新語時事用語辞典とは?

2014年2月26日水曜日

極端気象

読み方:きょくたんきしょう
別名:極端な気象
別名:極端現象
別名:極端気象現象
別名:極端な気象・気候現象
英語:extreme event
英語:extreme weather
英語:extreme weather event

過去に起こってきた気象現象とは大きく異なる気象現象のこと。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書などで用いられる、「extreme event」や「extreme weather」などの英語に対応する日本語である。

極端気象の明確な定義はないが、対象の気象現象に関連する温度、風速、雨量などの数値が、その数値の分布全体の上位5%あるいは下位5%未満に含まれる時に、極端気象と見なすとする定義がしばしば用いられている。極端現象は特に、強風、竜巻、落雷、集中豪雨など、しばしば局地的に大きな被害をもたらす気象現象を指すことが多い。極端気象には、積乱雲が関係しているものが多いが、積乱雲が直接関係しない熱波や旱魃などの気象現象も、極端気象として言及されることがある。

極端気象は、一般語としては「異常気象」と呼ばれることが多いが、気象用語としての「異常気象」の意味が本来異なっていることから、その言い換えとして「極端気象」の語が用いられる傾向もある。なお、異常気象とは、30年に一度起こるかどうかという稀な気象現象を指す語であるが、極端気象の定義には、現象が起こる頻度は関係しない。気象庁が公開している「異常気象リスクマップ」では、異常気象のほか、極端気象も対象に含められていることが明記されている。

IPCCは、2011年の「気候変動への適応推進に向けた極端現象及び災害のリスク管理に関する特別報告書(SREX)」において、極端気象の一部は、温室効果ガス増加などの人為的影響によって引き起こされていると結論づけた。

関連サイト:
異常気象リスクマップ-対象とする現象について - 気象庁

配偶子バンク

読み方:はいぐうしバンク
別名:冷凍動物園
英語:gamete bank
英語:gamete storage

絶滅危惧種の保存や人工繁殖の研究などを目的として、動物の精子や卵子などの配偶子を半永久的に保存する施設のこと。日本では、神戸大学の楠比呂志准教授が、1993年に研究室内に設置したのが始まりとされる。

配偶子バンクにおいては、精子や卵子などを動物園、水族館などから集め、特殊な容器に入れて液体窒素で凍結させる手法がとられている。配偶子の冷凍保存は、ヒトや家畜などでは盛んに研究されてきたが、絶滅危惧種を含む野生動物に関しては知見が少なく、研究施設の充実が求められている。

2013年8月に京都大学や京都市動物園などの研究グループは、凍結乾燥(フリーズドライ)の手法を用いた配偶子バンクを設立することを発表した。この手法では、5年間保存された精子でも人工授精に成功したことが発表されている。

また、日本動物園水族館協会(JAZA)は神戸大学と提携し、2014年3月から、横浜市繁殖センターで配偶子バンクの運営を始めることを発表した。

配偶子の凍結保存は国外でも研究されており、例えばドイツのライプニッツ動物園・野生動物研究所(IZW)は、2007年から「ネコ科配偶子レスキュープロジェクト(Felid Gametes Rescue Project)」を行ってきた。IZWは2013年2月に、絶滅危惧種を含むネコ科の複数の動物について、未熟な卵母細胞を多く含む卵巣皮質の凍結保存に成功したと発表した。

関連サイト:
横浜市繁殖センターの事業詳細 - 横浜市
Cryopreservation: A chance for highly endangered mammals - Science Daily

グローバルフォレストウォッチ

英語:Global Forest Watch
英語:GFW

米国の世界資源研究所(WRI)がGoogleなどの企業や大学、研究所、国際機関などと連携して作成した、地球規模での森林面積の動態を可視化して提供するサービスのこと。2014年2月に、ベータ版が公開された。

グローバルフォレストウォッチは、Googleマップを基に作成されており、Webブラウザ上で誰でも無料で閲覧することができる。地図の作成にあたっては、最新の衛星画像やオープンデータが用いられており、特にGoogleのクラウドコンピューティングの技術により、大量のデータの高速処理が実現したとされている。

グローバルフォレストウォッチでは、2001年から現在までの任意の期間を選択し、その間に減少または増加した森林の面積を目で見て確認することが可能である。また、任意の地域を選択し、その地域で森林面積の増減が発生した場合、アラートを送る設定も可能である。ユーザーが任意の地域を指定して、データの解析を行うことができるツールも提供されている。

グローバルフォレストウォッチでは、30メートル四方という高解像度で森林のデータが提供され、データは1か月ごとに更新される。ユーザーがフィールドでの観察結果を送信し、直接地図に反映させることもできるとされる。

関連サイト:
Global Forest Watch

南京大虐殺犠牲者追悼日

読み方:なんきんだいぎゃくさつぎせいしゃついとうび
別名:南京大虐殺追悼日
別名:南京大虐殺犠牲者国家追悼日
別名:南京大屠杀死难者国家公祭日
別名:南京大虐殺の日

中国における記念日の一つで、1937年に起こったとされる「南京大虐殺」の犠牲者を追悼する日。2014年2月に、中国政府が「抗日戦争勝利記念日」とともに、法律で制定を検討していることが報じられた。南京陥落の12月13日が記念日とされる見込みである。

1937年の南京事件、いわゆる「南京大虐殺」の規模や内容、あるいは実在性については、日本と中国の間で見解に相違がある。中国側の学者の多くは、南京大虐殺の犠牲者数は30万人以上と見積っており、中国政府もその説をとっている。南京大虐殺犠牲者追悼日制定にあたっても、「三十多万人惨遭杀戮(30万人以上が虐殺された)」という文言が含まれた。しかし、日本側の学者には、30万人の犠牲者がいたとする説は、一般に支持されていない。

日本政府は、「非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」とする見解を示しているが、犠牲者数については、学者によって見解が異なっており、「どれが正しい数かを認定することは困難」としている。また、虐殺行為があったとされる時期に南京市に目立った人口減少がなかったこと、写真や証言に信憑性が乏しいことなどを根拠に、南京大虐殺の存在自体を否定する説もある。

中国政府による南京大虐殺犠牲者追悼日の制定には、日本に対して歴史問題で圧力を強める目的があるとされており、全人代法制業務委員会主任の李適時は、記念日について、「日本の侵略者らの戦争犯罪を暴露」するものだと述べている。日本では、記念日制定により、中国国内の反日感情が助長されるおそれがあるとして、日中関係の悪化を懸念する声が多い。また、国家レベルで記念日が制定されることで、追悼行事が南京市周辺だけでなく、中国全土に広がるとの予想もある。

参考リンク:
歴史問題Q&A「南京大虐殺」に対して、日本政府はどのように考えていますか。 - 外務省

大間原子力発電所

読み方:おおまげんしりょくはつでんしょ
別名:大間原発

電源開発株式会社が青森県下北郡大間町に建設する原子力発電所。世界初の「フルMOX原発」として計画されている。最大出力は138万3000kWで、完成すると国内最大の出力となる。

大間原子力発電所は、1984年に大間町議会で誘致が決議されたのち、1999年に電源開発により建設許可申請が行われ、2008年に着工した。工事は、2011年3月の東日本大震災で一旦中断したが、2012年10月に再開された。2014年2月現在、進捗率は2011年3月の37.2パーセントから変わっておらず、竣工時期は未定となっている。

大間原子力発電所は、津軽海峡に面する立地に建設され、改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)1基が設けられる予定である。当初は新型転換炉(ATR)が設けられる予定だったが、高コストを理由に建設計画が見直され、代わりにABWRが設けられることになった。

大間原子力発電所は、商業炉としては世界で初めて、炉心としてウラン燃料を使わず、混合酸化物燃料(MOX燃料)だけを用いる、「フルMOX」という方式で発電を行う原子力発電所である。しかし、前例がないことや、制御棒の効果がウラン燃料よりも低いことなどを挙げ、フルMOXの安全性に疑念を抱く向きもある。

また、津軽海峡を挟んで、大間原子力発電所の対岸約20キロメートルに位置する北海道函館市では、2014年2月に、建設の無期限凍結と設置許可の無効確認を求める訴状が公開された。函館市が大間原子力発電所の建設に反対する理由としては、重大事故の際に函館市民の避難が困難であること、建設許可申請当時の安全基準が福島第一原子力発電所事故を鑑みて不十分であること、建設地付近に活断層の存在が指摘されていることなどが挙げられている。

関連サイト:
大間原子力発電所の建設計画 - 電源開発
大間原子力発電所の概要 - 青森県
函館市の大間原子力発電所に対する対応について - 函館市

オープンエントリーシート

別名:オープンES
別名:OpenES
別名:共通エントリーシート
別名:共通ES

新卒採用の就職活動で多く導入されているエントリーシート(ES)および履歴書の書式を統一・共通化したもの。リクルートキャリアがに提唱し、2013年11月に同社の就職活動支援サービス「リクナビ」において2015年卒業予定者を対象に導入を開始した。

リクナビのオープンエントリーシートは、各企業が共通して求める情報をあらかじめ共通項として用意し、企業が他に任意の項目を追加できるようにしている。作成および提出がウェブ上で行えるようになっていることで、いっそう簡素化されている。履歴書用紙・証明写真・郵送費用なども節約できる。

これまでのエントリーシートは企業ごとに形式が異なり、選考を希望する学生は1社1社それぞれにエントリーシートと履歴書を作成する必要があった。また、一般的な傾向として、こうした書類は精魂こめられた手書きであることが良しとされる傾向もあった。リクルートキャリアによれば、学生はエントリーシートの作成に1社あたり2時間ほど割かれているという。

関連サイト: