新語時事用語辞典とは?

2014年1月30日木曜日

えらぼーと

別名:毎日ボートマッチ

毎日新聞社がWeb上で運営している、自分と意見が合致する政党や候補者を判定することができるサービス(ボートマッチ)のこと。有権者は投票する候補者を選択したり、各政党や候補者の意見の違いや、選挙戦における論点を把握したりする上で、えらぼーとの結果を参考にすることができる。

えらぼーとのユーザーが政策に関するいくつかの質問に「賛成」「反対」「無回答」のいずれかで回答すると、全ての回答が終了した後に、どの各政党や候補者と考えが類似しているかが「一致度」という指標で表示される。一致度は、立候補予定者に対するアンケートの結果を基にして算出されている。また、回答終了後に、ユーザーは特に関心の高い項目を複数選ぶことができ、それを重み付けすることで、よりマッチングの精度が高まるとされている。また、各ユーザーの回答内容は集計され、性別や年代ごとの分析を経た上で、毎日新聞の記事に反映される。

「えらぼーと」は、2007年の参議院選挙以来、衆参両院の選挙に際して開設されてきた。2014年には、地方選として初めて、東京都知事選を対象としたボートマッチも行われた。2013年の参議院選挙からは、選挙権を持たない小中学生などの未成年者を対象とした、「えらぼーとジュニア」も開設されている。

毎日新聞社の「えらぼーと」は、日本の新聞社が実施するボートマッチの先駆けとして知られている。2014年1月現在、他の大手新聞社もボートマッチのサービスを行っており、例として読売新聞社の「日本版ボートマッチ」や、朝日新聞社の「お試しマイ候補」などを挙げることができる。

関連サイト:
2014東京都知事選 毎日新聞ボートマッチ「えらぼーと」

多能性細胞

読み方:たのうせいさいぼう
別名:万能細胞
別名:多能性幹細胞
英語:pluripotent cell
英語:pluripotent stem cell

生体の様々な組織に分化する能力(分化万能性)を潜在的に持つ細胞。具体的には、内胚葉、中胚葉、外胚葉の全てに分化可能である細胞を指す。

「多能性」や「万能性」の語は、「全能性」とは区別されて用いられている。「全能性」を持つ細胞は受精卵および胞子であり、それらの細胞は真に全ての組織に分化し、生物の個体を形成することが可能である。一方、多能性細胞は胎盤などの胚体外組織に分化することができないことから、単独で個体となる能力(個体構築能)は持っていない。

動物の発生初期には、胚の一部の細胞が多能性を持っており、それを取り出して培養した細胞は「胚性幹細胞(ES細胞)」として知られている。また、分化を終えて成熟した体細胞から、遺伝子導入などによって多能性細胞を人工的に創製することができることも明らかにされており、その細胞は「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」と命名されている。

2014年1月の「Nature」誌の論文で、特定の外的刺激により体細胞が初期化され、「刺激惹起性多能性獲得細胞(STAP細胞)」という多能性細胞になることが発表された。それと同時に、STAP細胞が胎盤や卵黄膜などの胚体外組織にも分化可能だとした別の論文も「Nature」誌上で発表され、STAP細胞が全能性を持つ可能性も示唆されたが、2014年3月現在、それらの発表内容の真偽については疑問を呈する意見もある。

関連サイト:
Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency - Nature

豚流行性下痢

読み方:ぶたりゅうこうせいげり
別名:ブタ流行性下痢
英語:porcine epidemic diarrhea
英語:PED

コロナウイルスの一種、豚流行性下痢ウイルス(PEDV)によって引き起こされる、ブタおよびイノシシの感染症。家畜伝染病予防法で届出伝染病に指定されている。

豚流行性下痢に罹患したブタは、黄色の水っぽい下痢や激しい嘔吐などを起こし、その症状は同じく届出伝染病に指定されている伝染性胃腸炎(TGE)に酷似している。若いブタでは、重症化すると3-4日で死に至ることもあり、特に生後10日までの哺乳豚では死亡率が100%に達することもある。肥育豚や育成豚は重症化することが少なく、不顕性感染の例も見られる。

豚流行性下痢は、感染豚の糞便を介して経口感染することが知られている。新たに導入された母豚やその子豚を介した感染環が形成されることにより、養豚場にウイルスが常在化する例もあるため、感染の予防や拡大阻止にあたっては、衛生管理が特に重要となる。豚流行性下痢に対してはワクチンが開発され、1996年に承認されているが、これは接種した母豚の乳を飲んだ子豚の感染予防や症状軽減に効果があるワクチンで、母豚への感染を予防するものではなく、主にウイルスの常在地で用いられている。

豚流行性下痢はしばしば大流行を起こし、中国では2010年以降、100万頭以上が死亡したといわれている。日本国内では2006年に香川県で発生が見られた後、長らく確認されることがなかったが、2013年9月に沖縄県で報告されたのを皮切りに、九州を中心に各地で報告された。2013年9月から2014年1月までに、全国で約3万頭が感染し、5千頭以上が死亡したとされている。動物衛生研究所による遺伝子解析の結果、2013年から流行したウィルスの株は、同年に米国や韓国で流行した株と近縁であることが明らかになった。

豚流行性下痢(PED) - 動物衛生研究所
豚流行性下痢(PED)の発生について - 鹿児島県

女子中高生の理系進路選択支援事業

読み方:じょしちゅうこうせいのりけいしんろせんたくしえんじぎょう
別名:女子中高生理系進路選択支援事業

科学技術振興機構(JST)が実施している、「女子中高生の科学技術分野に対する興味・関心を喚起し、理系への進路選択を支援する」ことを目的とした事業。一般的には、「理系女子(リケジョ)」を支援・促進するプログラムとしても知られている。

女子中高生の理系進路選択支援事業は平成18年度から、当初は文部科学省の事業として開始されたが、平成21年度からは科学技術振興機構に移管された。本事業は、採択された大学や研究機関などへの委託という形で行われている。平成25年度事業では、委託期間を1年として、各受託機関に300万円までの資金が支給された。

女子中高生の理系進路選択支援事業の受託機関が行う具体的な活動としては、理系を選択した大学生・大学院生や女性研究者・技術者などとの交流イベントや、出前授業、オープンキャンパス、研究室見学(オープンラボ)、実験教室、合宿などの例を挙げることができる。それらの具体的な活動を通じて、女子中高生の理系分野に対する興味や関心を高めるとともに、理系キャリアのイメージを持たせることが主な目的とされている。また、受託機関に対しては、女子中高生だけではなく、進路選択に関わる保護者や教師なども対象に含めた取り組みになるよう留意することが求められている。

なお、女子中高生ではなく女性研究者に対する支援の取り組みとしては、科学技術振興機構により「女性研究者研究活動支援事業」が行われている。

関連サイト:
女子中高生の理系進路選択支援事業 - 科学技術振興機構
女子中高生の理系進路選択支援事業 - 文部科学省