新語時事用語辞典とは?

2022年1月24日月曜日

憲法と法律の違い

普段は見慣れている言葉でも、その意味をきちんと理解して、使用している人はそれほど多くはないでしょう。特に日本語は、似た読み方や似た意味を持つ言葉が多く、日常生活でも状況に応じてどんな語句を使えばいいのか分からなくなってしまうことがありますよね。今回は、一見似たような語句である「憲法」と「法律」の意味の違いや使い方などをご紹介します。是非ご活用下さい。

「憲法」「法律」の違い・概要

「憲法」と「法律」の意味の違いは、誰が何をルールによって縛るかによって異なっています。「憲法」とは、国の政治の基本の在り方を国民が定めたルールであり、国などの大きな権力から国民を守るための縛りです。対して「法律」とは、国民が定めた憲法に基づいて国が作ったルールのことであり、国の秩序などを守る為に国が国民に課した縛りのことです。

まとめると、「憲法」は国のためのルール。「法律」は国民のためのルールとなっています。

「憲法」「法律」の意味・読み方は?

「憲法」は「けんぽう」と読み、「法律」は「ほうりつ」と読みます。「憲法」と「法律」を詳しく説明すると、まず第一に「憲法」は国の最高法規であり、法律の中で上位に位置しています。憲法の最高法規とは、日本国憲法の第九十八条であり、そこから抜粋すると『この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。』と書かれています。つまり、憲法が絶対的な国の基本の規定となり、それによって法律やその他の重要なルールなどが定められ、憲法に反するものは法律であっても無効となるということです。

そして、「憲法」とは、国民が国家の権力から自由や権利などを守るために生まれた規定であり、国が守らなくてはいけないルールとされています。そもそも何故「憲法」が誕生したかと言うと、第二次世界大戦後、軍国主義だった日本が、連合国側から民主主義の確立を要請されたために、連合国軍総司令部の指導の元で根本的な憲法の改定を行い、それにより国民の基本的人権を守るルールが定められました。ちなみに日本国憲法には「国民主権」、「平和主義」、「基本的人権の尊重」という三原則があります。「国民主権」は、国の政治の決定権が国民にあるという意味です。「平和主義」は戦争を放棄し、恒久的な平和を志す思想を意味します。「基本的人権の尊重」は、国民が生まれながらにして持つ権利のことで、それを尊重することです。

「法律」とは、国家権力が国民を律するために定められた、国民が守らなくてはならないルールのことです。法律は国の社会の秩序を守り、国民の生活をより豊かにするために存在していると言われています。また、新たな法律を作るには、衆議院、もしくは参議院に提出された法案を、国会で審議を行い、そこで可決すれば新たな法律が成立することになります。

「憲法」「法律」の使い方、使い分けは?

「憲法」と「法律」は、誰が何を守るルールかで使い分けることが出来ます。「国が守らなければならないルール」ならば「憲法」、「国民が守らなければならないルール」ならば「法律」です。例えば、日本国憲法の三原則に含まれる基本的人権の尊重の五つの権利である「自由権」、「平等権」、「社会権」、「参政権」、「請求権」などに関わる事柄については「憲法」として使い分けることが出来ます。権力の集中や濫用を防止するために定められている三権分立の「立法(国会)」、「行政(内閣)」、「司法(裁判所)」も「憲法」に分けることが出来ます。

国民が守らなければならないルールである「法律」には、六法という日本において主要となる法律が存在し、それらは「憲法」、「刑法」、「民法」、「商法」、「刑事訴訟法」、「民事訴訟法」の六つで分けられています。簡単に内容を説明すると「刑法」は犯罪に対する刑罰を定めた法であり、「民法」は日常での金銭のやり取りに関する規律など、日常生活と密接に関係している法律であり、民間の法律の基本的なルールを定めた法となります。その分法律の項目も多い特徴があります。「商法」は商行為や企業などの活動について規定した法です。「刑事訴訟法」は刑罰法令に違反した人を罰するための訴訟手続きに関する法律です。「民事訴訟法」は私人間の生活関係に関する争いを解決させるための手続きに関する法律です。これらも法律として使い分けることが出来ます。

他にも、憲法や法律に関係することは日常生活の身近に数多く存在し、例えば労働基準法や消費者契約法などの法律は生活と密接した関係を持っているので、使用する機会は多いでしょう。

「憲法」「法律」の用例・例文

「憲法」と「法律」の用例・例文は、次のようなものがあります。

・憲法は日本における最高法規であり、国の在り方を定めたルールである。
・日本国民は、憲法によって人権を尊重される権利を生まれ持っている。
・法律とは、社会の秩序を守るために国が定めた規定だ。
・法律を知ることは、大事なことである。
・労働基準法という法律に違反している会社を訴訟した。

形容詞と形容動詞の違い

日常会話では気にすることなく使えていても、日本語の文法というのは改めて説明されると複雑に思えることがあります。例えば、形容詞と形容動詞の違いです。名前や機能が似ているので混同してしまいがちですが、両者には、実ははっきりとした違いがあります。そのポイントとなるのは「活用」です。それさえ理解できれば、しっかり区別ができるようになります。

「形容詞」と「形容動詞」の違い・概要

両方とも品詞のひとつであり、単語を修飾をする機能と述語になる機能があります。機能という点では両者にほとんど違いはありませんが、活用が決定的に異なります。まず、形容詞は「かろ・かっ(く)・い・い・けれ」と活用します。そして形容動詞は「だろ・だっ(で・に)・だ・な・なら」と活用します。もっとも簡単な見分け方は、終止形に変換することです。「美しい」など、「い」で終われば形容詞、「簡単だ」など「だ」(丁寧語の場合は「です」)で終われば形容動詞となります。

「形容詞」・「形容動詞」の意味・読み方は?

形容詞は「けいようし」、形容動詞は「けいようどうし」と読みます。意味はどちらもほとんど同じで、物事の性質や状態、感覚や心情を表す機能を持つ品詞です。形容動詞は「動詞」という言葉が入っていますが、動作や行為を表すことはありません。例えば、形容詞であれば「大きい」「厳しい」「悲しい」など、形容動詞であれば「巨大だ」「厳粛だ」「悲惨だ」などが挙げられます。また、どちらも自立語なので、単体で修飾語や述語になれます。「大きい家」「巨大な家」、「先生は厳しかった」「先生は厳粛だった」などといった使い方ができます。

くわえて、「こと(の)」という名詞を付けることで主語としての役割も果たします。「悲しいことがあった」「悲惨なことがあった」といった用法です。以上からわかるように、形容詞と形容動詞の間には共通点が非常に多く、意味的・機能的な違いはほとんどありません。そのため両者を混同してしまう人も多いようです。

「形容詞」・「形容動詞」の使い方・使い分けは?

形容詞と形容動詞の使い方は物事の状態を表すという点で共通していますが、活用に注目することで区別できます。活用とは、用言が文中で語形を変化させることで、未然形、連用形、終止形、連体形、仮定形、命令形があります。そう言われると難しく聞こえるかもしれませんが、誰もが会話の中で自然に行っています。そして形容詞の活用は「かろ・かっ(く)・い・い・けれ」であり、形容動詞の活用は「だろ・だっ(で・に)・だ・な・なら」です。注意点としては、両方とも命令形を持たない点です。なぜないのか、疑問に思う方もいるでしょう。

例えば、「美しい」という形容詞を無理やり命令の形にしようとすると、「美しくあれ」となりますが、これは「美しい」の連用形に「ある」という動詞の命令形がくっついただけです。形容動詞も同様となり、単体で命令形にすることはできません。概要でも書きましたが、両者のもっとも簡単な見分け方は終止形に変換し、最後の文字に注目することです。「大きい」「かたい」「うるさい」など、形容詞は必ず「い」で終わっています。

対して、「簡単だ」「マシだ」「災難だ」など、形容動詞は「だ」で終わります。しかし、丁寧語にした場合は「です」で終わります。また、注意するべき単語として「きれい」というものがあります。これは一見、形容詞のようですが、実は形容動詞です。なぜなら、「きれかった」「きれければ」などとは活用できないからです。しかし「きれいだろう」「きれいなら」などの活用はできるため、形容動詞となります。

このように、形容動詞の中には、話し言葉として使われる際に「だ」が省略されがちなものがあります。たとえば絶景を見たとき「きれいだ!」ではなく「きれい!」と言った人がいても違和感はないかもしれません。「簡単」や「最高」なども同様です。しかし、これらは形容動詞として完全な形になっておらず、本当は日本語として不適切であるという点に注意が必要です。もうひとつ、「大きな」「小さな」という単語にも気を付けましょう。「大きい」は形容詞ですが、「大きな」は違います。「な」があるため形容動詞の連体形かとも思われがちですが、実はそれも違います。「大きな」「小さな」は連体詞です。同じく状態を表す品詞ですが、体言しか修飾できないという点で、形容詞や形容動詞と異なります。

形容詞・形容動詞の用例・例文

形容詞では「難しい」、形容動詞では「困難だ」を使って、以下にそれぞれの活用での例文を示します。

(未然形)
形容詞
来週のテストは難しかろう。

形容動詞
来週のテストは困難だろう。

(連用例)
形容詞
先週のテストは難しかった。
先週のテストは難しくなかった。

形容動詞
先週のテストは困難だった。
先週のテストは困難であった。
先週のテストは困難に思えた。

(終止形)
形容詞
数学のテストが難しい。

形容動詞
数学のテストが困難だ。

(連体形)
形容詞
難しいテストを解いている。

形容動詞
困難なテストを解いている。

(仮定形)
形容詞
来週のテストが難しければ、勉強を頑張らなければならない。

形容動詞
来週のテストが困難ならば、勉強を頑張らなければならない。

契約社員と正社員の違い

従業員にはさまざまな形態があります。それぞれの条件を間違えるのは、失礼になりかねません。また、ビジネスシーンで労働形態を把握しておくことは常識の一部でもあります。「契約社員」「正社員」といった言葉の違いをしっかり理解しておきましょう。この記事では、契約社員と正社員の違いや意味、使い分けのポイントについて解説していきます。

「契約社員」「正社員」の違い・概要

いずれも大きく「会社員」に相当する労働形態です。企業側と雇用契約を結び、内容にしたがって給料をもらう職業なのは変わりません。ただし、契約社員には雇用期間に制限があります。「1年」「5年」といった期間が満了すると、契約社員は更新するかどうかを問われます。あるいは、更新がなされずに「契約満了」となることも珍しくありません。それに対して、正社員は終身雇用を前提とした形態です。定年退職を迎えたり、何らかの違反を犯さない限り、本人の希望以外で辞めることはありません。なお、正社員とは「正規雇用契約を結んでいる社員」という意味です。

「契約社員」「正社員」の意味・読み方は?

契約社員は「けいやくしゃいん」と読みます。契約社員は「雇用契約により、労働期間を定められている社員」という意味です。契約社員は最初に、企業との取り決めで労働期間を定められます。そして、期間が満了したら退職し、別の職場を探します。契約社員は特定のスキル、経験を求められることも多いので、専門的な能力を生かしたい人には向いているでしょう。なお、契約社員は期間が満了しても、企業側から遺留されることもあります。あるいは、働きが高く評価されて正社員になるケースも珍しくありません。

一方、正社員は「せいしゃいん」と読みます。契約社員が有期雇用であるのに対し、正社員は原則的に無期雇用がなされている立場です。長期的にキャリアを築くのが正社員の特徴であり、重要な役職を優先的に任されます。そのため、契約社員の上司が正社員であることは一般的です。また、責任重大なプロジェクトについても、正社員は優先的に任命される傾向が顕著です。多くの企業で、正社員は契約社員やアルバイト、パートよりも厚い待遇を受けられます。

「契約社員」「正社員」の使い方、使い分けは?

両者を使い分ける際、最大のポイントになるのは「雇用形態」です。もしも契約期間に制限があるなら「契約社員」と呼べます。一方、契約期間に満了がなく、定年まで働けるシステムになっているなら正社員と呼べるでしょう。なお、「ボーナスや退職金があるのは正社員」という考え方もあるものの、これは一概に断定できません。なぜなら、ボーナスや退職金は企業の義務ではないからです。逆をいえば、契約社員にもボーナスや退職金が用意されている企業はあります。そのかわり、退職金やボーナスは企業への貢献を踏まえて決められるので、正社員は契約社員よりもこれらの額が高くなりやすいとはいえます。

次に、「労働時間の長さ」でも、契約社員と正社員には違いが出てくるでしょう。契約社員は正社員と比べると、責任の小さい立場です。そのため、繁忙期であっても残業や休日出勤をせずに済むことは少なくありません。それに比べて、正社員は企業の中心となり、仕事をこなしていくポジションです。繁忙期でも人に作業を任せられるわけではないので、労働条件が過酷になることもありえます。自分のペースで働けるのが契約社員なら、企業の忙しさに左右されやすいのは正社員だといえるでしょう。

そのほか、契約の「更新」を尋ねられるかどうかでも、契約社員と正社員という言葉は使い分けなくてはなりません。契約社員は労働期間の満了が近づけば、更新するかどうかの話し合いがもたれます。あるいは、企業側から「もう更新はしない」と通達されてしまうケースもあるでしょう。それに比べ、正社員にはこのような話し合いがありません。企業に在籍している限り、「雇用契約は続いている」とみなされます。労働条件や役職が変わることはあるものの、「更新」とは呼びません。「昇進」「昇級」などと呼ぶのが普通です。

「契約社員」「正社員」の用例・例文

以下、契約社員という言葉を使った例文です。

「契約社員として働きながら、土日は資格の勉強も続けている」
「ようやく契約社員として、憧れのデザイン業に就くことができた」
「このまま契約社員の働き方を選ぶのか、決断の時期が近づいてきた」

契約社員は本人の労働形態を表すだけの言葉なので、使用する際の注意は特にありません。ただし、労働形態を明かす必要がない場所でわざわざ「契約社員」と記すのは、揶揄していると捉えられる恐れがあります。次に、正社員を使った例文を挙げていきます。

「アルバイトリーダーと正社員の間で話し合いが行われた」
「この会社では正社員を募集している」
「正社員の研修として、ボードゲームを使ってみるのはどうか」

そのほか、正社員は「責任が重大な立場」というニュアンスを込められることも少なくありません。たとえば、

「正社員なのだからしっかりしてくれ」
「正社員なら多少の忙しさは我慢しないと」
「正社員になって、はりきっている」

といった用例です。

業種と職種の違い

「業種」「職種」の違い・概要

「業種」と「職種」は、どちらも「世の中にたくさんある仕事の分類」に用いられる点で共通していますが、それぞれの言葉の示す範囲が異なります。

「業種」は、仕事をする企業全体が携わっている分野のような「大きな括り」で仕事を分類する際に使われる表現です。「職種」は、業種よりは細かい分類で使われます。具体的には、個人や部署単位の仕事内容を指す場面では職種の語が用いられます。

「業種」「職種」の意味・読み方は?

「業種」は「ぎょうしゅ」と読み、「業」は仕事やなりわい、「種」は種類を意味していることから、熟語としては事業の種類を指す用語です。すなわち企業が手掛けていることが「業種」にあたり、企業全体が何を目的として活動しているのかを示しているとも言えます。「業種」の分類方法や名称などに一定の決まりはありませんが、総務省の「日本標準産業分類」で示されている内容が、日本における「業種」の1つの基準となっています。

「職種」は「しょくしゅ」と読み、「職」は担当する務め、「種」は種類を意味していることから、熟語全体では個人で行う仕事の種類を指す用語です。企業の中で個人が果たしている役割が「職種」であり、営業、経理、人事、開発、事務、販売など、実際に行っている業務内容で分類します。ただし、企業では部署全体で1つの業務を分担して取り扱うことも多いため、部署単位で行う仕事の内容も「職種」に含まれます。

もう一つ、「業種」と「職種」に似た言葉として「職業」がありますが、「職業」の意味は「人が生活を維持するために日常的に従事する仕事や生業」です。「職業」の分類は、企業に勤める会社員、国や地方自治体に勤める公務員、事業で生計を立てる自営業などのほか、お金を稼ぐことを目的としていない学生、主婦、無職なども含まれることから、「業種」と「職種」とは異なる別の分類として考えるようにしましょう。

「業種」「職種」の使い方、使い分けは?

「業種」と「職種」は、自分が従事している仕事やこれから希望する仕事を表現したい時に、組み合わせて使うと便利です。例えば「食料品製造業」の「管理事務職」、「鉄鋼業」の「総務職」、「医薬品卸売業」の「営業職」など、「業種」「職種」の順で合わせて伝えると、誰からも仕事の内容が具体的にイメージしやすくなります。また、「業種は」「職種は」という前置きを省いてそのまま伝える方が、堅苦しくなくスムーズな印象を与えることが可能です。

そのほか、企業に所属せずにフリーランスなどで専門性の高い仕事をしている場合には、自らが肩書きとして使っている仕事内容がそのまま「職種」に該当することになります。経営コンサルタント、WEBデザイナー、エッセイスト、メイクアップアーティストなどさまざまな仕事がありますが、「業種」を省いても、仕事の内容は正しく伝わるので問題ないでしょう。

そして、求職活動においては、自分自身が「業種」と「職種」のどちらに重きを置いているのかを明確にしておくと、スムーズに応募する企業を決めることができたり、志望理由も説得力を持って伝えることができます。特定の企業や仕事を魅力に感じて応募したい時でも、その会社がどの「業種」に属しているのか、自分にできる「職種」にはどんなものがあるのかをしっかりリサーチしておくことが重要です。もしも、未経験の分野の仕事に挑戦したい場合には、より一層「業種」や「職種」について理解を深めておくことによって、自分の特性やスキルがいかに生かせるかをアピールすることが可能となります。ただし、ここまで述べてきたとおり、「業種」と「職種」は定義が異なるため、面接などでどちらの分類について話しているのかを意識し、取り違えて使うことのないように注意しましょう。

「業種」「職種」の用例・例文

「業種」「職種」の用例・例文には次のようなものがあります。

・つまり所得の中から消費する部分の多い業種に属している。(経済実相報告書)
・1990年代後半には職種構成の変化が賃金格差を拡大する方向に大きく影響している。(厚生労働省)
・雇用のミスマッチが生じていると言っても、その状況は職種によって異なっている。(経済産業庁)
・ここでは、これまでの議論を補完する目的で、米国の職種別の雇用者数の動向を見る。(経済産業庁)

・このような異業種同士の集まりに参加するのは初めてなので、とても楽しみにしている。
・長引く不況のあおりを受けて、業績が悪化している業種が増えている。
・私はあなたがいる会社のような業種で働いたことが一度もない。

・彼が子供の頃から目標にしている職種に就けるように願っている。
・残念ですが、弊社にはあなたが希望する職種がありません。
・職種別に検索ができる求人サイトは使い勝手がよく便利である。

求人情報などでよく見かける「業種」と「職種」は、どちらも職業に関する用語ですが、似かよった言葉なので、意味の違いについて深く考えたことのない人も多いかもしれません。しかし、両者を正しく認識しておくと、就職、転職、アルバイト・パート探しなどにおいて、スムーズに希望の仕事を見つけることにもつながります。

給与と給料の違い

「給与」「給料」の違い・概要

「給与」と「給料」はどちらも「雇い主から支給される報酬」であり、「どこまでを含むか」という範囲によって意味や使い所が違います。

おおざっぱに言えば、給料は給与の一部として考える事が可能です。給与は雇い主が従業員に対して与えるあらゆるものが含まれています。そのため、理屈の上では金銭のみでなく現物支給も給与と呼んで問題ありません。一方、給料は雇い主が従業員に対して支払う基本となる金銭の事であり、いわゆる「月給」とほぼ同義と考えて良いでしょう。

「給与」「給料」の意味・読み方は?

「給与」は(きゅうよ)、「給料」は(きゅうりょう)と読みます。「給与」の定義は「労働の対価として雇い主が従業員にしはらうすべてのもの」です。「給」には「金品などを下し与える」という意味があり、「与」は「物事の対価として金銭などをあてがう」という意味を含んでいます。したがって給与という言葉は似た意味の字が2つ連なって構成されているものです。また、給与に該当するのは基本給(月給)だけではありません。年に数回のボーナス・残業代・各種手当てなどはすべて給与という言葉に含意されているので覚えておきましょう。所得税法では給与所得を「俸給・給料・賃金・歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう」と定義しています。 「料」にも「ある事に対して支払う代金・金銭」という意味が含まれているため、言葉の構造としては給与と大きな違いはありません。しかし、給料にはボーナスや残業代といった加給分は含まれていないという点には注意が必要です。給料に各種手当てを加算したものが給与として毎月従業員に支払われている事になります。日本では一般的に給与が支給される日の事を「給料日」と呼んでいますが、これは慣習的に根付いたものであり正確な言い回しではないと言えるでしょう。実際に支払われているのは給料ではなく「給与」なのです。

「給与」「給料」の使い方、使い分けは?

「給与」と「給料」は日常会話においてさほど意識されていませんが、主に企業側が展開する求人情報や契約書において厳密に使い分けられています。例えば様々な企業の求人情報を見てみると、ほとんどの場合「給与・待遇」「給与体系」という言葉が用いられている事が分かるでしょう。これは企業側において各種手当てや賞与の制度が整えられているため、従業員に支払う金銭に基本給以外の加給が行われるためです。また、給与は最終的に従業員の懐へ入る事になる「手取り」の計算にも用いられます。手取りとは給与から社会保険・所得税・住民税といった各種天引きを行った後のものなのです。 また、給与はさらに「給与収入」「給与所得」の2種類に細分化しています。給与収入とは従業員が年間を通して受け取るすべての金銭の事であり、一般的には「年収」と同義です。一方給与所得とは給与収入から仕事上必要になった経費を差し引いたものになります。ここで言う経費とは交通費・飲食費・接待費などです。給与所得の計算には社会保険をはじめとする天引き分は考慮されないという点には注意しておきましょう。したがって「給与所得」と「手取り」は別物となります。 現代社会において「給料」という言葉は、多くの場合慣習的に用いられる事が多いと言えるでしょう。「給料日」「給料袋」といった派生語がありますが、これらについても実際に支給されているのは各種手当てや残業代が加給された「給与」です。戦前の日本において会社員は完全月給制で働くというスタイルが基本となっていました。欠勤・残業・休日出勤によって収入が変動する事がなかったのです。当時は税金の支払いも個々人が行うものであったため、毎月の収入が固定となり「給料」という言葉が用いられていました。「給与」と「給料」が使い分けられるようになったのは、日本において残業代・手当て・税金の特別徴収制度などが整い始めてからです。

「給与」「給料」の用例・例文

「給与」には基本給以外にも様々な要素が含意されているため、企業が用いる正式な文書や税金関連の手続きで用いられるケースが多いです。用例には「給与体系については面接時に詳しくご説明します」「給与所得については支給された源泉徴収票を参照する事」「給与所得控除は2020年に一律10万円の引き下げが実施された」とったものが挙げられるでしょう。「給料」という言葉については正式な書類において使われる事は少なく、日常会話で慣例的に登場する場合が多いです。「今月は給料が少ないからちょっと生活が苦しいよ」「給料が入ったら、みんなでどこかへ遊びに行こう」「給料日が待ち遠しい」などのように用いられるケースが散見されます。ただし、ここでいう「給料」がほとんどの場合実際には「給与」である点には十分留意しておきましょう。

貴社と御社の違い

「貴社」「御社」の違い・概要

「貴社」と「御社」は、どちらも自社や自分をへりくだることなく、相手の会社を高めることで敬意を伝える尊敬語の一種です。この2つの言葉の違いは、書き言葉か、話し言葉かによります。メールや文書など、書き言葉に用いる場合は「貴社」、商談や面接といった話し言葉で使う場合は「御社」です。ただし使い方が異なる以外、ニュアンスには特に違いがなく、どちらの言葉も相手の会社を二人称で表すという点では同義語になります。

「貴社」「御社」の意味・読み方は?

「貴社」は「きしゃ」と読みます。相手の会社を敬意を持って書き表す時に用いる尊敬語です。古くから「貴殿」「貴君」「貴国」などといったように、接頭語に「貴」という文字を付けることで「高貴」「貴い」という敬愛の意を表してきました。ただし「きしゃ」という言葉には、「汽車」や「記者」をはじめとするさまざまな同音異義語があります。漢字であれば違いを認識することができますが、話し言葉では紛らわしいので向いていません。

一方「御社」は「おんしゃ」と読みます。「貴社」と同様に相手の会社のことを言い表す際に使う尊敬語です。体言で表した「社」の接頭語として「御」の字を付けることで、相手の会社を敬う意味を持っています。もともと「貴社」の同音異義語が多々あることによる混乱を避けるため、その代わりとして口頭でやりとりする場合に使われるようになりました。ただし「御社」には神社に対する敬称を表す意味もあるので注意が必要です。

「貴社」「御社」の使い方、使い分けは?

「貴社」と「御社」の区分は、書き言葉(文語)か話し言葉(口語)かで使い分けをします。取引先などの社外へのメールや文書、就活時の提出書類やエントリーシートなら「貴社」、取引先との商談や電話などでのやりとり、会社説明会や面接なら「御社」です。

「貴社」の使い方として、例えば取引先への文書を書く場合、「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」などと書き出すことで失礼がなく本題に入ることができます。また、就活時のエントリーシートに記載する時には「貴社の経営理念に共感し、これまで学んできた知識を、是非、貴社の○○の分野で活かしていきたいと思っております。」のように使うと、一般常識のレベルの高さや、面接に臨む意欲を見られるので印象が良いです。

一方「御社」にもさまざまな使い方があります。例えば社外と電話でやりとりする際、「本日御社より納品いただきました新商品について確認したいことがございまして」といった言い方をすると、たとえネガティブな内容でも相手に対し失礼がありません。また、会社面接に臨む場合、「私は御社の〇〇をきっかけにこの業界に興味を持ちました。今度は私が新しい〇〇を創りたいと思い、御社を志望しました。」などと伝えることができれば、明確な自己アピールになります。なお「御社」には、得意先や協力会社などとの密接な関係性を文書などで表す際に用いることが希にあります。

一部の会社や団体には例外もあります。例えば銀行の場合は「貴行」「御行」、医療法人や病院の場合は「貴院」「御院」といったように、接頭語は同じですが「貴社」「御社」を使いません。また、よくある間違いとして「貴社」「御社」はそれだけで尊敬語として成立していますが、丁寧に伝えようとしすぎるあまり、「貴社様」「御社様」としてしまうと二重敬語になってしまうので気をつけましょう。

「貴社」「御社」の用例・例文

「貴社」を使った例文
・来月、貴社に納品する予定の商品ですが、数量が揃いましたので来週お持ち致します。(社外メール)
・貴社のご期待に沿えるよう、これからも精進してまいりますので、これからも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。(社外文書)
・時下、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。(送付状)
・学生時代にアルバイトで培った接客の経験を、貴社の販売業務に活かしていきたいです。(エントリーシート)
・貴社の規定に従います。(履歴書の本人希望記入欄)

「御社」を使った例文
・先週メールにてご連絡差し上げました商品を、これから御社へお届けに上がります。(電話でのやりとり)
・こちらのセット商品を御社のオススメ品として取り扱って頂けないでしょうか?(商談)
・御社で働くうえでのやりがいはどのようなところにありますか?(会社説明会)
・〇〇さんが就活されていた時、御社に就職することを決めた理由を教えていただけますか?(OB・OG訪問)
・他の企業と比較して、独自性を重視されている点が自身の強みを発揮して働ける環境だと感じ、 御社を志望しました。(会社面接)

鑑賞と観賞の違い

「鑑賞(かんしょう)」は、文学・音楽・美術・演劇などの芸術作品を理解し、評価するなどして作品を味わい楽しむことです。「観賞(かんしょう)」は、自然の中にあるものや娯楽作品などを、ありのままの状態で見て楽しむことです。

「鑑賞」「観賞」の違い・概要

「鑑賞」の「鑑」は、よく見て品定めをするという意味があり、主に芸術作品を理解して味わう時に使われ、「観賞」の「観」は、見る(観る)の意味があり、視覚的に見て楽しむ時に使われます。その違いは、対象のものが何であるかと目的が何であるかによって使い分けられます。また、表記上の違いだけである場合もあり、その違いを明確に分けられない場合もあります。

「鑑賞」「観賞」の使い方、使い分けは?

「鑑賞」と「観賞」の使い方は、どちらも対象になるものを見たり楽しんだりする場合に、「○○を鑑賞する」「○○を観賞する」や「○○鑑賞」「○○観賞」と使います。「鑑賞」は、見る以外にも音楽鑑賞や文学鑑賞など、視覚的要素以外にも聴いたり読んだりすることも含まれています。そして、その対象になるものを理解し、評価したり品定めすることで楽しみます。「観賞」は、見て楽しむ対象が主に自然のもので、景色を観賞したり、桜の花を観賞したり、そこにあるそのものを見て楽しみます。ただし、鑑賞と観賞を使い分けるのが、厳密には難しい場合があるので、詳しく説明していきます。

音楽や演劇などは芸術作品ですから一般的には「鑑賞」が使われますが、主催者の「気軽に楽しんでほしい」や「親しみを持ってほしい」などの意向で「観劇」が使用される場合もあります。ミュージカルなどの芸術性の高いものは「鑑賞」、コメディーなどの喜劇作品は娯楽性が高く、ありのままを見て楽しむことから「観賞」、という風に、内容で使い分けられることもあります。テレビも、日常的に楽しむ娯楽的な内容が多いので、一般的には「テレビ観賞」を用います。しかしその中においても、コメディー作品であっても芸術的なものであったり、テレビの娯楽作品であっても深く考えさせられるような内容であったりすると「鑑賞」を使う場合もあるので、その使い分けの判断は使う人の主観による判断に影響がされるので、「鑑賞」と「観賞」を使い分けることは難しいと言えます。

また「観賞」は、主に自然のものに対してを使うので分かりやすそうですが、同じ花を対象にした場合でも「鑑賞」と「観賞」を使い分ける場合もあります。例えば梅で例えると、手入れの行き届いた梅林で梅の花を「鑑賞」する。裏山に咲いていた梅の花を「観賞」した。という風に、手入れして作り上げた芸術作品として見て楽しむ場合と、自然のありのままを見て楽しむ場合です。盆栽やフラワーアレンジメントなども、作られた芸術として「鑑賞」の対象になります。自然のものであっても、人工的に手が加えられているかどうかで使い分けられます。さらに、使い分けの難しい例としては、花火は人の手によって作られたものですが、通例として「観賞」が用いられています。

このように「鑑賞」と「観賞」のどちらを使うかを大まかに分けると、「観賞」は主に芸術作品を理解して味わい楽しむ場合に使い、「観賞」は主に自然のものをそのままを見て楽しむ場合に使われます。ただし、使う人の主観的な判断でその限りではない場合もありますので、明確に判断するのは難しいと言うことになります。

「鑑賞」「観賞」の用例・例文

鑑賞と観賞の用例・例文には次のようなものがあります。

・まづ文芸の鑑賞には縁のないものとおあきらめなさい。(芥川龍之介 「文芸鑑賞講座」)
・京都を藝術の都市として鑑賞しやうとする時吾等は現代の佛教徒が信仰學識の如何を論ずる必要がない。(永井荷風 「十年振」)
永井荷風の用例で使われる「鑑賞」は、京都という都市を対象にしていますが、自然の風景ではなく、作り上げられた都市という人工物であり、芸術的であることから「鑑賞」が使われているかも知れません。

・ついに実用から移って鑑賞花草となったものである。(牧野富太郎 「植物一日一題」)
牧野富太郎の用例で使われる「鑑賞」は、自然の植物に対するものですが、植物学者である著者の植物への畏敬の念から「鑑賞」を使ったのかも知れません。

・時雨に濡れて近代風景を観賞する。(種田山頭火 「行乞記」)
・だから音楽を吹きこむ前に試写してみて十分観賞に堪え得る写真を作つておかないと大変なことになる。(伊丹万作 「映画と音楽」)
伊丹万作の用例で使われる「観賞」は、「鑑賞」であっても良い気がしますが、作者の主観的な判断により「観賞」を選んで使っているのかも知れません。

慣用句とことわざの違い

「慣用句」は「2つ以上の単語を組み合わせて特別な意味合いを表現する言い回し」です。そのような慣用句のうち「ある教訓や処世術を述べ伝えたもの」を特に「ことわざ(諺)」といいます。

しかし慣用句とことわざは、必ずしも明確に区別できるとは限らず、その境界線は多分に曖昧です。慣用句でもありことざわでもあるような表現は多々あります。

「慣用句」「ことわざ」の意味・読み方は?

慣用句は「かんようく」と読みます。慣用句は特別な言い回し、表現が繰り返し使用されてきた後、意味が固まってきたもののことです。たとえば、「首を長くして待つ」という慣用句を例に挙げましょう。この場合、本当に首が長くなっているわけではありません。しかし、「待ち遠しいことがあって様子を見るために、首を長くしたい」という言い回しを続けているうちに新しい意味が生まれてしまったのです。慣用句はそれぞれに独自の意味があり、「腹が立つ」「足を伸ばす」など、日常的に使われているものもたくさんあります。

それに対し、ことわざは漢字で「諺」と書きます。ことわざは慣用句よりもやや複雑な文章、熟語です。日常的に使うわけではなく、何らかの教訓や定理を伝えるために引用されます。代表的なものに、「犬も歩けば棒に当たる」「馬の耳に念仏」などが挙げられるでしょう。ことわざも慣用句と同じく、膨大な量があります。その多くは故事、古典文学に由来しています。偉人の名言がことわざとして残った例も少なくありません。なお、ことわざは日本独自の文化ではなく、世界中に地域ならではの表現が残されています。

「慣用句」「ことわざ」の使い方、使い分けは?

生活に密接しているのは、ことわざよりも慣用句だといえるでしょう。慣用句は日常的な会話の中にもたくさん使われています。特に意識しなくても、慣用句を口にしてしまうケースは少なくありません。「歯が立たない」「手を出す」など、老若男女問わずに知られている慣用句はたくさんあります。慣用句の使い方で、特徴的なのは「言い回しを多少変えても意味が変わらない」ことです。たとえば、「穴があったら入りたい」という慣用句は「穴があれば入りたい」「穴に入りたいくらいの気持ちだ」と変えても、意味が伝わるでしょう。慣用句はニュアンスさえ伝えれば、単語の並びや言い方を調整しても許される表現です。

一方で、ことわざは慣用句よりもやや文語的、形式的だといえます。「船頭多くして船山に上る」「地獄の沙汰も金次第」といったことわざを日常的に使う人は少数派です。なぜなら、ことわざは先人の残した教訓を語り継ぐものだからです。そのため、ことわざを使うタイミングは限られています。誰かに説教をしたり、文章を書いたりするときでなければ使うことがありません。さらに、ことわざは少しでも言い回しが変わると、表現の正しさが損なわれてしまいます。「船頭が多ければ船は山に上がる」といっても、なんとか意味は伝わるでしょう。ただし、ことわざとしては「間違っている」とみなされます。

すなわち、慣用句とことわざの使い分けは「日常会話か否か」という部分で判断するのが得策です。日常会話であれば、慣用句を使っても問題ありません。しかし、ことわざを日常会話で使おうとすると、不自然な印象を与えてしまいます。また、ことわざには慣用句ほど意味が浸透していないものも多いといえます。相手が知らないことわざを急に言っても、意図が伝わらないので要注意です。

「慣用句」「ことわざ」の用例・例文

普通に誰かと会話をしているだけで、慣用句は次々に登場してくるでしょう。たとえば、「頭を抱える」「首をひねる」などは有名な慣用句です。「頭を抱える」は「処理できない事態に思い悩む」という意味です。「舞い込んだトラブルに頭を抱える」といった使い方をします。「首をひねる」は「疑問に感じる」という意味で、「不自然な行動に首をひねった」といった用法があります。

慣用句と比べたとき、ことわざはさりげなく使うのが難しい言語表現です。なぜなら、ことわざには深い教訓が込められているので、堅苦しいイメージが定着しているからです。それでも、「笑う門には福来る」「千里の道も一歩より」などといった前向きなことわざは、スピーチや講義に引用しやすいでしょう。また、フォーマルな場で話すときに、あえてことわざを含めるテクニックもあります。先人の言葉を引用することで、話の説得力が増すからです。「石の上にも三年という言葉がありますが」「急がば回れといわれるように」などと、話の前置きに使うのも定番です。

学生と社会人の違い

学生と社会人の違いは、第一に「社会的な立場」という要素が挙げられますが、具体的な定義についてはあまり知られていないのも事実です。責任の有無や社会への参加などを正しく理解することが双方の違いを明確に定義するための条件になります。ここでは学生と社会人の違いや社会への関わり方、それぞれの言葉の正しい使い方や例文についてお伝えします。

「学生」「社会人」の違い・概要

学生と社会人は自身の行いに対する責任や社会的な立場に大きな違いがあります。学生は何らかの知識や考え方を学ぶ人であり、立場としてはお客様として扱われます。また、学生の行いについては一部の例外を除き、基本的に保護者が責任を負うことになるのも特徴の一つです。一方で社会人は知識や考え方を教える側の人間であり、自身の行いで生じる責任は自分で負うのが普通です。また、学生はお金を払う側ですが、社会人は働いてお金を貰う側になります。社会人は労働に従事して賃金を得る人とも言えるでしょう。

「学生」「社会人」の意味・読み方は?

学生は「がくせい」と読み、学校で学業を修めている人のことです。厳密に言えば大学生のことですが、単に学校に通う人全般を学生と呼んでも間違いではありません。学費や授業料などを支払って何らかの事柄を学ぶ人が学生なので、自動車学校や英会話学校などを利用する人も学生と言えます。社会人は「しゃかいじん」と読み、社会に参加して自分自身の役割を担う人です。社会への参加は狭義では会社などに雇用されて労働に従事し、賃金を得ることを意味します。一般的な意味では賃金の有無を問わず自分の役割を担う人を意味する他、保護者がいない人を社会人として扱うこともあります。専業主婦や定年退職者、学生ではない未成年者は社会人として扱われます。

学生と社会人は兼任できますが、どちらに主軸を置くかで社会的な扱いが変わります。学校に属して学業に従事していれば学生と呼べますが、社会人として働きながら学校に通う人は「学校にも通う社会人」と判断されるのが普通です。学生が仕事をする場合、その仕事に重い責任が生じれば社会人と言えます。具体的には会社を作って労働者を雇用するなど社会への影響が大きい仕事を行えば学生でも社会人と同等に扱われるのです。行為に対する責任の有無については保護者の庇護にあるかどうかで変わりますが、学生の多くは未成年であり、普通は保護者である親が責任を負います。しかし、成人に達していれば学生でも本人が責任を負うことになります。

そのため、必ずしも学生だから一切の責任が免除されるわけではありません。社会人の場合は社会に参加することが責任を自分で負うことの証とされているため、未成年であっても自分で責任を負うのが普通です。

「学生」「社会人」の使い方、使い分けは?

学生と社会人の違いは社会的な立場や保護者の有無など様々ですが、一般的にはお金を払って学業に従事している人が学生、労働に従事して賃金を得ているのが社会人として分けることができます。学生でありながらアルバイトに従事して賃金を得る人の場合は本業である学生として扱われます。社会人が夜間学校に通うケースも同様であり、この場合は社会人が本業です。学生は学校に通う人を意味する言葉なので年齢や性別は関係ありません。定年退職した後に大学に通う人も学生と呼ぶことができます。社会人は社会的な責任を負う人ですが、責任の定義は様々なので一概に言い切ることはできません。単に学生ではない人を社会人と呼ぶこともあります。

狭義では賃金を得る労働に従事する人が社会人ですが、労働者を雇用する経営者も会社組織を運営することで利益を得ているので社会人に含まれます。結婚して家事を行う専業主婦は直接金銭を得る労働には従事していませんが、家庭生活を円満に営むための家事に従事するという社会的な役割を担っているので社会人と呼ぶことができます。社会的な役割を担っていない人は社会人に含まれないとも言えますが、この認識は道義的な解釈です。怪我や病気で入院しているなどその状況が一時的なものであれば社会人ではないと見なすことはできません。働くことに何らかの問題があるわけではないにも関わらず働かない、社会的な責任を負わない人も社会人ではないと判断するのは困難です。

社会人の定義は幅広い人間関係を構築していることも挙げられるため、様々な分野で活躍している人と付き合いがあれば社会人と呼んでも支障はありません。学生は基本的に同じ学校、またはかつて同じ学校に通っていた人との付き合いが主であり、年齢も似通ったものになります。反面、社会人の場合は年齢や立場、国籍などを問わず付き合うことになります。人付き合いを通して接する世界の広さが大きく異なるのも学生と社会人の違いです。

「学生」「社会人」の用例・例文

「学生」の例文は「学生割引のサービスを行っています」「今日から君もこの学び舎の学生だ」などがあります。また、「いつまでも学生気分のままではいけない」など、比喩的な意味合いで使われるケースも少なくありません。「社会人」を用いた例文として、「先生を見習って立派な社会人になります」「社会人としての責任に年齢は関係ない」などが挙げられます。「社会性のある生活を営む人はすべて社会人である」など概念のように使うこともあります。

覚書と契約書の違い

ビジネス取引で交わされる文書に、「覚書」と「契約書」がありますが、その違いをご存知でしょうか?「契約書」は正式なもので「覚書」は簡単なメモのようなものだと思っている方も多いのではないでしょうか。ビジネスなどで使われる「覚書」と一般的に使われる「覚書」の意味合いが違うので、そのような誤解をしてしまっている方もいるかもしれません。「覚書」と「契約書」の違いについて以下で説明していきます。

「覚書」「契約書」の違い・概要

「覚書」とは、備忘録のように、ある事柄に関する事項を双方の取り決めで記録しておくものとされています。既に交わした契約の内容を確認したり、修正する際に使用されます。ただし、法的要件(当事者の署名・捺印、締結日、合意した内容の記載)を満たしていれば、法的効力を持つ公的文書となります。正式な文書として認められた場合は、「契約書」と同じ法的拘束力を持ちます。「契約書」とは、当事者間で契約の際に意思表示が合致したことを書面にして、契約内容を明確に表示し、作成された正式な文書です。作成後は当事者の双方が後日の証拠とするために保管します。

「覚書」も「契約書」も、契約に関する書面を作成する際に付けられる文書のタイトルとして使い分けられます。その違いは、「契約書」は正式な文書であり、「覚書」は取り決めを忘れないように書き留めたもので、法的用件を満たせば「契約書」と同等の文書となるということです。また、「覚書」は「契約書」に生じた変更点や補足事項を追加するために作成され、「契約書」の補佐的な文書であるとも言えます。

「覚書」「契約書」の意味・読み方は?

「覚書(おぼえがき)」の一般的な意味は、ある事柄に関する出来事や結果を忘れないように記録した文書のことで、備忘録・日記・古文書・メモなども覚書の一種です。「覚書(おぼえがき)」の契約法務での意味は、簡潔な内容の契約書のことであり、契約書の形態のひとつです。「契約書(けいやくしょ)」は、契約内容を明確にし、契約時点における当事者間の法律上の効果についての取り決め事項を文書として表したものです。契約当事者が記名・押印することによって、取り決めた内容に合意したことを表し、契約を成立させ、後日の証拠とするために作成される文書のことを言います。

「覚書」「契約書」の使い方、使い分けは?

「覚書」にはふたつの役割があります。契約書の内容を補完する役割として、契約書を作成する前の段階で、今後契約をする意思があることを確認し、書面として作成される覚書。契約書の記載が曖昧なため、その事実関係を明確化するために作成される覚書。契約書の細かな項目を一覧のようにして分かりやすく示す覚書。等があり、既にある契約書に変更や補足事項ができた場合に作成する覚書では、例えば、長期間の継続的契約の場合に、「覚書(年月日)」、「覚書(ナンバー)」など、整理分類に必要な情報をタイトルに付けた覚書を作成し、関連する契約書と同じ場所に順序良く保管することで、後で見返した時に契約条件の変更履歴が分かりやすくなり、契約書を一から作り直す手間を省くことができます。

実質的な契約書としての役割をはたす場合は、「契約書」という響きが署名を求められる側を身構えさせてしまうと考え、書面を交わしやすくする方法として、印象のやわらかい「覚書」というタイトルを使用した契約書が作られる場合や、すでに「契約書」が存在している中で、改めて「契約書」のタイトルで契約ごとを取り決め直すことに抵抗があるといった時に、「契約書」ではなく「覚書」で取り決める場合があります。

「覚書」「契約書」の違い・概要で述べたように、「覚書」が法的用件を満たしている場合、「覚書」「契約書」どちらも契約法務においては同じ法的効力を持つ文書と言えます。「覚書」と「契約書」には法的な定義はなく、その違いは作成する側が付ける文書のタイトルの違いです。「契約書」のタイトルには法的な制約がないので、その内容や使い道により、使い分けることができます。また「覚書」が法的用件を満たしていない場合は、双方の取り決めを書き留めた備忘録であり、記録やメモという意味合いの文書となります。このように、法的用件を満たしていれば、「覚書」と「契約書」は同等の法的効力を持った文書であり、同じ「覚書」であっても、法的用件を満たしているかいないかによって、全く意味や役割の異なった文書ということになります。

「覚書」「契約書」の用例・例文

「覚書」と「契約書」の用例には次のようなものがあります。
「覚書」の用例
「ということは君の覚書で君にはわかっていることだね。」(エドガー・アラン・ポーEdgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「マリー・ロジェエの怪事件」)
「原田甲斐は机に向かって覚書(おぼえがき)を書いていた。」(山本周五郎 「樅ノ木は残った」)

「契約書」の用例
「あれは僕が一平の羽織の中から抜きとった契約書を読むとハッキリします。」(海野十三 「ネオン横丁殺人事件」)
「信託の方では家の賃貸契約書が全部日本文で作製されているから誰か相当な日本人を一人形式上保証人として連れて来てくれないか。」(橘外男 「ナリン殿下への回想」)

改定と改訂の違い

「改定」と「改訂」はどちらも「改める」という意味の言葉ですが、「改」の後に続く「定」と「訂」の違いによって意味が違います。

「改定」「改訂」の違い・概要

「改」という漢字は、「すでにあるものを新しくする」という意味の漢字で、「改定」、「改訂」とも「何かを新しいものに変える」という意味は同じです。「改定」はその漢字から、「すでに定まっているものを改める」という意味に読んで取れます。このことから、「規則や法律などを改める」ということになります。一方、「改訂」に使われている「訂」の字は文字や文章を修正するという意味を持つ漢字なので、「文字や文章を改める」という意味になります。より詳しくそれぞれの意味を見てましょう。

「改定」「改訂」の意味・読み方は?

「改定」、「改訂」とも「かいてい」と読みます。「改定」は、「前にあったものをやめ、新しいものに変える」という意味をもつ「改」と、「一つの決まった形、位置、内容」を表す「定」という漢字から成り立っています。構成する漢字の意味から「すでにある、一つの決まった形式をやめて新しいものに変える」ことと解せます。このことから「改定」は「今ある規則や法律などを変更する」という意味になります。

もう一方の「改訂」は、「前にあったものをやめ、新しいものに変える」という意味の「改」という漢字と、「文字や文章などを直す」という意味をもつ「訂」の漢字から成り立っています。この漢字の意味から、「すでに書かれた文字や文章などをやめ、新しいものに変える」という意味合いになり、そこから「すでに書かれた文章の記述の仕方や内容について書き直す」という意味になります。

まとめると、「改定」は「一度決められた規則や法律などを変更すること」、「改訂」は「すでに書かれた文章の記述の仕方や内容を書き直すこと」です。

「改定」「改訂」の使い方、使い分けは?

「改定」は規則や法律を変更すること」ですが、「改定」を構成する漢字には変更する者の意思を含んだものがありません。単に「今の規則や法律を変更する」という事実だけを表しています。
一方、「改定」と似た意味をもつ言葉に「改正(かいせい)」があります。「改正」は、構成する漢字の通り「正しく改めること」という意味になります。この言葉も「一度決められた規則や法律などを変更する」という意味ですが、規則や法律を変更する者の「よりよく改める」という意思を含んだ言葉になります。「改正」によって本当によりよくなるかは、規則や法律の対象がおかれた立場によって変わるため、必ずしも「正しく変更された」と評価されるものではありませんが、少なくとも「改定」よりは「よりよく変よう」という意思が見て取れます。

実際に「改定」と「改正」が使用されているケースでは、おおむね以下のように使い分けられています。

「改定」・・・主に規則で定められている「数字」を変更するとき
「改正」・・・規則や法律の対象に影響がある変更をするとき

例えば、公共交通機関の運賃や、販売価格が変更される場合などには、「運賃改定」、「価格改定」というように「改定」が使われます。私たちの生活に影響がもたらされる法律の条文変更がなされる場合は、「民法改正」というように「改正」が使われます。また改正前と後の法律を区別するため、変更を加えられた後の法律は「改正○○法」などと呼ばれることもあります。

もう一つの「改訂」に使われている「訂」の字には、単に「直す」という意味のほかに「ただす」という意味があり、文字や文章を「正しく直す」という意味合いがあります。また、「訂」の偏である「言」は言葉を表し、つくりである「丁」には、「綴じた紙の一枚」という意味があります。この「丁」の字を含む書籍にまつわる言葉に、「装丁(書籍の表紙)」「落丁(ページが抜け落ちている)」「乱丁(印刷の乱れや破れたページがある)」などがあります。これらのことから「改訂」は、「書籍の文章を変更したり直す」場合に使う言葉だと解せます。改訂される頻度の高い書籍の代表は国語辞典です。新しい言葉が追加されたり、従来の言葉に新しい解釈や意味、用例が加筆されます。国語辞典のように何度も改訂される辞典類は改訂した回数を「第○版」と表記します。一方「改訂版」とは、内容が大幅に変更された上に書名にも変更が加えられ、新しい書籍として出版し直したものになります。

「改定」「改訂」の用例・例文

・「改定」の用例・例文
「バスの運賃が改定される」
(主な変更点が運行規則の運賃(数字)であるため「改定」が使われます。)
「条約を改定する」
(条約の場合、相手国との折衝の結果によって必ずしもよりよい変更となると限らないので「改正」が適当とは限りません。)

・「改訂」の用例・例文
「法律の改正に合わせて書籍も改訂された」
(法律変更によって正しくなくなった部分を修正、または加筆するため「改訂」をつかいます。)
「事典の改訂版が発行される」
(内容が大きく変更された上、書名も変更されて新たな書籍として発行されるということ。)

回答と解答の違い

「質問にカイトウする」「問題をカイトウする」どちらの「カイトウ」も「答える」という意味では共通ですが、「何かに答える」場合と「何かを答える」場合では使う言葉が違っています。「答える」という意味を持つ「カイトウ」には「回答」と「解答」の2通りの漢字があります。それぞれの「カイトウ」にどんな違いがあるのでしょうか。また、それぞれどんな時に使うのが正しいのでしょうか。詳しく見てみましょう。

「回答」「解答」の違い・概要

「回答」と「解答」の大きな違いは、返された答えの中身です。「回答」は、「なされた質問や要求に対して意思や考え方を返すこと」を意味します。その返答内容は必ずしも相手の意図に沿っている必要はなく、「正答」「誤答」という評価がなされることはありません。「回答」で得られる返答は様々で、その結果は世論調査などに利用されています。

一方「解答」は、「正しい結果を導き答えること」です。この場合に求められる返答は、理にかなった正確さや出題者の意図に沿った「正答」を求められます。不正確もしくは出題者の意図に沿っていなければ「誤答」と評価されます。「解答」を求められる場合には、正確な知識を求められる各種試験やクイズなどがあります。このように、「答える」という意味をもつ2つの言葉には大きな違いがあります。では、それぞれの言葉の詳しい意味を掘り下げてみましょう。

「回答」「解答」の意味・読み方は?

「回答」は「かいとう」と読みます。「回」という字には「まわす」という意味のほかに、「元に戻す、返す」という意味があります。よって「回答」は「質問や要求に対して答えを返すこと、またはその答えのこと」という意味になります。また、「回答」は「返事」という言葉に置き換えられることもあります。「回答」の内容に限定はありません。すなわち答えた人の意思、考えをそのまま相手に伝えることで用が足りる場合、この「回答」という言葉を使うということになります。

「解答」も「かいとう」と読みます。「回答」と同じ読み方ですが、意味は大きく異なってきます。「解」という字には「物事の筋道、わかる」という意味があります。この漢字を使う「解答」は、「筋道に沿ってときほぐした結果を答えること、またはその答えのこと」という意味になります。実際に試験などで求められる「解答」は、筋道に沿って導き出された理にかなったもの、あるいは出題者の意図に沿った内容でなくてはなりません。

「回答」「解答」の使い方、使い分けは?

「回答」は、「質問や要求に対するこちらの意思や考えを返す」という意味でしたが、このような返答を要求されるのはどのようなときでしょう?もっともわかりやすい例は「アンケート調査」でしょう。アンケート調査は、人々がどんなことを考えているのかを知るために実施される調査です。この調査では人々の返答結果は不確実です。選択肢を選ぶ形式なら返答内容はある程度限定出来ますが、どの選択肢がどのくらいの割合で選ばれるのかは未知数ですので、質問者の意図とは異なる結果が出る可能性があります。このように、返答に質問者の意図に沿うことを求めない場合は「回答」を使います。

一方「解答」は、「筋道に沿って導き出された理にかなったもの、あるいは出題者の意図に沿った結果を導くこと」という意味でした。「解答」の例として数学の問題を解くときのことを考えましょう。数学の問題は正答が極めて限定的です。なぜなら、公式や法則に則り筋道を立てて理論に沿って正しく計算すれば、誰がやっても必ず同じ答えが導き出されるからです。このように、筋道に沿って答えを導き出す場合は「解答」を使います。また、クイズのように出題者の意図やルールに沿って限定された答えを導き出すことを求められる場合も「解答」という言葉を使います。
国語の記述式試験や論文試験のように、唯一の正答を導き出すことが難しい試験もありますが、その場合も「解答」を使います。いわゆる「模範解答」という正答の一例が用意されており、解答者の答えが出題者が意図した内容に近いか否かで正誤を判定します。

このように、「質問者、出題者の意図に関係なく意思や考えを答える」場合には「回答」を、「筋道に沿って解いた、あるいは出題者の意図に沿った結果を答える」場合は「解答」を使います。

「回答」「解答」の用例・例文

・「回答」の用例、例文
「いただいたご質問については、後ほど文書で回答いたします。」
(「質問」はこちらの意思を確認するものなので「回答」を使います。)
「こちらの要望に対する先方の回答は、納得がいくものではなかった。」
(「回答」の内容は、必ずしも質問者や要望を出した人の意図を汲んだものではありません。)
「回答例」
(設問に対する答えを「記述する方法」を例示したもの。)

・解答の用例、例文
「物理の難題に解答する」
(公式、法則に則って答えを導き出すため「解答」を使います。)
「なぞなぞに解答する」
(出題者の意図に沿って答えを出すので「解答」を使います。)
「模範解答」
(一字一句まで違いのない文章解答を求めることが難しい場合などに正誤判定する際に使います。出題者が求める解答の一例)

過料と罰金の違い

「過料」と「罰金」はどちらも、何らかの法令に違反した際に金銭の支払いを命じられることを指します。過料は行政罰で罰金は刑事罰であるという違いがありますが、混同されやすい言葉ではないでしょうか。ここでは「過料」「罰金」それぞれの言葉の意味を説明し、正しい使い分けや、実際にどのような時に使われるのかを用例や例文も合わせて解説をしていきます。

「過料」「罰金」の違い・概要

過料は軽微な行政法違反をした者が支払う金銭のことで、刑法は適用されません。自治体の条例に違反したり、行政上の手続きなどの義務を怠った場合に科せられます。社会の秩序やルールを守るための罰、ペナルティという性格をもちます。罰金は窃盗や器物損壊などの犯罪行為に科せられる財産刑の一つです。金銭を支払わせる刑罰で、科せられた者には前科がつきます。過料は前科がつかず、罰金は前科がつくところが大きな違いです。

「過料」「罰金」の意味・読み方は?

過料の読みはカリョウで、訓読みで「あやまちりょう」と読むこともあります。「過」はカ、あやまち、すぎると読み、サッと通り過ぎる、勢い余って度を超す、すべってやりそこなうといった意味を持つ漢字です。熟語で「過失」となると、わざとではなく不注意によって犯してしまったしくじりを指します。過料は江戸時代、過失の償いとして金銭を支払わせるという庶民向けの刑でした。現代でも行政上における軽い禁令を犯した者に支払わせる金銭のことを過料と言っています。

罰金はバッキンと読みます。「罰」という字はバツ、バチと読み、罪を懲らしめるための報い、制裁、仕置きといった意味があります。もともとは罪を叱って刀で刑を加えることを指しました。罰金は窃盗や傷害、器物損壊などの犯罪行為の罪として支払わせる金銭のことで、刑法、刑事訴訟法が適用される財産刑という刑罰の一つです。罰金が科せられると前科がつきます。犯罪に対する制裁としての金銭という意味合いなので、過料よりも重みのある言葉と言えるでしょう。

なお、過料と同じく「カリョウ」と読む言葉に「科料」があります。過料と区別するために「トガリョウ」とも読みます。科料も罰金と同じく刑法上の罰で金銭の納付を命じられます。科料は千円以上1万円未満、罰金は1万円以上の納付をいい、支払う金額によって使い分けられています。

「過料」「罰金」の使い方、使い分けは?

過料は「過料を科せられた」「過料に処する」「過料を納付する」などのように表現します。使い方は「条例で禁止されている路上喫煙をしてしまい過料を納付しなければならない」などです。過料は行政上の法令違反をした者への軽微な罰則で、制裁や報いという意味ではあまり使われず、窃盗などの刑事事件に当たる犯罪に対しても使われません。

過料が科せられる法令違反とは、戸籍や住民票などの届け出を怠ったり、路上喫煙禁止区画でタバコのポイ捨てをして自治体の禁止条例に違反するなどです。科せられる金額は規定により裁判所が決定しますが、それほど高額でないことがほとんどです。過料は行政上の秩序を維持するために、ルール違反や義務違反に対して少額の金銭を徴収するというペナルティです。

罰金は「罰金を支払う」「罰金を徴収する」「罰金に処する」などの言い方が一般的です。親しい者同士で「ルールを破ったら罰金ね」などと使うときは、守るべき事柄に違反した行為をこらしめる、罰としての金銭という意味合いです。「被告人に罰金十万円の支払いを命ずる」「窃盗で罰金刑になり前科がついてしまった」「スピード違反で逮捕されて罰金を支払うことになった」などと使う場合は犯罪の処罰として科せられた金銭という意味です。

刑法としての罰金は、犯罪ごとに「○○万円以下」と刑法などで定められています。罰金が支払えないと身柄を拘束され労役場留置となります。罰金分に相当する労働日数が定められ、その期間の労働を終えるまでは労役場を出られません。過料の場合は労役場留置にはなりませんが、支払わないでいると財産が差し押さえられます。

また行政法違反であっても悪質な場合は罰金に処せられます。例えば独占禁止法違反や不正競争防止法違反などでは法人に対し数億円という罰金が科せられたケースもあります。

「過料」「罰金」の用例・例文

「過料」「罰金」の用例や例文としては次のようなものがあります。

・「過料は金銭罰の一種だが刑事罰ではない」
・「市の迷惑条例に違反したとして過料を科せられる」
・「過料の対象となった行為にやむをえない事情があるなど、過料決定に不服のある場合は一週間以内であれば異議申し立てができます。」
・「過料の金額は、法律で決められた範囲内で裁判所が決定をしています。」
・「罰金刑とは刑事罰の一種で、国に罰金を納めなければなりません。日本の裁判で有罪となると約80%が罰金刑となります。」
・「罰金は、罰金に科せられた本人が一括で支払います。分割はできません。罰金の督促を無視すると、強制執行が行われ財産を差し押さえられます。」
・「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」
・「今度から遅刻をしたら罰金を取るからね」

テレワークとリモートワークの違い

2020年に新型コロナウイルスが流行して以降、「テレワーク」「リモートワーク」という言葉を見聞きする機会が増えたという人も多いでしょう。混同されがちなこの2つの言葉ですが、厳密には違いがあるのでしっかり押さえておきたいところです。今後もまだまだ使用する場面が多いであろうテレワークとリモートワークの違いについて理解を深めておきましょう。

「テレワーク」「リモートワーク」の違い・概要

「テレワーク」と「リモートワーク」が明確に使い分けられている場面は少なく、どちらの言葉を使用しても意味が通じるというのが現状です。ただし、リモートワークは特定の働き方を指す言葉ではないのに対して、テレワークではいくつかの働き方を想定して明確な定義付けがなされています。定義は厚生労働省の関連組織「日本テレワーク協会」が公式に発表しており、内閣府や厚生労働省ではテレワークという言葉を用いるのが一般的です。

「テレワーク」「リモートワーク」の意味・読み方は?

テレワークは「Tele(離れた)」と「Work(働く)」の2つの単語が合わさった熟語です。意味合いとしては「離れた場所で働く」といった具合になります。テレワークという言葉が生まれたのは1970年代のアメリカであり、1980年代に入ると日本でも広く知られるようになったのです。1970年代のアメリカでは自動車産業の隆盛が起因となり、深刻な大気汚染に悩まされていました。加えて二度にわたる石油危機が発生した事も相まって、アメリカでは従業員に自宅で仕事を進めてもらうためにテレワークという働き方が考案されます。日本における最初のテレワークは、1984年にNECが設置したサテライトオフィスであるという説が有力です。なお、現代の日本においてテレワークは「ICT(情報通信技術)を利用した、場所や時間に囚われない働き方」と定義付けされているので留意しておきましょう。

リモートワークは「Remote(遠隔)」と「Work(働く)」という2つの言葉で構成されています。「遠くで働く」という和訳になるため、意味合い的にはテレワークと大きな違いはありません。リモートワークはテレワークと異なり、公的機関によって正式な定義付けが行われていないという点が特徴です。2020年の新型コロナウイルスの流行以降、民間の間で自然に広まった言葉であるとされています。海外メディアではリモートワークという言葉が使われるケースも多いです。

「テレワーク」「リモートワーク」の使い方、使い分けは?

テレワークには大きく分けて「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の3種類があります。在宅勤務は従業員が出社せずに自宅で勤務に従事するスタイルで、就業時間は出社の場合のそれに準拠するのが一般的です。ビデオ通話によるWeb会議や、クラウド技術によるデータ共有を活用して業務を行うのが基本と言えるでしょう。モバイルワークではノートPC・スマートフォン・タブレットなどを活用して出張先や外出先で業務を行います。基本的にはWi-Fi環境が整った場所で業務にあたるのが望ましいでしょう。サテライトオフィスとは本社や本拠地以外に設けられた従業員の業務用施設です。支店・営業所などと混同されがちですが、サテライトオフィスは最低限の設備と敷地面積で構成される場合がほとんどで拠点としての機能を持ち合わせていません。あくまで従業員が作業するためだけのスペースという認識です。

上記3つの働き方を指す場合には、一般的にテレワークという呼び方が使われています。ICTの活用を軸にした働き方となっている点も重要なポイントです。また、テレワークは日本政府も公式に認めている呼称である事から、比較的フォーマルな場面で使用される傾向にあるので留意しておくと良いでしょう。例えば各省庁や大手企業、都道府県や市区町村といった自治体で扱われる文章の中ではテレワークが一般的です。テレワークを行う職種としては営業・管理・顧客対応といった一般職系が多く見られます。

一方、リモートワークという言葉は民間のIT企業(主に中小)やフリーランスの間で用いられる場面が多いと言えます。言葉の意味としてはテレワークとほぼ同義ですが、特定の働き方を示すものではないという点に注意しましょう。そのため、ICT技術を用いず単純に本来の勤め先以外で業務にあたる場合はリモートワークに該当します。職種としてはエンジニア・デザイナー・ライターなどが該当するでしょう。

「テレワーク」「リモートワーク」の用例・例文

テレワークは省庁をはじめとする公的機関でよく用いられるため、比較的固い印象の文面で用いられる事もあります。例えば社内・省内の通達において「所定の勤務日数のうち、半分以上をテレワークとして業務に従事する事」といった具合に用いられるでしょう。もちろん日常会話で使用する場合もあるので「今日はテレワークだから出社する必要がないし、子供の面倒は私が見るよ」などのようにカジュアルな言い回しも可能です。リモートワークはフリーランスとクライアントの間でやり取りされる場合によく見られるため、「基本的にはリモートワークで対応してもらい、必要な場合には弊社へお越し頂きます」というような言い回しが多いです。ICTの活用を前提としないので「リモートワークでデータの作成だけ済ませておく」というように、会社のシステムと完全に切り離された作業を指す場合にも用いる事が出来ます。

パートとアルバイトの違い

正社員以外の働き方として、パートやアルバイトが挙げられます。いずれも基本的には時給、日給で契約を結んでおり、労働時間に対する給料を雇用主から支払われています。ただし、それぞれの意味、立場は異なるので、言葉を使うときの文脈に注意しましょう。

「パート」「アルバイト」の違い・概要

まず、気をつけたいのは法律上、パートとアルバイトの違いはない点です。いずれも、法律上は「非正規雇用者」に該当する働き方です。企業に就職しないまま雇用契約を結び、給料をもらう立場なのは変わりません。ただ、企業側が契約条件によって、パートとアルバイトを使い分けているといえるでしょう。このうち、パートは「長期間働いてくれる人」や「1日あたりの労働時間が短い人」を意味します。また、主婦や主夫に使われる言葉でもあります。一方、アルバイトは「短期間働いてくれる人」であり、フリーターや学生に対して使用されてきました。

「パート」「アルバイト」の意味・読み方は?

パートとアルバイトはそれぞれ、「ぱーと」「あるばいと」と読みます。パートとアルバイトの定義は、雇用主に委ねられてきました。募集段階で、「パート」と呼んでいる場合は、そのままパートとして扱われます。逆に、「アルバイト」と呼ばれていれば、雇われる人の立場はアルバイトとみなされるでしょう。多くの場合、パートは主婦や主夫が非正規雇用者としてお金を稼ぎたいときに使われてきた言葉です。パートは企業、店舗に長く在籍し、働きます。ただし、家事や育児があるので労働時間そのものは決して長くありません。

一方、アルバイトは学生やフリーターに対して使われる言葉です。アルバイトは契約期間が短いことも少なくありません。リゾートアルバイトや日雇いアルバイトのように、あらかじめ契約期間が区切られているケースもあります。そのかわり、1日あたりの労働時間はパートよりも長くなる傾向が顕著です。月間や年間の労働時間でいえば、パートよりもアルバイトのほうが長くなりやすいといえるでしょう。

「パート」「アルバイト」の使い方、使い分けは?

雇用主がパートとアルバイトを使い分けるとき、募集する層を基準にしてきました。仮に、主婦や主夫を対象にしている仕事なら、パートという言葉が採用されます。パートには、「家事や育児の合間で、短く効率的に働ける仕事」とのニュアンスがあります。さらに、パートは年齢制限がゆるく、中高年を受け入れている職場でも使用されてきました。特殊な能力が必要なく、中高年の未経験者でも採用されやすい立場だといえます。

パートに対し、アルバイトは「集中的に働く仕事」との意味が強い言葉です。非正規雇用者として、1日あたり5~8時間の労働契約を結ぶことも珍しくありません。さらに、特殊な能力や経験を求められる場合もあります。一部の企業、店舗ではアルバイトとして従業員を採用し、成長に応じて正規雇用へと切り替えることもありえるのです。そのかわり、アルバイトはパートよりもやや、採用条件が厳しくなります。年齢制限が設けられていたり、スキルや資格が必要とされたりすることもあります。

職場で背負う責任も、パートやアルバイトを使い分けるポイントといえるでしょう。原則として、アルバイトは職場で大きな責任を負わされることはありません。アルバイトに求められているのはあくまでも、正社員のサポートです。アルバイトは正社員の指示を待ち、与えられたタスクを労働時間内にこなしていきます。学生やフリーターの場合、アルバイトとして経験を積み重ねながら、社会勉強をすることもあります。

より大きな責任を求められるのはパートの方でしょう。パートは正社員と同じ仕事内容を任せられることも少なくありません。ときには、かつて正社員として働いていた人が、パートとして会社に舞い戻ってくるケースもあります。その際には、労働時間こそ短いものの正社員と責任や立場がほぼ変わりません。パートは誰かのサポートではなく、主体的な動きを雇用主に期待されます。

「パート」「アルバイト」の用例・例文

非正規雇用者として短い労働時間で働く場合には、パートと呼ばれることが一般的です。「午前だけパートで、午後からは家の掃除だ」「楽なパートを見つけた」といった例文が挙げられます。その一方で、本人の契約、立場に関係なく、怠慢に働く人を「パート」と呼ぶこともあります。たとえば、「あの外国人選手はパートタイマーのつもりで来日したのだろう。まったくやる気がない」といった表現をされることも少なくありません。この場合、パートという立場が批判されているわけではなく、「より多くの努力を求められているのに、本人が応じていない」という意味です。

パートに対して、雇われる側が若いときには、アルバイトと呼ぶのが普通です。「短期アルバイトの仲間同士で遊びに行く」「アルバイトの学生を指導する」といった例文が挙げられます。なお、誰かが与えられた責任を果たそうとしない振る舞いについて、「パート気分」「アルバイト気分」と表現することもあります。

パートと正社員の違い

労働形態を意味する言葉に「パート」と「正社員」があります。いずれもビジネスシーンでは日常的に使われています。ただし、明確な定義をしっかり説明できない人も多いのではないでしょうか。その人の立場を踏まえるうえで、パートと正社員を混同するのは望ましくありません。この記事では、パートと正社員の違い、使い分けなどを解説します。

「パート」「正社員」の違い・概要

もっとも大きな違いは、正規雇用かどうかという点です。パートは主に、非正規雇用者を意味する言葉です。その中でも、長期的に契約し、働く人をパートと呼ぶことが一般的です。パートは1日あたりの労働時間が短く、2~5時間程度の出勤で給料をもらうこともあります。一方、正社員とは企業と正規雇用の契約を果たしている人物です。正社員はフルタイムで働き、能力にしたがって役職を与えられます。「会社員」という呼び方をするときは普通、正社員を指しています。

「パート」「正社員」の意味・読み方は?

パートは「ぱーと」と読みます。語源は、英語の「Part-Timer」です。「部分(Part)的に働く人」という意味で、Part-Timerは使われてきました。毎日、決められた労働時間をこなすFull-Timerとは逆の働き方だといえます。Part-Timerが日本に伝わったとき、略して「パート」と呼ぶようになりました。なお、パートと似た意味の言葉に「アルバイト」があります。いずれも非正規雇用の労働者という点は同じです。ただし、アルバイトは1日あたりの労働時間が長く、短期間で次の職場へと移る傾向にあります。1日の労働時間が短いかわりに、長く勤続するパートとは違ったニュアンスで使われる言葉です。

一方、正社員は「せいしゃいん」と呼びます。意味は「正規雇用の社員」、もしくは「正式な社員」です。正社員は企業と正規の雇用契約を結んでおり、パートやアルバイトよりも大きな責任を負います。現場で中心になり、業務をこなしていくのが正社員です。責任や労働の見返りとして、正社員はパートやアルバイト以上の給料を支払ってもらえます。最初はパートやアルバイトとして働き始め、やがて正社員に登用されるケースもあります。

「パート」「正社員」の使い方、使い分けは?

原則として、正規雇用がなされている従業員は正社員と表現します。ただし、正社員として入社した人物が、後にパートとして働き始めることも少なくありません。たとえば、本人が定年退職後も勤続を希望した場合です。企業側にも「まだ現場に残ってほしい」という意思があったとすれば、パートの立場で再契約が結ばれます。このとき、「パートタイム労働法」という法律が適用されます。パートタイム労働法は、短い時間で働く人についてのルールです。法律の範囲内で、パートは能力や経験を生かせる部署に配属されるのです。ちなみに、パートで働いていた人が、能力を認められて正社員になることもあります。

なお、「パートは正社員と違って退職金を受け取れない」「ボーナスがない」といった意見もあります。ただ、これらの考え方は厳密にいうと正しくありません。なぜなら、退職金やボーナスの支払いに、法的な強制力はないからです。正社員であっても、退職金やボーナスを受け取れない職場は少なくありません。その一方で、パートにも退職金やボーナスを用意しているところもあります。パートと正社員を使い分ける際は、あくまでも労働時間と正規雇用契約の有無に注目しましょう。

そのほか、仕事内容や出勤時間、日数について「融通がきくかどうか」もポイントです。パートはフルタイムでの契約をしていないので、希望が認められれば好きな時間帯、日数で働けます。さらに、仕事内容についても「責任重大な作業はしたくない」といった要望を伝えられます。その結果、パートには軽作業や補助作業がまわされることも珍しくありません。それに対し、正社員には正規雇用を結んでいる責任があります。正社員は社則で決められた労働時間を満たさなくてはならず、重要な仕事を雇い主から優先的に任せられます。現場でパートやアルバイトに指示を出すのも、正社員に課せられている役目のひとつです。

「パート」「正社員」の用例・例文

以下、パートという言葉を使った例文です。

「パートになってからは、楽な仕事が多くてだらけてしまう」
「専業主婦をしていたが、空き時間でできるパートを探すようになった」
「パートで貯めたお金で、高級なバッグを買おうとしている」

なお、パートには「短い労働時間で給料をもらう人」から派生した、揶揄の意味合いもあります。パート契約を結んでいるわけではない人に、「パート」と使うときは皮肉が込められているといえるでしょう。たとえば、

「あの選手は試合にほとんど出ていないパートのくせに、給料だけはたくさんもらっている」

といった文脈です。

次に、正社員を用いた例文です。

「正社員として採用され、やる気に満ちている」
「アルバイトでは話ができないので、正社員を呼んでほしい」
「正社員なのに、ずいぶん気楽な仕事をしている」

一般的に、「サラリーマン」「ビジネスパーソン」といった呼び方をするときは、ほとんどが正社員を意味しています。たとえば、

「サラリーマンになって5年、ようやく昇進のチャンスが訪れた」

といった文章は、正社員のことだと考えられるでしょう。

フリーランスと個人事業主の違い

現代社会ではライフスタイルの多様化に伴って、働き方についても個人の事情を尊重する機運が高まっています。中には既に「フリーランス」や「個人事業主」として働いている人も居るでしょう。フリーランスと個人事業主はどちらも似たような意味合いを持っているため、厳密な違いは意識されない場面もあります。しかし両者には明確な違いがあるのも事実なので、適切に使い分けられるように理解を深めておきましょう。

「フリーランス」「個人事業主」の違い・概要

「フリーランス」と「個人事業主」の定義には共通している点と大きく異なっている点が混在しています。共通点は「企業などに所属せずに仕事をする」という事であり、広義では個人事業主もフリーランスに含まれているのです。一方、フリーランスという言葉が「働き方」を指し示すものであるのに対して、個人事業主は「税務上における区分」であるという違いがあります。共通点がフォーカスされがちですが、根本的な定義付けが異なる点には注意が必要です。

「フリーランス」「個人事業主」の意味・読み方は?

フリーランスとは「特定の企業・組織・団体に所属せず、クライアント・顧客からの要請に応じて専門知識やスキルを提供する事で収入を得る働き方」を意味しています。この定義に当てはまっているワークスタイル全般が含意されているため、一口にフリーランスと言っても個人事業主・一般的な個人・法人など様々なパターンがあるので留意しましょう。フリーランスは自宅を職場とする人が多いため、デザイナー・イラストレーター・プログラマーといった個人裁量のウェイトが高い職種が多く見受けられます。現場での撮影が基本となるカメラマンや、クライアントの下まで出張する機会の多いコンサルタントもフリーランスとしての働き方が人気の職種です。

個人事業主は「こじんじぎょうぬし」と読み、「個人」「事業」「主」に分けて考える事が出来ます。字面としての意味は「社会的な集団に属さず事業を営なむ人」といった具合になるでしょう。個人事業主において重要なのは「税務署に開業届を提出している」という点です。個人事業主は税法上の区分として処理されるため、各種控除が受けられる青色確定申告が利用出来るようになります。なお、「事業」は税法において「継続・反復・独立して行う仕事」と定義付けされているので併せて覚えておきましょう。

「フリーランス」「個人事業主」の使い方、使い分けは?

フリーランスには「顧客やクライアントから仕事を請け負う」という意味が含まれています。動画編集やイラストレーターといったクリエイティブ系のフリーランスを思い浮かべると、取り引きの流れがイメージしやすいでしょう。一方、個人事業主は「働き方」ではなくあくまで「税法上での区分」を示す言葉です。そのためフリーランスのように顧客やクライアントとの関係性は含意されていません。例えば個人事業主として経営している雑貨店は、顧客やクライアントから「仕事を請け負っている」とは捉えられないでしょう。この場合は仕入れた商品や製作物を顧客に販売するというプロセスになるため、フリーランスには該当しません。個人事業主はフリーランスの一部ですが、すべての個人事業主がフリーランスと呼べる訳ではないのです。

また、フリーランスと個人事業主ではそれぞれに意味が異なるため、個々人が自分のワークスタイルや事情に合わせて使い分けるというのが一般的です。例えばフリーランスには「比較的時間を自由に使う事が出来る」「勤務地に制限がない」「会社に縛られないため、取り引き先の幅が広がる」といったメリットが挙げられます。子育てや介護などで出社が難しく、働ける時間帯に制限がある人がフリーランスとして働くケースは少なくありません。また、クリエイティブ系の職種では自分の作風の幅を広げたい、活動範囲を広げたいといった理由で会社から独立してフリーランスになる人も多いです。

対して、個人事業主の主なメリットには「青色確定申告が可能になる」「屋号の銀行口座が持てる」などがあります。青色確定申告は所定の条件を満たす事で税制面での優遇を受けられるため、会社に縛られず効果的に節税しながら働きたいという人が利用するのが一般的です。また、商業上の名前である屋号で銀行開設しておくと、プライベートと事業でお金の管理・区別がしやすくなります。総じて個人事業主は「会社に縛られない事」よりも「お金の管理・工面」を重視する人が多いと言えるでしょう。

「フリーランス」「個人事業主」の用例・例文

フリーランスは「働き方」を意味する言葉であるため、独立を考えるクリエーターとの会話や比較的カジュアルな書面での用例が多いと言えます。例えば「来年は会社を辞めてフリーランスとして活動しようと思うよ」「次の中から職業を選択してください。なお、フリーランスの方はその他の欄に○を付けてください」といった具合です。個人事業主は税法で認められているカテゴリーなので、やや固めの文章や税金関係の会話の中でよく用いられます。例文としては「当調査における事業者数には個人事業主は含まない」「個人事業主だから毎年の確定申告が大変だよ」などが挙げられるでしょう。

印鑑とハンコの違い

荷物を受け取るときに、宅配業者に何と言われたか覚えていますか?「ハンコをください」でしょうか?「印鑑をください」でしょうか?どちらも同じものを求められているのはわかっているでしょうが、「ハンコ」と「印鑑」の本来の意味を知らずに使っている人もいるかもしれません。ここでは「ハンコ」と「印鑑」の意味の違いについてご説明します。

「ハンコ」「印鑑」の違い・概要

まったく同じ意味で使われている「ハンコ」「印鑑」という二つの言葉は、本来全く違うものをさす言葉です。現代では同義語として定着して広く使われているため、日常生活ではどちらの言葉を使っても意味が通じますが、正確には「ハンコ」は文字を押すための道具であり、「印鑑」はハンコの文字を記載した登録簿や、登録簿に記載されたハンコの文字を意味する言葉です。

「ハンコ」「印鑑」の意味・読み方は?

より詳しく「ハンコ」と「印鑑」の意味の違いを見てみましょう。「ハンコ」とは、木や竹、石、樹脂などに彫られた文字を、朱肉(しゅにく)やインクをつけて紙などに写す道具です。ハンコの正式な名称は「印章(いんしょう)」と言います。また、ハンコで押した文字のことを「印影(いんえい)」と言います。公私文書において印章を使って印を残すことで、印章の所有者が何らかの形で文書の内容に関わった証を残すという役割があります。印章には、後述する「印鑑」のように法的効力のあるものと、単に確認が必要なものへ署名する代わりに使うものがあります。印章のことが「ハンコ」と呼ばれるようになったのは、版木に彫った文章などを印刷することを「版行(はんこう)」と呼んだことが元になったと言われています。印章も版行と同じように木などに彫った文字を紙などに写すことから、版行が変化して「ハンコ」となりました。漢字の「判子」を当てて表記されることもあります。

一方、「印鑑」は「いんかん」と読みます。「印鑑」の本来の意味は、ハンコによって押された印影とそのハンコの持ち主を記録した「登録簿」のことでした。現代でも役所で印影とその印章の持ち主を登録する「印鑑登録制度」というものがあります。印鑑登録された印影やハンコのことを特に「実印(じついん)」といいます。実印には法的効力があることから、重要な契約などで使われます。本来は印影とそのハンコの所有者の登録簿を意味した印鑑は、「登録簿に記載されている印影」のことも意味するようになり、現在では印鑑登録の有無に関係なく、ハンコで押した印影全般を意味する言葉として一般的に使われるようになりました。

「ハンコ」「印鑑」の使い方、使い分けは?

意味の異なる「ハンコ」と「印鑑」は、現在ではどちらも「印影を押す道具」、または「印章で押した文字」として意味が通じるようになりました。ですが、日常で困ることは少ないでしょうが、法律や契約の場面ではより厳密な使い分けが要求されることもあるかもしれません。ここでは、「ハンコ」と「印鑑」の厳密な使い方を例をあげて考えていきましょう。

宅配便が届いた時のことを考えてみましょう。配達員があなたに次のように言ったとします。

A 「ハンコをください」
B 「印鑑をください」

「ハンコ」は文字を押す道具(印章)をいいますので、Aの「ハンコをください」では、「あなたの印章を私に譲ってください」という意味になってしまい、この場面では意味が通りません。
では、Bの場合はどうでしょうか?
「印鑑」は本来「印影とそのハンコの所有者の登録簿」ですから、「印影の登録簿をください」と言っていることになります。この登録簿は役所が保存しているものですので、これも意味が通りません。
「印鑑」のもう一つの意味である「登録簿に記載されている印影」だとしたらどうでしょう?
登録簿に記載されている印影は契約など重要なときに使うものであり、宅配便の受け取りに使うことはまずありません。送られてきた荷物がそれにふさわしい高額で価値あるものならばあり得るかもしれませんが、日常生活では考えられない要求をされていることになります。

このように、「ハンコ」や「印鑑」という言葉は、より正確に使おうとすると注意が必要になります。
では、宅配便の配達員は何と言えばよかったのでしょう?

「認印をください」

このように言うのが適切だったと考えられます。
「認印(みとめいん)」とは、押した本人が確かに確認したという証に押す印影です。登録簿に記載されている印影ではありませんが、荷物の受け取りなど、日常生活上必要な確認済みの証として広く使われている印影です。

「ハンコ」「印鑑」の用例・例文

・「ハンコ」の用例・例文
「ハンコを紛失したので新しいものを購入した」(ハンコ=「印を押す道具」ですので、紛失の対象となりえます。)
「ハンコを押すのを忘れたため、書類の不備を指摘された」(ハンコを使う場合、「押す」といいます。)

・「印鑑」の用例・例文
「印影を印鑑登録する」(印鑑登録=「印影の登録簿」に登録すること。役所で行います。)
「契約書に印鑑を押印する」(「登録簿に記載された印影」を押すという意味です。)

応対と対応の違い

「先方の応対をお願いします」と依頼された場合と、「先方への対応をお願いします」と依頼された場合とでは、ふるまい方を変えなくてはなりません。「応対」も「対応」も同じ漢字の組み合わせで、意味の違いも大差ないように思われますが、二つの言葉は使い分ける必要があるのです。どのような違いがあるのか、例文を交えながら確かめていきます。

「応対」「対応」の違い・概要

「応対」と「対応」の違いを簡潔にまとめると、行動を起こす対象が人に限られるのか、あるいは人以外も含むのか、ということになります。対象が人間の場合は「応対」を使い、人間だけでなく事柄や状況、状態などへも範囲が広がる場合は「対応」を使用します。

対象が人間に限られる場合であれば「応対」も「対応」もどちらも使える言葉になりますが、相手との関わりの深さによって、両者に違いが生じます。すなわち「応対」が相手との浅い受け答えの状態を示すのに対して、「対応」はより踏み込んだ関係の中で、課題や問題への対処を意味する、というような違いがあるのです。

「応対」「対応」の意味・読み方は?

「応対」は「おうたい」と読みます。「対応」は「たいおう」と読みます。

「応対」とは、辞書によれば「相手になって受け答えすること。客をもてなすこと」という解釈になります。このほか、利害が衝突する当事者どうしが話し合うこと、という意味もあります。いずれも働きかける対象は、人間に限定されるという点が重要です。

これに対して「対応」の辞書での解釈はひと通りではありません。二つの関係性に着目した意味づけ、数学的な意味づけ、対人対処的な意味づけなど、多岐にわたっているのが特徴です。二つの関係性に着目した意味づけとは「互いに向かい合うこと。対立や並列、上位・下位などの関係にあること。互いが良く釣り合っていること」などの解釈に見られるものです。数学的な意味づけとは「AからBへの対応」といったような、結び付けの規則を定義した解釈です。そして、対人対処的な意味づけというのが、「相手の出方や、取り巻く状況に応じて、それにふさわしい行動をとること」のように解釈されるもので、人間が持つものごとへの対処能力に踏み込んでいる点がポイントです。

「応対」「対応」の使い方、使い分けは?

「応対」は人の相手となって受け答えしたり、人をもてなしたりする際に用いられる表現ですので、人どうしのコミュニケーションの場で使用するのになじむ言葉です。

会社でいえば総合受付でのやり取りが「応対」になります。ある用件を持って直接会社を訪問したり、電話で連絡を取ってきたりした人に対して、用件を聞き出し、必要に応じて適切な部署や担当者につなぐといったようなやり取りが、その具体的な例といえるでしょう。「受付で来訪者に応対する」「部下の電話応対の仕方が悪く、先方を怒らせた」などと使います。物品を販売する店舗では、接客する際のやり取りが「応対」にあたります。弁護士事務所や税理士事務所などで応接にあたり、相談者の用件を確かめたりする際も「応対」を使うことができます。

「対応」はものごとの関係性や数学的な定義に使われるほか、人とのやり取りの場にも使用できる語意の広い言葉です。人とのやり取りに関していえば、「応対」と同様に、人の相手になって受け答えするという意味も持ちますが、人だけでなく事柄や状況・状態への対処にも使われる場合があります。

「応対」の使い方でみた会社の例を借りれば、総合受付から連絡を受け取り、来訪者とやり取りをして用件に答える一連の行動を「対応」と表現します。用件の中には何かの方策を取らなくてはならない難しい案件や、解決に向けて調整が必要な込み入った事案があるかもしれませんが、こういったこともすべて含めて対処することを「対応」といいます。「総合受付から回ってきた問い合わせ案件に対応する」「部下が怒らせた顧客に、上司が対応する」などと使います。

「応対」は対象が人間に限られ、コミュニケーションの比較的浅い段階に使用するのになじみやすい言葉です。いっぽう「対応」は、対象と向き合うなかで、対策や収拾など一歩踏み込んだ複雑な状況に対処するという意味合いを含みますので、状況に応じて正しく使い分けることが必要です。

「応対」「対応」の用例・例文

「応対」の用例、例文には次のようなものがあります。

・応対は非常に柔らかで、気おきなく話せるように仕向けられた。(和辻哲郎 「漱石の人物」より)

・直接会わない中で応対する電話の応対スキルは、簡潔な会話と人と人とが繋がる心のこもったコミュニケーションが必要で、この重要度は、ますます高まっております。(NTT東日本「2021年度電話応対コンクール神奈川大会の開催について」より)

いっぽう「対応」には次のような用例、例文が挙げられます。

・世間のつきあいは、つきあい、自分は自分と、はっきり区別して置いて、ちゃんちゃん気持よく物事に対応して処理して行くほうがいいのか、(太宰治 「女生徒」より)

・通信がつながる仕組みや災害時に通信がつながらなくなる場合において想定される故障等、通信事業者による早期復旧の対応、災害時に電話がつながらなくなる場合の原因と対応、災害時に通信事業者等が提供する被災者向けサービス等を「災害時に役立つ!通信確保のための対応ガイド」としてとりまとめました。(総務省「災害時に役立つ!通信確保のための対応ガイド」より)

押印と捺印の違い

「押印」と「捺印」には、どのような違いがあるのでしょうか。この二つは、似たような意味合いで用いられることが多く、それぞれの言葉の意味や違いをしっかり理解できていない人も、少なくありません。ここでは、「押印」「捺印」について詳しくお伝えしていきます。シーンに合わせて適切な言葉を選べるようにしましょう。

「押印」「捺印」の違い・概要

「押印」「捺印」は、どちらも印鑑を押すという行為を指していますが、そこには明確な違いが存在しています。「押印」は、「記名押印」が省略された言葉です。したがって、この場合は「記名」されたものに印鑑を押すことを意味しています。一方、「捺印」は、「署名捺印」という言葉が省略された言葉です。そのため、直筆の署名と一緒に、印鑑を押す場合に使われます。その他には、印鑑を押すことだけを指して、「押印」「捺印」と言う場合もあります。

「押印」「捺印」の意味・読み方は?

「押印」の読み方は「おういん」で、印鑑を押すことを意味しています。「押印」は「記名押印」の略称のため、記名と一緒に印鑑を押す場合に使われます。「記名」とは、自署以外の方法、例えば、ゴム印や社印を使って押された名前や、印刷された名前のことを指しています。また、その他には代筆も含まれています。これらの方法で名前が表記された場合は、「押印」という言葉を用います。また、印鑑だけを押す場合に「押印」が使われるケースもあります。

一方、「捺印」は「なついん」と読みます。「押印」と同じように、印鑑を押す意味合いを持っています。しかしながら、「捺印」が使われるシーンは、「押印」の時とは異なります。「捺印」は「署名捺印」の略称のため、署名と一緒に印鑑を押す場合に使われるのです。この署名という言葉は、「本人による手書きのサイン」のことを指しています。当然ながら、記名よりも署名の方が、「本人の意思に基づいている」と判断されます。そのため、「捺印」の方が、証拠能力としても高い価値を持つことができるでしょう。「押印」でも「捺印」でも、印影鑑定によって本物であることの確認はとれます。しかし、誰にでも複製可能な記名と、本人でしか作成することのできない署名とでは、筆跡鑑定が可能な署名の方に軍配が上がるからです。また、「押印」と同様、印鑑を押す行為のことを指して、「捺印」と言う場合もあります。

「押印」「捺印」の使い方、使い分けは?

「押印」は、名前を表記する部分が「ゴム印や社印を使って押された名前」や「印刷された名前」、そして「代筆された名前」でも構わない場合に使います。一方、「捺印」は、名前を表記する部分が「自筆によるサイン」の必要がある場合に用いられます。つまり、自筆によるサインの場合は「捺印」を使い、それ以外の方法で名前を表記する場合は「押印」を使う、と理解しておくとよいでしょう。

「記名」に比べて「署名」の方が本人の意思が強く反映されるため、必然的に「捺印」の方が法的効力も高まることになります。そのため、「押印」か「捺印」かは、その書類の重要度によって判断されることが多いです。法的効力を求めるものや、契約書などの重要な書類には、「捺印」が使われ、そこまで重要度を求めないものに関しては、「押印」が使われています。法的効力が高い順番に並べると、最も高いものは「署名捺印」となり、「署名のみ」、次に「記名押印」、そして「記名のみ」と続いていきます。「記名のみ」の場合、法的効力はほとんどなくなってしまいます。もし使い分けで迷った時は、その書類の重要度に合わせて選択するようにしましょう。例えば、契約書は、重要な位置づけになっている書類のひとつとして挙げられます。契約を締結したという事実を証明する書類だからです。そのため、この場合には最も重要度の高い「署名捺印」が使われます。よって、「捺印」という言葉が選択されることが多くなっています。しかし一方で、重要度の低い契約書の場合には、「記名押印」が採用されるケースもあります。

そして、「押印」は「捺印」が必要な書類に比べて、そこまで重要度が高くない書類の場合に使います。例えば、決裁書や稟議書に決裁者が印鑑を押したりする場合や、代理の人が本人の代わりに印鑑を押す場合などが挙げられるでしょう。ビジネスにおいて、比較的多く使われています。取引先や上司に提出する書類、他の部署に提出する書類など、その種類は多岐にわたります。

「押印」「捺印」の用例・例文

「押印」を使った表現
・こちらの書類に押印をお願いします。
・稟議書に押印をお願いしたいのですが。
・お忙しいところ恐縮ですが、こちらの書類に記名と押印をお願いいたします。
・有給申請をしたいので、こちらの書類に押印をお願いいたします。
・勤怠管理表に押印をお願いします。
・書類の二枚目に押印いただき、弊社までご返送ください。
・明日、書類をお持ちしますので、押印をお願いいたします。

「捺印」を使った表現
・こちらの契約書に捺印をお願いいたします。
・こちらにご署名とご捺印をお願い申し上げます。
・契約書の内容をご確認いただき、問題がなければこちらにご署名ご捺印をお願いいたします。

音読みと訓読みの違い

同じ一文字の漢字でも、読み方は一通りではありません。たとえば「生」という漢字は、「生命」のように「セイ」と読む場合、「生きる」のように「イ」と読む場合の二つに分けて使われています。これは、前者は「音」で読んでおり、後者は「訓」で読んでいるケースです。漢字にはこのように「音読み」「訓読み」の二つの読み方があるのです。

「音読み」「訓読み」の違い・概要

漢字はもともと中国から伝えられた文字です。日本に伝わったばかりのころは、当然のことながら読みようがなく、まずは中国語の発音に基づいた読み方をあてていきました。これが「音読み」です。たとえば「山」は中国語では「shan(シャン)」と発音しますが、この音を日本語として発音した読み方の「サン」に定めたというぐあいです。

これに対して「訓読み」は、漢字にそのまま日本語の読み方をあてて読む読み方をいいます。「山」を「ヤマ」と読む読み方ですが、日本語をそのままあてることで漢字の意味がとても分かりやすく伝わることになります。

「音読み」「訓読み」の意味・読み方は?

「音読み」は「オンヨミ」、「訓読み」は「クンヨミ」とそれぞれ読みます。音は「音色」のような意味で、中国から日本に伝来して国語化した漢字の発音を表します。訓にはもともと「文章や字句をわかりやすく読み解く」といった意味があり、漢字に日本語の語をあてた読み方という意味を示します。

中国の発音を取り入れて日本語の読み方としたのが「音読み」ですので、日本に伝わった時代によって、漢字の音も変化しています。漢字は仏教の伝来とともに4世紀ごろ朝鮮半島を経由して伝わったとされていますが、中国では魏呉蜀の三国時代にあたり、このころの音読みは中国南方から伝わったものが定着していたといわれています。この読み方を「呉音」といいます。時代が下り儒教や仏教を輸入し始めた6世紀から7世紀にかけて漢字の識字層が大きく広がりましたが、このころは遣隋使や遣唐使などによって中国との文化交流がいっそう盛んになり始めた時代にあたります。時を同じくして伝えられたのが「漢音」で、主に北方系の発音に基づいた音読みとなります。さらに鎌倉時代以降になると、禅宗の留学僧らによって「唐音」も伝えられました。このように「音読み」には様々な種類があり、一つの漢字にも多くの読み方があるわけです。

「訓読み」は、漢字に日本語の読み方をあてたものです。漢字の意味と読み方が一致しているため聞いただけで内容が伝わりやすいという特徴があります。なお、漢字を組み合わせて熟語を作る場合、訓は訓、音は音で統一して読むのが基本ですが、中には訓と音、音と訓の組み合わせで読むものもあります。「湯桶」を「ユトウ」と訓+音で読む場合、「重箱」を「ジュウバコ」と音+訓で読む場合などがそうです。前者のような読み方を「ユトウヨミ」、後者を「ジュウバコヨミ」と呼びます。

「音読み」「訓読み」の使い方、使い分けは?

「音読み」する漢字は難解で堅苦しい印象を与え、主に行政や法律など公式的な場で用いられることが多いものです。一方「訓読み」する漢字は、日常的に使われ、柔らかく口語的な印象を与えます。このように「音読み」と「訓読み」を使い分けるには、まずその読み方がどちらの読み方なのかを見分ける必要があります。見分け方には次のようなものがあります。

まず、漢字の読みだけで意味が分かるのは訓読みです。前述したように、訓読みは漢字の意味と読みが一致した読み方です。「山」を「やま」と訓読みすればすぐにわかりますが、「サン」と音読みするとすぐには漢字を特定しにくいといったぐあいです。次に、送り仮名がつくものには訓読みするものが多く見られます。漢字を日本語の読みにあてはめたものが訓読みなので、送り仮名を送って意味を補うような読み方をするのはほとんどが訓読みです。

また、小さく発音する拗音は除き、発音する字数が2字以下であれば音読み、3字以上なら訓読みという見分け方もあります。加えて読み方の中に拗音が入っていればそれは音読みです。さらに、読み方の終わりに注目する方法もあります。末尾が「ウ・ク・イ・ツ・チ・キ・ン」のときには音読みである場合が多いです。末尾ではなく始まりが「ラ行」や濁音の場合もほほ音読みだとわかります。このほか、音読みには熟語が多いという特徴があります。これには、漢字一文字を音読みした場合だと、ほかにも同じように発音する語が多く、なかなか意味が特定しにくいという理由から、漢字を組み合わせて意味をとりやすくしたという理由があります。

「音読み」「訓読み」の用例・例文

「音読み」には呉音、漢音、唐音それぞれの用例があります。例えば同じ「行」という漢字でも呉音では「行事」を「ギョウジ」、漢音では「行動」を「コウドウ」、唐音では「行脚」を「アンギャ」と読み分けるような例です。ほかにも、「頭」なら、呉音では「頭痛」を「ズツウ」、漢音では「冒頭」を「ボウトウ」、唐音では「饅頭」を「マンジュウ」に、「明」なら呉音で「明日」を「ミョウニチ」、漢音で「明治」を「メイジ」、唐音で「明」を「ミン(国名)」と読み分けています。

また、上記の「行」「頭」「明」の例を「訓読み」にすれば、「行」は「イク・ユク・ オコナウ」、「頭」は「アタマ・ カシラ」、「明」は「アカリ・ アカルイ・ アカルム・ アカラム・ アキラカ・アケル・ アク・アクル・ アカス」となります。

このほか、「音読み」「訓読み」という言葉自体の例文としては、次のようなものがあります。
・大神宮・神宮・宮・神社・社など。 音読みで社号を読むのは仏教の影響である。(小野不由美『黒祠の島』より)
・やっかいなのは、漢字の訓読みではないかな。(星新一『あれこれ好奇心』より)

課題と問題の違い

「課題」は、「課題の提出は来週の月曜日までです。期限厳守でお願いします。」のように使われています。「問題」は「次の問題を解いてください。」や「このシステムにはなんらかの問題があります。」などのような使われ方をしています。「課題」と「問題」は、普段はあまり意識しませんが、実は意味や使われ方が違います。どのような違いがあるのでしょうか。

「課題」「問題」の違い・概要

「課題」は、「課題の提出期限は、来週の土曜日です。」など、学生でもよく耳にする言葉です。「環境問題を解決するための課題はいくつもあります。」という意見の中にも使われているので、社会人にもなじみのある言葉です。課題は「課せられたやるべきこと」という意味です。一方、「問題」は、「3番目の問題を解いてください。」や「日本が抱える問題の一つとして少子高齢化があげられます。」というような使われ方をしています。解答を求める問い、また、解決するべき事柄などの意味で使われています。「課題」と同じくなじみのある言葉です。「課題」には「課せられた」というニュアンスがありますが、「問題」にはそのニュアンスがありません。これも二つの言葉の違いの一つです。

「課題」「問題」の意味・読み方は?

「課題を今週中に提出しなければなりません。」という文中の「課題」は、するべきこととして課せられた事柄という意味です。「課す」のは、自分であっても他人であってもどちらでも良いのです。また、「課題」は問題解決のためにできることやするべきことなどの意味でも使われます。一方、「問題」には、「解答を求める問い」・「批判や論争や研究の対象となる、または解決するべき事柄」・「困った、厄介な事柄」などの意味があります。「一番の問題を解いてください」では、「問題」は、「解答を求める問い」という意味で使われています。「地球温暖化問題」「食料問題」では「批判や論争や研究の対象となる事柄」という意味で使い、「役場でまた問題が起きている」は「困った、厄介な事柄」という意味で使われています。

また、「課題」と「問題」はビジネスシーンでも使われる言葉です。その場合、「問題」は、ある組織の目標と現状のキャップのことです。例えば、今週1週間でプラモデルを30個完成させることが目標でした。しかし、現状では、18台しか完成させることができませんでした。このような時には、12台完成できなかったことが、問題なのです。そこでどうすれば良いかを考えて「人員を一人増やす」という解決策を得たとします。この解決策が、「課題」です。「課題」は実際にアクションを起こして実行するべき事柄です。ところで、「課題」は「かだい」と読みます。「問題」は「もんだい」と読みます。

「課題」「問題」の使い方、使い分けは?

「3ページの問題を全て解くことという課題が出されたました。」という文では、問題と課題が使い分けられています。問題は解答を求める問いで、課題はやるべきこととして課せられたことです。「地球温暖化は問題だ。」については、地球温暖化は困った事柄であり、解決するべき事柄なので、問題を使います。「地球温暖化問題を解決するためには、まず、世界の国々の協力体勢を整えるという課題をクリアする必要があります。」についていえば、問題を解決するために起こす行動はするべきことですから「課題」といえます。

それでは次に、ビジネスシーンにおいては、どのように使い分けられているのかを見ていきます。「問題」とは、「目標」と「現状」のギャップのことであり、「課題」とは問題を解決するためにするべき解決策のことです。それでは、具体的に見ていきます。例えば、美容院がオープンしたとします。その美容院は1週間に50人の来店者数を目標としました。しかし、実際には30人しか来店者がありませんでした。20人ほど目標よりも来店者が少なかった訳です。この目標と現状とのギャップ(ズレ)が「問題」にあたります。次に、この問題を解決するためには「目標」と「現状」のギャップを埋めるにはどうしたら良いかを考えます。すると、「新聞チラシで店の広告をする」「来店者に景品を配る」などの具体策が出たとします。この具体策が「課題」にあたります。「課題」を見つけることができたら、「問題」を解決するために実行することが大切です。それでは、ビジネスシーンでの「問題」と「課題」の使い方を意識して文を作ってみます。ポテトの値段を180円にしたいと考えています。しかし、まだ200円より下げることができません。目標よりも20円高いというのは問題です。「仕入れ先をもう1度考え直してみる」という課題が浮かび上がりました。

「課題」「問題」の用例・例文

・理科の問題は簡単です。
・理科の課題を期限までに仕上げなければなりません。
・第1ステージの課題はクリアしました。
・環境問題を解決するためには、一人一人の意識を変えることが大切です。
・やっとその問題を解決したのに、また新たな問題が起こりました。
・店の売り上げを目標に近づけるため、営業時間を見直すという課題が提案されました。
・店の売り上げが現状として、目標よりも200万円足りないというのは問題です。
・そのアイスが目標よりも短い時間で溶けてしまうのは問題です。
・原料を研究し直すという課題がみつかりました。