新語時事用語辞典とは?

2014年3月7日金曜日

広域特区

読み方:こういきとっく
別名:広域型特区
別名:広域都市型特区
別名:広域型国家戦略特区
別名:広域都市型国家戦略特区

第二次安倍内閣の国家戦略特別区域(国家戦略特区)構想において、都道府県や都市圏をまたぐ広域に指定される特区のこと。2014年1月に、国家戦略特区ワーキンググループが国家戦略特区を2種類に大きく分けたうちの一つである。

広域特区の指定対象としては、大都市圏が想定されており、複数分野における規制緩和を通じて、都市の国際競争力を高めることが特区指定の主な目的とされている。広域特区に対して、複数の市町村からなり、特定の改革事業の実施が行われる特区は、「革新的事業連携特区(バーチャル特区)」と呼ばれている。

2014年3月に政府は、東京圏の広域特区として、「東京23区」「横浜市」「川崎市」を含む範囲を、関西圏の広域特区として、「大阪市」「京都市」「神戸市」を含む範囲を、それぞれ指定する方針を明らかにした。名古屋市も有力視されていたが、今回は見送られることとなった。

東京圏の広域特区においては、容積率の規制緩和により、高層ビルなどの建設が促進されること、ひいては再開発の動きが活発化することが期待されている。一方、関西圏の広域特区においては、先端医療分野の推進を目指す規制緩和が行われるとされる。

関連サイト:
国家戦略特区の進め方について(PDF) - 首相官邸

受援力

読み方:じゅえんりょく

ボランティアの援助を受け入れる能力のこと。特に、災害の被災地における、住民個人のレベルから行政レベルまでの、災害ボランティアの受け入れ能力を指すことが多い。

内閣府は、災害が起こった際に、ボランティアやボランティア活動に対する地域住民の理解が不十分であると、ボランティアの力が有効に活用されない場合があることを指摘している。また、被災地に国内外から大勢の人員が駆けつけたり、大量の救援物質が送られたりした場合、十分な対応ができずに混乱が生じ、「第二の災害」と称されるような事態に陥る例もある。そこで、受け入れ側の被災地に対しても、ボランティアへの理解や、ボランティア活動をコーディネートする能力、すなわち受援力が求められるようになった。コーディネートの業務には、例えばボランティアの名簿管理、機材の分配、保険への加入などがある。

地域の受援力を高めるためには、平時からボランティアやボランティア活動に対する理解を深めることが重要だとされている。地域によっては、防災訓練において災害ボランティアセンターを設置し、ボランティアの受け入れを想定した内容の訓練を行う取り組みもある。

また、地域住民レベルの受援力だけでなく、行政の受援力向上も課題とされており、平時から災害時の業務を想定し、応援人員の配置計画や復興計画の事前策定などを行うことが求められている。阪神・淡路大震災を経験した兵庫県神戸市は、2013年に全国の自治体に先駆けて「災害受援計画」を作成し、災害時の受援の総合窓口として「応援受入本部」を設置する方針を発表した。

関連サイト:
防災ボランティア活動の多様な支援活動を受け入れる地域の「受援力」を高めるために(PDF) - 内閣府

老老格差

読み方:ろうろうかくさ
別名:老々格差
別名:高齢者の世代内格差
別名:高齢者間の世代内格差

高齢者の間で見られる貧富(所得)の世代内格差のこと。内閣府の「平成24年版 高齢社会白書」によると、老老格差は他の年齢層における世代内格差よりも大きく、拡大傾向にあるとされる。

「世代間格差」といった場合、高齢層に対して若年層の負担がより大きいことを指すことが一般的だが、相対的に負担が小さいとされる高齢層の内部格差が、むしろより深刻な社会問題とされることがある。その理由の一つが、老老格差の拡大により、生活保護受給者の増加や、若年層による介護負担の増加が起こり、若年層の格差拡大に繋がると懸念されることである。2014年3月10日号の「AERA」では、この状況が「老老格差の遺伝」と表現されている。

老老格差は、主に受給する年金の差によって生じるとされる。年金の受給額格差は、厚生年金の加入状況や、現役時代の賃金の差などによって生じる。2013年の厚生労働省の発表によれば、全国の生活保護受給世帯は約157万世帯であったが、そのうち65歳以上の高齢者世帯は約68万世帯で、全体の4割を超える数となった。今後は、非正規職員の高齢化が進むことからも、高齢者による生活保護受給はさらに増加し、老老格差もそれに伴って拡大すると見られている。

老老格差を防ぐためには、富裕高齢層に対する税負担の増加などにより、貧困高齢層への所得移転を進めることが必要だとする意見もある。

関連サイト:
世代間格差・世代内格差の存在(平成24年版 高齢社会白書) - 内閣府

ギュレン運動

読み方:ギュレンうんどう
別名:ギュレン集団
別名:ギュレン教団
別名:ギュレン派
別名:フェトフッラー運動
別名:フェトフッラー集団
別名:フェトフッラー教団
別名:フェトフッラー派
別名:ヒズメット
別名:ヒズメット運動
別名:Gülen hareketi
別名:Gülen cemaati
別名:Hizmet hareketi
英語:Gülen movement
英語:Hizmet
英語:Hizmet movement

トルコにおいて、イスラム教伝道者のフェトフッラー・ギュレン(ギュレン師)を精神的指導者とする市民団体、あるいはその市民団体による運動のこと。

ギュレン運動は比較的穏健な団体として知られており、イスラムの思想や国家主義的思想を基盤に置きつつ、世俗主義にも寛容な立場を取り、民主主義や人権を掲げてグローバルな活動を展開している。ギュレン運動は、トルコの民主化の推進に重要な役割を担ってきたともいわれている。

ギュレン運動は教育活動を盛んに行い、多数の学校や学習塾を運営している。学校と学習塾を合わせて、約200万人の生徒がいるといわれており、国内の学習塾の4分の1から3分の1程度がギュレン運動を母体としているともされる。それらの学校や学習塾の出身者が、トルコ社会の中枢、特に政財界や警察、検察などにおいて影響力を強めているとされる。また、ギュレン運動は、様々なメディアや金融機関などに投資を行い、政治や経済における発言力を強めている。

ギュレン運動は、同じイスラム主義を掲げる公正発展党(AKP)と長らく協力関係にあり、AKPの軍部との闘争を様々な形で支援してきたとされている。AKPのレジェップ・タイイップ・エルドアン政権とも、当初は協力関係にあったとされるが、軍部の勢力低下とともにギュレン運動が政権の脅威と見なされるようになり、2013年のトルコ反政府運動(トルコの春)をきっかけに対立が表面化することとなった。

エルドアン政権は2014年2月に、教育機会の平等化を名目として、ギュレン運動の重要な活動の場である学習塾を閉鎖する法案を成立させた。3月には、エルドアン政権は大規模汚職事件が発覚した出来事をギュレン運動による陰謀と見なし、ギュレン運動を「国家内国家を作ろうとする連中」と呼んで非難した。

官製談合防止法

読み方:かんせいだんごうぼうしほう
別名:入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律
別名:入札談合等関与行為防止法

競争入札などにおいて、国や地方公共団体などの発注機関の職員が談合に関与すること(官製談合)を防ぐ目的で制定された法律。

官製談合防止法違反があった場合、公正取引委員会は第3条の規定に基づき、必要な改善措置を要求することができる。具体的な違反例としては、事業者に示唆や指示をして談合を行わせたり、発注担当職員が受注者を指名したり、入札や契約に関する機密を漏洩したりすることが挙げられている。改善措置要求を受けた発注機関は、損害賠償請求(第4条)や関与者の懲戒処分(第5条)などの措置を行わなければならない。

官製談合防止法は、2002年に成立した当初、罰則が設けられておらず、処罰は独占禁止法や刑法(入札妨害罪、談合罪)などに基づき行われていた。しかし、国・地方を問わず違反事例が多く見られ、中には県知事など首長自らが関与していた事例もあったことなどが問題視され、2006年の改正ではより重い刑事罰が盛り込まれた。談合に関与した職員には、第8条の規定により、5年以下の懲役または250万円以下の罰金が科されることとなった。

談合防止をより厳格に実施するためには、現行の官製談合防止法やその重罰化では十分ではなく、入札制度の改革や天下りの撲滅などが必要だとする意見もある。

関連サイト:
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律 - 総務省e-gov
入札談合等関与行為防止法について - 公正取引委員会