新語時事用語辞典とは?

2015年6月4日木曜日

フロランジュ法

別名:loi Florange
英語:Florange law

2014年2月にフランスで成立した雇用対策関連の法律。従業員数が1000名を超える大規模事業所は、事業所の閉鎖を計画するに当たり、閉鎖でなく事業所の売却(による事業継続、および従業員解雇の回避)を検討し、最低3ヶ月は売却先を探すように義務づけるというもの。

独立行政法人労働政策研究・研修機構のウェブサイトは、2014年4月の「労働トピック」においてフロランジュ法の概要や経緯を詳しく伝えている。フランスでは2009年から2014年までの5年余りで700を超える1000人規模の事業所が閉鎖しており、新規事業所の設立数よりも閉鎖数が上回り続けている状況にあるという。創業200年を超えるフロランジュ製鉄所の閉鎖を契機として、当時現職のオランド大統領が後のフロランジュ法となる法律の制定を約束、審議を経て2014年に成立した。最終的には「売却先探しの義務づけ」という内容になったが、当初は事業所の「売却の義務づけ」とし検討されていたという。

関連サイト:

閉鎖される事業所の売却先探しなどの義務を強化  ―フロランジュ法による大統領公約の法制化 - 独立行政法人労働政策研究・研修機構

機能性表示食品

読み方:きのうせいひょうじしょくひん
別名:機能性を表示できる食品

「消費者の自主的かつ合理的な商品選択の機会の確保」を主な目的として、食品の商品パッケージへの機能性(摂取効果)の記載を認める制度、および、同制度に基づき機能性情報が表示された食品。2015年4月に開始された。

機能性表示食品の制度においては、食品の機能性に十分な科学的根拠が認められており、機能性の科学的根拠などの必要情報を販売前に国に届け出た上で、事業者が機能説明や販売・販売後対応などに責任を持つ限りにおいて、機能性の表示が認められる。同じく機能性をパッケージに表示できる「特定保健用食品」(トクホ)制度とは異なり、商品ごとに個別に国の審査および消費者庁の許可を得る必要がない。

ソーラーインパルス

英語:Solar Impulse

スイス連邦工科大学が進めている、太陽エネルギーのみを動力とする飛行機(ソーラープレーン)による有人飛行プロジェクト。および、同プロジェクトに使用されるソーラープレーンの呼び名。

ソーラーインパルスの機体には、ソーラーパネルが貼られた、細く、際だって長い翼が備わっている。試作機「HB-SIA」の翼幅は61メートルある。こえは旅客機のエアバスA380の翼幅をわずかに上回る。電力駆動のエンジンを搭載し、飛行中に太陽光エネルギーを蓄えることで夜間も継続して飛行することが可能となっている。

2000年代前半にソーラーインパルスの構想がまとめられ、2009年から試作機「HB-SIA」を使用したテスト飛行が行われている。2010年7月には、昼間に蓄えた電力を夜間に使用する形で26時間の昼夜連続飛行に成功した。2012年6月には、スペインのマドリードからジブラルタル海峡を越えて2500キロメートル先のモロッコに到着し、大陸間飛行に初めて成功した。

2015年6月現在、2号機(ソーラーインパルス2)の世界一周飛行が実施されている。6月1日には悪天候のため着陸予定のなかった日本へ緊急着陸し、日本国内でも少なからず話題を呼んだ。

強毒性ウィルス

読み方:きょうどくせいウィルス
別名:強毒性ウイルス
別名:強毒性ビールス

病原性ウィルスのうち特に毒性の強いウィルスを指す語。総じて致死率が高い。高い感染力を持ちパンデミックに至る危険が高い場合も多い。

2000年代中頃から2010年代初頭にかけては「強毒性鳥インフルエンザウィルス」が強毒性ウィルスとして注目(危険視)された。これは鳥インフルエンザのうち特に毒性の強い亜種であった。

2012年に初めて確認された新型コロナウィルス「MERSコロナウィルス」は、「MERS」(中東呼吸器症候群)の病原となる強毒性ウィルスである。発見当初から2014年までに確認された感染者は約30パーセントの割合で死亡している。


より良い暮らし指標

読み方:よりよいくらししひょう
別名:ベターライフインデックス
別名:よりよい暮らし指標
英語:Better Life Index
英語:BLI

経済協力開発機構(OECD)が発表している、人々の生活の質や幸福度を計測して比較可能とする指標。2011年に初めて発表された。

より良い暮らし指標は、生活に関係する要素を住宅、収入、雇用など計11の分野に分けて評価している。各項目が花弁を模したチャートで表され、花弁の大小によって分野別の充実度の偏り具合や総合的な幸福度の水準などを把握することができる。また、ウェブサイト上で個々人が(自己評価で)指標に回答し、その結果を自国や他国の状況と比較することができるようになっている。

OECDが2011年5月に公表した「概要」資料では、11分野の評価のもととなるデータは以下のようである。

  1. 住宅:一部屋あたり人数、家に水洗トイレがない人の割合
  2. 収入:家計可処分所得、家計金融資産
  3. 雇用:就業率、長期(一年以上)失業率
  4. 共同体:困った時に頼れる親戚、友人がいると回答した人の割合
  5. 教育:高校修了者の割合、15歳児の読解力
  6. 環境:大気汚染
  7. ガバナンス:立法過程の透明性、投票率
  8. 医療:平均寿命、自分の健康状態がよい、大変良いと回答した人の割合
  9. 生活の満足度:生活の満足度の自己評価
  10. 安全:人口あたりの殺人件数、過去12ヶ月に犯罪に巻き込まれた人の割合
  11. ワークライフバランス:長時間(週50時間以上)勤務者の割合、義務教育課程に在学中の子供を持つ母親の就業率、余暇や個人的活動(睡眠、食事)にあてた時間
2011年に発表された(第1回)より良い暮らし指標では、34カ国のデータが集計され、比較できるようになっている。対象国は2014年までに36ヵ国となっている。総合評価の高さを序列づけると、日本はおおむね20位前後に位置づけられている。
関連サイト: より良い暮らし指標:ツールおよびウェブサイトの概要(PDF) - OECD

季節性インフルエンザ

読み方:きせつせいインフルエンザ
別名:季節性インフル
別名:季節性のインフルエンザ
別名:季節性流行性感冒
別名:季節性インフルエンザ感染症
別名:シーズナルインフルエンザ
英語:Seasonal Influenza

インフルエンザウィルスによりもたらされる急性感染症(インフルエンザ)のうち、毎年の冬を中心として流行するタイプの感染症の総称。いわゆる新型インフルエンザと対比される。

季節性インフルエンザは、インフルエンザウィルスの型によってA型、B型、C型の3種に区分される。このうちA型インフルエンザウィルスが最も強力とされる。感染すると主に風邪と似た症状を引き起こすが、多くの場合は免疫機能のはたらきによって数日程度で回復する。体が弱っている者が感染すると重症化する危険もある。

首相官邸ウェブサイトでは、季節性インフルエンザと新型インフルエンザの違いを、ウィルスの抗原性の変化と国民への影響という点から区別している。季節性インフルエンザは毎年流行しつつ僅かな変異を繰り返しており、時として従来のインフルエンザウィルスとは抗原性が大きく異なる亜種が発生する。多くの人がこの亜種に対する免疫を持っていない状態となるため、健康被害が拡大しやすい。

新型インフルエンザとして扱われたインフルエンザウィルスも、発生後に季節性の発生を見せるようになり、多くの人が免疫を獲得するようになれば、季節性インフルエンザとして扱われるようになる。2009年に発生した新型インフルエンザ(H1N1)も2011年には季節性インフルエンザの一種として扱われるようになった。

関連サイト:
インフルエンザ(季節性)対策

バイオテロ

別名:バイオテロリズム
英語:bioterrorism

ウイルスや細菌などのような、生体に悪影響をもたらす病原あるいは毒素を放出する菌などを武力として用い、恫喝や思想表明のために攻撃すること。生物兵器を用いたテロリズム。

生物兵器は培養して増殖させることができるため、他の兵器と比べて安価に製造しやすく、少量の菌でも感染によって被害を拡大させやすい。ウィルスや細菌そのものは肉眼で確認できないため兵器を持ち込みやすく、感染から発症までの潜伏期間を利用して実行犯が逃亡しやすいといった利点もある。

バイオテロに利用されやすい病原体としては、炭疽菌、天然痘、チフス等が挙げられる。

関連サイト:
バイオテロへの対応 - 国立感染症研究所 感染症情報センター 平成14年度(2002年度)感染症危機管理研修会