。水産庁は、2012年には約280隻のが虎網漁船が確認されたと発表している。水産庁は東シナ海に毎日漁業取締船を出動させ、虎網漁船の監視を行っている。

関連サイト:
中国虎網漁船の拿捕について - 水産庁 2013年2月22日

統合型リゾート

読み方:とうごうがたリゾート
別名:統合リゾート
別名:統合型リゾート施設
別名:複合型リゾート
別名:複合リゾート
別名:特定複合観光施設
英語:Integrated resort

ホテルやテーマパーク、水族館、カジノといった多種多様な観光施設・娯楽施設を集約したリゾート施設。とりわけ、カジノを含んでいることが念頭に置かれている場合が多い。

カジノを併設する統合型リゾートの典型例もしくは成功例として、シンガポールで2010年に開業した「リゾート・ワールド・セントーサ」(Resorts World Sentosa)と「マリーナベイ・サンズ」(Marina Bay Sands)を挙げることができる。両施設はいずれも米国ラスベガスに匹敵する規模のカジノが併設されており、カジノ目的で近隣諸国からやってくる観光客を多く呼び込んでいると言われている。リゾート施設全体として成功を収めているだけでなく、国の経済にも寄与貢献していると評されることが多い。

シンガポールでも日本でも、統合型リゾートの推進は、「カジノ誘致」の反対派への対抗という意味合いが強かった。日本におけるカジノ誘致の構想は1999年に遡り、当時の東京都知事であった石原慎太郎知事がお台場にカジノを設置する「カジノ構想」を打ち立てたのを皮切りとして、全国各地の地方自治体がカジノ導入を検討し、経済効果の試算などを行ってきた。しかし、2013年現在、東京都をはじめ、日本各地のカジノ構想はいずれも具体化に至っていない。その大きな理由として、カジノに対する「賭博」のマイナスイメージが根強く、誘致に伴う地元の治安悪化が懸念されていることが挙げられる。統合型リゾートの誘致にあたっては、カジノ単体にとどまらずに大規模なリゾート開発を行うことで、カジノのマイナスイメージの払拭が目指されている。

2013年12月現在、安倍晋三首相はカジノの合法化に積極的な構えを見せており、政府の観光立国推進閣僚会議では、カジノについては明言を避けながら、「特定複合観光施設」の名称のもとで統合型リゾート推進法案の制定が検討されている。大阪府、東京都、沖縄県などでも、既存のカジノ誘致計画を統合型リゾートの誘致計画に修正する形で、盛んに検討が進められている。

関連サイト:
「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」をとりまとめました - 観光庁
カジノを含めた統合型リゾート(IR)の立地 - 大阪府

中国撤退支援ビジネス

読み方:ちゅうごくてったいしえんビジネス
別名:中国撤退ビジネス

中国からの事業の撤退を検討している企業を支援するビジネスのこと。

反日デモや不買運動を含む「チャイナリスク」の高まりや、中国自体の経済状況の悪化、人件費の高騰などを理由として、近年は日本企業が中国での事業を縮小、撤退する傾向が強い。

中国からの事業の撤退は、審査認可機関の許可を得る必要があるなど、一般的に手続きが設立時よりも複雑であり、必ずしも容易ではない。特に、独資ではなく合弁会社を設立する形で進出した企業は、企業内部での合意形成や利害調整なども必要になることから、撤退がより困難になる例が多い。また、撤退に伴って現地従業員を解雇したり、現地企業との提携を解消したりする際に、中国側の「面子」が保てずにトラブルが生じたり、不利な条件で撤退せざるを得なくなったりするおそれもある。資産の整理も、中国の司法制度の曖昧さ、特殊性もあいまって、円滑に行うことができる例は少ないという。

中国撤退支援を行う企業は、特に中小企業を対象として、撤退計画の立案、リスクの調査、資産整理などの支援を行っている。企業によっては、助言にとどまらず、撤退業務の一部を請負う例もある。なお、中国撤退支援ビジネスを行うコンサルティング会社は、クライアントの事業内容によっては必ずしも撤退を勧めず、事業の改善によって中国での活路を見い出すように助言を行うことも少なくないという。

ウォン高

読み方:ウォンだか

韓国の通貨であるウォンの価値が、外貨に対して上がっている状態。為替市場において他国の通貨が売られ、ウォンが買われていることを表している。

ウォン高の要因としては、韓国の輸出産業が好調であることや、韓国の金利が他国よりも高いこと、韓国の政治や経済が安定していることなどが挙げられる。

ウォンは韓国の中央銀行である韓国銀行が発行している。韓国銀行では、ウォン高傾向が続くと、デフレ(デフレーション)を抑止するためにウォン売り介入(為替介入)することがある。

関連サイト:
韓国銀行 - (英語)

ウォン安

読み方:ウォンやす

韓国の通貨であるウォンの価値が、外貨に対して下がっている状態。為替市場において他国の通貨が買われ、ウォンが売られていることを表している。

ウォン安の要因としては、韓国の輸出産業が不調であることや、韓国の金利が他国よりも安いこと、韓国の政治や経済が不安定であることなどが挙げられる。

ウォンは韓国の中央銀行である韓国銀行が発行している。韓国銀行では、ウォン安傾向が続くと、インフレ(インフレーション)を抑止するためにウォン買い介入(為替介入)することがある。

関連サイト:
韓国銀行 - (英語)

対外債務残高

読み方:たいがいさいむざんだか

国の外国に対する債務額のこと。公的債務と民間債務に分けられる。公的債務は他国やIMF(国際通貨基金)などからの債務であり、民間債務は外国の民間銀行や信託銀行、投資信託などからの債務で、これらの総計が対外債務残高となる。

対外債務残高は、その国への投資尺度の1つとされるが、一般的には外貨準備高や輸出額と併用することが多い。例えば、外貨準備高が対外債務残高を上回っていれば、債務の支払い能力があると見ることができる。また、対外債務残高を輸出額で割った「債務輸出比率」が2.5倍を上回ると債務返済は困難になるといわれている。

なお、日本においては、財務省の発表する本邦対外資産負債残高の負債の部が、対外債務残高に相当する。

統計表一覧 - 財務省

債務輸出比率

読み方:さいむゆしゅつひりつ
英語:debt service to export ratio

対外債務残高を輸出額で割った数値のこと。債務指標の1つ。

債務輸出比率は、国の抱えている対外債務残高を、輸出産業でどれだけ賄えるかを数値で表したものである。輸出額が増加すれば債務輸出比率は低下し、輸出額が減少すれば債務輸出比率は上昇する。

一般的に、債務輸出比率が2.5倍を上回ると債務返済が困難になるといわれている。債務返済が困難な国に対しては、しばしば先進国首脳会議(G7)や主要国首脳会議(G8)で救済措置がとられている。具体的には、返済期間の延長や譲許的繰延金利の適用などが挙げられる。