読み方:みしょうにんやく
別名:未承認医薬品
薬事規制法にもとづく製造販売承認を得ていない医薬品。
医薬品の製造販売には、その国の規制当局による承認が必要となる。日本では厚生労働省が、米国ではFDAが規制当局に該当する。承認が得られなければ市場に流通させることができない。
日本では、未承認薬は「ドラッグ・ラグ」の問題、つまり「国外ではすでに承認され使用されている医薬品が、日本国内では承認の遅れによって使用できない状況にある」といった議論において多く言及される。
2014年半ば現在、西アフリカでエボラ出血熱(EVD)が大流行し、多数の死者を出している。エボラ出血熱に対する有効な治療法・治療薬は確立されていない。その中で治療効果の期待できる薬品がいくつか見い出されており、承認が急がれている。もしくは、未承認薬のまま使用することが検討されている。
エボラ出血熱の治療薬として期待されている未承認薬には、米国の「ZMapp」、日本の「ファビピラビル」などがある。ZMappは臨床試験前の開発途上の段階だが、ファビピラビルは日本国内では特殊条件を付した上で承認されてはいる。
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二酸化塩素ガス溶存液
読み方:にさんかえんそガスようぞんえき
別名:二酸化塩素液
二酸化塩素を有効成分とする液剤。大幸薬品によれば、二酸化塩素に加えて亜塩素酸ナトリウムを1~20パーセント、およびリン酸緩衝液を1~20パーセント含有することを特徴とする薬液を指す。
大幸薬品は二酸化塩素を主成分とする除菌消臭剤「クレベリン」の販売元として(「正露丸」と共に)知られる。二酸化塩素には菌やウィルスを除去する効果があり、大幸薬品は溶存二酸化塩素ガスを安定して維持できる特許を取得している。
2014年9月、大幸薬品は二酸化塩素ガス溶存液を蚊の忌避剤(蚊除け)として用いる技術の特許を自治医科大学と共同で取得したと発表した。折しも前月には蚊を媒介する「デング熱」の国内感染者が数十年ぶりに報告されている。
関連サイト:
二酸化塩素ガス溶存液、蚊の忌避剤としての用途で大幸薬品、自治医大と共同で特許を取得 - 大幸薬品 プレスリリース 2014年9月3日
別名:二酸化塩素液
二酸化塩素を有効成分とする液剤。大幸薬品によれば、二酸化塩素に加えて亜塩素酸ナトリウムを1~20パーセント、およびリン酸緩衝液を1~20パーセント含有することを特徴とする薬液を指す。
大幸薬品は二酸化塩素を主成分とする除菌消臭剤「クレベリン」の販売元として(「正露丸」と共に)知られる。二酸化塩素には菌やウィルスを除去する効果があり、大幸薬品は溶存二酸化塩素ガスを安定して維持できる特許を取得している。
2014年9月、大幸薬品は二酸化塩素ガス溶存液を蚊の忌避剤(蚊除け)として用いる技術の特許を自治医科大学と共同で取得したと発表した。折しも前月には蚊を媒介する「デング熱」の国内感染者が数十年ぶりに報告されている。
関連サイト:
二酸化塩素ガス溶存液、蚊の忌避剤としての用途で大幸薬品、自治医大と共同で特許を取得 - 大幸薬品 プレスリリース 2014年9月3日
ファビピラビル
別名:アビガン
別名:アビガン錠
別名:T-705
英語:favipiravir
富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬。エボラ出血熱(EVD)の治療薬としても期待されている。
日本国内では、2014年3月にファビピラビルを有効成分とする「アビガン錠」が厚生労働省から承認されている。ただし使用は「他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分なものに限る」という特殊な条件下に限る。
既存の比較的よく知られているインフルエンザ治療薬、「オセルタミビル」(タミフル)や「ザナミビル」(リレンザ)といった製品は、「ノイラミニダーゼ阻害薬」に区分される。これら薬剤はウィルスが感染細胞から放出されるのを防ぐ作用を持つ。そのため感染して間もない時期の投与では効果が期待できるが、症状が進みウィルスが体内に拡散してしまった段階ではほとんど効果が期待できない。他方、ファビピラビルは「ウィルスのRNAポリメラーゼを阻害する」という薬理作用を持つ。つまり、ウィルスの増殖を直接に阻害する作用がある。このため、ノイラミニダーゼ阻害薬とは異なり、比較的遅い時期に投与しても効果が期待できる。
ただし、ファビピラビルを妊娠中の女性が服用すると胎児に重篤な副作用を及ぼす危険のあることが知られている。厚生労働省がファビピラビル(アビガン錠)を承認するに当たっては、同薬をパンデミックの発生まで商品を厳格に管理し、流通させないこと、および、投与中や投与後の避妊措置を徹底させることなども条件に挙げている。
ファビピラビルは、オセルタミビル(タミフル)の耐性を持つウィルスや、H5N1亜型などの鳥インフルエンザAウィルスに対しても有効とされる。実際、2013年に中国を中心に流行した新型ウィルス、H7N9亜型に対しては、既存の薬剤の有効性は低く、ファビピラビルのみ効果が見られたと報告されている。
2014年前半に西アフリカでエボラ出血熱(EVD)が大流行(アウトブレイク)し、医療関係者にも感染が広がるなどして、8月現在、世界的流行(パンデミック)が危惧されている。米国メディアのブルームバーグは8月7日、米国政府機関がエボラ出血熱の治療薬として利用可能とするためファビピラビルの承認手続きを急いでいると報じた。ナイジェリアでもファビピラビルは未承認であるが、エボラ出血熱患者に対するの使用を本格的に検討していることが9月初頭に報じられた。
関連サイト:
ファビピラビル製剤の使用に当たっての留意事項 - 厚生労働省
富士フイルムのインフル治験薬、エボラ出血熱治療に有望か - ブルームバーグ 日本語版 2014年8月7日
別名:アビガン錠
別名:T-705
英語:favipiravir
富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬。エボラ出血熱(EVD)の治療薬としても期待されている。
日本国内では、2014年3月にファビピラビルを有効成分とする「アビガン錠」が厚生労働省から承認されている。ただし使用は「他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分なものに限る」という特殊な条件下に限る。
既存の比較的よく知られているインフルエンザ治療薬、「オセルタミビル」(タミフル)や「ザナミビル」(リレンザ)といった製品は、「ノイラミニダーゼ阻害薬」に区分される。これら薬剤はウィルスが感染細胞から放出されるのを防ぐ作用を持つ。そのため感染して間もない時期の投与では効果が期待できるが、症状が進みウィルスが体内に拡散してしまった段階ではほとんど効果が期待できない。他方、ファビピラビルは「ウィルスのRNAポリメラーゼを阻害する」という薬理作用を持つ。つまり、ウィルスの増殖を直接に阻害する作用がある。このため、ノイラミニダーゼ阻害薬とは異なり、比較的遅い時期に投与しても効果が期待できる。
ただし、ファビピラビルを妊娠中の女性が服用すると胎児に重篤な副作用を及ぼす危険のあることが知られている。厚生労働省がファビピラビル(アビガン錠)を承認するに当たっては、同薬をパンデミックの発生まで商品を厳格に管理し、流通させないこと、および、投与中や投与後の避妊措置を徹底させることなども条件に挙げている。
ファビピラビルは、オセルタミビル(タミフル)の耐性を持つウィルスや、H5N1亜型などの鳥インフルエンザAウィルスに対しても有効とされる。実際、2013年に中国を中心に流行した新型ウィルス、H7N9亜型に対しては、既存の薬剤の有効性は低く、ファビピラビルのみ効果が見られたと報告されている。
2014年前半に西アフリカでエボラ出血熱(EVD)が大流行(アウトブレイク)し、医療関係者にも感染が広がるなどして、8月現在、世界的流行(パンデミック)が危惧されている。米国メディアのブルームバーグは8月7日、米国政府機関がエボラ出血熱の治療薬として利用可能とするためファビピラビルの承認手続きを急いでいると報じた。ナイジェリアでもファビピラビルは未承認であるが、エボラ出血熱患者に対するの使用を本格的に検討していることが9月初頭に報じられた。
関連サイト:
ファビピラビル製剤の使用に当たっての留意事項 - 厚生労働省
富士フイルムのインフル治験薬、エボラ出血熱治療に有望か - ブルームバーグ 日本語版 2014年8月7日
ZMapp
読み方:ジーマップ
エボラ出血熱(EVD)の治療薬として開発されたバイオ製剤、抗エボラウイルス薬。米国のマップ・バイオファーマシューティカル(Mapp Biopharmaceutical)が開発している。
2014年9月現在、ZMappは安全性試験が完了していない(未承認薬の)段階である。しかしながら、エボラ出血熱が西アフリカで多数の死者を出し、世界中に拡散する(パンデミックの)可能性が危惧されている状況の中で、新薬の登場が期待されている。
科学誌「Nature」オンライン版では、2014年9月29日、エボラ出血熱に感染した猿にZMappを投与し、治療効果が得られたとする記事が掲載されている。
エボラ出血熱はウィルス性出血熱であり、ウィルスの構造も一部インフルエンザに似ているため、一部のインフルエンザ治療薬もしくは抗ウイルス薬が薬効を示す場合がある。富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬「ファビピラビル」(アビガン)はエボラ出血熱の治療効果が期待されており、これまで同薬を未承認としていた国々が承認および使用を検討している。
関連サイト:
Reversion of advanced Ebola virus disease in nonhuman primates with ZMapp - Nature Published online 29 August 2014
Drug saves monkeys from close relative of Ebola - Nature.com, 20 August 2014
Ebola drug saves infected monkeys - Nature.com 29 August 2014
エボラ出血熱(EVD)の治療薬として開発されたバイオ製剤、抗エボラウイルス薬。米国のマップ・バイオファーマシューティカル(Mapp Biopharmaceutical)が開発している。
2014年9月現在、ZMappは安全性試験が完了していない(未承認薬の)段階である。しかしながら、エボラ出血熱が西アフリカで多数の死者を出し、世界中に拡散する(パンデミックの)可能性が危惧されている状況の中で、新薬の登場が期待されている。
科学誌「Nature」オンライン版では、2014年9月29日、エボラ出血熱に感染した猿にZMappを投与し、治療効果が得られたとする記事が掲載されている。
エボラ出血熱はウィルス性出血熱であり、ウィルスの構造も一部インフルエンザに似ているため、一部のインフルエンザ治療薬もしくは抗ウイルス薬が薬効を示す場合がある。富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬「ファビピラビル」(アビガン)はエボラ出血熱の治療効果が期待されており、これまで同薬を未承認としていた国々が承認および使用を検討している。
関連サイト:
Reversion of advanced Ebola virus disease in nonhuman primates with ZMapp - Nature Published online 29 August 2014
Drug saves monkeys from close relative of Ebola - Nature.com, 20 August 2014
Ebola drug saves infected monkeys - Nature.com 29 August 2014