新語時事用語辞典とは?

2015年4月21日火曜日

バリュープロポジション

英語:value proposition

自社が提供可能な価値で、かつ、他社が提供不可能な価値、かつ、顧客が望んでいる価値のこと。

バリュープロポジションは、例えば、小さな酒屋があり、近くに大型のショッピングセンターができたとする。ショッピングセンターは豊富な品を揃えているため酒屋は太刀打ちできない。この場合、酒屋のバリュープロポジションを考えるとすれば、酒の宅配サービスが考えられる。酒屋は、ショッピングセンターが不可能な宅配サービスを行うことで顧客のニーズに応えることができる。

自社に不利な状況に遭っても、バリュープロポジションを見出すことによって状況を好転できる場合がある。

テクニカルバリュー

英語:technical value

企業が製品やサービスなどの値段を決定する際に、原価や利益などをもとに算出した、計算上の価格のこと。

テクニカルバリューは、企業がこの価格で売りたいという値段であり、その値段を消費者が受け入れれば商品の販売に問題は生じない。しかし、消費者が、この価格なら買いたいという値段(カスタマーバリュー)をテクニカルバリューが上回った場合には、商品の販売は困難になることが多い。

ダブルループラーニング

英語:double loop learning
別名:ダブルループ学習
別名:DL学習

問題解決のために、目的や前提などのさまざまな視点からアプローチすること。アメリカ合衆国の組織論学者であるクリス・アージリス(Chris Argyris)が提唱した。

クリス・アージリスは、ダブルループラーニングをサーモスタットを用いて説明している。サーモスタットは、ヒーターをON、OFFの調整をすることで、設定された温度を保つようにする。これは、ヒーターをON、OFFにするという与えられた手段を用いて問題を解決するもので、シングルループラーニングという。一方、ダブルループラーニングでは、なぜその温度で保つのか、また、部屋に冷気が入ってこないような手段はないのかといった点も検証する。

パワーの源泉

読み方:パワーのげんせん

人に影響を与える力、パワー。

アメリカ合衆国の社会心理学者であるジョン・フレンチ(John R. P. French)とバートラム・ラーベン(Bertram Raven)によると、パワーの源泉には、強制的パワー、報酬的パワー、正当的パワー、準拠的パワー、専門的パワーの5つのパワーがあるとしている。

企業目標、企業戦略の達成のために、パワーの源泉を企業の経営者や管理者が正しく認識して活用することが望ましいとされる。

顧客の視点

読み方:こきゃくのしてん

財務的な成功を収めるために、顧客に対してどのように行動するべきかという視点。

顧客の視点では、製品の品質やデザイン、価格面などから顧客満足度を向上させ、既存の顧客の確保、および、新規顧客の開拓を目指すことを目的としている。また、KPIには、製品満足度やリピート率、市場占有率などが用いられる。

顧客の視点は、バランススコアカードにおける4つの視点のうちの1つで、他には、財務の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点などがある。

業務プロセスの視点

読み方:ぎょうむプロセスのしてん
別名:内部ビジネスプロセスの視点

財務的な成功を収めるために、どのような製品を開発、設計、生産し、どのようなサービスを提供するべきかという視点。

業務プロセスの視点では、イノベーションやオペレーション、アフターサービスなどを活性化させ、顧客満足度のアップを目指すケースが多い。また、KPIには、原価率や棚卸資産回転率、不良品の発生率などが用いられる。

業務プロセスの視点は、バランススコアカードにおける4つの視点のうちの1つで、他には、財務の視点、顧客の視点、学習と成長の視点などがある。

学習と成長の視点

読み方:がくしゅうとせいちょうのしてん
別名:人材と変革の視点

企業として、社員の能力を向上させたり意識を改革させるためにはどのようにあるべきかという視点。

学習と成長の視点では、人材育成を課題として、社員のスキルアップや意識改革を目指す。また、KPIには、従業員満足度や従業員定着率、資格取得者数などが用いられる。

学習と成長の視点は、バランススコアカードにおける4つの視点のうちの1つで、他には、財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点などがある。

グループダイナミックス

英語:group dynamics
別名:グループダイナミクス
別名:集団力学
個人の集団における独特な考えや行動のこと。またそれらの研究。

グループダイナミックスでは、集団が個人に与える影響や個人が集団に与える影響、集団間の関係などを研究対象としている。

例えば、新企画立案のための会議において、個人それぞれが案出するよりも、会議の場で案出したほうがよい企画が出てくる場合がある。これは、グループダイナミックスによる効果であるといえる。

シナリオ分析

読み方:シナリオぶんせき

複数のインプット要素に変化が生じた際に、アウトプットはどのように変化するかを分析すること。仮説検証の手段の1つ。

シナリオ分析は、例えば、商品における売上原価や価格、生産量など(インプット要素)を変更した時に、売上高や利益(アウトプット)がどのように変化するのかの分析に用いられれる。シナリオ分析することで、原材料の値上げや価格引き下げ、工場減産などが生じた場合の戦略をあらかじめ作成しておくことも可能である。

ストラテジーマップ

英語:strategy map
別名:戦略マップ

企業目標や企業ビジョンを達成するために、バランススコアカードの4つの視点を用いて図式化したもの。

ストラテジーマップでは、例えば通販サイトの場合、通販サイトのシステム体制やコンテンツ内容、サービス内容をフローチャートのような図で表し、具体的な目標アクセス数や目標販売件数などを加えていく。そして、図の最終地点に「売上高○○億円」といった企業目標を配置する。

ストラテジーマップの作成により事業戦略が明確になり、問題の早期発見、社員のモチベーション向上などの効果が期待できるとされる。

ちなみに、バランススコアカードの4つの視点には、財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点がある。

残存者利益

読み方:ざんぞんしゃりえき

競合他社の撤退によって、市場に留まり続けた者(残存者)にもたらされる利益。

残存者利益は、飽和状態にある市場や、衰退しつつある事業分野などで発生しやすい。市場の衰退に伴うプレイヤーの撤退は、最終的には、生き残った企業の寡占・独占に至る場合もままある。

インスタントカメラ「チェキ」を販売する富士フイルムは、2008年に米国ポラロイドが事業を撤退したことでインスタントカメラの市場を事実上独占した状態となった。チェキ自体の販売戦略も奏功して2010年代にインスタントカメラの需要が再燃すると、競合不在のため残存者利益を享受できる状況となっている。

朝型勤務

読み方:あさがたきんむ
別名:朝型勤務制度
別名:朝型勤務スタイル
別名:朝型の勤務スタイル

従来の勤務時間よりも早い時間に始業すること、および、企業の勤務態勢をそのように変えていく取り組み。2015年現在、政府が夏季における朝型勤務の導入を普及させるべく活動している。

朝型勤務を導入することで、勤務開始の時刻は従来よりも1~2時間ほど早められる。終業時刻もその分だけ早まり、夕方には家族と過ごす時間の余裕ができる。残業の抑制や仕事の効率化なども期待されている。

政府は2015年4月に、夏から各省庁において朝型勤務を導入する方針を固めると共に、厚生労働省のもとに「長時間労働削減推進本部」を設置、民間企業における朝型勤務の導入を促進するための働きかけを開始している。

関連サイト:
朝型勤務の推進など「夏の生活スタイル変革」に向けた取組を要請しました - 厚生労働省 報道発表資料 2015年4月

テーパータントラム

別名:テーパー癇癪
別名:テーパーかんしゃく
英語:taper tantrum

米国が量的緩和縮小(テーパリング)政策を方針として固めた際に金融市場で生じた動揺・混乱を指す呼び名。テーパリング(tapering)を、癇癪(の発作)を意味する「temper tantrum」に掛けて、市場が癇癪を起こしたというニュアンスを表現した言い方。

テーパリングの方針は2013年に米連邦準備制度理事会(FRB)で決定された。決定が報じられて間もなく市場は大きく反応し、新興市場の資本が売られ、新興国通貨は大幅に下落するなどの動向が生じた。