新語時事用語辞典とは?

2018年3月27日火曜日

刑事訴追

読み方:けいじそつい

刑事事件において検察官が裁判の提起(公訴)を行うこと。刑事訴訟法などで用いられる用語である。

国会などにおける証人喚問の場では証人が「刑事訴追の恐れがある」という理由で証言を差し控える場合がままあるが、これは刑事訴訟法第11章(証人尋問)第146条を根拠にしていると解釈できる。

第百四十六条
何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。
― 刑事訴訟法
一般的な通俗的な文脈では、「刑事訴追」という表現は刑事訴訟法の規定に則った言い方であり、実質的な意味は「起訴」や「提訴」といった言葉とほぼ同義と捉えても大きな問題はないと言い得る。

2018年3月26日月曜日

ガラパゴス左翼

読み方:ガラパゴスさよく
別名:ガラパゴスサヨク
別名:ガラパゴスなサヨク

平和や平等を信奉して右翼的思想と対立するという意味で「左翼」と形容され得るが、一般的あるいは標準的な左翼思想とはまた違った、独特の(ガラパゴス的な)偏狭さや極端さのある日本の左翼思想または左翼論者を指す表現。

政治学者の岩田温は産経ニュースへの寄稿の中で「ガラパゴス左翼」の語を用いている。氏は「リベラル保守」を標榜する立憲民主党議員を引き合いに出しつつ、かれらはリベラルではなく《「憲法9条を守っていれば平和が維持できる」「集団的自衛権の行使容認で徴兵制がやってくる」といった、非現実主義的な「平和主義」を信奉する人々》であり、こういう人々は保守でもリベラルでもなく「ガラパゴス左翼」である、と論じている。

岩田温は同じく産経ニュースに寄稿した別の記事において、ガラパゴス左翼は(GHQが作った)憲法9条を遵奉しつつ同時にアメリカとの協調に反対する姿を矛盾した滑稽な姿であるとも述べている。

関連サイト:
衆院選で注目「リベラル」の意味 非現実的な平和信奉者か 今の日本に必要な「ガラパゴス左翼」との決別  ― 産経ニュース 2017年10月19日
米国強制の憲法守れと唱えるガラパゴス左翼たちの滑稽さ 明確な衆院選の争点 ― 産経ニュース 2017年10月20日

2018年3月16日金曜日

奨学金破産

読み方:しょうがくきんはさん

大学や専門学校に通うために国や地方自治体などから学費を借りた「奨学金」制度を利用したものの、返済がままならず自己破産すること。

朝日新聞デジタルは2018年2月12日付けで「奨学金破産、過去5年で延べ1万5千人」と題した記事を掲載した。同記事によれば、およそ1万5千件の自己破産のうち半数強が本人、残り半数弱は連帯保証人と保証人の破産であるという。

高等教育機関は授業料が上昇傾向にあるが、世帯年収は低下の傾向にある。奨学金に頼らなければ大学進学は困難な進学希望者は少なくないが、卒業しても就職先が見つからず満足な収入が得られない場合もまた多い。非正規の職に就いたとしても奨学金の返済に充てる余裕があるほど賃金が得られる環境ではないことが多い。奨学金破産はあらたな社会問題として持ち上がっている。

2018年3月8日木曜日

リニア談合

読み方:リニアだんごう
別名:リニア入札談合


磁気浮上式リニアモーターカーで東京と大阪を結ぶ「リニア中央新幹線」の建設工事の競争入札に際して談合があったことが発覚した事件の通称。入札に関わったゼネコン最大手4社のうち2社の重役が独占禁止法違反の疑いで逮捕される事態に発展した。

リニア談合は、リニア中央新幹線のターミナル駅を新設する工事の受注予定業者を選定する場面で、受注者の決定と価格の見積もりなどについて示し合わせを行っていたという疑いが持たれている。ブルームバーグ日本語版ウェブサイトが2018年3月5日付で掲載した記事などがこれを報じている。入札は4社が均等に受注するように、あるいは過去に建設に携わった駅に受注されるように調整されたようにも見える状況だった。

関連サイト:
リニア談合で受注ゼネコンに逮捕者、東京都は入札指名停止-Q&A - Bloomberg

スラッシュ雪崩

読み方:スラッシュなだれ
別名:雪代
別名:雪泥流

大量の水気を含んだ雪がなだれ(雪崩)を起こす現象。崩落中の斜面の土砂を巻き込み、雪崩というよりは土石流のようになって下流へと押し寄せる。

富士山の周辺地域は山頂付近に万年雪がある影響などでスラッシュ雪崩が起きやすい。現地では古くから「雪代」の呼び名で畏れられてきたという。最近では2007年と2018年に「大沢崩れ」付近での大規模なスラッシュ雪崩の発生が確認されている。

関連サイト:
富士山周辺で発生するスラッシュ雪崩に注意 - 国土交通省 富士砂防事務所 平成21年2月13日(PDFファイル)
富士山周辺で発生するスラッシュ雪崩の発生条件の検討 - 砂防学会誌 62 巻 (2009) 2 号

2018年3月7日水曜日

住宅宿泊事業法

読み方:みんぱくしんぽう
別名:民泊新法

いわゆる「民泊」事業のルール是正と健全なサービス普及を促すために制定された法律。2017年6月に成立した。施行日は2018年6月である。

民泊は、おおまかに言えば、住宅を利用して宿泊サービスを提供する事業またはその施設である。従来の日本の法制度の下では、宿泊料を対価に徴収する宿泊サービスを継続的に提供する場合は、旅館業法にもとづき簡易宿所営業の許可を得る必要がある。しかしながら、近年では空き部屋の需給をマッチングするサービスが世界的に普及し、民泊の需要も急増、観光客向けビジネスとしての期待も高まっており、結果として許可を得ないまま民泊サービスを提供する「ヤミ民泊」が増加している。

ヤミ民泊は施設やサービスの質が補償されず、衛生環境や近隣とのトラブル発生といった懸念も残る。届け出もされなければ行政側も把握が難しい。2018年2月には、大阪市東成区でヤミ民泊として営業されていた施設でバラバラに切断された女性の遺体が見つける事件が発生している。

住宅宿泊事業法の施行後は、旅館業法に基づき許可を得る方法の他に、住宅宿泊事業法の届出を行うという方法が加わる。(その他にも「特区民泊」の認定を得るという方法もある)。住宅宿泊事業法に届け出る場合は、年間提供日数が制限されていたり、近隣住民とのトラブル防止措置を講じる必要があったりといった制限もあるが、官庁から許可・認可が下る過程がなく、届け出だけで済む(合法的に民泊が営業できる)ようになっている。

関連サイト:
はじめに「民泊」とは - 民泊制度ポータルサイト

ヤミ民泊

読み方:ヤミみんぱく

一般住宅(民家)を宿泊施設として提供する「民泊」のうち、旅館業法の適用対象となる形態で営業しているにもかかわらず認可を得ずに営業している施設または事業者。

2018年3月時点の現行法では、民泊も継続的に営業する場合は旅館業法に基づき「簡易宿所営業」の届け出が義務づけられる。しかし2000年代半ば頃から「Airbnb」とはじめとする空き部屋マッチングサービスが世界的に普及・浸透し、外国人旅行者を中心とする民泊の需要が急増、結果として認可を得ずに宿を提供するヤミ民泊が増加している。

旅館業法は2016年に改正されており、民泊の営業にかかる要件が一部緩和されている。

日本政府は2018年6月15日に「住宅宿泊事業法」(民泊新法)を施行する予定である。同法の施行後は、所定要件の範囲内で営業される民泊は認可でなく届け出・登録の手続きで合法的に営業可能となる。

アリーナ・ザギトワ

別名:アリーナ・イルナゾヴナ・ザギトワ
別名:ザギトワ
別名:Алина Загитова
英語:Alina Zagitova
英語:Alina Ilnazovna Zagitova

ロシア出身のフィギュアスケート選手。2002年生まれ。2018年冬期オリンピック(平昌オリンピック)のフィギュアスケート女子シングルでは15歳にして金メダルを獲得した。

ザギトワは親日家としても知られる。平昌オリンピックでの活躍を契機に日本国内ではひときわ注目と人気とを集め、日本のテレビ局がモスクワまで赴きザキトワの生活を密着取材した。

ご神犬

読み方:ごしんけん
別名:御神犬

神の化身または神の使いである犬(または狼)を敬って言う表現。神社に奉納される犬や犬をかたどった像などもご神犬と呼ばれ得る。

一般的には、「御神犬」と表記する場合は大口真神(おくちのまがみ)を指す。大口真神はニホンオオカミが神格化された神獣である。

埼玉県にある三峰神社は山犬信仰で知られる社であり、境内には狛犬に替えて狼の像が置かれている。

和歌山県にある丹生都比売神社は高野山と縁ある社であり、同社の主祭神である高野御子大神は2頭の犬を従えて弘法大師を高野山へ導いたとされる。

2018年3月6日火曜日

8050問題

読み方:ハチマルゴーマルもんだい

ひきこもりの子をもつ家庭が高齢化し、50代の中高年のひきこもりの子を80代の後期高齢者にさしかかった親が面倒見るケースが増えている、という社会問題のこと。

いわゆる「ひきこもり」は一般的には10代~20代の若者の問題として捉えられがちだが、ひきこもりの問題が顕在化した1980~90年代から30年ほど経た現在、当時のひきこもり世代が社会に出る機会を逃したまま今なおひきこもり続け、50代になろうとしている、という例が少なくないと見られている。生活は以前と同様に親に頼ることになるが、親も仕事は退職しており家計も厳しくなる一方、また体力も衰えはじめ面倒を見切れなくなり、親子ともに世間から孤立しがちになると指摘されている。

なお「8020」は「80歳までに20本以上の歯を残そう」という健康維持の運動であり8050問題とは特に関係ない。

新燃岳

読み方:しんもえだけ

九州南部・宮崎県と鹿児島県の県境にある霧島連山につらなる火山。標高1421メートル。山頂部には直径数百メートルの火口がある。ここ数百年の間にも幾度となく噴火しており、現在も活発な火山活動が見られる。

2017年後半から2018年3月にかけては大量の火山灰の噴出が確認され、噴火警戒レベル3(入山規制)に指定され警戒が呼びかけられた。2018年3月6日にはとりわけ大きな噴火が観測されている。

横綱審議委員会

読み方:よこづなしんぎいいんかい
別名:横審

日本相撲協会理事長の諮問機関。力士の横綱昇進を推薦し、力士の品格や力量が横綱にふさわしいか審議する。成績や素行に問題のある横綱の去就についての勧告なども行っている。

横綱審議委員会は角界の有識者十数名、いずれも元力士ではなく各界の好角家で構成されている。実業家、学者、作家、ジャーナリストなど、肩書きはさまざまである。

横綱審議委員会は日本相撲協会とは別個の機関であり、独立した意思決定機関として機能している。とはいえ角界のスキャンダルが持ち上がるような場面では諸共に非難のやり玉に挙げられるような場合も多い。

みなし業者

読み方:みなしぎょうしゃ
別名:見なし業者
別名:見做し業者
別名:みなし事業者

非営利目的で事業に携わる(という点で営利目的で事業を営む者=「事業者」には厳密には該当しない)が、法的な扱いとしては営利目的の「事業者」と等しく位置づけられる業者のこと。または、登録・認可が必要な業種において登録申請中のまま営業している事業者のこと。

非営利団体をみなし業者と呼ぶ例は、不動産の売買などに携わる「宅地建物取引業者」すなわち不動産会社の分野において見られる。宅地建物取引業者はいわゆる宅建法にもとづき行政側の認可を得る必要があり、公益法人や信託銀行などが非営利で同種の土地仲介を行う場合も同種の認可が必要となる。

登録・認可が必要な業種において登録申請中のまま営業している事業者を「みなし業者」と呼ぶ例は、2017年に「仮想通貨交換業」が登録制となった前後の話題において見られた。仮想通貨交換業の登録制度は2017年4月に、仮想通貨(暗号通貨)交換事業者が多く登場してから後追いの形で成立した。申請を受けて審査中の事業者は「みなし業者」として営業を継続した。審査を経て認可が下りなかった仮想通貨交換事業者は廃業することになった。2017年10月までに40社ほどの仮想通貨交換事業者があったものの、審査を受けて10数社は廃業に至ったと報じられている。

お嬢サバ

読み方:おじょうサバ

JR西日本と鳥取県が共同開発した養殖のサバ(マサバ)のブランド。「鳥取生まれの箱入り娘」の二つ名をもつ。

お嬢サバは、完全養殖のマサバの稚魚を、「地下海水」を用いて陸上施設で飼育する形で養殖されている。地下海水は海ちかくの地下水に由来する水である。この方法により、サバに付くアニサキス等の寄生虫を寄りつかせない、生の刺身でも安全に食べられるサバの養殖が実現されている。

お嬢サバは2012年から鳥取県栽培漁業センターで養殖試験が進められていた。2017年にJR西日本が加わって鳥取県岩美町で本格的な陸上養殖事業を開始、限定的な販売も始めた。2018年3月8日の「サバの日」に本格的な出荷が開始される。

なお「お嬢サバ」の名称は西日本旅客鉄道株式会社の登録商標である。

関連サイト:
3月8日(サバの日)から高付加価値マサバ「お嬢サバ」販売開始 - 西日本旅客鉄道株式会社

2018年3月5日月曜日

中低速リニア

読み方:ちゅうていそくリニア
別名:中低速リニアモーターカー
英語:medium-low speed magnetic levitation
英語:medium-low speed maglev

リニアモーターを推進力に用い、かつ、一般的にリニアモーターカーが実現する速度よりは低速で運用されるリニアモーターカーの路線または車両の通称。

日本語では「リニアモーターカー」というと時速500キロ台に達するような超高速システムが想定されがちであるが、いわゆる中低速リニアは時速100キロ台前半で運行するシステムが主に念頭に置かれる。

中国湖南省で2016年5月に試験営業運転を開始した「長沙磁浮快線」は、中国で開発された中低速リニアの路線の例といえる。同路線は磁気浮上式のリニアモーターカーであり、最高時速は120キロ、平時は時速100キロで運行される。

関連サイト:
中国初の中低速リニアモーターカー線、乗客載せた試験営業運転を開始―湖南省長沙市 - レコードチャイナ

山葵沢地熱発電所

読み方:わさびざわちねつはつでんしょ

秋田県湯沢市の山葵沢地域に建設される地熱発電所。2015年に着工した。2018年現在、翌2019年の稼働開始を目指して工事が進められている。

発電規模は42000キロワットに上ると見込まれている。これは、およそ8万世帯の電力がまかなえる電力量であるという。

山葵沢地熱発電所が湯沢地熱株式会社によって建設が進められている。同社は電源開発株式会社(Jパワー)、三菱マテリアル株式会社、三菱ガス化学株式会社の共同出資によって2010年に設立された事業者である。山葵沢地域の地熱の調査そのものは1990年代から進められてきた。

火山の多い日本の地熱量は世界でもトップクラスに位置づけられるが、地熱発電所の開発はさほど進んでいるとは言いがたい。山葵沢地熱発電所が完成すると、1万キロワットを超えるクラスの大規模地熱発電所としては20数年ぶりの新設になるという。

モルゲッソヨ

別名:모르겠어요
英語:Moreugesseoyo

2018年に韓国・平昌で開催された冬季オリンピック・パラリンピックのメインプレスセンター前に置かれてあるオブジェの通称。日本のインターネット上の一部界隈で面白がられ、ちょっとした流行の様相を呈した。

「モルゲッソヨ」という語そのものは、もともとはハングルで「知りません」と表現する言い方である。

オブジェは3体の裸像である。金属光沢ある筋骨隆々の裸の男が頭部にのみ布か何かを被って直立している姿に造形されている。

同オブジェはキムジヒョンが2009年に「弾丸マン」(Bullet Men)と題して発表した作品であるが、冬季五輪に先だって取材に向かった日本のメディアが現地スタッフにオブジェについて尋ねたところ、知りません(モルゲッソヨ)との回答を得た。これをそのまま報じたところ、像の不可解さと語感の珍妙さが相まって少なからぬ注目を集めた。

2018年3月2日金曜日

花粉光環

読み方:かふんこうかん
別名:花粉光冠

大気中をただよう花粉の影響で光環(光冠)が生じる現象。

光環は、大気中の微粒子が光の回折をもたらし、太陽や月といった光源を囲むような形で虹色の輪が生じる現象である。光環はチリ・ホコリや水蒸気などのような微粒子によって生じることもある。特に花粉を要因とする光環が花粉光環と通称されている。

花粉の舞い始める初春にみられる光環は、花粉による花粉光環である可能性が高い。光環が生じるということは、大気中におびただしい量の花粉が飛散していることの現れであり、花粉症を患う人にとっては要注意の信号でもある。