新語時事用語辞典とは?

2014年6月4日水曜日

プロテクティブ生命

読み方:プロテクティブせいめい
別名:プロテクティブ
別名:プロテクティブライフ
別名:プロテクティブ生命保険
別名:米プロテクティブ生命保険
別名:プロテクティブライフコーポレーション
別名:プロテクティブ社
英語:Protective Life
英語:Protective Life Corp.

米国アラバマ州に本拠を置く生命保険会社。個人向け生命保険および年金保険を中心として、全米で事業を展開している。米国の生保会社としては中堅に位置づけられる。創業1907年という歴史、ならびに、M&Aを積極的に行い事業の成長拡大を続けてきた経営などが特徴といえる。ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場企業であり、「PL」をティッカーシンボルとしている。

2014年6月4日、第一生命保険がプロテクティブ生命のを買収して完全子会社とする手続きを開始したと正式に発表した。同発表によれば、第一生命保険によるプロテクティブ生命の買収は友好的買収であり、傘下に入るプロテクティブ生命側も経営陣はみな買収に賛同しているという。第一生命保険はおよそ5800億円を投じてプロテクティブ生命の株式を100パーセント取得し、2015 年1月頃までに完全子会社化の手続きを完了させる、としている。

関連サイト:
Protective Life
米国の上場生命保険グループProtective Life Corporationの完全子会社化に向けた買収手続き開始の合意について - 第一生命保険株式会社 プレスリリース 2014年6月4日

虎ノ門ヒルズ

読み方:とらのもんヒルズ
英語:Toranomon Hills

森ビルが開発し、東京都港区虎ノ門一丁目に建設された高層複合ビル。虎ノ門・環状第2号線沿いの再開発事業における中核的施設のひとつ。事業者は東京都、施工業者は大林組。

虎ノ門ヒルズは地上52階、地下5階、高さ247メートル(最高地点は255メートル)の超高層ビルであり、都内でも指折りの高層建築となる。47階から最上階までは米国大手ホテル事業者ハイアットが日本で初めてホテルを開業する。その他、レジデンスフロア、オフィスフロア、商業施設フロアが各階に展開する。

虎ノ門ヒルズを含む環状第2号線の新橋・虎ノ門区間の都市計画は、1940年代に遡る。2002年に再開発計画の事業計画が決定し、2009年に森ビルが建築者に決定、2011年2月に起工式を執り行い、同年4月に着工した。

虎ノ門ヒルズの構造上の特徴としては「立体道路制度」に基づく地下道路の上に建っている点を挙げることもできる。立体道路制度は1989年(平成元年)に決定された制度で、道路の上下に建築物を設置可能とするものである。虎ノ門ヒルズの下には地下トンネルが設けられ、環状二号線が貫通している。

関連サイト:
虎ノ門ヒルズ

DTC遺伝子検査

読み方:ディーティーシーいでんしけんさ
別名:Direct To Consumer遺伝子検査
別名:消費者直結型遺伝子検査
別名:ダイレクト・トゥ・コンシューマ遺伝子検査
別名:DTC遺伝学的検査

一般消費者を対象とする遺伝子検査(いわゆる「遺伝子検査ビジネス」)のうち、医療機関を経由せずに消費者と事業者が直接やりとりして検査を行う事業の総称。

DTC遺伝子検査の典型的な流れとしては、まず受診者が「診断キット」(検体採取キット)を購入し、口腔粘膜などを採取して事業者に送付、事業者が受け取った検体を解析(もしくは解析委託)して、検査結果を受診者に通知する、といった方法が取られる。

DTC遺伝子検査はインターネット等を通じて行うことが可能であり、総じて手軽に取り組むことができるというメリットがある。他方、医師や専門家が介在しないため、インフォームドコンセントが不十分であったり、不適切な診断あるいは診断結果の理解が生じたり、といった懸念も指摘されている。

2014年現在、遺伝子検査ビジネスはヘルスケア分野における先端ビジネスとして、事業者が相次いで参入しつつ、他方で法的・倫理的な議論が行われている状況といえる。

遺伝子検査ビジネス

読み方:いでんしけんさビジネス
別名:遺伝子検査事業
別名:遺伝子診断ビジネス
別名:遺伝子診断事業
別名:遺伝学的検査ビジネス
別名:遺伝学的検査事業

遺伝子情報の解析を通じて、個々人の体質や病気に罹るリスクといった健康情報を調べる事業。ヘルスケア分野の先端ビジネスのひとつ。

典型的な一般個人向けの遺伝子検査ビジネスでは、診断キットにより採取された受診者の細胞片を解析して遺伝子情報を調べる「DTC遺伝子検査」方式が取られることが多い。

遺伝子検査により、将来的に罹患するリスクの高い疾患などをあらかじめ把握できれば、より適切な予防・健康管理を行うことが可能になる。

罹りやすい病気の調査の他、遺伝子検査ビジネスの事業者によっては、太りやすさ、ハゲやすさ、親子の血の繋がりなどを診断するところもある。

遺伝子検査ビジネスは、登場してまもない先端ビジネスであり、かつ、扱う対象が遺伝子情報という法的にも倫理的にも未整備な個人情報であるため、課題は多いといえる。経済産業省は2013年から2014年にかけて、「個人遺伝情報保護の環境整備に関する調査(遺伝子検査ビジネスに関する調査)」と題する詳細な報告書、「遺伝子検査ビジネス実施事業者の遵守事項」などを公表している。

2014年現在、日本ジェノミクスやジェネシスヘルスケアのような、遺伝子検査・DNA鑑定を主要事業とする事業者に加えて、化粧品通販事業などを手がけるDHCなどが遺伝子検査ビジネスに参入している。2014年6月にはソーシャルメディアの運営で知られるDeNAが「DeNAライフサイエンス」を設立してヘルスケア事業に参入、東京大学医科学研究所と協業して遺伝子検査ビジネスに取り組むと発表した。

関連サイト:
遺伝子検査ビジネスに関する調査 - 経済産業省
「遺伝子検査ビジネスに関する調査」報告書 - 経済産業省
「遺伝子検査ビジネス実施事業者の遵守事項」をまとめました - 経済産業省

単純所持

読み方:たんじゅんしょじ

単に所持していること。使用、配布、販売などの状況にかかわらず、持っていることそのもの(が適法か否か)に焦点を当てて論じる際に用いられる表現。

特定の危険物や麻薬などは、いくつかの法律や条例によって、理由如何を問わず単純所持禁止とされている。たとえば覚醒剤、拳銃、密造酒などは単純所持が禁じられている。つまり、覚醒剤は服用しなくても、拳銃は発砲しなくても、密造酒は販売・飲用されなくても、単に所持しているだけで違法となる。刀剣は純粋な鑑賞目的であっても無許可で所有することができない。

単純所持が禁止されている対象でも、許可を得ることで所持できる物は少なからずある。たとえば拳銃・刀剣などは銃刀法で単純所持が禁じられているが、申請して許可を得れば合法的に所持できる。猟師や、真剣を用いる剣術の師範などは、許可を得た上で合法的に銃刀を所持し、かつ正しく管理している。

近年ではとりわけ「児童ポルノ」を巡って単純所持の是非が多く論じられている。1999年に「児童買春ポルノ禁止法」が施行されたことにより、児童ポルノの配信、および、配信目的の製造や所持などが、違法(刑事罰の対象)とされたが、児童ポルノの単純所持は刑事罰の対象に含まれなかった。2000年代半ばの改正案でも、児童ポルノの単純所持を罰則対象とすることは見送られている。

2014年6月現在、児童ポルノの単純所持禁止に向けた法改正が再び検討されている。産経新聞などは6月4日付の記事で、年内にも成立する見通しであることと報じている。

関連サイト:
児童ポルノ法案が可決 衆院委、単純所持を禁止に - MSN産経ニュース 2014年6月4日

STAP細胞

別名:刺激惹起性多能性獲得細胞
英語:Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cell
英語:STAP cell

特定の物理的・化学的刺激を受けることによって初期化し、多能性を獲得したとされた体細胞。2014年1月に「Nature」誌に掲載された、理化学研究所の小保方晴子を筆頭著者とする論文で発表された。

STAP細胞は、従来のES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞と異なり、クローン技術や遺伝子導入を伴わず、約30分間の低pH刺激という、簡便かつ迅速な方法で作製可能であるとされた。細胞の多能性獲得の指標となるOct4遺伝子などの発現は、iPS細胞では培養開始の2-3週間後に初めて確認されるのに対して、STAP細胞では2-3日後には確認された。

STAP細胞は作製時の条件ではほとんど増殖能を持たないが、副腎刺激ホルモン(ACTH)や白血球遊走阻止因子(LIF)を含む培養液で培養すると、STAP幹細胞と呼ばれる状態になり、高い自己複製能を得るとされた。そこから、ES細胞やiPS細胞などの多能性幹細胞と同様に、様々な組織に分化させることが可能となるとされた。また、STAP細胞は、ES細胞やiPS細胞がほとんど分化できないとされていた、胎盤や卵黄膜などにも分化可能であることも示されており、より「全能細胞」に近い細胞だともいわれた。

STAP細胞創製の研究において、外的刺激により体細胞の初期化が起こることや、哺乳類の体細胞の初期化が可能であることなどは、従来の定説を覆す発見として特に注目された。外的刺激を利用した新規メカニズムによる細胞操作技術は、将来的にはがんや老化などの幅広い研究に役立つ可能性があると考えられた。また、STAP細胞を発表した論文では、材料としてマウスの体細胞が用いられたが、ヒトの細胞でも作製可能であることが確かめられれば、再生医療の発展に大きく貢献するものと考えられた。

STAP細胞の発表当時、ノーベル賞級の発見としてマスメディアが大きく報じるなどし、高い注目が集められた。程なくして、論文の一部データや画像に論旨を覆すレベルの誤りや盗用が含まれる可能性が指摘され、マスメディアが大きく報じるなどして、さらに注目が集まった。2014年3月時点でSTAP細胞自体の存在にも疑義が呈され、理研は論文取り下げが妥当との意向を示した他、該当論文は捏造を含むと断定するなどの見解を表明している。2014年4月初旬の時点では一連の騒動に決着は見出されていない。

ハーバード大学医学大学院教授チャールズ・バカンティ(Charles Vacanti)は、一貫してSTAP細胞および小保方氏を擁護する姿勢を見せている。

2014年6月初頭、理化学研究所は、小保方ユニットリーダーがSTAP細胞の主論文の取り下げに同意したと発表した。論文取り下げにより、STAP細胞の研究成果は、いったん白紙に戻ることになる。

関連サイト:
Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency - Nature
体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見 - 理化学研究所
細胞外からの強いストレスが多能性幹細胞を生み出す - 理化学研究所

論文取り下げ

読み方:ろんぶんとりさげ
別名:論文の取り下げ
別名:論文撤回
別名:論文の撤回
別名:リトラクト
別名:リトラクション
英語:retract
英語:retraction
英語:retraction in science

学術雑誌に一旦発表された論文を、後から無効とすること。論文に重大な誤りが発覚した場合、あるいは剽窃、捏造などの不正行為が発覚したり、疑われたりした場合に行われることがある。

論文取り下げは、論文の著者自らによって申請されることもあれば、学術雑誌の編集者の判断で取り下げが行われることもある。雑誌の規定により、取り下げの方法は異なっている場合があり、複数著者による論文の場合、取り下げには全員の同意が必要とされる場合もある。

科学誌「Nature」は、2011年に「Science publishing: The trouble with retractions」と題する記事の中で、掲載後に取り下げられる論文の数は増加しつつあると述べている。同記事によれば、2000年代初頭頃の論文取り下げの事例は年間30本程度であったが、2011年には400本以上の論文取り下げがあったという。しかも、これはあくまで問題が明るみに出た事例であって、世界中で実際に行われていると推測される捏造、改竄の実態の中では氷山の一角に過ぎないとも指摘されている。

論文の内容に誤りが見つかっても、それが論文取り下げには至らない程度の軽度の誤りだった場合、後の号でエラッタ(erratum)として訂正情報が掲載されることがある。また、いちど取り下げられた論文が、内容の再検討を経て再投稿、再掲載という形で発表され直す場合もある。

サイエンスライターのイヴァン・オランスキーとアダム・マーカスは、論文取り下げの過程を透明化する目的で、2010年から「Retraction Watch」というブログを運営し、論文取り下げの事例を調査・記録している。

2014年1月、「STAP細胞」に関する論文がNatureに掲載され、後にそのデータや写真の一部に誤りあるいは盗用の疑いがあるとの指摘があり、世間で大きく取り沙汰された。しばらく後、筆頭著者・小保方晴子を含む複数の著者が、論文取り下げの意向を示した。2014年3月14日の記者会見で、筆頭著者が所属する理化学研究所の野依良治理事長は、論文取り下げを視野に入れて調査を継続する方針を明らかにした。6月4日に理化学研究所は筆頭著者が主論文の取り下げに同意したと公表した。

関連サイト:
Retraction Watch
Science publishing: The trouble with retractions - Nature

天安門事件

読み方:てんあんもんじけん
別名:六四天安門事件
別名:六四事件
別名:第二次天安門事件
別名:天安门事件
英語:Tiananmen Square protests

1989年6月4日に中国・北京の天安門広場で起きた、一般市民のデモ隊と中国人民解放軍との衝突、および、軍の武力行使による鎮圧・弾圧。

単に「天安門事件」といった場合は、1976年に起きた民衆と軍との衝突を指すことがある。日本では普通「天安門事件」といえば1989年に発生した事件を指すが、混同を避けるために「六四天安門事件」あるいは「六四事件」などの呼称が用いられることもある。

1989年春の天安門事件は、中国共産党の初代総書記であり中国の民主化に肯定的・積極的だった胡耀邦の死を契機としている。4月半ばに胡耀邦が倒れると、学生らが天安門広場に集い、胡耀邦に追悼の意を捧げると共に、民主化を訴えるデモ活動を展開した。ほどなく民主化の機運は天安門広場から中国の各都市へと広がっていた。

天安門広場に集りデモに参加した民衆は数十万人規模に至ったとされる。

1999年の5月後半、共産党政府は戒厳令を布告し、報道管制を行った。翌6月、天安門広場に武装した中国人民解放軍を投入してデモの鎮圧に乗り出した。丸腰のデモ隊は銃器で掃射した。装甲車に立ちはだかる者はそのまま轢いたとされる。

天安門広場における武力制圧によって、民主デモ隊は多数の死者を出したとされるが、報道管制の影響もあり具体的な死傷者数は明らかになっていない。

中高一貫校

読み方:ちゅうこういっかんこう
別名:中学高校一貫教育校
別名:中学校・高等学校一貫教育校

中学校と高校(高等学校)を一体的に運営し、一貫した教育を提供する学校。またはそうした学校経営、教育体制。

中高一貫校の長所のひとつに、高校受験を目的とした勉強の負荷を免れる、という点を挙げることができる。中学高校の課程を柔軟に組むことができるため、中学時から高校の課程に入って前倒しで終了させて、最終学年では大学受験に向けた勉強に専念する、といったカリキュラムの組み方も可能になる。大学進学への取り組みを有利に運びやすいだけでなく、中学から高校へ進学する際の生活や勉強のリズムを乱さずに済むなどの利点もある。

中高一貫校と同様に、小学校・中学校を一体的に運営する体制は「小中高一貫校」と呼ばれる。小中一貫校は、小学校から中学へ進学した際に顕著に見られる「中1ギャップ」が起こりにくいなどの利点がある。

2014年6月現在、文部科学省は小中一貫教育を「義務教育学校」として学校制度に本格的に導入する検討を始めている。義務教育学校の導入にあたっては、中高一貫校との兼ね合いが大きな検討事項のひとつとなる。

小中一貫校

読み方:しょうちゅういっかんこう
別名:小中一貫教育校
別名:小中連携校

小学校と中学校の義務教育課程を統合し、一体的な教育課程として授ける学校、および、そのような教育体制。

小中一貫校は一般的な小学校・中学校の結びつきよりも緊密に連携しており、受業や生活指導など各方面において一貫性を持っている。より柔軟にカリキュラムを組むことができる他、進学を円滑にすることによって、中学校に進学する際に起こり得る「中1ギャップ」の抑制も期待できる。したがって、学力向上、健全な学校生活の提供、などの成果を得やすくなるといえる。

私立校では、比較的前から少なからず小中一貫校が存在した。近年では公立校でも小中一貫校が増えつつある。2014年6月現在、小中一貫校を学校制度に正式に導入する「義務教育学校」の案が検討されている。

小中一貫校と同様に、中学校と高校(高等学校)の連携を緊密化して一貫教育を提供する学校は、「中高一貫校」と呼ばれる。小学校・中学校・高校までを一体化させた「小中高一貫校」などもある。

関連サイト:
小中連携、一貫教育の推進について - 文部科学省