新語時事用語辞典とは?

2018年10月30日火曜日

リストラハラスメント

リストラ(企業の人員削減)における解雇の対象・候補となった従業員へ行われるハラスメント(嫌がらせ)行為、という意味で用いられる表現。略して「リスハラ」と称される場合もある。

リストラハラスメントは大ざっぱにいえば「リストラ対象者に対するパワハラ」である。上司を筆頭として社内の風当たりが理不尽に強くなったり、いわゆる「追い出し部屋」に類する窓際の部署に配属されたり、といった対応が典型的なリストラハラスメントとして上げられることが多い。

リストラハラスメントは、会社としては辞めさせたい従業員を自ら辞めるように仕向ける(追い込む)意味合いで行われる。その意味において「追い出し部屋」と同様、使用者の思惑に基づき行われる嫌がらせである。

なおリストラハラスメントを含む「~ハラスメント」という言い方の大半は和製英語であり英語でそのまま述べても通じない。

バイオハッカー

英語:biohacker

生体すなわち(自分自身の)身体に手を加えて生活の効率化や生産性の向上を図ろうとする者、という意味で主に用いられる表現。バイオハック(biohacking)を実践する者。

バイオハッカーの典型的な実践内容としては、ICチップ等の電子デバイスを身体に埋め込み、認証の必要なポイントを手ぶらで通過できるようにする、といった取り組みが挙げられる。

いわゆる「バイオハック」そのものは、バイオハッカーによる身体改造を指すとは限らず、脳の働きや身体能力を高効率で開発するための諸種の取り組みや、研究機関に属さず個人レベル・DIYレベルで行われる高度な生物工学的研究、あるいは、遺伝子操作の未踏の研究分野に取り組むため自身を被験者として人体実験を行うような者なども含み得る。そうした実践者をバイオハッカーと呼ぶ場合もなくはない。

ママ閉店

読み方:ママへいてん

育児にいそしむ母親が、ひとときの休憩、息抜き・ガス抜きの時間を設けるという意味で宣言する言葉。Twitter上に投稿されたツイートに端を発し、賛否両論のちょっとした議論を呼んだ。

ママ閉店という表現からは「ママ業からの(一時的な)開放」、母親としての役割から離れて羽を伸ばす、という能動的な姿勢のニュアンスが汲み取り得る。

ママ閉店という表現の拡散の発端となったツイートは、2018年8月に投稿され、10月末時点で7万回以上リツイートされ「いいね」数は28万件を超えるという反響を呼んでいる。

ママ閉店という言葉・考え方に対する反応の中には、そういう積極的な切り替えは大事だ、という賛同の声もあれば、一時的とはいえ子育てに「閉店」とは何事か、という非難・批判の声もある。

年功助力

読み方:ねんこうじょりょく

長年の経験や知識を持つ高齢者を、アルバイトやパートで採用する取り組みのこと。年の功をいかした戦略的なシニア雇用。株式会社リクルーティングホールディングスが「2018年のトレンド予測」においてトレンドワードとして提唱した語である。

関連サイト:
年功助力 ― 株式会社リクルートジョブズジョブズリサーチセンター

訪問美容師

読み方:ほうもんびようし
別名:訪問理容師
別名:訪問理美容師

客のもとへ赴き(訪問して)散髪や洗髪といった理美容のサービスを提供する者、および、そのサービス。主に介護・福サービスの一環として行われる。

訪問美容師のサービスは外出のままならない高齢者や身体障がい者を主な対象とする。理美容師は客のもと(高齢者宅やケア施設など)を訪問して現地で理美容サービスを提供する。基本的な提供内容は散髪・染髪・整髪といった通常の理美容サービスである。

高齢者や障がい者の中には、移動に車いすが必須だったり、姿勢の維持や柔軟な変更が困難だったり、あるいは発話がままならず希望の仕上がりを満足に表現できなかったりする場合も少なくない。そうした状況に適切に対処するための、車いすの扱い方やコミュニケーションの取り方といった介助・福祉に関する知識や技能が、訪問美容師には求められる。

理美容師の資格を取得した上で介護福祉の知識や技能を学び、福祉サービスとしての訪問美容師の専門技能を得た者を、特に「福祉美容師」「福祉理美容士」と呼ぶ場合がある。「福祉美容師」は国家資格ではないが、日本理美容福祉協会をはじめとするいくつかの団体が講習や修了認定などを行っている。

なお「美容師」と「理容師」は、それぞれ別個の法律に基づく国家資格であるが、両資格の違いをことさら意識しない文脈では「理美容師」と総称したり一方の呼称のみ用いられた状況で理美容師どちらも含む総称だったりする場合も多い。

デジタル課税

読み方:デジタルかぜい
別名:デジタル税
別名:デジタルタックス
英語:digital tax
英語:digital taxation
英語:digital services tax

インターネットを通じて提供・販売されるサービスやコンテンツで得た売上高に対する税、および、そのような課税制度の通称。デジタル経済圏を対象とする課税システム。

2018年10月、英国の財務大臣がデジタル課税の導入を宣言し。大きく報道された。英国はデジタル課税を2020年から導入し、課税対象は年間の売上高が5億ポンドを上回る大手企業に絞られるという。デジタル課税の導入が実現すれば、少なくとも先進諸国の中では初の事例となる。

デジタル課税の構想そのものは、ことさら目新しいものというわけではない。日本でも2015年にはデジタルコンテンツの配信を対象に見据えた課税制度の見直しが試みられている。

デジタル課税の導入には、デジタルコンテンツの提供という役務をどういう区分・位置づけで扱うか、国外にサーバーがある(海外の事業者の)サービスをどのように扱うか、等々の容易ならざる検討事項が立ちはだかる。英国の構想においては、課税対象に該当するか否かの基準を世界売上高に応じるものとする、と報じられている。

2018年10月24日水曜日

職住近接

読み方:しょくじゅうきんせつ

職場の近くに住むこと。職場と住居が近い状況。国土交通省などが通勤時間の短縮や満員電車を目的として提唱しているキーワードである。

現代日本の都市圏、とりわけ首都圏においては、都心部にオフィスが集中し、労働者は校外の住宅地から長距離の通勤を経て職場に向かう、という構図が定着しているが、労働者の時間が通勤に浪費されたり、通勤時間における公共交通機関が常に混雑するといった多くの難点を抱えている。

国土交通省は、2000年代初頭にはすでに「職住近接」「職住の近接」を目指す都市構造の整備に向けた提議・検討を行っている。具体的には、既存のオフィス施設を家族向け賃貸住宅に転用するといった取り組みの推進などが行われている。

「職住近接」に医療施設も加えて「医職住近接」というキーワードが用いられる場合もある。なお「住職(じゅうしょく)近接」ではない。

関連サイト:
都心居住の推進 - 国土交通省 2003年3月(PDFファイル)
国土交通行政の動向 2.職住近接のまちづくり ― 国土交通白書 2002年

ピット飲食

読み方:ピットいんしょく

仕事などでさまざまな役目をこなす合間に、単独もしくはごく少人数で、気分を切り替えたり、自分らしい時間を過ごしたりといった目的でとる食事の時間のこと。株式会社リクルートホールディングスが発表「2018年のトレンドキーワード」(飲食領域)として提案したキーワード。

昨今は人口減少や女性の社会進出、あるいは仕事の終了時間の早まりなどの要因により。一人ひとりの役割が徐々に増えつつあり、特にここ1年(発表時点)でその傾向が顕著になっている、とリクルートは分析している。自身の役割を切り替えるためには頭の切り替えが必要となる。役割が切り替わる合間には隙間時間も発生する。その隙を縫うようにして駅ナカや駅チカのカフェなどで軽く飲食を取る、このような飲食・小休憩が「ピット飲食」であるといえる。

関連サイト:
2018年のトレンド予測 ― 株式会社リクルートホールディングス(PDFファイル)

2018年10月23日火曜日

トロフィーハンター

成果・戦利品の獲得をもっぱらの目的として狩猟(ハンティング)を行う者のこと。趣味として狩猟を楽しみ、野生動物を無意味な死に至らしめている者たち、という意味で(非難を込めて)言及される場合が多い語。

トロフィー(trophy)とは日本語でいう「記念品」を意味する英語である。もともとは狩猟の成果として持ち帰られる角や皮革などを指す語として解釈されるが、今日では単に「狩猟動物」のことを指しているともいえる。

昨今では「こんな大物を仕留めた」といって獲物と記念撮影した写真をSNSに投稿し、これが多くの人の目に触れて大きな非難を呼ぶ(炎上)騒ぎに発展する場合も少なくない。

トロフィーハンターの行動は、動物愛護の立場からは「仕留めた獲物を生活の糧とするわけではない」「狩猟が生活のためのやむを得ない営みというわけではない」「単なる趣味・娯楽として行っている」という点で厳しい批判・非難の対象となっている。

なお、文脈によっては、あらゆる競技大会に参加して優勝・上位入賞をかっさらっていくような競技者をトロフィーハンターと呼ぶ場合があり得る。

2018年10月22日月曜日

ストローマン論法

読み方:ストローマンろんぽう
別名:ストローマン手法
別名:ストローマン

相手の発言に含まれている非本質的な(些末な)部分を誇張したり意図的に曲解したりして歪めた上でそのねじ曲げられた言説を否定・反論するといった論駁や批判の方法を指す言い方。

ストローマン(straw man)はもともとは藁で作られた人形(藁人形)を指す英語の名詞である。

政治家の舌禍(問題発言)が新聞やテレビなどのマスメディアにより取り沙汰される騒動の中には、発言の流れを一切顧慮せずに言葉が切り取られて槍玉に挙げられている場合もある。これはストローマン論法に該当する論法といえる。

2018年10月、第4次安倍改造内閣の発足に伴い文部科学大臣に就任した柴山昌彦が、記者会見の場で教育勅語へ言及し、これを朝日新聞や毎日新聞などが激しく非難したが、大臣の教育勅語への言及はNHKの記者が教育勅語についてどう思うかと質問したことへの返答だった。朝日も毎日も質問に回答して述べたという脈絡には触れていない。

関連サイト:
(社説)教育勅語発言 柴山文科相の見識疑う ― 浅し新聞デジタル 2018年10月5日
柴山氏の教育勅語発言 早くも時代錯誤の登場だ ― 毎日新聞2018年10月5日 東京朝刊
内閣改造で初入閣 柴山昌彦文科相が会見(2018年10月2日) ― THE PAGE(ザ・ページ) via YouTube

2018年10月1日月曜日

図柄入りナンバープレート

読み方:ずがらいりナンバープレート
別名:図柄入りナンバー
別名:図柄ナンバー

地の部分に色つきの図柄があしらわれた自動車用ナンバープレートの総称。基本的には、地方自治体が発行するナンバープレートを指す。その他にも2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催を記念した図柄入りナンバープレートなども登場している。

地方自治体が交付する図柄入りナンバープレートは、発行主体である地方自治体があらかじめ選定したご当地ならではの意匠がナンバープレートの地の部分にあしらわれている。いわゆる「ご当地ナンバー」や「デザインナンバープレート」に通じる制度といえる。

ご当地の図柄入りナンバープレートは2018年10月から全国41の自治体が交付を開始した。なお対象となる車両は自家用・事業用の普通車、および自家用の軽自動車に限られる。