新語時事用語辞典とは?

2020年4月28日火曜日

再陽性

読み方:さいようせい

再び陽性になること。感染症の検査で「陽性」と判断され、一旦「陰性」に転じたが、後の再検査では「陽性」と判断されること。2020年春現在、いわゆる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者に再陽性の事例が続発しており、調査が急がれている。

「再陽性」の典型的な状況としては、(1)体調不良により検査を行い「陽性」と判断され入院、(2)治療を受け容体が回復して再検査でも「陰性」と判断され退院、(3)その後しばらくして容体が悪化し再検査を受けたところ「陽性」と判断される、といった状況が挙げられる。

再陽性になる要因は、「再感染」と「再燃」の2通りが考えられる。「再感染」は、いったん体内からウイルスが排除されて回復したが再び外部から感染源を取り込んで感染することである。「再燃」は、容体が回復する程度に減少した(とはいえ完全に排除されたわけではない)体内のウイルスが再び増加することである。

ウイルスの感染の標準的な検査方法といえる「PCR検査」には、ウイルスが減少すると検出しにくくなり、陰性と判断されやすくなる性質がある。そのため、再陽性が再感染と再燃のどちらによるものなのかを見極めることは容易でない。

新型コロナウイルスに関しては、退院後はずっと自宅におり戸外に出る機会がほぼなかったのに再陽性に転じた例も報告されており、「再燃」に該当する事例の存在が示唆されている。


超過死亡

英語:excess mortality
英語:excess death

人口動態統計などを用いて算出された死者数の予想値を、実際の死者数が上回る(超過する)こと。予想された以上に人が死亡している状況。および、その超過の程度をインフルエンザ(流行性感冒)の流行・影響の大きさを測る指標として用いる考え方。

超過死亡において用いられる「予想値」とは、統計データから妥当に算出される死亡者数であり、すなわち「インフルエンザが流行していなかった場合」に実現されたはずの死亡者数である。インフルエンザが流行すると実際の死亡者数が予測値を上回る。予測と実際の乖離の程度が、社会にインフルエンザがもたらず影響の程度として捉えられる。

超過死亡の算出において扱われる死亡者は、死因を問わない。各死亡者が直接的か間接的にインフルエンザの影響で死亡したとは限らない。これが却って、インフルエンザが遠因となって持病が悪化し命を落としたような事例を取りこぼさず、正しく影響に含めることに寄与している。

もし、インフルエンザの流行が完璧に阻止できたとすれば、超過死亡の値は限りなくゼロに近づくはずである。

超過死亡の概念は、世界保健機関(WHO)が1970年代に提唱した。日本では90年代終盤以降、国立感染症研究所(NIID)によって日本向けに最適化された評価モデルが導入されている。

関連サイト:
インフルエンザ・肺炎死亡における超過死亡について ― NIID 国立感染症研究所

ミトコンドリア

英語:mitochondria

ミトコンドリアとは、ミトコンドリアの意味

ミトコンドリアとは、エネルギー産生に関わる真核生物の細胞内小器官の一種のこと。神経や筋肉などのエネルギーを多く消費する細胞だけでなく、皮膚などの組織を構成する細胞の中にも存在している。精子のような微細な構造物の中にもミトコンドリアは存在し、細胞が増殖したり、タンパクを合成したり、運動するためのエネルギーを供給していることで知られる。筋肉や神経、肝臓の細胞の内部には数百から数千のミトコンドリアが存在して、エネルギー産生によって細胞の活発な活動を支えている。

ミトコンドリアの構造

ミトコンドリアは襞を持つ内膜とそれを包む外膜、という二重の膜を持つ構造体である。2つの膜は特定の物質しか通過させることがない、フィルターのような役割を果たしているため、ミトコンドリアの内部と外部はほとんど隔絶されていると言える。内膜によって包まれた空間をマトリックスと言い、ここにミトコンドリア独自のDNAやリボソームなどの細胞内の情報伝達物質や、エネルギー産生に関わる酵素を蓄えている。エネルギー産生において重要な構造であると言えるのが、このマトリックスである。

このミトコンドリアの構造は細菌に似ていると言われている。ミトコンドリアの構造に関わる脂質の構成がそもそも細菌のそれと似ているだけでなく、ミトコンドリアは生物が持つ核のDNAとは異なる独自のDNAを持っていることでも知られている。この成り立ちとしては太古の昔、真核細胞内に侵入した細菌が細胞内での共生を行ったことでエネルギー産生に関わる小器官に変化した、という説が支持されている。真核生物が有性生殖によって増える場合には父母両方由来のDNAを半数ずつ持つことになるため、父母とは異なるDNA型になるのだが、このミトコンドリアDNAは母方のミトコンドリアDNAと完全に合致する。

ミトコンドリアの働き

ミトコンドリアの働きは、糖質などのエネルギー源と細胞に運ばれてくる酸素を反応させ、ATPというエネルギーを生み出すことである。このエネルギーは増殖や運動などの細胞内のさまざまな活動に使われる。とは言え、細胞にいきなり糖質と酸素を取り込んで反応させているわけではない。これらの物質はミトコンドリアの膜を通過することができないため、ミトコンドリア内に送り込むことができる形にしなくてはならない。ブドウ糖などのエネルギー源を体内で代謝していった結果のエネルギー源となる産物が、この膜の表面のタンパク質によって輸送されることで膜を通過しミトコンドリアの内部であるマトリックスに至り、そこでさらに加工されてATPという細胞で使用できるエネルギーになる。

エネルギーの産生はミトコンドリアが主に担っているため、細胞に酸素や糖質などのエネルギー源が供給されない状態が続くと細胞は活動するためのエネルギーを得ることができない。そのため、酸欠や飢餓によって人体は細胞の機能不全に見舞われ、生存が難しい状態に陥ってしまう。ちなみに、赤血球などの一部の細胞は、このミトコンドリアを持たず、細胞膜にある小器官を用いてエネルギーを産生するのだが、ミトコンドリアに比べてエネルギーを産生する効率は劣る。生物がエネルギーを産生する機構としては、ミトコンドリアが行う好気的な反応が効率がいいとされている。

ミトコンドリアが何らかの原因で破壊されて内容物が漏出した場合、細胞は漏出した物質を感知して自死を選ぶことも知られている。その原因としては毒物や金属などの外的な要因も考えられるが、身体の機能として自らのミトコンドリアを破壊して細胞内に内容物を漏出させる機構が確認されている。これによって異常を来たした細胞は自死するため、ウイルスに感染するなどの異変に見舞われた細胞が周囲の組織に影響を与えないよう、自己を処理する機構にもミトコンドリアは深く関与している。

ポピュリズム

英語:populism

ポピュリズムとは、ポピュリズムの意味

ポピュリズムとは、労働者や貧農、都市中間層といった市民階層を「大衆」と位置づけ、大衆に対する所得再分配や政治的権利を希求する政治思想のこと。また、ここから転じて、政治家が大衆の抱く感情や情緒に寄り添う形で政治を行う手法や、そうした大衆の基盤に立つ運動も指す。日本語では人民主義、衆愚政治、反知性主義などの訳語が用いられることが多い。

ポピュリズムの語源

ポピュリズムの語源は、1891年にアメリカで設立された政党「アメリカ人民党」の構成員や支持者を指す「ポピュリスト」である。アメリカ人民党はノースカロライナ州やアラバマ州、カンザス州といった、アメリカ南部や中西部の諸州で貧困にあえぐ農民を支持基盤として勢力を伸ばした。エリート層や鉄道会社、銀行などに対して経済的に対抗することを掲げ、農本主義を掲げる政策の主軸としている。人民党自体は1896年に民主党の選挙協力を受けたことをきっかけに活動が衰退した結果解散し、ポピュリズムの運動も衰退している。

ポピュリズムは、利益を大衆に帰属させるという観点から、個は全体に従属すべきという権威主義や全体主義と同義ととらえられることがある。これは本来民主主義とは対立する観点ではあるが、民主主義政体において最大多数を占める集団に対する利益を追求し、少数派を無視する政策を安易に行い続けた場合には、ポピュリズムが権威主義や全体主義に転じていく可能性が大いにある。21世紀に入ってからは、複雑な政治上の対立構造を単純化して大衆に直接支持を訴える、いわゆる「劇場型政治」を繰り広げる政治家の活動思想に対して用いられることが多くなり、大衆迎合政治や衆愚政治、反知性主義といった意味合いが付与されるようになった。

ポピュリズムの反対語としては、19世紀の用例に対してはエリート主義、21世紀以降の用例ではリバタリアニズム(自由至上主義)、哲人政治、知性主義などが挙げられる。

ポピュリズムの歴史

ポピュリズムは元来アメリカで起こった運動であったが、類似する運動として1860年の帝政ロシアで起こったナロードニキ運動がある。ナロードニキはロシア語で人民主義者の意味であり、農奴解放を目指していた。この運動は後にポリシェビキに引き継がれ、ロシア革命の原動力となる。アメリカとロシアで19世紀に起きたポピュリズムは、どちらも農業経済から工業経済への移行期に発生したものであり、過激な活動を伴っていたことが共通している。

ヨーロッパにおいては、19世紀に発生したロマン主義が、従前の知識人を主体とする合理主義や知性主義に対抗する概念として生まれた。時は下って1930年代から40年代にかけて展開されたムッソリーニのファシズムや、ヒトラーのナチズムといった運動は、大企業、知識人、外国資本、社会主義者、共産主義者といった集団に対して明確に反抗しており、また民衆に対して利益をもたらすことを約束したことから、ポピュリズムに分類される。

21世紀に入り、アメリカやイギリス、フランスなどの欧米諸国では、テロとの戦いや移民問題、ブレグジットなどの様々な要因から保守路線の政党が大衆感情に迎合した政策を掲げることが多くなった。間接民主制が腐敗などで十全に機能しなくなった場合や、目下の危機に現在の政治では対応が出来ない場合にはポピュリズム政党に対する支持が増える傾向にある。

日本においては、2000年代に「聖域なき構造改革」を掲げて、反対する政治家を抵抗勢力と名指しで批判し、対決姿勢で臨む劇場型政治を繰り広げた小泉純一郎がポピュリスト政治家と認識され、ポピュリズムが日本に浸透を始めていった。また、地方自治体では、市民が直接選挙によって知事や市長を選ぶため、東京都における石原慎太郎や小池百合子、大阪府における橋下徹のような、タレント性の高い政治家が登場し、人気取りのために大衆へ迎合した政策を掲げる傾向が見られる。このことから、地方政治においてはポピュリズムがより浸透しやすい土壌が作られていると考えられる。

2020年4月27日月曜日

コンセプト

英語:concept

コンセプトとは、コンセプトの意味

コンセプト(英:concept)とは、「概念」や「観念」のこと。conceive(心に抱く)の名詞形である。コンセプトを日本語として用いる場合には、全体を通して一貫した基本的構想という意味で使うことが多い。すなわち、コンセプトは単なる「目的」ではなく、終始一貫してブレることのない基本的な方向性を意味する。コンセプトは、物事に取り組む際の姿勢・方針・思想を表す。

コンセプトの類義語

コンセプトの類義語として、アイデアやイメージが挙げられる。アイデアは、コンセプトより具体的な内容を意味しており、コンセプトのような全体的に通底する抽象的概念ではない。「アイデア商品」という言葉は、他人が思い付かない特殊な発想により開発されたグッズを指すだけで、必ずしも企業の理念を表象する製品という訳ではない。イメージは、コンセプトやアイデアより曖昧な語感で、雰囲気や印象を示すワードである。「ブランドイメージを傷つける」というフレーズからわかるように、イメージは外部の人間が抱く印象であり、コンセプトのような企業理念や経営方針とは関係ない。「イメージ戦略」という言葉もあるが、これは消費者や利用者に好印象を抱いてもらうための技巧を凝らすことであって、企業経営の方向性を示すコンセプトとは根本的に異なる。

その他の類義語として、ポリシーやプロットを挙げることができる。ポリシーも方針や方向性を表すので、コンセプトと似ている面もある。ただし、ポリシーは全体に通底する基本的理念だけでなく、企画者や開発者の強い意志を示すので、コンセプトより主観的意味合いが強いと言える。プロットもよく使用されるワードだが、プロットは脚本などのあらすじや構想として使われる場面が多く、ビジネス界で使われるコンセプトより狭い意味に限定される。プロットに従って企画を組み立てることはあるが、プロットはコンセプトに基づくものでなければならない。

コンセプトの語とテーマの語も似た意味合いだが、テーマは主題、すなわち主な内容のことであり、企業の経営方針や思想とは無関係である。テーマはさまざまな項目に共通する主題であれば何でもよいが、コンセプトの場合は企画者の企図する方向性が貫かれる内容でなければならない。多種多様な出展者が集まるフェスティバルなどでは共通のテーマを掲げることができるが、特定の企業が独自の方針に基づいて開発する製品には、テーマではなくコンセプトが求められる。

2020年4月23日木曜日

オンライン帰省

読み方:オンラインきせい

オンライン帰省とは

オンライン帰省とは、実際に故郷に帰るのではなく、ビデオ通話を使用して故郷にいる父母や祖父母の安否を確認したり、故郷の友人と交流したりすること。オンライン帰省は、2020年春の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大防止に向けた取り組みの1つとして、安倍晋三・内閣総理大臣が国民に向けて要請したものである。

ビデオ通話をするには、インターネットに接続可能なパソコンやスマートフォン、タブレットと、LINEやSkype、FaceTime、Google Duoなどのアプリケーションソフトが必要である。

関連サイト:新型コロナウイルス感染症対策本部(第30回) - 首相官邸

2020年4月21日火曜日

濃厚接触

読み方:のうこうせっしょく

濃厚接触とは、人と人、あるいは人と動物が比較的近い距離で一定の時間ふれ合うこと。

濃厚接触を満たすための距離や時間は、事象によって異なる。2020年春の新型コロナウィルス感染症(COVID-19)における、国立感染症研究所の定義する濃厚接触は次の通りである。(2020年4月20日現在)

新型コロナウイルス感染症を疑う症状を呈した2日前から隔離開始までの間に、次のような範囲に該当する場合。なお、「新型コロナウイルス感染症を疑う症状」とは、発熱や咳、呼吸困難、全身倦怠感、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、頭痛、関節・筋肉痛、下痢、嘔気・嘔吐などを指す。

  • 感染者と同居、あるいは長時間の接触(社内、航空機内等を含む)をした場合
  • 適切な感染防護がないまま感染者を診察、看護、介護した場合
  • 感染者の気道分泌液、体液などの汚染物質に直接触れた場合、あるいは触れた可能性の高い場合
  • 手で触れることの出来る距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで、感染者と15分以上の接触があった場合

関連サイト:新型コロナウイルス感染症対策本部

2020年4月18日土曜日

パラダイムシフト

英語:paradigm shift

パラダイムシフトとは、パラダイムシフトの意味

パラダイムシフト(paradigm shift)とは、時代や社会において、常識的な考え方の枠組み(パラダイム)が、革命的、劇的に大きく転換(シフト)すること。パラダイムシフトの語はもともと、科学、学術分野において、革命的転換を意味する語として使われていたが、最近ではさまざまな分野で使われるようになってきた。

パラダイムシフトの語源

パラダイムシフトのパラダイムは、科学史・科学哲学者のトマス・クーンが「科学革命の構造」で用いており、各時代の科学者集団が研究や議論の前提とする共通の考え方の枠組みであると定義している。パラダイムがなければ科学の進歩はあり得ないが、科学の進歩に伴ってこれまでのパラダイムでは説明のつかない問題が明らかになることがある。ここで以前のものとは全く異なるパラダイムに則って考えることで、これまで説明のつかなかった問題が解決され、科学が大きく前進することがある。このような革命的な転換をパラダイムシフトというようになった。

パラダイムシフトの事例

科学におけるパラダイムシフトの例として、コペルニクスの地動説やアインシュタインの相対性理論、ダーウィンの進化論などが挙げられる。ビジネスシーンでは、「発想の転換」「常識を覆す」「固定観念を捨てる」などの言葉がパラダイムシフトに相当する。パラダイムシフトの最近の例としては、サブスクリプションが挙げられる。サブスクリプションは、人々の物の消費性向の変化によるものである。

パラダイムシフトの類語


  • パラダイムチェンジ
  • コペルニクス的転回
  • 定説・常識を覆す
  • 発想の転換
  • 固定観念を捨てる


パラダイムシフトの語の例文


  • 時代遅れの発想をやめて、今こそパラダイムシフトすべきだ
  • 人々の消費スタイルの変化に応じたパラダイムシフトが必要だ
  • 彼の提案は、わが社の経営管理にパラダイムシフトを引き起こした
  • ビッグデータとAIの活用によって、近い将来大きなパラダイムシフトが起こるだろう
  • テレワーク制の導入は、仕事は出社して行うという常識を覆すパラダイムシフトだった



リマインダー

リマインダーとは、リマインダーの意味

リマインダー(reminder)とは、備忘や念押しを意味する語。IT用語としては、仕事の予定や遊びの予定などを忘れないように通知する機能、あるいはサービス、アプリケーションのことである。

リマインダーに予定の内容と日時を入力しておけば、予定日、予定時間の前になるとアラートで知らせてくれる。毎週決められた時間、毎週決められた曜日、毎月決められた日など、繰り返しの予定がある場合でも、1回の設定で登録することもできる。

リマインダーの中には、位置情報を使った機能をもつものもある。例えば、急用ではないが、ホームセンターに寄った時に購入したい商品があったとする。ホームセンターの位置情報をリマインダーに設定しておくことで、ホームセンターの近くに来た時にアラームで知らせてくれるというものである。

リマインダーは、引っ越しの手続きや旅行の準備といったイベントに活用することができる。例えば、引っ越しの手続きの場合、役所への転出の手続き、銀行への連絡、下水道、電気、ガスの契約会社への連絡、免許証の書き換え、保険加入、管理人への挨拶というような、やるべきことをリマインダーで管理することもできる。

2020年4月17日金曜日

マウンティング

マウンティングとは、マウンティングの意味

マウンティングとは、自分の方が相手よりも立場が上であること、また優位であることを示そうとする、行為や振る舞いのこと。特に、対人関係において、自分の優位性を示そうと自慢したり、相手を貶したりすることを指す。

マウンティングの語源

マウンティングは本来、サルなどの霊長類の動物が、相手に対して馬乗りになって自身の優位を示すことであり、この行為が対人間のマウンティングの語源となっている。マウンティングの語が浸透したきっかけは、2014年に放送されたテレビドラマで使用されたことにある。ドラマでは女性主人公とそれを取り巻く女性たちによる優位性をめぐる争いを描いたもので、マウンティング女子という言葉も生まれた。

マウンティング女子

マウンティング女子とは、マウンティング行為をする女性という意味である。マウンティング女子には、意識的なマウンティングの他に、無意識によるマウンティングが含まれる。つまり、自分のなかで相手よりも自分が上位だと格付けし、それを相手に対してアピールするとともに、無意識の振る舞いによって相手を貶めたり、自分の優位を誇示したりする女性をマウンティング女子と呼んでいる。

男性によるマウンティング

マウンティングという言葉が広まってからは、女性だけではなく男性にも使われる言葉となった。マウンティングという言葉を使用する際の対象が女性であっても男性であっても、その意味合いに違いはなく、両者とも自身の学歴や経済力、容姿などをマウンティング行為の材料とすることが多い。

男性によるマウンティングは、自身の優位性の示し方が直接的なのに対して、女性によるマウンティングは、その示し方が間接的であったり、曖昧であったりすることが多い。例えば、男性が給料の額や役職の自慢をするのに対して、女性は未婚の相手に対して、結婚生活の愚痴や、子供についての悩みを話すことで、自身が既婚者であることを印象付け、自分の優位性を示すのである。

女性によるマウンティングは一見、自虐的であったり、相手を褒めているような体裁で行われることが特徴だといえる。そのため、本意による羨望や悩みがマウンティングを意識する女性によっては相手からマウンティングされたと感じ、誤って理解されてしまうこともあり得る。

マウンティングする人の心理

マウンティングを行う人に共通した心理は、その承認欲求の強さが挙げられる。人に認めてもらいたい、注目を浴びたいという気持ちがマウンティングの根底にあるとされている。また、自分に自信がない人が、虚勢のためにマウンティングをしているという見方もあり、そのため、不安感情がマウンティングの原因であるとも考えられている。

マウンティングする人の特徴

マウンティングをする人に多い特徴は、「プライドが高い」「他者の意見に対して否定的であることが多い」「他者を見下している」「自己中心的」「不安感が強い」「1番であることへのこだわりが強い」などが挙げられる。

一方で、マウンティングされる人にも標的とされる特徴がある。それは、人から羨ましがられる要素を持つ人、あるいは自己表現や自己主張が弱い人などが挙げられる。つまりマウンティングは、その行為者が、自分と同等、あるいは格上だと思う相手に対しても、格下だと思う相手に対しても行われ得る行動だといえる。

マウンティングは、相手を強く意識することからも生じると考えられるため、マウンティング行為に対して反抗的、あるいは対抗するような態度をとることは、相手からのマウンティングをエスカレートさせることもある。そのため、マウンティングをされたときは、不用意に応じないことが、行為を回避することにつながると考えられる。

2020年4月15日水曜日

腎盂炎

腎盂炎とは

腎盂炎とは、腎盂と呼ばれる器官に何らかの細菌が侵入し炎症を起こす腎臓の病気。腎盂は、腎臓と尿管の中間にある器官で袋状になっている。腎臓から尿を腎盂に集め、膀胱へその集めた尿を送るという役割をもつ。

腎盂炎の症状

腎盂炎の症状は突然引き起こされるケースが多く、39度以上の発熱や悪寒などが見られる。また、腎盂炎では腎臓が腫れるため、わき腹から背中にかけて痛みが走ることがある。仰向けに寝ることが困難になることもある。

腎盂炎では、尿に白血球が混じって排出される。そのため、尿を見ると白く濁っているのを確認できる。個人差はあるが、排尿時に痛みが走ったり、残尿感があったりすることもある。

腎盂炎の原因

腎盂炎の原因は、細菌の上行性感染によるものである。腎盂炎を引き起こす細菌は、主に大腸菌や緑膿菌などグラム陰性桿菌と腸球菌である。特に腎盂炎の約9割を占めるとされているのが大腸菌による感染である。大腸菌は肛門やその周囲に付着していることが多く、それらが尿道から侵入し上行性感染を引き起こすと考えられている。腎盂炎は男性よりも女性に多い病気で、20代から40代までの若年層においては男女比は1対30と大きくかけ離れている。

腎盂炎が女性に多い理由として考えられているのは、陰茎のある男性と違って尿道口と肛門の距離が短いことにある。肛門周辺に付着している大腸菌が尿道口に入りやすく、上行性感染しやすい。同様に、女性は陰茎がない分、男性よりも尿道が短いため、細菌感染しやすいことも理由として挙げられる。しかし、50歳以降になると男女比が拮抗する。これは、前立腺肥大が原因とされている。

前立腺肥大では尿道が圧迫されてしまい、尿の流れが悪くなる。尿の流れが良ければ細菌を押し流すことができるが、尿の流れが悪くなることで細菌が上まで上りやすくなり感染してしまうリスクが高まる。前立腺肥大以外にも腎盂炎のリスクを高めてしまうものとして、尿道炎や尿路結石、膀胱尿管逆流現象などが挙げられる。女性の場合は妊娠も尿の流れを悪くしてしまうため、妊娠をきっかけに腎盂炎を発症してしまうケースも少なくない。また、細菌感染は免疫力の低下も発症のリスクを高める要因なので、糖尿病などの基礎疾患や、ステロイド剤の長期服用、抗がん剤など免疫力が低下している人も腎盂炎のリスクが高いと言える。

腎盂炎の治療

腎盂炎の診断では、尿検査や血液検査、レントゲン撮影などが行われる。腎盂炎と診断された場合の治療は、一般的には原因となっている細菌を判別して抗生物質(抗菌剤)を投与する方法である。腎盂炎には急性と慢性の2種類があるが、どちらも抗生物質の投与による治療が行われる。治療期間は症状の度合いによって異なるが、軽症の場合は1~2週間程度で改善することもある。


プロトコル

英語:protocol
別名:プロトコール

プロトコルとは

プロトコルとは儀礼や典礼、議定書を意味する言葉で、平易な言葉にすれば約束事のこと。最近ではIT用語としてプロトコルの語が用いられるようになっているが、もともとはフォーマルな場面で忠実に従うべき流れや手順、段取りを示している言葉だった。語源を遡ると、古くはラテン語で内容が書かれている巻物を意味するprotocollumに由来していると考えられている。古代ギリシア時代では認証と日付が記載された議定書としてprotokollonという言葉が使われるようになった。protokollonは「最初の」を意味するprotoa、「のり」を意味するkollaの二つに分解することができ、最初に話し合って決まった内容をまとめた紙に表紙としてのり付けした公式書類としての意味を持っている。そして、protokollonが英語のprotocolになったといわれている。原義としては議定書だったものの、議定書を締結するためのフォーマルな段取りという意味でも使われるようになり、儀礼や典礼という意味が生まれた。さらに、ある目的を成し遂げるために必要な手順や流れという意味にも拡張されて通信業界におけるIT用語としてもプロトコルが用いられるようになった。プロトコルの語は、使用されている業界や分野、場面や文脈などによって解釈が異なる。

外交におけるプロトコル

外交におけるプロトコルとは国際儀礼のことを指し、プロトコールと記述することが多い。プロトコルは、国家間で交流や外交文書の交換、会食などの外交活動を行うときに遵守すべきルールで、相手国への敬意を示すためにも外交を推進するためにも不可欠なものである。国家間の儀礼上のルールとして世界的に標準が定められているものもあるが、会議や会食などの主催者によって参加国に通知されることも多い。プロトコルは、特定の二カ国の間で取り決められるものではなく、参加する全国家が平等に扱われるようにルールを定めるのが基本的な仕組みである。プロトコルは、国の大小に関わらず対等に扱い、ルールの内容は誤解を避けるように配慮して誰もが納得できるように仕上げることが求められる。

世界共通ルールとして典型的なプロトコルが先任者優先である。会議で掲げる国旗の並び順や自動車に乗る際の座席順などは右上を最上位として先着順に並べることがルールとなっている。2カ国協議で国旗を掲げる場合には相手国を右側、自国を左側とするのがルールだが、開催側から見て右側が相手国、左側が自国になるため、正面から見ると左側が相手国、右側が自国になるので注意が必要である。

IT用語としてのプロトコル

通信業界で用いられているIT用語としてのプロトコルは、近年になってから用いられるようになったもので、手順の意味合いの強い語である。通信におけるプロトコルとは、異なるシステムやソフトウェア、デバイスなどで通信をできるようにするために定められた規約のことである。IPやFTP、HTTPといったいくつかのプロトコルが開発されていて、通信する伝送路や伝達方法、伝達相手などによって選択されている。IT機器を用いて通信をするときには適切なプロトコルの種類を選び、定められている手順に従ってデータ通信をすることが求められる。

プロトコルに反した方法で通信をしようとするとエラーが発生したり、障害が発生したりすることになる。そのため、通信プロトコルを使用する全てのユーザーがプロトコルに従ってシステムの設計や通信ソフトウェアの運用をすることが求められている。遵守しなければならないという義務的な意味合いが強いのが、議定書や国際儀礼に通ずる部分である。

2020年4月14日火曜日

マリアージュ

マリアージュとは、マリアージュの意味

マリアージュ(mariage)とは、フランス語で結婚を意味する語。英語ではマリッジ(marriage)という。マリアージュの語は、日本においては結婚の意味で用いられることは少なく、多くは「料理と料理との相性がよい場合」「料理とワインとの相性がよい場合」の表現の手段の1つとして用いられる。料理の中でもとりわけフランス料理について用いられることが多い。

マリアージュの語の用例、使い方


  • 牛肉と赤ワインのマリアージュが口の中で芳醇な広がりを見せている
  • メイン料理とボルドー産の白ワインのマリアージュに興奮した
  • エスカルゴと白ワインのマリアージュをお楽しみください


料理とソースのマリアージュ

マリアージュの語は、料理とワインの組み合わせの他に、料理とソースの組み合わせでも用いられる。例えば、「鴨肉とオレンジソースのマリアージュ」のように用いる。また、相性がよいと思った時に「マリアージュした」と表現することもある。

前後の料理のマリアージュ

前後の料理で相性のよい組み合わせをマリアージュという。例えば、「ムール貝のワイン蒸しと牛肉の赤ワイン煮込みのマリアージュ」のように用いる。


マン汁

マン汁は、女性の膣内で分泌される体液を指す卑俗な表現。「まん汁」とも表記される。公的・学術的な文脈では「膣分泌液」と呼ばれ、通俗的には「愛液」と呼ばれることが多い。「マン汁」は、露骨かつきわめて卑俗な部類の語彙であり、もっぱらポルノに該当するコンテンツか、あるいは、それに類する猥雑な文脈に限って用いられる表現といえる。公の場での言明は憚られる。

マン汁という言葉の構成は、女性器を意味する卑語の省略(頭2文字)に、単に液体くらいの意味であろう「汁」を組み合わせたものと推察される。なお「がまん汁」とは響きが似ているが言葉の成り立ち上は直接的な関係はない。

マン汁すなわち膣分泌液は、膣内部における分泌液の総称である。膣壁の粘膜を保護し、老廃物などの排出を助け、性交の際には男性器の受け入れを助ける(潤滑剤として機能する)等、女性の生理上たいへん重要な役割を果たしている。なお膣外へ排出された老廃物や膣分泌液の混合物は一般的に「おりもの」と呼ばれる。

「マン汁」という語彙は特に「性交の際に挿入を受け入れやすくする」役割を果たすものとして言及される。この文脈では、膣口にある腺から分泌されるバルトリン腺液なども含めて「マン汁」あるいは「愛液」と呼ばれていることが多い。バルトリン腺液なども含めたマン汁は性的興奮の高まりと共に分泌量を増す。外性器の愛撫などの直接的刺激に限らず、淫らな妄想のような精神的興奮によっても分泌が促される。その分泌量は、個人によっても年齢や状況などによっても差がある。

女性の膣分泌液(いわゆるマン汁)や男性の精液およびカウパー腺液などの「性的刺激・興奮に伴い分泌される体液」を総称して「性液」と呼ぶことがある。

啓蒙

読み方:けいもう
英語:enlightenment

啓蒙の意味、啓蒙とは

啓蒙とは、知らない人を教え導くという意味。啓は教え導くという意味の漢字で、蒙は道理にくらい人、道理を分かっていない人という意味の漢字である。古くは後進的な知識しか持たない人々に先進的な知識を教え広めるという意味に使用された。啓蒙の語は例えば、迷信を信じている人々に科学的な知識を教えて広めるといった意味、文明人が非文明人に物の道理を教えるといった意味に使った。一般大衆を特権階層の人が指導するといった色合いを込めて使われた時代もあった。

啓蒙の語は現代では、ある分野において余り知識のない人に対して、その分野の専門家が画期的な方法を指導するといった意味で使用することが多い。公衆衛生や教育などの社会活動、工場や現場の管理方法などの産業活動などあらゆる面に使用される。啓蒙をする活動のことを啓蒙活動という。医師組織の病気に関する正しい知識を普及する活動や臓器移植のドナー登録に関する知識を拡げようとする活動などがこれに当たる。

啓蒙思想

啓蒙思想は、啓蒙主義思想とも呼ばれる歴史的な思潮のことである。17世紀末ごろから18世紀にヨーロッパ全域で広がりを見せた。それまでの価値観は聖書や神学によって築かれたものであり、教会や絶対君主が政治的にも経済的にも権威を握っていた。現代的な感覚からみれば非常に理不尽な政治も行われ、法的な裏付けや人権意識もないまま一般市民が圧政に耐えることも少なくなかった。啓蒙思想はこのような宗教的かつ封建的な考え方から離れて、理性や科学によって理論的に物事を考えて社会を構築しようという考え方である。

啓蒙思想の例として、スコットランドのジョン・ロックによる「市民政府二論」が挙げられる。市民政府二論は、民主政治の在り方を示したもので、この考え方はフランスにも伝搬しモンテスキューやルソーに引き継がれた。モンテスキューは、著書「法の精神」で三権分立を説いた。また、ルソーは「社会契約論」で国の主権は人民にあるべきだと主張した。これらの考え方が、市民にも広く賛同されることとなり、やがてはイギリスにおいては名誉革命、フランスにおいてはフランス革命へとつながっていった。

経済論において啓蒙思想の影響を受け、なおかつ画期的な論理を展開したのは「国富論」を記したアダム・スミスである。「国富論」は近代経済学の最も最初に論じられた論文であり、自由主義経済学の始まりになったものである。啓蒙主義は芸術にも影響を与えている。音楽家で啓蒙主義の影響を受けたのがラモーやバッハ、メンデルスゾーンなどである。

啓蒙専制君主

啓蒙専制君主とは、啓蒙主義の影響を受けた君主のことである。元は封建主義的な絶対君主であったものが啓蒙思想の影響を受けて人権意識や科学的な思想、法律の整備などをして開放的な政治を行った。啓蒙専制君主は君主も国の一機関であり、国の治世は法律に基づくものであると規定する。一方で君主の権力はあくまでも絶対的なものであり最終的な政治決断は君主にゆだねられるものとするなど、大きな矛盾をはらんだ政治制度であった。また、人権意識も未熟なもので民衆の権利は君子から与えられたものであるとした。そのため公平性に大きな問題を残していた。このような政権を布いた国王としてはプロイセンのフリードリヒ2世、オーストリアのヨーゼフ2世などが知られている。これらの啓蒙専制君主が啓蒙思想に傾倒した要因の一つが科学的な進歩による経済発展である。専制君主たちは専制的な体質と啓蒙思想を折衷した政治論理を作ることで国を経済的に豊かにしようと考えたのである。

日本の啓蒙思想家

日本における啓蒙思想家としては、明治時代の福沢諭吉や西周、加藤弘之がいる。福沢諭吉は思想家であり教育者で、西周もまた哲学者であり教育者である。加藤弘之は政治学者であり、同じく政治学者では天皇機関説で有名な美濃部達吉がいる。

2020年4月9日木曜日

性交

読み方:せいこう

性交とは

性交とは、男女が性器を結合させる行為のこと。すなわち、男性器を女性器に挿入する行為である。交合、交接ともいう。

一般的には、性的な行為全般を総称して「性行為」という。性行為には、生殖のために営まれる行為はもとより、性的快楽を求めるために行われる性器の愛撫、口腔や肛門を使用する行為、同性間で行われる行為なども含まれる。その中で特に異性(男女)間の性器の結合を伴う営みを「性交」という。

日本の法律においては、「刑法」第22章(「強制わいせつ罪」「強制性交等罪」等)に関する規定の中に、「性交」に関する記述が見出せる。刑法第22章第177条では、「性交」と「肛門性交」および「口腔性交」を総称して「性交等」と呼んでいる。つまり、膣へ挿入する行為が狭義の性交であり、かつ、肛門や口腔を用いる行為も「性交」に準じた行為と位置づけられていることがわかる。

なお、「性交」は、もっぱら人間の性的営みを指す語である。人間を除くあらゆる生物の生殖行為は、霊長類であれ魚類であれ昆虫であれ、基本的に「交尾」と呼ばれる。交尾の他に「交接」と表現される場合はある。

英語において「性交」に対応する表現は「sexual intercourse」である。sexual(性的な)- intercourse(交わり)という構成や字義はほぼ完全に漢字の「性交」に合致する語といえる。他に「have sex」も訳語たり得るが、こちらは性交に限らず広義の「性行為」を指すことが多い。

ちなみに、中国語では日本語と同じく「性交」という表現が用いられる。中国語圏では、膣のかわりに肛門を使用する「肛門性交」(アナルセックス)を「肛交」、口唇を用いて性器を慰撫する「口腔性交」(オーラルセックス)を「口交」という。

日本語では「性交」は比較的硬い文脈で用いられる語彙であり、日常会話の文脈で用いられる機会は稀といえるが、中国語においては比較的広範な場面において「性交」という表現が用いられる。いわゆるエロ動画のタイトルにも多々用いられている。

2020年4月6日月曜日

スクリプト

英語:script

スクリプトとは、スクリプトの意味

スクリプトとは、複雑な処理をしなくても、すぐに動かせる簡易的なプログラムのこと。また、スクリプトはプログラミング言語の一種であり、スクリプト言語とも呼ばれている。

コンピュータープログラムが動くまでの流れは、以下の通りである。まず、人間がプログラムを書く。続いて、人間が書いたプログラムをコンピュータが読めるように変換する。そして、変換されたプログラムをコンピュータが実行する。プログラミング言語は、人間が書いたそのままのコードでは読み取ることができないのが一般的である。よって、コンピュータが理解できるマシン語に変換するコンパイルという作業が必要になる。

しかし、スクリプトはコンパイルという複雑な処理を省いて実行することができる。実際は、見えない部分でコンピュータが自動で処理しているが、処理が簡単なため、インターネット上のWebページでよく利用されている。スクリプト言語は、プログラミング言語のなかでも、ソースコードの記述が英語の構文に近いため、理解しやすく学びやすいとされている。プログラミング言語にC言語やJavaがあるように、スクリプト言語にもJavaScriptやPHP、Perlなどがある。本来スクリプトとは、台本や脚本を意味する。すなわち、プログラミングのスクリプトというの名の由来も、台本のように構成がわかりやすいことからきている。

スクリプトの種類

JavaScriptは、プログラミング言語のJavaと混同されがちだが別物である。Javaはサン・マイクロシステムズ社の開発で、JavaScriptはネットスケープコミュニケーションズ社が開発したものである。企業のWebサイトでよく見られるような、トップページの上部で写真が次々と入れ替わる動作などは、JavaScriptを利用しているものが多い。

JavaScriptの技術は、GoogleMapでも利用されている。JavaScriptは、Webサーバーと連動することなく、Webブラウザ上だけで動くという利便性をもっている。

PHPは、Webサーバー上のデータベースと容易に連携できるという特徴をもっている。ネットショップのカートシステムなど商品注文のプログラムとして、在庫管理のデータベースと一緒によく利用されている。また、WordPressなどのブログで使われているスクリプトもPHPで、同様にデータベースと連動している。SNSサービスのFacebookにもPHPが利用されている。PHPはJavaScriptと違いWebサーバーと連動しているため、Webブラウザ上だけでは動かない。

その他のスクリプトとしてPerlが挙げられる。PerlもWebサーバー上のプログラムと連動しているので、インターネットに接続されていない状態では動かない。

スクリプトエラー

Webページを閲覧している時に「このページのスクリプトでエラーが発生しました」というメッセージが表示されることがある。これを「スクリプトエラー」と呼ぶ。例えば、JavaScriptの構文に間違いがあった場合などにエラーが発生する。また、Webブラウザに一時的に保存されているデータのスクリプト部分が破損していた場合もスクリプトエラーが発生する。

スクリプトキディ

スクリプトキディとは、他者が作ったクラッキングツールを用いて、コンピュータを攻撃するクラッカー(悪質なハッカー)のことを指す。「ツールを自作できず、他者が書いたスクリプトに依存した、程度の低い人物(キディ)」を意味する蔑称である。

氾濫

読み方:はんらん

氾濫とは、氾濫の意味

氾濫とは、物事が溢れるほど出回るという意味で、自然災害に関しては居住区や畑が河川などの水で溢れること。また、大雨で河川の水位が上昇することを河川洪水と言い、大雨や長雨が予兆になる河川洪水は豪雨が原因で発生することが多い。氾濫には種類があり、堤防から川の水が溢れたり、堤防が破堤して起こる洪水を外水氾濫と言う。外水氾濫は流れの速い氾濫流が居住区に流れ込むため、短時間で大被害になる危険性がある。流れ込んだ氾濫流には泥水が混入し、洪水後も屋内に土砂が堆積し復旧に時間がかかるのが特徴である。外水氾濫は下流で雨が降っていない場合でも、山間部や上流の雨が集まることで発生する可能性がある。上流で雨が止んだとしても、下流に雨が到着するまでの間に水かさが増せば氾濫が起こってしまう。堤防決壊後の非難は困難なため、大雨が降る事前に非難をしなければいけない。

内水氾濫

居住区に降った雨が排水路に短時間で流入し雨水処理能力を超えたり、川の水位が上昇して建造物や道路が浸水したりすることを内水氾濫と言う。都市部の地表は浸水性の低い建造物や道路が多いため雨水が浸透しにくく、下水管の容量を超え雨水が溢れ出し、堤防が破堤したことで害水が市街地へと流れ、小河川から更に逆流する場合がある。国内の都市部にあるマンホールの多くは1時間に50mmまでの雨量が限界値で、それ以上の雨量の場合は逆流した雨水によって川が溢れていなくても市街地が浸水すると言われている。

氾濫危険水位

人口密集地域は地下街や地下鉄などの交通網が集積されているので、内水氾濫発生時の被害が大きいと危惧されている。内水氾濫の対策として環状七号線地下調節池など、建造物地下にある雨水貯留浸透施設を利用し河川への雨水流出量の抑制や、治水施設の整備推進など雨水管の許容量を増やす増強工事が必要である。事前に避難しやすいように、氾濫する危険がある水位を段階に分けたものを氾濫危険水位とし、避難の目安にしている。危険度のレベルは5段階で表記し、レベル1から4は氾濫に次ぐ危険性があり避難勧告に相当する。

レベル1は水防団待機水位と言い水防団が待機し始め、レベル2の氾濫注意水位は避難可能な状態で待機し氾濫に備える。レベル3の避難判断水位になると高齢者優先で避難を始め、レベル4の氾濫危険水位になると一部で洪水が発生している危険性があるので氾濫発生時の対応が求められる。また、避難判断水位や氾濫危険水位になると気象庁が洪水警報を発表する。危険度レベル5は既に氾濫状態にあり、適切な避難情報を把握し判断しなければいけない。

氾濫危険情報

河川の増水などに対し、住民の避難行動の判断基準になる洪水予報が国土交通省や気象庁で発表される。氾濫危険情報発表時の推移は氾濫危険水位にまで到達している。地域によっては災害が想定されるため、自治体レベルでの避難勧告が発令される。避難をする場合は氾濫マップを参考に、氾濫が発生しているであろう危険区域を確認し避難経路に沿って指定緊急避難場所へ移動しなければいけない。各市区町村や国土交通省が提供しているハザードマップが氾濫マップに該当する。ハザードマップは河川や浸水の他、氾濫時の土砂による危険地域も表示されるので把握する必要がある。

堤防決壊時は浸水区域が増加し、氾濫した水が集まりやすい低地では緊急避難をしなければいけない。増水によって移動が困難な状況になる前に浸水深別の避難方法がある。浸水深0.5mは車での非難が困難になり、ひざ上まで浸水が進むと徒歩での避難も難しい。浸水深0.5以上になると1階床面まで浸水が進むため、高低差のある避難経路によっては避難所に辿り着けない時がある。早い段階で避難所へ向かう必要があるが避難が遅れた場合は無理に移動せず、建造物の上層階に移動して非難するのが安全だ。冠水時は足元が見えないため、マンホールが開いていたり移動することが危険になる。避難所への移動が危険と判断した場合は、近隣の高所を見つけて避難するべきだ。高所への避難は長距離移動が難しい状況限定の行動であり、可能であれば指定緊急避難場所への移動を優先すべきである。


三権分立

読み方:さんけんぶんりつ

三権分立とは、三権分立の意味

三権分立とは、国の権力を三つに分散させ権力の集中を避ける仕組みのこと。三権分立はフランスの啓蒙思想家であるモンテスキューが18世紀に提唱し、体系化を行った。モンテスキューの三権分立論は、権力が一箇所に集中すると濫用が起こるとし、それを防ぐためには別の権力が監視・抑制する必要性があるという考えである。ただし権力を分立させる考え自体は、モンテスキューが最初ではない。イギリスの哲学者のロックはモンテスキューよりも早く権力分立を説いていた。ただし、ロックの権力分立は議会を最高権力と位置づけていたため、三権の中での力関係はアンバランスであった。

これに対してモンテスキューの三権分立は、三権が等しく監視と抑制の役割を持っているのが特徴である。三つの機関で三つ巴の状態を作り上げることで、権利の独占を防ぐのが目的の一つだ。モンテスキューは、それまでの権力分立の考えと異なり、より完全な形の三権分立を提唱したため後世に広く継承されていくことになったのである。また権力を役割ごとに分けるだけではなく分離させ、お互いに抑制し合うことでバランスを保つことが特徴だ。日本でも民主主義政治にマッチすると言う理由で、三権分立が採用されている。

日本における三権分立

日本の三権分立は、立法・行政・司法の三つとなっている。立法権は国会、行政権は内閣、司法権は裁判所と、それぞれの機関に分けているのがポイントである。国会は、国の法律を決定したり国家予算を決定したりするが、その他にも外国との条例の承認なども行っている。内閣では、法律に基づいた上で国の政治を進めていく。大きな役割としては予算案を国会に提出したり、外国と条例を結んだりすることである。裁判所は法律に基づいて犯罪や争いごとを解決するための機関である。

国会は、内閣に対して内閣総理大臣の指名と内閣不信任決議を行うことができ、裁判所に対しては弾劾裁判を行える。内閣は、国会に対して衆議院の解散と国会の召集を行え、裁判所には最高裁判官の指名と裁判官の任命を行える。裁判所は、国会に対して違憲立法審査を行い、内閣には行政の違憲審査が行えることになっている。このように、三つの機関でそれぞれ異なった権利を持ち、お互いに干渉し合うことで、権利の独占や集中を回避している。ただ三つの機関の名称や役割、権利が、ごっちゃになってしまい混同されることも多い。

三権分立の覚え方

三権分立の覚え方としては、国を大きなスポーツの大会としてイメージするとよい。スポーツ大会で、監督を務めるのは国会、選手は内閣、審判は裁判所となる。監督(国会)は、練習メニューを考えたり試合のための作戦を立てたりなど、様々な決定権を持つのだ。選手(内閣)は監督(国会)の決めた練習メニューや作戦に沿って、実際にプレーを行う役割である。審判(裁判所)は、ルールに基づいて反則がないかチェックしたり、公平な判断を行ったりする立場になる。このように考えると、それぞれの役割がはっきりと分担されていることが理解できる。

監督や審判は、決して選手の代わりに試合に出たりはしないし、審判が試合中に作戦の指示を出すこともありえない。監督はあくまで指示を出すだけで、実行するのは選手であり、審判はルールに反していないか常に監視している。この場合のルールは憲法であり、憲法違反を取り締まっているのが裁判所である。監督(国会)は、選手(内閣)のキャプテン(内閣総理大臣)を指名したり、審判(裁判官)を辞めさせるかどうかの話し合いを開ける。選手(内閣)は、監督やコーチなどの指導陣(衆議院)の解散を決められ、審判のトップ(最高裁判官)の指名が可能である。より簡略的な覚え方としては、様々なことを決める国会、国会の決めたことを実行する内閣、憲法違反がないか目を光らせている裁判所ということになる。


ルサンチマン

ルサンチマンとは、ルサンチマンの意味

ルサンチマンとは、弱者が強者に対して抱く「恨み」や「嫉妬心」のこと。日本語では「怨恨」と訳されることも多い。ドイツの哲学者ニーチェ(Friedrich Neitzsche)の道徳哲学を特徴づける重要なキーワードのひとつとして知られる。

なお、ルサンチマン(ressentiment)という語そのものはフランス語である。
 
ルサンチマンは、社会的な弱者・被支配者が抱く、強者・支配者に対する怒りや憎悪、嫉妬などの感情である。ニーチェはルサンチマンを「弱者側の道徳観」と捉えた。弱者は強者に対する憤りを行動に移せない。そのため弱者は、想像の中で復讐心を膨らませて心を慰めるのだいう。

ニーチェは「道徳の系譜」(1887年)においてルサンチマンの概念を提唱した。ただし、ルサンチマンの「弱者の強者による嫉みが道徳観となる」という構造は、必ずしもニーチェによる空前の発明というわけではない。デンマークの思想家キルケゴール(Søren Kierkegaard)は1846年に「En literair Anmeldelse」(抄訳の邦題は「現代の批判」)において、当代における道徳観を「嫉み〔嫉妬〕」であると看破している。

キルケゴールはこの「嫉み」に基づく道徳観を、強者の足手まといになる道徳観として、強者側の視点から示した。ニーチェは逆に弱者の視点から捉え、そして「ルサンチマン」という用語を与え、この概念を定義したのである。

ニーチェは、当時の西欧文化において絶対的な価値基準であったキリスト教的道徳観に対して懐疑的であった。キリスト教の起源は、ユダヤ人の、かつて虐げてきたローマ人に対するルサンチマンが根底にあるという。強者たるローマ人により虐げられ、貧しく不幸な生活をしている自分達ユダヤ人は、貧しく不幸であり、だからこそ幸いなのだ、貧しい人にこそ神の国が開かれているのだ、という考え方がキリスト教の根底にあるとニーチェは捉えた。

ニーチェはいわゆる実存哲学の先駆者として知られ、今日もなお大きな影響を与え続けている。「ルサンチマン」の概念もまた、今日でも世間道徳を俯瞰する手がかりとして価値を保ち続けている。

例えば、有名人のゴシップ・醜聞・スキャンダルの類に(直接的には無関係なはずの)人々が過剰なまでに反応して大騒ぎするのも、ルサンチマンの感情が根底にあるためと考えれば腑に落ちる。自分より恵まれている有名人に対する嫉妬心、憎悪、復讐心。これが自分と同じ境遇の、自分と同じルサンチマンを抱いた人々と、ひそかに一致団結した場合、大きな炎上騒ぎとなることも少なくない。

こうした感情の機微を、ニーチェは人間の本質であるとし、批判せずむしろ肯定的にとらえている。

ルサンチマンの概念

ニーチェがルサンチマンについて再定義した後も、著名な哲学者や歴史家、批評家などがルサンチマンの概念を独自に論じている。フランス現代哲学を代表するジル・ドゥルーズは、著書においてルサンチマン概念の再生を述べた。フランスの文芸批評家ルネ・ジラールは、ルサンチマンを誰もが持ち得る嫉妬心に過ぎないと論じている。つまり、ルサンチマンのような感情は自分で制することが難しく、誰でも自然と抱いてしまう感情だというのだ。ルネ・ジラールの考え方からすると、貧しく虐げられた者のみが強者に対して抱くのではなく、強者ですらルサンチマンを抱き得ることになる。

カナダの歴史家マルク・アンジュノも、ルサンチマンを不満が蓄積されることによって生まれる態度としている。特に、アイデンティティ・ポリティクスを論じる際にルサンチマンの概念を取り上げているのが特徴的だ。ルサンチマンを根底とする主意主義が独善的な主張を増やし、社会における差別や対立を煽っていると論じたのである。

デバイス

英語:device

デバイスの意味、デバイスとは

デバイスとは、装置や機械のこと。特定の機能を持つ道具を英語でデバイスといい、転じて電子部品やパソコンの周辺機器、スマートフォンのように単体で機能を持つ電子機器や端末を総称してデバイスと呼ぶようになった。主にパソコンの内部装置や周辺機器の意味で使用されることが多い。

デバイスはいくつかの切り口で分けることができる。周辺機器としてのデバイスは、コンピュータに入力するデバイスや、コンピュータの演算結果を出力するデバイスがある。入力デバイスの例としては、マウス、キーボード、マイク、ゲームパッドなどである。出力デバイスは、スピーカー、ディスプレイ、プリンターが該当する。内部装置としてのデバイスは周辺機器と異なり、例えばHDDやSSD、メインメモリは入力と出力を両方行う装置であるし、ビデオカードもCPUからの命令をディスプレイに表示させる仲介役の役目を果たす。周辺機器としてのデバイスは、大半が人間とパソコンをつなぐインターフェースの役割を持つため、入力と出力が明確になっているのである。ただし例外もあり、液晶画面付きペンタブレットやマイク付きヘッドセット、振動機能のついたゲームパッドなどはひとつのデバイスに入力系と出力系が共存する。

デバイスのセットアップ

デバイスをパソコンに接続する行為において重要な概念が、「プラグアンドプレイ」である。これは、デバイスを接続した時、そのデバイスのセットアップを自動で行うというもので、1995年、Windows 95の登場と共に新機能のひとつとして宣伝され、その後Windowsの代替わりごとに洗練されてきた。具体的な動作としては、デバイスをパソコンに接続すると、それを検知したパソコン側がデバイスを認識し、デバイスを動作させるために必要なプログラム(「ドライバー」という)を用意してインストールまでを済ませる。これにより、ユーザーは特別なセットアップ作業を行うことなく、デバイスをつなぐ(Plug)だけで使用(Play)することができる。

ただし、まれにプラグアンドプレイ機能ではデバイスを特定できない場合がある。その場合は、デバイスの販売元のサイトで配布されているドライバーをダウンロードしたり、デバイスの開封時に付属しているCDメディアなどを利用してドライバーをインストールする手順を踏む必要がある。

デバイスマネージャー

パソコンを使用していると、突然デバイスを認識しなくなったり、デバイスの動作が異常な状態に陥ることがある。こうしたデバイス周りの問題を調べるためのツールがデバイスマネージャーである。デバイスマネージャーでは、パソコンに接続されているデバイスが一覧で表示されている。この中から問題を起こしているデバイスを探す。エラーとなっているデバイスには、「!」や「?」といった表示がついているため、そのデバイスのドライバーを再インストールするなどの対処を行う。

デバイスがパソコンで動作しなくなる理由は、ドライバーに何らかの異常があったためである。ドライバーが何らかの影響でハングアップする、ドライバーのバージョンとOSのバージョンが噛み合わなくなり上手く動作しなくなるなどの原因が考えられる。大抵は最新のドライバーを入れ直すことで解決するが、まれに「ドライバーとソフトウェアの相性」、ひいては「デバイスとパソコンの相性が悪い」ということもありうる。例えば、あるデバイスを動作させるドライバーを実行した結果、それまでソフト側で使用していた機能の一部がデバイスに専有され、ソフトが動作しなくなった、などのケースの場合は、デバイスを変えるか、ドライバーを最新版にして様子を見るなどの対策が必要となる。


十二支

読み方:じゅうにし

十二支とは、十二支の漢字

十二支とは、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12種の漢字1字からなる記号のこと。同様に、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種の記号からなる「十干」と組み合わせることで、60を周期とする「干支」という数詞を形成し、方角や時間、暦を表す際に用いられる。また、陰陽五行説と組み合わせることで各種占いにも応用される。

十二支の起源

十二支の起源は中国の商王朝の時代にまで遡り、遺跡から出土した亀甲獣骨には、日付を表すための干支が多数刻まれていた。このことから、商王朝時代においては日付を表すための使用が一般的と考えられる。さらに当時は、十干のみで日付を表す事例も多数存在したことから、十干を基本としていたとされる。春秋戦国時代に移ると、陰陽五行説と結びついて卜占への応用が始まった。また、暦法としての使用方法が確立されたのも戦国時代の中期とされており、商王朝では日付のみだったが、月や年を表すようにもなった。漢王朝の時代に移ると、方角や時刻などに干支を使用する例が登場する。さらに、この頃になると、十二支のみで時刻を表す、年を表すなどの例も増え、干支においては十二支が基本となることも増えてきた。

中国国外にも広まり、主に日本や朝鮮で使用されることが多く、その他の地域でもロシアや東欧、ベトナムなどに広まった。日本では、本来十干と十二支を組み合わせたものを意味する「干支」が、十二支のみを指す言葉として変容を遂げている。

十二支の動物

十二支に用いられる漢字は、それぞれ特定の動物に対応している。日本においてはネズミ、牛、虎、ウサギ、龍、ヘビ、馬、ヒツジ、猿、ニワトリ、犬、イノシシの12種である。ただし、地域によっては若干の変容が存在し、中国をはじめとする多数の地域では亥に当たる動物はイノシシではなくブタになっている。また、未に当たる動物は、日本ではヒツジのみを指すが、中国などではヒツジに加えてヤギを指すケースもある。これは、ヒツジを表す漢字の「羊」が、中国ではヤギとヒツジを総称する意味合いを持つためである。その他、国によってはウサギや虎の代わりに猫が使用されたり、インドではニワトリの代わりに神鳥とされるガルーダが使用される、アラビアでは龍がワニに置き換わるなど、使用される動物に違いがある。

これらの動物は十二生肖と呼ばれ、日本では十二支と不可分のものであるとされている。また、仏教においては薬師如来の眷属である十二神将を表す際に用いられるようになった。現代では、年賀状の図版にその年の十二支に該当する動物や、その動物にちなんだキャラクターが用いられる。

十二支のはじまり、順番

「十二支のはじまり」として、動物の選定や順番についての由来を説明する説話が存在する。この説話は、地域や国によって細かい差異こそあるものの、大筋は共通しており、その内容は以下の通りである。

十二支の順番を決める立場にある者(お釈迦様や神様など)が、動物たちを召集する。決定は先着順であると伝えられ、ネズミはライバルを減らす、牛にしがみついて移動の労力を減らすなどの策略により、見事1番手となる。一方ネズミの策略に利用された牛は、足が遅いことを自覚しており、早起きして召集に応じた結果2番手となる。こうして他の動物も順次到着し十二支の動物が決まるが、ネズミの謀略によって猫は一日遅れて来てしまい、それ以来猫はネズミを恨み、追い回すようになった。

細部においてはエピソードが追加されることもある。例えば、イノシシと犬は自分の脚力を過信した結果、寝過ごしてしまい11番手と12番手になってしまったという話があり、「早起きは三文の徳」という教訓話になっている。他にも、猿と犬の仲が悪く、いがみ合っていたところをニワトリが仲裁しながら到着したため、猿と犬の間にニワトリが入ることになった話、神が「十支」で締め切ろうとしたところ、イノシシが体当たりによって神の居所の門を破壊し強引に押し通ったが、イノシシが突進のショックで一時的に失神した隙を突いて犬も飛び込んでいたという話もある。

ネズミに騙された13番目の動物も諸説あり、イタチやカエル、鹿といった動物の登場例が確認されている。イタチの場合は神が不憫に思って月初を表す言葉を「ついたち」としてイタチの名前が入るようにした、という由来が追加されたり、カエルの場合は「もうかえる」と言い放って帰宅する、という駄洒落による落ちがつく。

IR

英語:investor relations
英語:integrated resort

IRの意味、IRとは何か

IRとは、インベスター・リレーションズ(investor relations)、または統合型リゾート(integrated resort)の略称。略称は両方とも「IR」であるが、その意味は異なる。

インベスター・リレーションズ(IR)の意味

インベスター・リレーションズとは、営利企業が取引先企業や株主といった利害関係者(ステークホルダー)に、自社の経営状態や財務状況、将来的な業績予想といった情報開示を行う活動のことである。

インベスター・リレーションズ(IR)における具体的な活動としては、Webサイトを通してCSR報告書を開示したり、説明会を開催して企業情報を提供したりすることなどが挙げられる。企業は情報を開示することで活動内容を透明化することができ、社会的な信頼を得られるようになる。資金調達もしやすい環境になる。

統合型リゾート(IR)の意味

統合型リゾートとは、カジノやホテル、アミューズメントパーク、ショッピングモール、国際展示場などさまざまな施設が一体となった複合的な施設のことである。統合型リゾート(IR)はマカオやシンガポールなどにあり、多くの外国人観光客が訪れている。ちなみに、マカオにおける歳入の80%がカジノによる税収となっている。

日本でも外国人観光客を増やすために統合型リゾートの開発を進めている。2016年に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」、いわゆるIR推進法が衆議院本会議で可決された。これにより、今まで違法だったカジノが法律上認められることになった。一方で、カジノ解禁によってギャンブル依存症の人が増加したり、施設周辺の治安が悪化したりするのではないかといった考えを持つ人も少なくない。統合型リゾートの運営にマフィアや暴力団などの反社会勢力が関与するのではないかといった懸念もある。

ナスダック

英語:NASDAQ
英語:National Association of Securities Dealers Automated Quotations

ナスダックとは何か、わかりやすく解説

ナスダックとは、全米証券業協会が運営している株式市場の名称のこと。ナショナル・アセンション・オブ・セキュリティーズ・ディールズ・オートメイテッド・クォーテーション(National Association of Securities Dealers Automated Quotations)の頭文字をとってナスダック(NASDAQ)と呼ばれ、全米証券事業協会による自動価格見積もりという意味を持っている。市場の取引時間は現時時刻で9:30から16:00で、日本時刻の23:30から6:00(サマータイムの時は22:30から5:00)である。

1971年以前は実物の紙が株式として使用されていたが、ナスダックの誕生によってコンピューターネットワークによる、電子株式取引が可能になった。電子株式取引によって取り扱う株の売買傾向を提示できるようになり、顧客は株売買の判断基準が増えた。種別は証券取引所だが、立会い所を持たずインターネット上で取引を完結することができる。ナスダックはベンチャー企業が集まる市場だが、インターネット関連企業が世界的にも台頭したことにより有名IT企業も参加している。

ナスダック総合指数、ナスダック100指数

ナスダックに上場している米国内外3000以上ある銘柄の時価総額に、時価総額加重平均型指数を基に算出した数値をナスダック総合指数と呼ぶ。また、金融銘柄を除外した時価総額上位100銘柄に限定し、時価総額加重平均型指数で算出した数値をナスダック100指数という。ナスダック総合指数はナスダックに上場している海外企業も指数に組み込まれるため、世界中の新興市場のベンチマークとして注目されている。ナスダック100指数の先物は、シカゴにあるマーカンタイル取引所にて取引されている。ナスダック100指数やS&P 500を注視することにより、世界を代表する企業の株価を把握することができる。

1990年代前期からはインターネット関連企業の実需が高まり、知名度の高いIT企業銘柄が多くなったため、ナスダック100指数は有名IT企業銘柄の動向を知る判断材料としても重要な指標となった。ナスダック100指数を投資対象にすることも可能で、連動したETFも販売されている。国内から投資する時は為替レートの変動による影響を踏まえる必要があり、場合によっては手数料が割高になる。ナスダックはインターネット関連などのベンチャー企業が多いため、市場から消える企業が多いのも特徴である。そのため、ハイリスク・ハイリターンな銘柄が多い市場として認識されている。ナスダックへ上場している企業はアメリカが多く、他はイスラエルや中国などが次いで上場数を伸ばしている。

ナスダックの上場株式

国内からナスダックに上場している企業の株を購入する場合は、ナスダック株を取り扱っている国内の証券会社で口座を解説する必要がある。証券会社によっては、取り扱っている企業の株に違いがある。海外株は値幅制限が無い上に高騰や暴落があるので、国内の市場よりもシビアな取引が要求される。銘柄に関して企業のバックボーンなどを精査するのが難しいため、決算書などさまざまな観点から相場を読まなければならない。ナスダックの株式市場規模は世界第2位と巨大な市場なため、投資の選択肢が増えるというメリットがある。また、海外株は1株から購入することができるので小額の投資や有名企業の株を保有しやすく、ナスダック市場で人気の銘柄も手軽に持つことが可能である。更にアメリカは四半期に1回のペースで配当金を配るので、安定した企業の株を配当金目的で保有する選択肢もある。

傾向が似ている国内市場のジャスダックは、株式会社東京証券取引所が運営している。ベンチャー企業向けの国内株式市場として創設されたジャスダックはナスダックを意識した市場のため、ベンチャー企業やインターネット関連の銘柄が多い。海外企業の影響を受けやすい銘柄が多いため、ジャスダック市場へ投資している場合はナスダック市場も注視することが多々ある。

パパ活

読み方:パパかつ
別名:P活

「パパ活」とは、20代~30代の女性がパパと呼ばれる中年男性と食事やデートあるいは大人のカラダの関係を持つことで見返りとしてお手当てと呼ばれる金銭を受ける活動のことを意味する表現。

パパ活とは何か、パパ活の意味

パパ活とは、経済的に余裕のある男性と一緒の時間を過ごし対価として金銭を得る活動のこと。経済的な援助をしてくれるパパのような存在のパトロンを探す活動という意味で、2014年にSNSを発端に語感の良さからパパ活という単語が広まった経緯がある。パパ活という単語は年々浸透し、2017年にはパパ活というタイトルでインターネットテレビ配信のドラマも制作された。知名度が年々上昇したことでパパ活をする女性がその後は急激に増え、2020年現在は支援してくれる男性よりも女性が多くなっている。その比率は3対7と女性が男性の2倍以上で、支援者を求める女性にとっては厳しいのが現状である。しかし、支援してくれれば誰でもいいという訳ではないので良質な男性を見極めなければいけない。

パパ活の相場

基本的にパパ活は肉体関係など性行為の強要はなく、テーマパークなどで体験を共有したり、食事を同席したりすることが主な内容だが、双方の意向によっては性行為に至る場合もある。パパ活は地域によって金額に幅があり、東京や大阪などの中心都市は高額で、地方は2割から3割程度少ないと言われている。初回顔合わせの相場は5,000円から10,000円で、それ以降は10,000円以上が相場である。月極で週に数回程度会う固定パパと呼ばれる男性が相手の場合は50,000円以上が相場になっている。パパ活を行っている女性の報酬は月に30,000円から200,000円と幅があり、平均額は70,000円程度である。実際の稼動日数は月に2日から4日が多い。拘束時間は相手によって変わり、1時間の人もいれば8時間以上という人もいる。時給換算時に効率の良い相手を選ぶ人が多いが、一緒にいて苦痛な場合は長く続かず報酬額が少なくなる。

パパ活する女性の年齢とパパ活時の服装

パパ活を募集する女性の年代は20代から30代が多く、1番需要があるのは20代である。支援する男性はパパという立場で支援するので、娘のような年齢の女性を対象にしている。40代以上の女性のパパ活は水商売に比べると年齢によるハンデが大きいが、支援を希望する男性の年齢を上げれば相手は見つかる。パパ活では服装が重要で、男性は外食を一緒に楽しめる娘を求めるため、服装が派手で水商売を連想するような格好だと敬遠される。清楚系の服装にナチュラルメイクを意識して着飾ると好印象と言われている。

パパ活のためのアプリ

良質なパパと知り合う方法は色々あるが、業者を介する方法として専用アプリやパパ活サイトが利用されている。利用料金は女性が無料で、男性は月額5000円から10000円以上である。専用アプリにはおのおの特徴があり、利用している男性の年齢や男女比によって相手が見つかりやすいかどうかに差が生じるため、年齢層などが好みに合致するアプリを利用する必要がある。実際に会う前にメッセージでやりとりをするので、その段階で相手を見定めることができるのが専用アプリの利点である。

パパ活のコツ

パパ活は接点がない男性と知り合い一緒に時間を過ごすため、人によっては向き不向きがある。向いている女性は表情が豊かで人当たりが良い人である。愛嬌がある女性は男性の父性に訴えることができるので、継続して支援してもらいやすい。容姿が整っていることよりも、一緒にいて楽しいことが優先される。食事やアルコールを一緒に楽しめたり、男性の趣味に興味があったりする女性が重宝される。ただし、商売気のある振る舞いは好まれないので注意が必要である。

出会う男性にはいろいろなタイプがいるため見極めが必要で、場合によっては自己防衛もしなければいけない。パパ活をしている女性は多いので、良好な関係を築ける男性と巡り会うまでは時間がかかる。お互いの希望が合致する相手が見つかるまでは、妥協せずに気長に探すしかない。謎の多い不振な男性や嫌がることを強要する相手には無理に支援してもらわず、別の相手を探した方がよい。

2020年4月1日水曜日

PCR検査

読み方:ピーシーアールけんさ
別名:PCR検査法

PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)と呼ばれるDNAの増幅技術を活用した遺伝子解析および検査の方法。2020年春現在、いわゆる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染の有無を精査する有力な手法のひとつとなっている。

PCRは、ごく少量のDNAを、比較的短時間で、分析試料として足るだけの量に増幅できる技術である。遺伝子工学においては必須の技法であり、医学研究から法医学・古生物学まで、さまざまな用途に活用されている。ちなみにPCRの手法を開発したマリス(Kary Mullis)は同功績が讃えられノーベル化学賞を授与されている。

PCR検査を感染症の検査に活用することで、高い精度で(しかも迅速に)DNA上の痕跡から感染の有無の判断、およびウイルス等の病原の同定が可能となる。しかしながら、判定の精度には限りがあり、採取する検体の部位によって精度はさらに違ってくる。「DNAの増幅」という特殊な手法を用いるため、実施にはそれ相応の高度な技能や設備が必要であり、一度に検査できる数には限りがあるという難点もある。

ECMO

読み方:エクモ
別名:体外式膜型人工肺
別名:ExtraCorporeal Membrane Oxygenation

血中のガス交換(二酸化炭素の除去および酸素の付与)という肺の機能を代行する生命維持装置。患者の静脈血を抜き取り、成分を交換して再び体内に戻す。主に重度の呼吸不全に陥った患者の生命維持ないしは蘇生の手段として用いられる。

ちなみに、いわゆる「人工呼吸器」は肺にガス(空気)を送るための《呼吸》を補助する装置であり、患者自身の肺の機能を用いる点でECMOと大きく異なる。「人工心肺装置」は、多くの場合は心臓手術などを行う際に用いられる装置が念頭に置かれる。外部装置を用いて血液のガス交換を代行する点ではECMOと共通しており、ECMOを指して「ECMOと呼ばれる人工心肺装置」のように説明される場合はある。

ECMOは、重度の呼吸不全に陥り人工呼吸器でも生命維持が難しくなっている患者に肺のガス交換機能を提供維持できる装置といえる。しかしながらECMOの配備や運用には多大なコストが必要ではある。