新語時事用語辞典とは?

2013年12月26日木曜日

クラウド変換

読み方:クラウドへんかん
別名:クラウド推測変換
別名:クラウド入力

かな漢字変換システム(IME)などの入力補助システムのうち、クラウドを活用して変換補助を行うシステムの通称。入力した文字列をクラウドサーバーに送信し、サーバー上で変換候補を取得する。オンラインIMEの一種。

クラウド変換は、不特定多数の利用者による入力内容を蓄積して随時データベースを更新・反映することが可能である。このため、固有名や新語・流行語、著名な文章、顔文字といった、入力機会は多々あるが一般的な辞書には掲載されにくい文字列に対して比較的良好な精度が期待できる。また、変換システムが多く利用されればされるほど、変換精度が向上していくことが期待できる。

クラウド変換の仕組み上、入力したデータは一旦サーバーに送信する必要がある。このため、個人情報やパスワードなどの機密情報もクラウド変換システムを通じてネットワーク上に流出する懸念を孕む。クラウド変換機能を持つオンラインIMEの多くは、機能のオン・オフを選択できるようになっているが、リスクの存在に気付かなかったり無頓着だったりして、機能をオンにしたまま重要な情報を入力してしまうおそれがある。入力された情報がユーザーへの通告なくクラウドサーバーに送信されていることが判明し、該当ソフトウェアが問題視された事例もある。

スレブレニツァの虐殺

読み方:スレブレニツァのぎゃくさつ
別名:スレブレニツァの悲劇
別名:Masakr u Srebrenici
別名:Масакр у Сребреници
英語:Srebrenica massacre
英語:Srebrenica genocide

1995年7月にボスニア・ヘルツェゴビナ東部の都市スレブレニツァで起こった、スルプスカ共和国軍によるボシュニャク人に対する大量虐殺。

スレブレニツァの虐殺は、1992年から1995年まで続いたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の末期に発生し、第二次世界大戦後にヨーロッパで起こった最大の虐殺とされている。当時、スレブレニツァには約40000人のボシュニャク人がいたとされるが、そのうち約8000人が虐殺されたとされている。

スレブレニツァの虐殺は、2004年に旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)において、ジェノサイドであると正式に認定された。同年、スルプスカ共和国は、初めて虐殺を事実と認めるとともに謝罪した。また、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷では、虐殺を指揮したとされる複数名が裁判にかけられている。当時のセルビア共和国大統領として虐殺に関与したとされるスロボダン・ミロシェヴィッチも訴追されたが、判決を受けないまま2006年に獄死した。

スレブレニツァには当時、PKOの国際連合保護軍(UNPROFOR)に参加したオランダ軍が駐留していたが、虐殺行為を止めることはできなかった。スレブレニツァの虐殺後、オランダはPKOへの参加に慎重な姿勢をとるようになり、2000年の国際連合エチオピア・エリトリア派遣団(UNEEE)参加に際しても反対論が強かった。虐殺被害者の遺族は、当時のオランダ政府が保護責任を怠ったとして賠償を求める裁判を起こし、2013年12月にオランダ最高裁判所は、政府の責任を認める判決を下した。これは、PKOに参加した国の政府が責任を問われた初の事例となった。

ナノバクテリア

英語:nanobacterium
英語:nanobacteria
英語:NB
英語:nanobacteria-like particles
英語:NLPs
英語:calcifying nanoparticles
英語:CNPs

生体内に存在する、石灰質を含む微粒子のこと。ナノバクテリアが生物か無生物かは長らく論争となってきたが、2013年現在、生物ではなく炭酸アパタイトの微結晶であるという説が有力である。

ナノバクテリアの名称は、1977年の発見当初、この粒子が極小のバクテリア(細菌)の一種だと考えられたことに由来する。のちに、ナノバクテリアが真のバクテリアであることは否定され、2008年にはナノバクテリアは炭酸アパタイトの結晶であるとして、微生物説を否定する論文が発表されたが、その後もナノバクテリア微生物説を支持する研究者は少なくなかった。

ナノバクテリア微生物説の根拠の一つに、ナノバクテリアが自己増殖を行っているように見えることが挙げられた。2013年9月に岡山大学の研究グループは、電子顕微鏡や免疫学的手法などを用いてナノバクテリアの生成メカニズムを明らかにし、増殖に見える現象は、実際には結晶化の進行であるとした。また、ナノバクテリアが悪性腫瘍、動脈瘤、腎臓結石などから発見されていることから、それらの疾患の原因になるという説もあったが、岡山大学の研究グループは、ナノバクテリアは疾患による炎症に伴って生じた副産物であるという説を提唱した。

関連サイト:
Ectopic calcification: importance of common nanoparticle scaffolds containing oxidized acidic lipids - Nanomedicine

進行性骨化性線維異形成症

読み方:しんこうせいこつかせいせんいいけいせいしょう
英語:FOP
英語:Fibrodysplasia Ossificans Progressiva

特定の遺伝子の異常によって骨組織が異常増殖し、全身の筋肉やその周囲の組織が骨に変化していく病気。200万人に1人が発病するとされる稀な病気であり、2013年現在、有効な治療法がない。2007年に、厚生労働省により特定疾患(難病)に指定された。

進行性骨化性線維異形成症が進行すると、関節を動かすことが困難になり、自力で歩行などの動作ができなくなるほか、呼吸や摂食などにも障害をきたすようになる。栄養管理の改善などによって生存率は向上したものの、患者は30歳まで生きることは稀だといわれている。外傷や筋肉内注射などが骨化を誘発することが知られているため、手術をはじめとする侵襲的な治療を行うことはできず、患者が転倒などによって傷つかないように細心の注意が必要とされる。

2013年12月に、京都大学の研究グループが、iPS細胞を用いて体外で進行性骨化性線維異形成症の症状を再現することに成功したと発表した。従来、患者からの細胞採取が病状を悪化させることから、病気のメカニズムを解明し、治療薬を開発するための研究が阻まれてきたが、iPS細胞を用いることで細胞採取の機会を減らすことができるため、研究がより進むことが期待されている。

関連サイト:
Induced pluripotent stem cells from patients with human fibrodysplasia ossificans progressiva show increased mineralization and cartilage formation - Orphanet Journal of Rare Diseases

たる爆弾

読み方:たるばくだん
別名:タル爆弾
別名:樽爆弾
英語:barrel bomb

樽状の容器に、火薬(TNT)や釘などの金属片を詰めた焼夷弾の一種。シリア内戦において、アサド政権側の軍事勢力が使用していることが知られている。

たる爆弾は、2012年8月のホムス空爆が映像に捉えられたことをきっかけとして公に知られるようになったが、アサド政権は当初、たる爆弾の存在を否定していた。その後、アサド政権が行った空爆において、たる爆弾の使用事例が複数回確認されている。2013年11月から12月にかけて、アレッポなどシリア北部の諸都市に対して、たる爆弾を用いた空爆が繰り返し行われ、1週間で子供を含む数百人の一般住民が死亡したとされている。

たる爆弾は、アサド政権による化学兵器の使用が国際的な非難を受けたことに伴い、化学兵器の代替手段として用いられるようになったとする見方もある。たる爆弾は、通常の爆弾よりも殺傷力や破壊力は弱く、命中率にも劣っているとされているが、製造が容易であることが知られている。たる爆弾を用いた攻撃は無差別的となる傾向が強く、破壊される範囲が広いことから、一般住民に被害が生じやすいことが指摘されている。