新語時事用語辞典とは?

2018年12月21日金曜日

特別背任容疑

読み方:とくべつはいにんようぎ

特別背任罪に該当する罪を犯したのではないかという疑い、逮捕事由。特別背任の容疑。

特別背任(罪)は会社法に規定されている犯罪行為であり、会社の経営に深く関わる立場・役職の者が私利などのために会社経営の任務に背き、会社へ損害を与えるような行為を指す。会社法第961条(取締役等の特別背任罪)以下に規定がある。

2018年11月に、日産自動車の会長を務めていたカルロス・ゴーンが金融商品取引法違反の容疑で逮捕された。東京地検特捜部は拘留の延長を求めたが東京地裁がこれを却下し、地検の準抗告も地裁に却下され、ゴーン氏は翌12月に保釈される見通しであったが、検察は氏を特別背任容疑で再逮捕した。

2018年12月18日火曜日

妊婦加算

読み方:にんぷかさん

医療機関において妊婦を対象に医療費(受診料)がいくぶん上乗せされる制度。2018年4月に開始されたがあまり周知されておらず、数ヶ月後に大いに物議を醸すこととなった。

妊婦加算は診療報酬の改定に伴い新設された項目であり、根本的には、妊婦が安心して出産を迎えられるように医療環境を整えるという意義にもとづく施策である。

妊婦の外来診療には、胎児への影響を顧慮した丁寧な診療や処方が求められる。従来は、妊婦の診療を遠ざけ産婦人科での受診を促すような医療機関もあり、しかし産婦人科では当該診療科の診察がままならない場合もあったりして、どっちつかずの状況で妊婦が不安に陥る場合もあったという。その意味で、妊婦加算は診療報酬を上乗せすることで妊婦の診察に積極的な医療機関を増やす制度とも言い得る。

しかしながら、妊婦加算はどちらかといえばひっそりと実施され、当時マスメディアにより大きく取り上げられることも多くはなかった。9月頃にTwitter上で妊婦加算の話題が爆発的に拡散し、マスメディアにも取り上げられ、多くの人の知るところとなった。ウェブ上では「当の妊婦もしらないうちにひっそり施行された」という印象を持つ人が大勢を占め、「妊婦税」「妊娠税」のような仇名がつき、さらには「妊婦を優遇するべき所ではないか」「少子化を促す制度か」といった批判の声が噴出した。

実際、コンタクトレンズの処方のように明らかに妊婦か否かが無関係な診療においても妊婦加算が適用されている、というような問題も生じていたという。

2018年12月半ば、厚生労働省は妊婦加算の制度を凍結することを決定、会見を開いて公表した。

関連サイト:
厚生労働省 根本大臣会見概要 H30.12.14

テクノ法要

読み方:テクノほうよう

寺で行われる各種儀式(法要)に、いわゆるテクノミュージックのコンサートにおけるパフォーマンスとして行われるような照明・音響ノウハウを導入・合体させた、法要の様式の通称。

テクノ法要は浄土真宗本願寺派・照恩寺の当代(第17代)住職が2016年に始めた試みとして知られる。照恩寺のテクノ法要では、伝統的な声明(読経をはじめとする声楽)にテクノボイス・テクノサウンドといった音響技術が、同じく堂内の荘厳にはプロジェクションマッピングや舞台照明技術が融合され、住職はDJとして場を司る。いずれも「極楽浄土は光の世界」というコンセプトに基づく表現である。

テクノ法要はおおむね好評をもって受け容れられ、2018年現在まで回を重ねている。2018年後半には他宗(真言宗)の京都・大報恩寺とのコラボレーションによるテクノ法要が実現され、ドローンに乗った仏が来迎さながら飛翔するパフォーマンスも披露された。

関連サイト:
テクノ法要 ― 照恩寺

2018年12月3日月曜日

ポリアモリー

英語:polyamory

複数の相手と同時に並列的に恋愛関係を築くこと、そのような恋愛のあり方を是とする考え方・価値観、あるいは、そうした考え方に基づき複数人と関係を持っている人のこと。

ポリアモリーの考え方は、恋愛や婚姻は必ずしも1対1の関係ばかりではなく、1対多や多対多の恋愛関係もあり得る、という捉え方において特徴づけられる。ポリアモリーの恋愛関係は(世間一般の恋愛観を同様)当事者全員の同意の上に結ばれるものであり、浮気や不倫のような不誠実な側面を含む関係とは一線を画す。

SOGIハラ

読み方:ソジハラ
別名:SOGIハラスメント
別名:ソジハラスメント

個人の性に関連する認識をダシにして差別的言動を加える等の心身の苦痛をもたらす行為(ハラスメント)の総称。

「SOGI」は性的指向(sexual orientation)および性自認(gender identity)を総称する概念である。性的指向は男女(異性と同性)のどちらを性愛の対象として捉えているかという要素であり、性自認は自身を男女どちらの性と認識しているかという要素である。これら要素における少数派がLGBT(いわゆる性的マイノリティ)である。換言すればSOGIは性的マイノリティもマジョリティ(多数派)をも包含する概念である。

性的マイノリティは多数派から見れば異質に映りがちであり、それが異端を排除する言動として表れる場合も珍しくない。そうした言動が当事者に苦痛をもたらす場合、その言動はSOGIハラに該当する。」

LGBT法連合会、ヒューマン・ライツ・ウォッチ等が主催する「なくそう!SOGIハラ」キャンペーンでは、「差別的な言動や嘲笑、いじめや暴力などの精神的・肉体的な嫌がらせを受けること」および「望まない性別での学校生活・職場での強制異動、採用拒否や解雇など、差別を受けて社会生活上の不利益を被ること」がSOGIハラであるとされている。

なお「Sexual Orientation and Gender Identity」および「SOGI」の語は英語圏でも広く用いられている語であるが、SOGIハラスメント(SOGI harrasment)という表現は英語圏では用いられていない。いわば和製英語の類である。ハラスメントを「ハラ」と略する言い方も日本独自のものである。

関連サイト:
なくそう! SOGIハラ

SOGI

読み方:ソジ
別名:Sexual Orientation & Gender Identity
別名:Sexual Orientation and Gender Identity
別名:性的指向と性的アイデンティティ
別名:性的指向と性同一性

個々人の性的指向および性自認の総称。「LGBT」を拡張した概念として用いられることがある。

性的指向(sexual orientation)は、男女どちらを性愛の対象と認識するかという要素である。性自認(gender identity)は、自らの性を男女どちらと捉えているかという要素である。

LGBTはレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル、およびトランスジェンダーの総称であり、すなわち性的指向や性自認が少数派に属する人々を指す表現である。SOGIは少数派・多数派という区分を設ける以前の「性的指向や性自認」の概念そのものを指し示す語であり、LGBTもそうでない(いわゆるノーマルな)人々も包含する。

性的指向や性自認にかかわる無思慮な言動や差別的言動、あるいは不本意な性別に基づく生活の共用などによって心的苦痛を与えることを「SOGIハラスメント」と呼ぶことがある。