読み方:さいようせい
再び陽性になること。感染症の検査で「陽性」と判断され、一旦「陰性」に転じたが、後の再検査では「陽性」と判断されること。2020年春現在、いわゆる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者に再陽性の事例が続発しており、調査が急がれている。
「再陽性」の典型的な状況としては、(1)体調不良により検査を行い「陽性」と判断され入院、(2)治療を受け容体が回復して再検査でも「陰性」と判断され退院、(3)その後しばらくして容体が悪化し再検査を受けたところ「陽性」と判断される、といった状況が挙げられる。
再陽性になる要因は、「再感染」と「再燃」の2通りが考えられる。「再感染」は、いったん体内からウイルスが排除されて回復したが再び外部から感染源を取り込んで感染することである。「再燃」は、容体が回復する程度に減少した(とはいえ完全に排除されたわけではない)体内のウイルスが再び増加することである。
ウイルスの感染の標準的な検査方法といえる「PCR検査」には、ウイルスが減少すると検出しにくくなり、陰性と判断されやすくなる性質がある。そのため、再陽性が再感染と再燃のどちらによるものなのかを見極めることは容易でない。
新型コロナウイルスに関しては、退院後はずっと自宅におり戸外に出る機会がほぼなかったのに再陽性に転じた例も報告されており、「再燃」に該当する事例の存在が示唆されている。
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超過死亡
英語:excess mortality
英語:excess death
人口動態統計などを用いて算出された死者数の予想値を、実際の死者数が上回る(超過する)こと。予想された以上に人が死亡している状況。および、その超過の程度をインフルエンザ(流行性感冒)の流行・影響の大きさを測る指標として用いる考え方。
超過死亡において用いられる「予想値」とは、統計データから妥当に算出される死亡者数であり、すなわち「インフルエンザが流行していなかった場合」に実現されたはずの死亡者数である。インフルエンザが流行すると実際の死亡者数が予測値を上回る。予測と実際の乖離の程度が、社会にインフルエンザがもたらず影響の程度として捉えられる。
超過死亡の算出において扱われる死亡者は、死因を問わない。各死亡者が直接的か間接的にインフルエンザの影響で死亡したとは限らない。これが却って、インフルエンザが遠因となって持病が悪化し命を落としたような事例を取りこぼさず、正しく影響に含めることに寄与している。
もし、インフルエンザの流行が完璧に阻止できたとすれば、超過死亡の値は限りなくゼロに近づくはずである。
超過死亡の概念は、世界保健機関(WHO)が1970年代に提唱した。日本では90年代終盤以降、国立感染症研究所(NIID)によって日本向けに最適化された評価モデルが導入されている。
関連サイト:
インフルエンザ・肺炎死亡における超過死亡について ― NIID 国立感染症研究所
英語:excess death
人口動態統計などを用いて算出された死者数の予想値を、実際の死者数が上回る(超過する)こと。予想された以上に人が死亡している状況。および、その超過の程度をインフルエンザ(流行性感冒)の流行・影響の大きさを測る指標として用いる考え方。
超過死亡において用いられる「予想値」とは、統計データから妥当に算出される死亡者数であり、すなわち「インフルエンザが流行していなかった場合」に実現されたはずの死亡者数である。インフルエンザが流行すると実際の死亡者数が予測値を上回る。予測と実際の乖離の程度が、社会にインフルエンザがもたらず影響の程度として捉えられる。
超過死亡の算出において扱われる死亡者は、死因を問わない。各死亡者が直接的か間接的にインフルエンザの影響で死亡したとは限らない。これが却って、インフルエンザが遠因となって持病が悪化し命を落としたような事例を取りこぼさず、正しく影響に含めることに寄与している。
もし、インフルエンザの流行が完璧に阻止できたとすれば、超過死亡の値は限りなくゼロに近づくはずである。
超過死亡の概念は、世界保健機関(WHO)が1970年代に提唱した。日本では90年代終盤以降、国立感染症研究所(NIID)によって日本向けに最適化された評価モデルが導入されている。
関連サイト:
インフルエンザ・肺炎死亡における超過死亡について ― NIID 国立感染症研究所
ミトコンドリア
英語:mitochondria
このミトコンドリアの構造は細菌に似ていると言われている。ミトコンドリアの構造に関わる脂質の構成がそもそも細菌のそれと似ているだけでなく、ミトコンドリアは生物が持つ核のDNAとは異なる独自のDNAを持っていることでも知られている。この成り立ちとしては太古の昔、真核細胞内に侵入した細菌が細胞内での共生を行ったことでエネルギー産生に関わる小器官に変化した、という説が支持されている。真核生物が有性生殖によって増える場合には父母両方由来のDNAを半数ずつ持つことになるため、父母とは異なるDNA型になるのだが、このミトコンドリアDNAは母方のミトコンドリアDNAと完全に合致する。
エネルギーの産生はミトコンドリアが主に担っているため、細胞に酸素や糖質などのエネルギー源が供給されない状態が続くと細胞は活動するためのエネルギーを得ることができない。そのため、酸欠や飢餓によって人体は細胞の機能不全に見舞われ、生存が難しい状態に陥ってしまう。ちなみに、赤血球などの一部の細胞は、このミトコンドリアを持たず、細胞膜にある小器官を用いてエネルギーを産生するのだが、ミトコンドリアに比べてエネルギーを産生する効率は劣る。生物がエネルギーを産生する機構としては、ミトコンドリアが行う好気的な反応が効率がいいとされている。
ミトコンドリアが何らかの原因で破壊されて内容物が漏出した場合、細胞は漏出した物質を感知して自死を選ぶことも知られている。その原因としては毒物や金属などの外的な要因も考えられるが、身体の機能として自らのミトコンドリアを破壊して細胞内に内容物を漏出させる機構が確認されている。これによって異常を来たした細胞は自死するため、ウイルスに感染するなどの異変に見舞われた細胞が周囲の組織に影響を与えないよう、自己を処理する機構にもミトコンドリアは深く関与している。
ミトコンドリアとは、ミトコンドリアの意味
ミトコンドリアとは、エネルギー産生に関わる真核生物の細胞内小器官の一種のこと。神経や筋肉などのエネルギーを多く消費する細胞だけでなく、皮膚などの組織を構成する細胞の中にも存在している。精子のような微細な構造物の中にもミトコンドリアは存在し、細胞が増殖したり、タンパクを合成したり、運動するためのエネルギーを供給していることで知られる。筋肉や神経、肝臓の細胞の内部には数百から数千のミトコンドリアが存在して、エネルギー産生によって細胞の活発な活動を支えている。ミトコンドリアの構造
ミトコンドリアは襞を持つ内膜とそれを包む外膜、という二重の膜を持つ構造体である。2つの膜は特定の物質しか通過させることがない、フィルターのような役割を果たしているため、ミトコンドリアの内部と外部はほとんど隔絶されていると言える。内膜によって包まれた空間をマトリックスと言い、ここにミトコンドリア独自のDNAやリボソームなどの細胞内の情報伝達物質や、エネルギー産生に関わる酵素を蓄えている。エネルギー産生において重要な構造であると言えるのが、このマトリックスである。このミトコンドリアの構造は細菌に似ていると言われている。ミトコンドリアの構造に関わる脂質の構成がそもそも細菌のそれと似ているだけでなく、ミトコンドリアは生物が持つ核のDNAとは異なる独自のDNAを持っていることでも知られている。この成り立ちとしては太古の昔、真核細胞内に侵入した細菌が細胞内での共生を行ったことでエネルギー産生に関わる小器官に変化した、という説が支持されている。真核生物が有性生殖によって増える場合には父母両方由来のDNAを半数ずつ持つことになるため、父母とは異なるDNA型になるのだが、このミトコンドリアDNAは母方のミトコンドリアDNAと完全に合致する。
ミトコンドリアの働き
ミトコンドリアの働きは、糖質などのエネルギー源と細胞に運ばれてくる酸素を反応させ、ATPというエネルギーを生み出すことである。このエネルギーは増殖や運動などの細胞内のさまざまな活動に使われる。とは言え、細胞にいきなり糖質と酸素を取り込んで反応させているわけではない。これらの物質はミトコンドリアの膜を通過することができないため、ミトコンドリア内に送り込むことができる形にしなくてはならない。ブドウ糖などのエネルギー源を体内で代謝していった結果のエネルギー源となる産物が、この膜の表面のタンパク質によって輸送されることで膜を通過しミトコンドリアの内部であるマトリックスに至り、そこでさらに加工されてATPという細胞で使用できるエネルギーになる。エネルギーの産生はミトコンドリアが主に担っているため、細胞に酸素や糖質などのエネルギー源が供給されない状態が続くと細胞は活動するためのエネルギーを得ることができない。そのため、酸欠や飢餓によって人体は細胞の機能不全に見舞われ、生存が難しい状態に陥ってしまう。ちなみに、赤血球などの一部の細胞は、このミトコンドリアを持たず、細胞膜にある小器官を用いてエネルギーを産生するのだが、ミトコンドリアに比べてエネルギーを産生する効率は劣る。生物がエネルギーを産生する機構としては、ミトコンドリアが行う好気的な反応が効率がいいとされている。
ミトコンドリアが何らかの原因で破壊されて内容物が漏出した場合、細胞は漏出した物質を感知して自死を選ぶことも知られている。その原因としては毒物や金属などの外的な要因も考えられるが、身体の機能として自らのミトコンドリアを破壊して細胞内に内容物を漏出させる機構が確認されている。これによって異常を来たした細胞は自死するため、ウイルスに感染するなどの異変に見舞われた細胞が周囲の組織に影響を与えないよう、自己を処理する機構にもミトコンドリアは深く関与している。
ポピュリズム
英語:populism
ポピュリズムは、利益を大衆に帰属させるという観点から、個は全体に従属すべきという権威主義や全体主義と同義ととらえられることがある。これは本来民主主義とは対立する観点ではあるが、民主主義政体において最大多数を占める集団に対する利益を追求し、少数派を無視する政策を安易に行い続けた場合には、ポピュリズムが権威主義や全体主義に転じていく可能性が大いにある。21世紀に入ってからは、複雑な政治上の対立構造を単純化して大衆に直接支持を訴える、いわゆる「劇場型政治」を繰り広げる政治家の活動思想に対して用いられることが多くなり、大衆迎合政治や衆愚政治、反知性主義といった意味合いが付与されるようになった。
ポピュリズムの反対語としては、19世紀の用例に対してはエリート主義、21世紀以降の用例ではリバタリアニズム(自由至上主義)、哲人政治、知性主義などが挙げられる。
ヨーロッパにおいては、19世紀に発生したロマン主義が、従前の知識人を主体とする合理主義や知性主義に対抗する概念として生まれた。時は下って1930年代から40年代にかけて展開されたムッソリーニのファシズムや、ヒトラーのナチズムといった運動は、大企業、知識人、外国資本、社会主義者、共産主義者といった集団に対して明確に反抗しており、また民衆に対して利益をもたらすことを約束したことから、ポピュリズムに分類される。
21世紀に入り、アメリカやイギリス、フランスなどの欧米諸国では、テロとの戦いや移民問題、ブレグジットなどの様々な要因から保守路線の政党が大衆感情に迎合した政策を掲げることが多くなった。間接民主制が腐敗などで十全に機能しなくなった場合や、目下の危機に現在の政治では対応が出来ない場合にはポピュリズム政党に対する支持が増える傾向にある。
日本においては、2000年代に「聖域なき構造改革」を掲げて、反対する政治家を抵抗勢力と名指しで批判し、対決姿勢で臨む劇場型政治を繰り広げた小泉純一郎がポピュリスト政治家と認識され、ポピュリズムが日本に浸透を始めていった。また、地方自治体では、市民が直接選挙によって知事や市長を選ぶため、東京都における石原慎太郎や小池百合子、大阪府における橋下徹のような、タレント性の高い政治家が登場し、人気取りのために大衆へ迎合した政策を掲げる傾向が見られる。このことから、地方政治においてはポピュリズムがより浸透しやすい土壌が作られていると考えられる。
ポピュリズムとは、ポピュリズムの意味
ポピュリズムとは、労働者や貧農、都市中間層といった市民階層を「大衆」と位置づけ、大衆に対する所得再分配や政治的権利を希求する政治思想のこと。また、ここから転じて、政治家が大衆の抱く感情や情緒に寄り添う形で政治を行う手法や、そうした大衆の基盤に立つ運動も指す。日本語では人民主義、衆愚政治、反知性主義などの訳語が用いられることが多い。ポピュリズムの語源
ポピュリズムの語源は、1891年にアメリカで設立された政党「アメリカ人民党」の構成員や支持者を指す「ポピュリスト」である。アメリカ人民党はノースカロライナ州やアラバマ州、カンザス州といった、アメリカ南部や中西部の諸州で貧困にあえぐ農民を支持基盤として勢力を伸ばした。エリート層や鉄道会社、銀行などに対して経済的に対抗することを掲げ、農本主義を掲げる政策の主軸としている。人民党自体は1896年に民主党の選挙協力を受けたことをきっかけに活動が衰退した結果解散し、ポピュリズムの運動も衰退している。ポピュリズムは、利益を大衆に帰属させるという観点から、個は全体に従属すべきという権威主義や全体主義と同義ととらえられることがある。これは本来民主主義とは対立する観点ではあるが、民主主義政体において最大多数を占める集団に対する利益を追求し、少数派を無視する政策を安易に行い続けた場合には、ポピュリズムが権威主義や全体主義に転じていく可能性が大いにある。21世紀に入ってからは、複雑な政治上の対立構造を単純化して大衆に直接支持を訴える、いわゆる「劇場型政治」を繰り広げる政治家の活動思想に対して用いられることが多くなり、大衆迎合政治や衆愚政治、反知性主義といった意味合いが付与されるようになった。
ポピュリズムの反対語としては、19世紀の用例に対してはエリート主義、21世紀以降の用例ではリバタリアニズム(自由至上主義)、哲人政治、知性主義などが挙げられる。
ポピュリズムの歴史
ポピュリズムは元来アメリカで起こった運動であったが、類似する運動として1860年の帝政ロシアで起こったナロードニキ運動がある。ナロードニキはロシア語で人民主義者の意味であり、農奴解放を目指していた。この運動は後にポリシェビキに引き継がれ、ロシア革命の原動力となる。アメリカとロシアで19世紀に起きたポピュリズムは、どちらも農業経済から工業経済への移行期に発生したものであり、過激な活動を伴っていたことが共通している。ヨーロッパにおいては、19世紀に発生したロマン主義が、従前の知識人を主体とする合理主義や知性主義に対抗する概念として生まれた。時は下って1930年代から40年代にかけて展開されたムッソリーニのファシズムや、ヒトラーのナチズムといった運動は、大企業、知識人、外国資本、社会主義者、共産主義者といった集団に対して明確に反抗しており、また民衆に対して利益をもたらすことを約束したことから、ポピュリズムに分類される。
21世紀に入り、アメリカやイギリス、フランスなどの欧米諸国では、テロとの戦いや移民問題、ブレグジットなどの様々な要因から保守路線の政党が大衆感情に迎合した政策を掲げることが多くなった。間接民主制が腐敗などで十全に機能しなくなった場合や、目下の危機に現在の政治では対応が出来ない場合にはポピュリズム政党に対する支持が増える傾向にある。
日本においては、2000年代に「聖域なき構造改革」を掲げて、反対する政治家を抵抗勢力と名指しで批判し、対決姿勢で臨む劇場型政治を繰り広げた小泉純一郎がポピュリスト政治家と認識され、ポピュリズムが日本に浸透を始めていった。また、地方自治体では、市民が直接選挙によって知事や市長を選ぶため、東京都における石原慎太郎や小池百合子、大阪府における橋下徹のような、タレント性の高い政治家が登場し、人気取りのために大衆へ迎合した政策を掲げる傾向が見られる。このことから、地方政治においてはポピュリズムがより浸透しやすい土壌が作られていると考えられる。