新語時事用語辞典とは?

2020年3月31日火曜日

COVID-19

読み方:コビッドナインティーン
読み方:コビッドじゅうきゅう
別名:2019年コロナウイルス感染症
別名:2019年型コロナウイルス感染症
別名:新型コロナウイルス感染症
別名:新型コロナウイルス関連肺炎
別名:新型冠状病毒感染症
別名:武漢肺炎
別名:Coronavirus Disease 2019

2019年に中国の武漢(湖北省武漢市)で初めて確認された新型コロナウイルスによる感染症。WHO(世界保健機関)が「COVID-19」を公式な呼称と定めた。

厳密にいえば COVID-19 は「感染症」を指す語であり、つまりウイルスがもたらす疾患、肺炎などの諸症状を指す語である。原因であるウイルスそのもの(新型コロナウイルス自体)は「SARS-CoV-2」と命名されている。

ただし学術的な文脈などでもなければ「新型コロナウイルス」も「新型コロナウイルス感染症」も大して厳密には区別されない場合が多い。区別なく、あるいは総称として、「新型コロナ」程度の略称が用いられることも多い。

コロナ禍

読み方:コロナか
別名:コロナウイルス禍

いわゆる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が招いた危機的・災厄的な状況のこと。社会的・政治的・経済的な、混乱・不安・損失などを総称した言い方。

新型コロナウイルスは2019年に中国の武漢で初めて確認され、2020年初頭から急速に世界中に感染を拡大し、同年春現在まさに世界的な混乱がもたらされている。

2020年3月30日の時点で、全世界のトータル感染者数は約73万人に上っている。死者数はすでに3万5千人を上回っているという。フランスのアナドル通信(Anadolu Agency)がこれを伝えている。(参照:COVID-19: Global death toll surpasses 35,000

健康被害だけでなく経済にも深刻な打撃がもたらされている。イタリア、フランス、アメリカをはじめとする複数の国・都市において非常事態宣言が発令されており、感染封じ込めのために人々の行動(主に外出)を制限する「ロックダウン」(都市封鎖)の措置が取られた都市も少なくない。飲食店や観光産業は事業が継続できておらず立ち行かなくなっている。

人々も行動の自由が著しく制限され、不満と不安を募らせている傾向が顕著になりつつある。日本では人々がマスクを買うためにドラッグストアに長蛇の列をなし、アメリカではトイレットペーパーや食料品の買い占めが起こり、イタリア南部では住民が暴徒化しスーパーマーケットを襲撃する騒ぎまで生じている。

3月末の時点では、このコロナ禍にいつ光明が差すのか定かでない。パニックを起こしたり自暴自棄になったりせず、「自分は大丈夫」のような思い込みや「自分は例外」のような思い上がりを自らいさめ、冷静に協調的に事の経緯を見守ることが求められる。

ブーマーリムーバー

英語:boomer remover

新型コロナウイルス(COVID-19)の異称として主に英語圏で用いられ始めた俗な表現。字義は「高齢者を排除するもの」。

boomer は「babyboomer」(ベビーブーマー)の略であり、戦後ベビーブームの時代に生まれたいわゆる団塊の世代のことである。2020年現在では後期高齢者となっている。

体力のある若者は、新型コロナウイルスに感染しても命に関わるほど重篤な症状には至りにくいとされる。逆に、体力や免疫力が相対的に低い高齢者が感染した場合は、症状が重篤化して死亡に至る危険が高い。

「ブーマーリムーバー」という呼称は海外の若者世代がSNSのハッシュタグ等でを使い始め広まっていった言い方である。日本でも同様の発想が(たいてい「老害」という表現と絡めて)発言される例が散見される。

3密

読み方:さんみつ
別名:3つの密
別名:三つの密
別名:三密

3密は、時事用語としては「密閉」「密集」「密接」の3要素の総称。2020年春現在、いわゆる新型コロナウイルスの集団感染(クラスター)発生を防止するため「外出時に避けるべき場所」を示す。国や自治体が中心となって呼びかけている指針であり標語でもある。

首相官邸と厚生労働省が作成公開したチラシでは「3密」を次の3項目の略として扱っている。
  1. 換気の悪い《密閉》空間
  2. 多数が集まる《密集》場所
  3. 間近で会話や発声をする《密接》場面
この3条件が揃う場所に身を置き、そして同じ場所に感染者が居合わせた場合、集団感染が発生するリスクが高いとしている。(むろん3密が揃わない限りは安心安全という意味ではなく、3密すべての要素が揃わなくてもリスクは生じる)

3密に該当する場所の典型としては、ナイトクラブやバーといったいわゆる「夜のお店」、ライブハウス、カラオケ店などが挙げられる。こうした場所を経由した感染事例が3月末時点ですでに多数確認されている。

東京都は2020年3月30日に都庁で緊急記者会見を開き、ナイトクラブやバーやライブハウス等の「3密」場所の利用を当面控えるよう呼びかけた。

関連サイト:
「密」を避けて外出しましょう ― 首相官邸(PDFファイル)

2020年3月27日金曜日

ノーサイド

英語:no side

ノーサイドとは、ノーサイドの意味

ノーサイド(no side)とは、ラグビーで試合が終了した状態のこと。ラグビーの試合が終わり、敵味方の区別(side)がなくなる(no)ことから来ている。ここから転じ、両者の戦いが終わった後、互いの活躍を労う意味や、諍いを起こしていた2者が和解する意味でこの語が比喩的に使用されることがある。ラグビーの試合という文脈で用いる場合は「南高校ラグビー部は、後半4分に西島のトライで得たリードを守りきったまま、ノーサイドを迎えた」、比喩的に用いる場合は「原告側と被告側の主張は平行線を辿る一方であり、いつノーサイドが訪れるかはわからない」という使い方をする。

ラグビーの試合が終了した場合、レフェリー(主審)は「ノーサイド」と宣言して笛を吹く。ただし、英語圏ではno sideの宣言は1970年頃の使用例を最後に廃れており、以降はfull timeの語がラグビーの試合終了の意で用いられている。2020年現在、no sideを試合終了の意で用いるのは日本だけである。国際試合においても、審判が試合終了を告げる笛を吹く際にノーサイドの宣言を伴うことはなく、試合の観戦記事や実況などで用いられるのみである。

ノーサイドの起源

ノーサイドの語が使われるはっきりとした起源については記録が存在しないが、最初にこの語が使われたのは、ラグビーが誕生した頃と同時期であると言われている。1857年に出版された「トム・ブラウンの学生生活」では、ラグビー校のフットボールの試合で試合終了時に審判がno sideと宣言した、という記述が存在する。ラグビー発祥の地であるイギリスでは、フットボールの試合が終わった後に両チームのメンバー全員が酒宴を開いて互いの健闘を称える「アフターマッチファンクション」という文化があり、試合が終わった後は敵味方の区別が取り払われるという観念は黎明期から存在していた。no sideの語もこうした観念を下敷きに誕生したとされている。

日本におけるノーサイドの使われ方

日本にラグビーが伝わったのは明治時代であり、ノーサイドの語もその際に伝わった。その際、ラグビーは、剣道や柔道などの日本固有の武道と同様、精神性を重んじるスポーツであると解釈された。1952年にラグビー日本代表の主将を務めた新島清は、ラグビー選手に必要な4つの思想として、「自己犠牲の精神」「ノーサイド精神」「レフェリー絶対の精神」「アマチュア精神」を挙げている。こうした経緯から、ノーサイドの語は日本においてラグビーの精神性に深く関わるものとして定着した。

海外ではno sideの語は使用されず、試合終了を指す語としてはfull timeが使用される。no sideは和製英語であるという説も唱えられ、その説によれば、海外でラグビーを視察した際にアフターマッチファンクションの文化に触れた日本人が、試合終了と共に敵味方の区別が取り払われる概念を端的に言い表すために作った語であるとされている。ただし、英語圏でもかつてno sideが使用されていたことは事実であり、イギリスのスポーツ専門チャンネルESPNの公式サイト上の説明では、no sideの語について「試合の終了を意味する古い言い方。『full time』と言い換えられている」と解説されているため、和製英語説はほぼ否定されている。

「ノーサイド精神」は、「試合終了のホイッスルが鳴れば全員敵味方や所属チームといった互いの違いを忘れるべき」という精神を指す。この精神はラグビーのプロスポーツ化が進んで以降も重要視されており、観客席をチーム別に分けないなどの施策に表れているほか、選手同士が互いの健闘を称え合って握手をする、花道を互いに作るなどの習慣は全世界共通で見られるものである。また、この精神性が世の中に広まった結果、ラグビーの文脈に限らず、一般的に対立する2者が円満に和解するという意味でも用いられるようになった。

2020年3月26日木曜日

1項強盗

読み方:いちこうごうとう
読み方:いっこうごうとう
別名:一項強盗

刑法に「強盗罪」として規定される行為のうち、暴力や脅迫により財物の強取する行為のこと。いわゆる典型的な強盗行為。「2項強盗」と対比対照する文脈で用いられる用語。

強盗の罪は、「刑法」第36章第236条において、2項に分けて規定されている。第1項は「財物を強取」、第2項は「財産上不法の利益を得」る行為に関する規定である。この1項2項を区別して呼び分ける場合に、前者を「1項強盗」、後者を「2項強盗」と呼ぶことがある。

1項強盗も2項強盗も等しく強盗罪であり、罪の重さは変わらず、どちらも「5年以上の有期懲役」に処せられる。

関連サイト:
刑法 ― e-Gov

2項強盗

読み方:にこうごうとう
別名:二項強盗

刑法に「強盗罪」として規定される行為のうち、直接的な「財物の強取」ではなく、代金の支払い拒否などのような「経済的利益を不当に奪い取る」ことを目的として行われる強盗行為のこと。

サービスの提供を受け、利益を享受し、そのために本来支払うべき対価を、暴行や脅迫の手段によって踏み倒すような行為は2項強盗に該当する。

強盗の罪は刑法の第36章第236条において規定されている。同条は2項に分けて規定されている。第1項が「財物を強取」するという典型的な強盗について、そして第2項が「財産上不法の利益を得」る、という方法の強盗についての規定である。第2項に規定されているため「2項強盗」と通称されているわけである。

暴力的に金品を強奪するような典型的な強盗行為は、「2項強盗」と対比して俗に「1項強盗」と呼ばれることがある。

2項強盗の罪の重さは1項強盗と等しく、いずれも「5年以上の有期懲役」に処せられる。

関連サイト:
刑法 ― e-Gov

2020年3月25日水曜日

オーバーシュート

オーバーシュート(overshoot)は「度を越す」「行き過ぎる」という意味の英語表現。2020年春現在、新型コロナウイルスの感染拡大を念頭に置いた「感染者(患者)の爆発的増加」という意味で用いられている。

オーバーシュートという語そのものは特殊な用語というわけではなく、「通常の範囲を飛び出る」という意味合いで、広範な文脈で使われている。ちなみに対義語は「アンダーシュート」(undershoot)であり、これは主に「(目標に)届かない」という意味合いの語である。

ロックダウン

ロックダウン(lockdown)とは、緊急時の安全確保を主な目的とした隔離・出入り制限などの措置を意味する語。「封鎖」と訳されることが多い。2020年春現在、いわゆる新型コロナウイルス(いわゆる武漢肺炎)の感染拡大の阻止を目的とした「都市封鎖」、すなわち「都市や公共施設の封鎖措置」の意味で用いられている。

ロックダウン(都市封鎖)の具体的な措置としては、不要不急の外出の禁止、飲食店の営業停止、学校や公共機関の休止、スーパーマーケットへの入場制限などが挙げられる。人々が接する機会を極力減らすことで感染拡大を最小限に抑えるための措置である。

ロックダウンの原語である英語の「lockdown」の第一義は、刑務所において囚人が房から出さないように自由を制限する(監禁)措置の意である。都市や施設の「封鎖」は、派生的な語義といえる。lockdown は名詞であるが、lock (someone) down という形で動詞として扱うこともできる。

2020年初頭から春にかけて「新型コロナウイルス」が爆発的に感染者数を増やしており、その範囲は半ば全世界に及ぶ、感染爆発(パンデミック)の様相を呈しつつある。爆発的感染が最初に確認された中国の武漢、および感染者数と死亡者数の増加が著しいイタリア・フランス・アメリカなどの欧米諸国では、3月半ば時点で公に市民の外出が禁じられるに至っている。

日本では、政府が2月下旬に全国の公立(小中高)校に休校を要請した他、大規模なイベントの開催も自粛を要請するなどしている。これは強権を発動して停止を命じたわけでもなく、ロックダウンと呼ぶべき措置には当たらない。

3月下旬の時点でも新型コロナウイルスの感染拡大は終息の予兆を見せたわけではなく、なお予断を許さない状況が続いている。東京都はこれから感染爆発(オーバーシュート)が発生した際には東京をロックダウンを結構する可能性もあると会見で表明している。