新語時事用語辞典とは?

2014年3月27日木曜日

シエラマドレ号

読み方:シエラマドレごう
別名:シエラマドレ
英語:Sierra Madre
英語:BRP Sierra Madre
英語:BRP 57 Sierra Madre

南シナ海のスプラトリー諸島(南沙諸島)にあるセカンド・トーマス礁に座礁している、フィリピン海軍所有の戦車揚陸艦。沈没はしていないが、内部に浸水しているとされている。セカンド・トーマス礁は、フィリピンではアユンギン礁、中国では仁愛礁と呼ばれており、領有権が争われているが、シエラマドレ号が紛争の火種になっているとする見方もある。

シエラマドレ号は1999年にセカンド・トーマス礁に座礁し、2014年3月現在に至るまで撤去されていない。フィリピンは、セカンド・トーマス礁が自国の排他的経済水域(EEZ)に含まれるとの主張を根拠に、海兵隊員をシエラマドレ号に常駐させ、セカンド・トーマス礁を実効支配している。中国側はシエラマドレ号の撤去を要求し続けてきたが、フィリピン側は部品の欠乏などを理由に撤去を行ってこなかった。1999年の座礁自体が、セカンド・トーマス礁の領有権を確保するために故意に行われたとする説もある。

2013年に中国政府がセカンド・トーマス礁の周辺海域に軍艦や監視船を派遣したのをきっかけに、フィリピン政府と中国政府が非難の応酬を繰り広げ、緊張が高まることとなった。当初、フィリピン政府は数十人の将校をシエラマドレ号に駐屯させていたと見られているが、中国の環球時報はこの時、駐屯するフィリピン軍が「12人もいない」とする記事を掲載している。

2014年3月に中国の海警局は初めて、フィリピンのシエラマドレ号に対する物資供給を阻止する行動を起こした。中国側の主張によると、物資供給船が建築材を積んでおり、それが現状の変更、すなわち2002年の中国とASEANの「行動宣言」違反に相当するという。建築材はシエラマドレ号の修繕に必要との見方もあるが、一方で中国はフィリピン側が環礁上で建築を行い、さらに支配を強めることを警戒しているとの見方もある。

なお、セカンド・トーマス礁にはシエラマドレ号だけでなく、ベンケット号という別のフィリピン海軍所有の戦車揚陸艦も座礁している。セカンド・トーマス礁は中国とフィリピンの他にも、中華民国(台湾)、ベトナムが主権を主張している。

減容化

読み方:げんようか
別名:減容
別名:減容化処理
英語:volume reduction

廃棄物などの容積を減少させること。特に、下水処理場で発生する汚泥や、放射能で汚染された廃棄物や土などの容積を減らすという文脈で言及されることが多い。減容化は、廃棄や貯蔵にあたっての負担の減少のほか、廃棄物の物理的・化学的安定性を高めることにも繋がる。

減容化を行うにあたっては、焼却処理、圧縮処理、溶融処理など、複数の手法がある。焼却処理は、廃棄物を燃焼させて灰にすることで減容化を実現する手法である。焼却灰を高温で溶融固化し、スラグの状態にすることで、さらなる減容化、安定化が行われることもある。圧縮処理には専用の圧縮機が用いられ、ドラム缶に充填した状態で、あるいは充填できるような形に成型されることが多い。溶融処理には電磁誘導、プラズマ、マイクロ波などの手法があり、それぞれ効率や適した廃棄物の種類などが異なっている。汚染水を減容化するためには、濾過や乾燥処理などの手法がとられている。

その他、汚泥の減容化手法としては、物理的破壊や薬剤処理などを用いた手法のほか、細菌や菌類など、微生物の分解活性を利用した手法も行われている。汚泥の主体をなす細菌を原生動物に捕食させ、それをさらにワムシ類、ミミズなどに捕食させるという、食物連鎖を利用した手法も行われている。

子育て世帯臨時特例給付金

読み方:こそだてせたいりんじとくれいきゅうふきん
別名:子育て世帯臨時特例給付

消費税増税にあたり、子育て世帯に臨時的に支給される給付金のこと。子育て世帯への増税の影響を緩和し、消費の下支えを図る目的で支給される。

子育て世帯臨時特例給付金は、低所得者を対象とした「臨時福祉給付金(簡素な給付措置)」と類似の給付金であり、支給額は同じ1万円である。対象児童1人につき1万円が支給される。

子育て世帯臨時特例給付金の支給対象は、2014年1月分の児童手当の受給者で、かつ前年の所得が児童手当の所得制限額を超えない者である。しかし、収入が高く、児童手当が月5000円の世帯は対象外となる。支給対象者は、全国で1270万人に及ぶと見込まれている。

子育て世帯臨時特例給付金の支給を希望する対象者は、給付の実施主体である市町村に申請を行う必要がある。市町村は児童手当の受給状況や所得などを審査したのち、一元的に支給を行う。市町村は、対象者の申請を促すために申請書の送付や広報活動を行ったり、臨時の窓口を設けたりして対応にあたる予定である。給付金や給付実施にあたっての事務費は、全て国庫負担と定められている。

なお、生活保護の対象者に関しては、生活扶助基準に増税の影響が加味されていることから、子育て世帯臨時特例給付金の支給対象とはならない。また、「臨時福祉給付金(簡素な給付措置)」との同時受給も不可とされている。

関連サイト:
子育て世帯臨時特例給付金 - 厚生労働省

オートパイロット

別名:オートパイロットシステム
別名:自動操縦
別名:自動操縦システム
別名:自動運転
別名:自動運転システム
英語:autopilot
英語:automatic pilot
英語:autopilot system
英語:automatic pilot system

乗り物の操縦を、人の手によらずに機械が自律的に行うシステム、あるいはその装置のこと。オートパイロットは、特に航空機の操縦に広く導入されているが、船舶、ヨット、自動車などに導入される例もある。

オートパイロットでは、周囲の状況や自身の位置、姿勢などの情報をセンサーなどで得て、予め設定された速度や経路に随時修正する仕組みがとられている。オートパイロットは、一般的には人の操縦よりも正確性に優れており、操縦者の負担を軽減することにも繋がる。また、風などで乗り物の姿勢が乱された時、随時微修正を行うことで、乗り心地の向上にも繋がっている。しかし、障害物や天候、機器の性能などによっては、オートパイロットを過信すると危険な場合もあるため、オートパイロットは基本的には、操縦士の監督の下で運用されることが多い。

航空機や船舶など、周囲の状況の変化が比較的少なく、安定した状態で航行する乗り物に対しては、オートパイロットの導入は早くから進められてきた。航空機の場合は、離陸時を除いて、ほぼ全ての操縦がオートパイロットに任せられている場合もある。しかし、自動車の場合は、他の自動車や歩行者、信号などの様々な要素を総合的に判断して操縦を行う必要があることから、オートパイロットの導入は難しく、2014年現在、実用化に向けた検討段階にある。

オートパイロットを導入した自動車は、特にロボットカーと呼ばれることが多い。ロボットカーが実現した場合、渋滞の解消や緩和、交通事故の減少などに繋がることが期待されている。国土交通省は2012年から、ロボットカーの導入に向けた「オートパイロットシステムに関する検討会」を設け、完全な自動運転ではなく、「ドライバーが存在する状態における自動運転(ドライバー支援型自動運転)」を想定して検討を行っている。また、オートパイロットシステムの導入は、まず高速道路本線を対象として行い、2020年代以降に、高速道路の分合流部や渋滞箇所に導入する方針を定めている。

なお、乗り物の他には、弾道ミサイルなどが自律軌道修正を行うシステムや、パソコンなどの自動操作を行うソフトウェアがオートパイロットと呼ばれることもある。

車線逸脱防止支援システム

読み方:しゃせんいつだつぼうししえんシステム
別名:車線維持支援装置
別名:車線維持支援システム
別名:車線逸脱警報装置
別名:車線逸脱警報システム
英語:lane keeping assist
英語:lane keeping assist system
英語:lane keeping system
英語:lane departure warning
英語:lane departure warning system
英語:LKS
英語:LDW
英語:LDWS

自動車が走行中に車線を逸脱することを防ぐシステムの総称。自動車メーカーによってシステムの呼称は異なっており、例えばトヨタ自動車は「レーンキーピングアシスト」、本田技研工業は「レーンキープアシストシステム」の呼称を用いている。

車線逸脱防止支援システムの活用により、運転者の不注意や居眠りによる衝突事故などの危険の減少に繋がるとされる。車線逸脱防止支援システムの中には、ビデオカメラを用いて視覚情報から車線の位置を検出するものがあるほか、路面に設置されたマーカーを車両側のセンサーで捉えることにより、車線に対する車両の位置を検出するものもある。雪などで路面が覆われていたり、車線自体にかすれや間違いなどの不備があった場合には、システムが正常に動作しない場合もある。

車線逸脱防止支援システムは、車両が一定以上の速度で車線を逸脱した場合、ディスプレイ、警告音、振動などにより運転者に危険を知らせる仕組みをとっている。中には、自動でステアリング操作を行い、車線内に車両を誘導する機能を持ったシステムもある。安全性の観点から、直線や一定未満の曲率の道路でのみシステムが作動するようになっており、ウィンカー操作が行われるなど、意図的な逸脱の際には作動しないようになている。

車線逸脱防止支援システムを備えた自動車は、2000年代から実用化されている。日本国内で販売されている自動車に関しては、国土交通省の技術指針に適合することが要求されている。また、国土交通省は2013年11月に、大型バスやトラックを対象とした国連欧州経済委員会の「車線逸脱警報装置に係る協定規則」を国内に導入し、2015年8月から適用することを定めた。

関連サイト:
自動車の運転に必要な直接視界に係る協定規則等の採用に伴う道路運送車両の保安基準等の一部改正について - 国土交通省