新語時事用語辞典とは?

2023年2月8日水曜日

ダイナミック入店

読み方:だいなみっくにゅうてん
「ダイナミック入店」とは、コンビニエンスストア等の店舗に誤って車ごと突っ込んでしまうことを揶揄した表現。コンビニエンスストアのほか、レストランや喫茶店でのダイナミック入店もある。主にアクセルとブレーキを踏み間違えてしまい、停車しようと思っているにもかかわらず事故を起こしてしまうことが多い。そのほかに飲酒運転に起因するパターンもある。当然公共物や店舗の一部を破壊してしまっているので、多額の損害賠償が請求される。

忖度

読み方:そんたく

「忖度」とは、「人の気持ちを察すること」であり、とりわけ「人の内心を察してうまく取り計らい対処すること」を意味する表現である。「忖度」の読み方は「そんたく」である。

「忖度」の「忖」の字には「推し量る・思量する」という意味がある。「忖」の字を使った熟語としては「忖度」の他に「思忖」「忖量」などが一応あるが、現代日本語では「忖度」以外の例に接する機会はほぼない。

「忖度」の「度(タク)」は、音読みであり、「ト」と共に漢音の読みの一種である。主に「量る・見積もる」という意味合いの熟語で用いられる読み方である。「度」を「タク」と読む熟語の例としては「支度(したく)」が挙げられる。


「忖度」は、2017年に、いわゆるモリカケ問題(森友・加計学園問題)における疑惑の所在を匂わせるキーワードとして、マスメディアに用いられた。直接に口利きしたわけではないが、口利きと言っても差し支えないようなやりとりが暗にあったのだろう、というような推測を表現する語として用いられる傾向があった。

ユーキャン新語流行語大賞は「忖度」を「インスタ映え」と並ぶ2017年の年間大賞に選出している。

感銘を受ける

読み方:かんめいをうける

「感銘を受ける」の意味、表記、成り立ち

感銘を受ける(かんめいをうける)とは、心に深く刻まれるような強い感動を抱くことを意味する慣用的な表現。「感銘」は「肝銘」とも表記する。ただし、現代では「感銘」と書くことが普通である。

「感」は心が動くこと、「銘」は心に刻むことの意で、「感銘」は物事に触れて心が動き、その気持ちが心に刻まれることを意味する。また、「肝銘」の「肝」は心を意味する。

「感銘を受ける」の使い方

「感銘を受ける」は、文章や改まった会話で用いる、やや硬い表現である。

「感銘を受ける」は、慣用句というほど熟してはおらず、コロケーションであると解される。したがって、「感銘を深く受ける」のような部分修飾や、「感銘をお受けになる」のような敬語化も可能である。

「感銘を受ける」は、「~に」に、その感銘を生じさせる物事をとる(例文、「教師の言葉に感銘を受ける」)。この、感銘を生じさせる物事は、他者の言動や思想、小説や絵画などの作品であることが多く、自分自身の行為や、自然の風景などに心を動かされる場合には、「感銘を受ける」は用いにくい。

「感銘を受ける」の言い換え

「感銘を受ける」と言い換えられる表現として、「感銘」のコロケーションでは、「感銘を覚える」「感銘を味わう」などが挙げられる。「感銘を受ける」は、心を動かす物事からの強い働きかけが感じられるのに対し、「感銘を覚える」は自然とそうなるという感じが、「感銘を味わう」はしみじみとそう感じるという意味合いがある。また、感銘を受ける意で単に「感銘する」とも言う。

この他、「感銘を受ける」と言い換えうる表現には、「感銘」の類義語(類語)である「感動」「感激」を用いた「感動する」「感激する」、また「琴線に触れる」などがある。

「感動」と「感銘」の違いには以下のようなものがある。第一に、「感動」は「感銘」よりも日常語的であり、口頭でも普通に用いられる。第二に、「感銘」は後々まで覚えているような感情をいうのに対し、「感動」は一時的な心の動きをいう。第三に、「感動」は自然の風景などに心を動かされたときにも用いられる一方、「感銘」はそのような場合には用いにくい。

「感激する」は、「病気が治ったことに感激する」のように、自分自身の身に起こったことにも用いることができるが、「感銘を受ける」は自分自身の身に起こったことには用いにくい。また、「感激する」には、自らの気持ちが奮い立つというニュアンスがあるが、「肝銘を受ける」にはそのような積極的な感じはない。

「琴線に触れる」は、物事に感銘を受ける気持ちを、物事が弦楽器の糸に触れる様子にたとえた表現であり、「感銘を受ける」と違ってその物事を「~に」にではなく「~が」にとる(例文、「詩の言葉が心の琴線に触れた」)。

この他に、「感銘を受ける」と言い換えうる表現には「心を打たれる」「胸を打たれる」「胸に響く」などが、「感銘」の類義語(類語)には「感慨」「感心」「感嘆」などがある。

また、「感銘を受ける」と似た形の表現に「共感を受ける」があり、「曲の歌詞に共感を受けました」のように、「共感する」の意で「感銘を受ける」と同様の使い方で用いられることがある。しかし、「共感を受ける」は通常、「~が共感を受ける」の形で、共感を得られる意で用いられるものである(例文、「党の方針が国民の共感を受けている」)。

「感銘を受ける」と対になる表現

「感銘を受ける」に対し、他者に深い感動を及ぼすことをいう表現に「感銘を与える」「感銘をもたらす」などがある。

「感銘を受ける」の英語での表現

「~に感銘を受ける」は、英語ではbe impressed with ~、be impressed by ~、be moved by ~、be touched by ~などと訳すことができる。

「感銘を受ける」の例文


  • 先生の言葉に心から感銘を受けた
  • 彼女の作品に感銘を受けたことが契機となった
  • これまでに最も深い感銘を受けた本は司馬遼太郎の「坂の上の雲」です
  • 〔就活における履歴書の志望動機で〕御社の企業理念に感銘を受けて志望しました

(執筆:稲川智樹)


コンプライアンス

「コンプライアンス」とは、企業が法令を遵守したうえで適切な企業倫理観や社会的な道徳規範に照らし合わせステークホルダーの利益も踏まえつつ公平で公正な企業活動を行うことを意味する表現。「企業コンプライアンス」や「ビジネスコンプライアンス」などと呼ばれることもある。

コンプライアンスという言葉は名詞として用いられ、多くの場合「守る」「遵守する」「徹底する」あるいは「違反する」といった動詞と共に用いられる。「コンプライアンス違反」「コンプライアンス研修」のような表現もよく使われる。

コンプライアンスの語源

コンプライアンスという言葉は英語の compliance をカタカナ表記にしたものであり、英語のcomplianceは動詞「comply」を名詞化した語彙である。complyは自動詞であり、主に「要求に応じる」「規則に従う」という意味で用いられる。たとえば「comply with one's request」は「(人)の要求を受け入れる」といった意味の言い回しである。compliance も英語では「応じること」「従うこと」に相当する意味合いで比較的幅広く用いられる語である。

日本語における「コンプライアンス」は、たいていビジネス・経営の分野、もしくは医療の分野において用いられる。ビジネスの分野におけるコンプライアンスは「法令遵守」と訳されることが多く、医療の分野におけるコンプライアンスは「服薬遵守」と訳されることが多い。「企業コンプライアンス」「服薬コンプライアンス」と呼び分けられることもある。

コンプライアンスの意義と目的

企業経営におけるコンプライアンスの最も肝要な要素は「法令の遵守」である。つまり、「事業を遂行するにあたって各種の法令を遵守する(法に抵触しない)ということ」といえる。また、法律により禁止されている事項ばかりでなく、社会の倫理的・道徳的な通念に基づくルール(社会規範)を遵守するという要素も、今日の企業コンプライアンスにおいては重要かつ不可欠な要素と位置づけられている。この「社会規範を遵守する」という事項は、「企業倫理」および「CSR」(企業の社会的責任)とも密接に結びつく要素ででもある。企業コンプライアンスはCSRと不可分の考え方といえる。

コンプライアンスの意義・目的は、ひとえに、コンプライアンスが徹底されなかった(法や規範から逸脱した)場合に生じ得る不利益・損失・責任を回避することである。

企業活動は商法をはじめ民法、刑法、証券取引法、その他諸々の法令において規範が定められている。もし経営者や従業員が、何らかの法に抵触するような行為に及んだ場合、法的責任を問われ、罰せられる。科料や損害賠償請求などによる直接的な不利益だけでなく、不祥事を起こした企業という汚名が着せられることによる社会的な信用の失墜やイメージの悪化も避けがたく、事業の継続が困難になるほど致命的な打撃となり得る。違法行為には該当しないとしても、社会一般から反感を買うようなモラルに反する振る舞いを行った場合、やはり同様の打撃を被る可能性が高い。

コンプライアンスは、それ従い遵守すること自体が成し遂げがたい偉業であるというわけでない。むしろ真っ当に事業を営んでいればおおむねコンプライアンスに則った業務遂行が可能である。しかしながら、法的知識に関する無知や、ふとした出来心などによって、コンプライアンスに抵触する行いに及んでしまう者が出てくるかもしれない。理由はどうあれ、コンプライアンスを遵守せず逸脱するようなことは、万が一にもあってはならない。そのため、万が一にもコンプライアンス違反が発生することのないように、従業員にコンプライアンス教育(コンプライアンス研修)の機会を与えたり、社内規定により行動を制限したり、といった意識付けの取組みが各社において行われている。

「コンプライアンス・オフィサー」とは

企業のコンプライアンス管理において「コンプライアンスオフィサー」と呼ばれる役職が配置される場合がある。

コンプライアンスオフィサーは、組織内でコンプライアンスが適切に管理・運用・徹底されているかどうかを監督する責任者である。特に日本コンプライアンス・オフィサー協会が実施している認定試験に合格した有資格者を指す場合が多い。協会では組織の専門性に応じて試験内容を特化させ「金融コンプライアンス・オフィサー/保険コンプライアンス・オフィサー認定試験」「JAコンプライアンス試験」「金融個人情報保護オフィサー認定試験」「AMLオフィサー認定試験」といった複数種類の試験を実施している。

「コンプライアンス」と「アドヒアランス」の違い

コンプライアンスと類似した概念に「アドヒアランス」が挙げられる。アドヒアランスは特に医療分野の、薬の服用について用いられるキーワードであり、企業コンプライアンス(法令遵守)よりも「服薬コンプライアンス」(服薬遵守)と対比されるキーワードであるといえる。

アドヒアランス(adherence)はもともと「固守」「堅守」あるいは「執着」を意味する英語である。医療分野における「コンプライアンス」は「患者が医師の指示に従い正しく服薬する」ことを指すが、「アドヒアランス」は「患者が医師の治療活動に能動的・積極的・主体的に協力し、医師に従い、治療に向けて努力する」という姿勢を指す。

スパダリ

「スパダリ」とは、BL(ボーイズ・ラブ)系の創作ものに登場する「完璧な男性恋人キャラクター」のことを意味する表現である。「スーパーダーリン」の略。容姿もよく、頭もよく、若いのに仕事がデキて社会的地位もあってお金持ち、といった「理想の男性像」の権化のような男性キャラクターのこと。有り体にいえば「万能イケメン」である。

BL作品の読者は、完璧な人類としてのスパダリが大人の余裕と包容力で甘く優しく包み込んでくれる描写にトキめいたり、万事に隙のないスパダリがこと恋愛に関しては不器用で赤面したり可愛い声を出したりしつつ受け手に回るさまにドキドキしたりするわけである。

どのような要素が「理想の完璧さ」に必要と感じるかは人によって異なる部分もあり、そのためスパダリの定義はある程度あいまいである。同じキャラクターが人によってスパダリ認定されたりされなかったりする場合もある。

デフォルト

読み方:default

「デフォルト」とは、政治経済の分野では「債務不履行」、IT分野では「初期設定」、その他一般の文脈では「標準」「いつもの」のことを意味する表現表現である。

  • 政治・経済・金融の分野における「デフォルト」は、主に「債務不履行」や「財政破綻」の意味で用いられる。
  • IT(パソコン・スマホ・SNSなど)の分野における「デフォルト」は、「初期設定」や「初期状態」の意味で用いられる。
  • ビジネスシーンや日常会話の文脈では、「デフォルト」は「標準」あるいは「いつもの」くらいの意味で用いられることが多い。
  • インスタの「デフォルト順」は、「並び替えていない状態」の並び順のことである。

「デフォルト」を英語で言うと

「デフォルト」は英語の「default」に由来する外来語。英語の default も、主に「債務不履行」「初期状態」といった意味で用いられる。

ただし英語の default は、「債務の滞納」や「欠席・欠場」といった意味でも用いられる。また、名詞の用法だけでなく動詞(自動詞・他動詞)の用法もある。

「デフォルト」の語源

日本語の「デフォルト」の直接の語源は英語の default である。

英語の default は、古フランス語に由来しており、もっと遡ればラテン語の「fallere」に起源が見いだせるという。

経済・金融の「デフォルト」とは 簡単に解説

経済や金融の分野における「デフォルト」は、「債務者が債権者に対して負っている義務を果たさないこと」を意味する表現。簡単にいえば、借りた金を返さなかったり、返す期日が遅れたり、売買契約した商品を引き渡さなかったり、という状況のことである。

国家(政府)が債務不履行に陥ることを、特に「財政破綻」という。国債の利払いが不能になることを指してデフォルトと呼ぶ場合が多く、「国債がデフォルト(する)」のような言い回しが用いられることも多い。

「デフォルト」は必ずしも国家の財政破綻だけを指す用語ではない。たとえば金融機関が債務不履行に陥ることなどもデフォルトと表現される。

国がデフォルトするとどうなる?

国家がデフォルトした場合、国際通貨基金(IMF)が介入して国家財政の立て直しが図られることになる。IMFは融資を行いつつ財政の緊縮を促す。

国家は財政の健全化を図る間、なかば倹約を強いられる。中長期にわたる景気の低迷や政権交代などのリスクは高まる。

とはいえ、デフォルト(財政破綻)した国家は速やかに滅亡する、というわけではない。

ギリシアは2010年のいわゆる「ギリシャ危機」において深刻なデフォルトの危機に直面した。その後の分析により、同国は「デフォルトの常習者」あるいは「常にデフォルト状態である」国家とみなされるようになっている。

ロシアはデフォルトするか?(デフォルトしたのか?)

2022年にロシアがウクライナに軍事侵攻し、欧米などから外貨凍結などの経済制裁が加えられ、その影響で貿易上の債務履行が著しく困難な状況に陥った。

2022年6月の時点で、ロシアは外貨建てのロシア国債の利子を期限通りに支払えず、これによって実質デフォルトしていると判断された。

パソコンやスマホの「デフォルト」とは わかりやすく解説

コンピュータ関連の文脈で用いられる「デフォルト」は、「初期状態」や「初期設定」のこと、要するに「特に設定を変更したり値を指定したりしていない状態」を指す。

たとえば、パソコンやスマホの「工場出荷時の状態」で設定されている通知音や壁紙などは、「デフォルトの通知音」などのように表現できる。

いわゆる「デフォルトの設定」は、変更(カスタマイズ)可能である場合も多い。ただしデフォルトの状態から変更できないようになっている設定も少なくない。

「デフォルトの通知音」とは

スマホの着信音やメール受信を知らせる通知音などは、特に指定しなくても最初から設定されている。このような「初期状態として設定されている通知音」が「デフォルトの通知音」である。

「デフォルトのブラウザ」とは

ウェブブラウザやメディアプレーヤーなどのアプリケーションは、複数種類インストールして使い分けられる場合がままある。そして、その中で「標準アプリ」として設定されているアプリを、「デフォルト(の)アプリ」という。

たとえば、メールやPDFファイルのリンクをクリックした場合に立ち上がるブラウザは「デフォルトブラウザ」という。パソコン内に保存してある音声ファイルや動画ファイルをダブルクリックした場合に立ち上がるメディアプレーヤーは「デフォルトプレイヤー」という。

「デフォルトにする」「デフォルトとして設定」とは

デフォルトブラウザやデフォルトプレイヤーは、任意に変更することもできる。デフォルトのブラウザとは異なるブラウザをデフォルトブラウザに設定する、といった操作が、「(このブラウザ)をデフォルトにする」「(このブラウザ)をデフォルトとして設定する」のように表現される。

デフォルト設定とは、デフォルトとして設定とは

「デフォルト設定」は主に「デフォルト状態における設定」を意味する表現。ただし「デフォルトとして設定する」の意味で用いられる場合もあり得る。

インスタなどの「デフォルト表示」とは

「デフォルト表示」は、表示設定をカスタマイズできる場合の、未カスタマイズ状態のこと。

特にインスタ(Instagram)における「フォロー中」アカウント一覧の並び順に関する「デフォルト」は、インスタにおけるデフォルト設定の並び順のことであり、要するに「初期状態で設定されている並び順(特に並び順を指定しない場合の並び順)」である。インスタの「デフォルト」の並び順の基準は、公表されていない。少なくとも時系列ではない。

デフォルトゲートウェイとは

デフォルトゲートウェイ(default gateway)は、TCP/IPネットワークにおいて、内部ネットワークと外部ネットワークの接続地点に位置するノード(装置など)のこと。「既定値(default)として設定されている、信号の出入り口(gateway)」という意味である。

デフォルトアカウントとは

デフォルトアカウント(default account)は、コンピュータやウェブブラウザなどが複数のアカウント(利用者)による使い分けに対応している場合に、最初に立ち上げた段階で設定されているアカウントのこと。アカウントの追加・変更を特に行わなければ、デフォルトアカウントが用いられることになる。

Windowsやブラウザの「Chrome」は、複数アカウントによる運用が行われやすく、デフォルトアカウントも意識されやすい。後から追加したアカウントをデフォルトアカウントに指定しておくこともできる。

デフォルトモードネットワークとは

デフォルトモードネットワーク(default mode network)は、認知神経科学の分野の用語である。コンピュータ用語ではない。

デフォルトモードネットワークは、漫然とした状態で活発化する脳の領域のこと。何かを熟考していたり、何かを注視していたり、といった「物事に意識を向けている状態」ではなく、ボンヤリ安静にしている状態において、複数の脳の領域が活発に動き、しかもそれらの領域が神経細胞を通じて互いに連絡し合っていることが分かっている。

デフォルトモードネットワークは、たとえば「難問に挑み、頑張って考えても解けなかったが、休憩中リラックスした状態で、ふと解法をひらめく」といった状況を生み出すとされている。

エビデンス

英語:evidence
「エビデンス」とは、医学においては効果に関する科学的な根拠や検証結果といった意味でビジネスにおいては主張の裏付けや議事録としての証拠などのことを意味する表現。

エビデンスとは? エビデンスって何? エビデンスの意味

エビデンス(evidence)は、主に「証拠」「裏付け」「科学的な根拠」「検証結果」などの意味で用いられる語。英語の evidence をカタカナ表記した外来語である。ビジネスシーンをはじめ、政治・医療・介護など、幅広い分野において用いられている。

より簡単に、わかりやすくいうと

エビデンスとは、要するに「提案・主張・判断などの確かさの根拠・証拠となるもの」のことである。

「エビデンスのある物事」は、そのエビデンスが「実はエビデンスとして有効でない」ことを示す以外には、否定する余地がない。あるいは理不尽な理由で否定するしかない。

エビデンスの対極にある要素(なかば対義語)としては、「勘」「好み」「憶測」「思いつき」「迷信」「主観に基づく判断」「経験則」などが挙げられる。

「エビデンスがある」とは具体的にどういうことか

「エビデンス」は、「エビデンスがある」「エビデンスがない」といった言い方で用いられることが多い。

「エビデンスがある」とは、基本的には「ちゃんとした根拠に基づいている」「合理的な裏付けがある」という意味合いの表現である。文脈によっては「言質を取ってある」とか「証明できるもの(メールや証憑など)を残しておいてある」という意味で用いられることもある。

「エビデンス」の使い方の例

エビデンスに基づく医療
エビデンスがない感染症対策は無駄でしかない
エビデンスがあるのか?が口癖の有能堅物上司
・電話の内容をメールで送ってエビデンスを残す
・半年間の実証実験によりエビデンスが得られた
・予算を獲得するには相応のエビデンスが必要だ

英語における「エビデンス(evidence)」の意味

「エビデンス」は英語の名詞 evidence をカタカナ表記した語であり、外来語である。英語の evidence も主に「証拠」や「裏付け」を意味する語であり、日本語における「エビデンス」の意味・用法と大体一致する。

英語の evidence は日本語より幅広い文脈で用いられ、文脈によっては「証言」「形跡」「痕跡」「兆候」などと訳される。いずれも「証拠となるもの」という意味合いを含んでいる。


There's no evidence that ~
その事の根拠(証拠)など何もない

どうして英語を使うのか

エビデンスは日本語では「証拠」や「根拠」と言い換えられるのに、なぜわざわざ英語由来のカタカナ語を好んで用いるのか。これは「エビデンス」に限らずカタカナ語全般に言えることだが、複数の理由があると考えられる。

第一に「伝統的日本語の不本意なニュアンスを排除する」ため。たとえば「証拠」や「根拠」には、相手を問い詰めるようなニュアンスが伴いがちだったり、「裏付け」には「科学的・合理的な情報」のニュアンスが希薄だったりする。そのような語弊を防ぐ意味では、手垢のついていない語彙を用いることは有効である。

第二に「その言葉が含んでいる意味の範囲が手頃である」ため。エビデンスは単なる「証拠」の意味だけでなく「合理的な理由」「科学的な根拠」あるいは「言質」や「証憑」といった意味で用いられる。こうした事柄を一括で扱える「エビデンス」という言葉は、使い勝手がよいわけである。

第三に、カタカナ語はジャーゴンとして好まれやすいという理由もあるだろう。「裏付け」よりも「エビデンス」と言った方が、ビジネスマン的にカッコいいのである。

世間にはカタカナ語の濫用を好ましく思わない者もいる。多用はほどほどに、普通の日本語の語彙と使い分ける姿勢が望まれる。

ビジネスシーンにおける「エビデンス」の具体的な意味

ビジネスシーンにおいては、会議の議事録や契約書、覚え書きなどを指して「エビデンス」と表現することがある。これは後になって話の食い違いが生じることを防ぐために残される証拠・裏付け・形跡という意味合いが強い表現といえる。また、新規の取引先を訪問した際に名刺を渡したり訪問履歴を記録したりといった行動は「エビデンスを残す」と表現されることがある。この場合のエビデンスは「証拠」というよりも、自分が訪問したという「形跡」の意味合いが強い。

IT業界における「エビデンス」の具体的な意味

IT業界においては、システム開発の最終段階においてエビデンスという語がよく用いられる。ここでのエビデンスも「証拠」の意味合いが強いが、特にシステムが稼働中の画面を記録したスクリーンショット(ハードコピー)や、システム稼働時に使用したデータファイル、各種ログなどを指すことが多い。

行政分野における「エビデンス」の具体的な意味

行政の分野においては、エビデンスに基づき政策を立案する「EBPM(evidence-based policy making)」という考え方がある。EBPMは欧米で確立され、近年では日本でも導入が進みつつある。

医療における「エビデンス」の具体的な意味

医療の分野においては、ある治療法や薬が特定の病気・症状に効果があると研究結果から結論づけられた結果や科学的根拠のことをエビデンスという。

今日の医療分野では、「EBM」(evidence-based medicine)と呼ばれる考え方が重視されている。EBMは日本語では「科学的根拠に基づく医療」と訳されている。EBMでは、医者の経験則的な知見に頼らず、最新の医学研究の成果や臨床試験データによって確認された有効性を根拠(エビデンス)として参照することを重視する。これに加えて、自分の望む状態や治療にかけられる時間や費用なども考慮した上で、最善の意思決定をするという要素もEBMでは重視される。看護の分野においても、EBMと同様「エビデンスに基づくナーシング」という考え方があり、EBN(evidence-based nursing)と呼ばれている。

また、医療の現場で用いられるガイドラインなどでは、治療方法などを見定める際に、科学的根拠の信用度合いをわかりやすく表した「エビデンス・レベル(エビデンス・ヒエラルキー)」が使われる。一般的に、エビデンス・レベルでレベルが最も高い(信用度が高い)とされるのは、研究対象などがランダムに選ばれて行われるランダム化比較試験(英: randomized controlled trial, RCT)で、逆に単独の観察研究や専門家の意見はレベルが最も低い(信用度が低い)とされるが、エビデンス・レベルだけを基準に判断せず、エビデンスの確実性や推奨度なども加味して総合的に判断が下されることも多い。

エビデンスの類義語

エビデンスの類義語としては、「プルーフ(proof)」「ソース(source)」「ファクト(fact)」などが挙げられる。エビデンスとよく混同される語としては「プルーフ」「ソース」が挙げられる。

「プルーフ」はエビデンス同様「証拠」の意味を持つが、「証言」「形跡」といった意味合いは持たない点がエビデンスとは異なる。

「ソース」は「源泉」「情報源」など情報の出所を表す語であり、明確な根拠を表す「証拠」の意味は持たない。

エビデンスとファクトの違い

「ファクト」は「事実」「確実」を意味し、エビデンスが持つ「証拠」「根拠」などの意味はない。

リテラシー

 英語:literacy

「リテラシー」とは、「その分野に関する十分な知識や情報を収集し、かつ有効活用できる能力」のことを意味する表現である。「情報リテラシー」・「メディアリテラシー」・「ITリテラシー」のように複合語の形をとることが多い。

「リテラシー」の元の意味

「リテラシー」は英語の literacy に由来する表現であり、もともとは「読み書きの能力」あるいは「識字能力」を意味する言葉である。転じて「情報を活用する能力」のような意味合いで用いられるようになった。今日では、「リテラシー(literacy)」は英語でも日本語でも主に「情報を活用する能力」の意味で用いられる。

日本語では「リテラシー」の語だけ単独で用いられることは少なく、むしろ「情報リテラシー」や「メディアリテラシー」や「ITリテラシー」のように、特定の分野を明示する語と共に用いられることが多い。これは英語でも同様で、information literacy(情報リテラシー)や media literacy(メディアリテラシー)のような複合語の表現がよく使われる。

リテラシーはつまり日本語の意味とだいたい同じである。ちなみに、literacy の対義語は「illiteracy」である。illiteracy は、否定を意味する接頭辞「il-」が付いた語であり、意味は「読み書きができない」「無学」。閑話休題。英語の literacy は、形容詞「literate」(読み書きできる)の名詞形である。literate の語源はラテン語の「littera」および「litteratus」に遡り、これは letter(文字・手紙・学識)と同語源とされる。

「リテラシー」の語を用いて叙述する場合、動詞には「高い・低い」「ある・ない」「持っている・欠如している」といった表現が用いられる。基本的には「高める」「育てる」「養う」「向上させる」といった指向の下に用いられる語であり、「低下する」とか「失う」といった方向で言及される場合は(皆無ではないが)めったにない。

リテラシーを使った例文

  • 情報リテラシーが高い
  • メディアリテラシーを強化しなくてはならない
  • メディアリテラシー教育に力を入れるべきだ
  • 若者がみんな充分なコンピュータリテラシーがあるとは限らない

情報リテラシーとは

情報リテラシーとは、膨大な情報源にアクセスし、その中から自分の得たい情報を効率的に探し出し、適切に活用できる、そのような能力といえる。典型的には図書館やインターネットを活用した調べ物の可否・質・迅速さなどにおいて情報リテラシーが問われる。

メディアリテラシーとは

メディアリテラシーとは、情報を伝達する媒体(メディア)の機能・役割・性質を正しく認識し、正しく活用できる能力であるといえる。情報を収集し、選択し、活用する、という点において「情報リテラシー」と共通するが、メディアリテラシーはメディアを通じて得られる情報に特に焦点を当てている。ニュース情報に特に焦点を絞る意味で「ニュースリテラシー」という表現が用いられる場合もある。

ITリテラシーとは

ITリテラシーとは、情報にアクセスする手段としてコンピュータとネットワークを活用できる能力である、あるいは、コンピュータとネットワークを活用して情報にアクセスできる能力である。情報を収集し、選択し、活用するという点は情報リテラシーやメディアリテラシーと同様であるが、IRそのために利用する手段がPC等の電子器機であり、ハードウェアやソフトウェアの性質・機能・扱い方に関する理解が問われるという部分が「ITリテラシー」の根底にはある。

「情報リテラシー」や「メディアリテラシー」、「ITリテラシー」は、いずれも「情報や情報メディアを扱う能力」というような意味で用いられる表現である。文脈によっては意味合いが重複したり、代替可能だったりする場合がある。

リテラシー教育

情報リテラシーもメディアリテラシーも、ITリテラシーも、現代の情報化社会においては半ば必須の能力といえる。学校教育などにおける、子供の各種リテラシーを高める取り組みは、「リテラシー教育」と呼ばれる。

リテラシーとコンピテンシーとの違い

「リテラシー」と同様、「コンピテンシー」も、「能力」に関連する語という点で共通しているが、必ずしも類語として扱えるとは限らない。コンピテンシーは英語の competency に基づく語であり、英語では「適格性」という意味がある。日本語における「コンピテンシー」は、ビジネス・企業経営・人材マネジメントの分野において「成績優秀者の良好な業績の源となっている行動様式・行動特性」といった意味合いで用いられる、ある種の専門用語である。

ブラッシュアップ

英語:brush up
英語:brushup

「ブラッシュアップ」とは、「磨き上げる・磨きをかける」ことであり「知識や技術を更に向上させる」や「企画や構想をさらに洗練させる」の意味で用いられる表現である。ブラシをかけて磨いて、現状よりも洗練させ、完成度を高める、ということである。

「ブラッシュアップ(brushup / brush up)」はもともと英語で「ブラシをかける(=磨く・身繕いする)」という意味の表現である。これが日本語でも(主にビジネスジャーゴンとして)用いられているわけである。

英語の「ブラッシュアップ」は、「再勉強」「勉強して学力を取り戻す」いう意味であり、「能力を向上させる」という意味合いは特にない。

日本語では、「ブラッシュアップ」は、基本的に「磨き上げる」か「磨きをかける」と言い換え可能な意味で用いられている。「ブラッシュアップする対象」は知識・技能・文章表現・デザイン・アイデア・等々、と幅広い。

ビジネスシーンでのブラッシュアップの使い方

ブラッシュアップはビジネスシーンにおいて使われることが多い言葉である。資料や企画の内容および詳細を詰めていく段階で、さらなる改良の余地がある場合などにブラッシュアップという言葉が用いられ、より高度な企画の立案や業務の効率化に役立てられている。知識や技術に関しても使われるため、語学力・営業スキルといった仕事に必要な様々な能力の向上を目指すことや、専門分野に関するセンスを磨くことなどもブラッシュアップのひとつである。このように、状況によって様々な使い方と意味合いを持つのが、ブラッシュアップという言葉の特徴といえる。

ブラッシュアップの類語・言い換え表現

ブラッシュアップの類語に「スキルアップ」「リファイメント」が挙げられる。スキルアップとは、訓練や学習によって身につけた技術力や能力を高めることを意味する言葉で、特にビジネスシーンではブラッシュアップとほぼ同様の意味合いで使われることが多い。ただし、ブラッシュアップが人の能力だけでなく仕事の内容などを含め幅広く使われるのに対し、スキルアップはその言葉通り技術や能力に関してのみ使われるという違いがある。また、スキルアップには、ブラッシュアップと異なるニュアンスとして、能力の向上のために資格を取得することも含むのが特徴である。

工夫や検討を繰り返してより良いもの洗練にするという意味を持つ「リファイン」という言葉も、ブラッシュアップの類語のひとつである。「洗練」や「リファイン」は、無駄がないことを表現する言葉として使われることもあり、その対象は人やもの、技術など広範囲に及ぶ。洗練が意味するより良いものの定義には、優雅で磨きがかかった、品位のあるものあるいは垢抜けたものという意味合いを含み、その点でブラッシュアップと異なっている。

また、その他「練磨」や「琢磨」は鍛えて磨くことを意味するという点でブラッシュアップの類語といえるが、その対象は主に美術・工芸などの技芸や学問とされている。そのため、技芸や学問の分野で感性や技術力の向上を目指す意味では、ブラッシュアップの言い換えに使うことができるが、ビジネスシーンには適さないため使い分けが必要である。

ブラッシュアップの例文、使い方

ブラッシュアップという言葉の使い方については、次の3つの例文で示すことができる。

ブラッシュアップを使って能力の向上を表す場合は、「仕事で海外に行く機会が増えたので、現地でよりスムーズな交渉ができるよう英語力やコミュニケーション能力をブラッシュアップしたい。」といった文となる。この場合、すでに現在の業務において困らない程度の英語は使えるものの、今後は機会が増え求められる語学力も高くなるため、英語の知識や会話力を向上させたいという意味でブラッシュアップが使われている。

まだないものを形作っていくという意味でもブラッシュアップを使うことができる。例えば、「その考え方をブラッシュアップすれば、きっと良い企画ができるはずだ。」といった文の場合、アイデアから企画の内容までを練り上げていくという過程が必要であり、それをブラッシュアップという言葉で表現している。

ビジネスシーンにおいて、取引先との間でこのような会話となった場合は、考え方は良いが企画としては不十分で、もっと具体的かつ現実的にする必要があるといったニュアンスも含んでいるといえる。このように、ブラッシュアップは様々なビジネスの場で使われ、例えば社員に向けた研修などについて「社員全体の営業スキルの向上を図るためブラッシュアップ研修を行う。」といった使い方をすることもある。この場合のブラッシュアップとは、社員個人個人の今ある能力に磨きをかけ営業力アップを目指すことを意味するが、併せて会社で定めた営業手法やマニュアルなどを見直し改良するといったニュアンスを含めることもできる。

ブラッシュアップは英語圏では解釈が異なる

日本で使われるブラッシュアップは英語の「brush up」がもととなった外来語である。しかし、その意味は少し違い日本語のブラッシュアップと比べて限定されているため、同じニュアンスで「brush up」を使うことはできない。英語圏で使われる brush up の意味は3つあり、そのまま動詞として使うと、こすって磨くという意味の「brush」を強調して「しっかり綺麗にする、しっかり掃除する」といった意味を表す。また、「身支度をする、出かける前の身なりを整える」という意味でも日常的に使われている。一方、自動詞として前置詞 on と一緒に使うと「一度習得していたが忘れてしまった知識や技術について勉強し直す、錆びついた能力を磨き直す」という意味となる。あくまでも一度学んだものが目的語となり、初めて勉強することなどには使えない。この使い方については、日本で使われているブラッシュアップと混同されがちだが、日本語のブラッシュアップが今あるものに磨きをかけさらに良くするというニュアンスで使われるのに対し、英語圏の brush up は、持っていたが失ってしまった能力などに限って使われるという違いがあるため、注意が必要である。日本で使われるブラッシュアップと同じニュアンスで使うことのできる言葉としては、「洗練する、改良する」という意味の「refine」や、「手直しする、少し修正して仕上げる」という意味の「touch up」、「練って完成させる、能力を磨く、洗練させる」といった意味を持つ「polish」などが挙げられる。

失念

読み方:しつねん

「失念」とは、主にビジネスシーンやフォーマルな文脈において「うっかり忘れること」の意味で用いられる文語的な表現である。「申し訳ありません、失念していました」のように言えば「すみません、ど忘れしてました」という趣旨を真摯なニュアンスで表現できる。

「失念」は「忘れる」と言い換え可能であるが、「忘れる」はビジネスメールや公文書などで用いるには表現が軽い。やや硬い表現である「失念」を用いた方がしっくり来る。
  • お約束を失念していました
  • パスワードを失念した場合
「失念」の「失」の字は「なくす・失う」という意味の字であり、同じく「念」は「覚えておく・心に留めておく」という意味の字である。つまり「失念」は「心に留めておくべきことを失った(=忘れた)」ということである。

「忘れる」は「物をどこかに置き去りにしてしまう」という意味で用いられることもあるが、「失念」にはそのような意味合いの用法はない。

失念の類語と使い分け

失念の類語には「ど忘れ」や「忘却」「忘失」などがある。「ど忘れ」は「本当はよく知っていること(覚えておくべきこと)をウッカリ思い出せなくなっている」という意味合いで用いられる。「忘却」や「忘失」は、「すっかり忘れ去る」「頭から記憶が消失している」「忘れてしまって思い出せない」ようなさまを意味する。また「忘失」は、「記憶を失くす」以外に「物を紛失する(どこに置いたか忘れてしまう)」状況にも使える。

失念の語源

失念は仏教用語が語源である。「正念(正気・本気)を失う」という意味があり、「心を錯乱させる煩悩」のひとつを指す。「物忘れや気づきを失った心であり、仏法の教え、または仏法の言葉を忘れてしまうこと。心が入り乱れて混乱すること」を意味する。「心にあった大切なことを失う」という意味が、「忘れる」という意味に転じたとされる。

失念のよくある間違い

失念は、覚えていたり知っていたことをうっかりど忘れしてしまった時に使う言葉なので、もともと知らないことに対しては使わない。また忘れ物をしたり、物を無くしてしまったときにも使用しない。あくまでも自分が「失念」した時に使用する言葉なので、第三者に対して使用する言葉でははない。もしも第三者や目上の人が「失念」したことを表現する場合には、「失念なさる」「失念される」といった尊敬語を用いる。

ポテンシャル

英語:potential

ポテンシャルとは、ポテンシャルの意味

ポテンシャルとは、潜在能力、つまり現状は測ることのできない未知の能力という意味である。英語では、potential と表現する。ポテンシャルの語は、物理学では力学の概念として用いられ、粒子の位置エネルギーを位置の関数として表したスカラー量を指す。スカラーは、質量や時間など大きさだけで表される量である。スカラーと対比されるのはベクトルで、ベクトルは大きさだけでなく、向きや方向を要素としている。ポテンシャルは、運動エネルギーに変わる潜在的可能性があるものの、直接測定できないエネルギーである。

ポテンシャルの類語

潜在能力の意味を持つポテンシャルでは、「ポテンシャルが高い」などと表現することがある。ポテンシャルが高いとは、まだ開花していない才能や資質があって、実践できる場があればその高い能力を発揮しうるという意味である。表面的には才能溢れるようには見えず、現状では活躍していなくても、上手く育てればチャンスを生かして、比類ない力を発揮しうるということを示す場合が多い。ポテンシャルの類語として、素質や将来性のほか、英語のケイパビリティ(capability)が挙げられる。

ポテンシャルの使い方

ポテンシャルの使い方としては、ポテンシャルを人の能力を表す名詞として用いることが大切である。ポテンシャルを用いた例文としては、「チームメイトのポテンシャルを上げるためには、練習以外の面で多様なプロジェクトに挑戦させることが必要だ」「ポテンシャルが低い社員にいくら研修を受けさせても効果は望めない」などが挙げられる。英語の potential には、人の潜在能力だけでなく、将来事象が起こりうる可能性や見込みを示す意味も含まれる。




テレコ

「テレコ」とは、「あべこべ」「互い違い」「左右が逆」といった順序が正しくないことを意味する表現。

服飾・アパレルの分野では、表面に凹凸があって畝が連なっているような生地を「テレコ素材」という。

配達・ロジスティクスの分野では、配送先を取り違えて(間違った宛先に配達して)しまう状況を「テレコ配送」や「テレコ出荷」という。

テレコの語源、テレコはどこの方言か

「テレコ」の語源は歌舞伎の用語とされる。歌舞伎の世界では、二つの異なる筋の脚本を一つにまとめた上で、関連性を持たせながら一幕ごとに交互に進行することを「テレコ」と呼んでいた。

テレコはカタカナで表記される場合が多いが、英語などの外来語が語源になっている訳ではなく、上方でよく用いられる表現であり、関西の方言として扱われることも多い。

ガバナンス

英語:governance

「ガバナンス」とは、英語で「統治・統制」を意味する言葉で日本語では「企業や組織を健全に運営するために管理または監視すること」を意味する表現である。企業におけるガバナンスは特に「コーポレートガバナンス」「企業統治」「企業ガバナンス」などと呼ばれる。

コーポレートガバナンス(企業統治)は、企業内でコンプライアンス(法的・倫理的な規範)に背くような事案を発生させないように管理体制を構築して適切に監督する取り組みであり、組織経営におけるリスクを抑えるための取り組みである。

ガバナンスを強化することで、企業内部で行われる不正な行為を未然に防いだり、万が一発生した際の被害を最小限に抑えたりすることができる。企業の利益や経営陣への忖度を介入させず、公正な判断を下すために、社外に監査役を置くなどしてガバナンスを強化している企業も多い。

日本金融庁や東京証券取引所などによってガバナンスコードが策定され、企業はこれを指針としてガバナンス体制を構築する。

ガバナンスが強化されることで、企業の信頼度が上がるので、取引先など利害関係者の利益を守ることができる。結果的に、収益が拡大したりグローバルな競争力を得ることができるなど、中長期的な成長を見込める。

教育の分野では、大学をはじめとする高等教育機関における運営・意思決定を指す意味で用いられ、「大学ガバナンス」のように呼ばれる。大学運営のあり方や体制をどうするか、という脈絡、要するに「コーポレートガバナンス」に近い意味合いで用いられる語といえる。

ガバナンスと似た言葉に「ガバメント」がある。ガバメントは「政治」や「政府」を意味する。ガバナンス(governance)もガバメント(government)も、共に動詞 govern を語根に持つ関連表現である。

四面楚歌

読み方:しめんそか

「四面楚歌」とは、「すっかり敵に包囲されてしまい、周りには敵対する者しかおらず、誰も助ける者がいない状況」を意味する故事成語である。逃げ場がなくなったことによって「あたふたする」というニュアンスを込めて用いられやすい。

「四面楚歌」の由来

「四面楚歌」は、古代中国の歴史書「史記」における項羽と劉邦の戦いに基づく故事成語である。

時は紀元前、楚の将軍であった項羽は、漢の将軍であった劉邦と覇権を争っていた。項羽軍は劣勢に置かれて籠城作戦を取った。ある夜、城の四方から楚の国の歌が聞こえてきた。城は劉邦が率いる漢軍に包囲されているはずである。項羽は、すでに漢軍の中に多くの楚人が取り込まれている、ということは、楚国はすでに漢軍に降伏したのだ、と悟った。援軍が来ないことを悟った項羽は籠城作戦を解いて漢軍に斬り込んで果てた。こうして5年余り続いた戦(楚漢戦争)は決着した。劉邦は天下を統一し、前漢を建国した。

四面楚歌の類義語・対義語

四面楚歌の類語としては「孤立無援」「万事休す」などが挙げられる。場合によっては「絶体絶命」も類語として使える。俗な表現としては「総スカン」や「フルボッコ」などとも言い換えられる場合が多い。

四面楚歌の反対語には「同じ目的のために協力する」という意味で「一致団結」や「和衷共済」などの表現が挙げられる。

「四面楚歌」を英語でいう場合、故事に基づき直訳するなら Chu song from four sides のような表現になるが、「敵中に身を置いている」という趣旨を述べるなら amidst enemies のように表現すればよい。

塞翁が馬

読み方:さいおうがうま

「塞翁が馬」とは、「人生、何がきっかけで幸・不幸になるか分からないものだ」「幸福が不幸を招いたり、不幸な出来事がきっかけで幸福になったりする」という意味の故事成語である。これは「軽率に眼前の幸・不幸に一喜一憂するべからず」という教訓としても捉えられる。

「塞翁が馬」は「人間万事塞翁が馬」ともいう。中国語では「塞翁失馬」「塞上的馬」「塞馬」ともいう。

「塞翁が馬」は、前漢の書物「淮南子(えなんじ)」第18巻「人間訓(じんかんくん)」 に記されたエピソードの呼び名である。

「塞翁が馬」は(原典に記された言葉ではなく)当該エピソードを指す便宜的な呼び名であり、そのため呼び方にも揺れが生じているわけである。

「塞翁が馬」の由来となったエピソード

「塞翁が馬」は、文字通り「塞翁という老人が所有する馬」のことである。塞翁は北方の砦に住む老翁の呼び名である。

あるとき、塞翁は、大切にしていた馬に逃げられてしまった。周りの人々は翁に同情し、「とんだ災難に遭ったものだ」と慰めた。しかし当の塞翁は「これは幸運だ」という。
しかる後、あの逃げた馬は、別の駿馬を引き連れて家に戻ってきたのであった。周りの人々は「なんという幸運に恵まれたものだ」と祝意を示したが、当の翁は「これは災難かもしれない」という。
然して、逃げた馬が連れ帰ってきた別の駿馬は、塞翁の愛息子を振り落としてしまった。落馬した息子は足を負傷してしまった。この災難に周りの人々は翁に同情した。しかし当の塞翁は「これは僥倖かもしれない」という。現代でいう逆張りがとにかく好きな爺である。
その後、戦争が起き、周りの若い衆はことごとく徴兵されたが、塞翁の息子は足を負傷していたため徴兵を免れ、戦地で命を散らす憂き目からも免れた。

要するに「塞翁が馬」の話は、不幸は幸福を呼ぶこともあり、幸福が不幸を招くこともある、眼の前の出来事に一喜一憂しても仕方ない、幸不幸は誰にも予測できない、ということを教える一種の寓話なのである。

塞翁が馬の類語・類似表現

塞翁が馬と似た意味を持つ格言に、「禍福は糾える縄の如し」や「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」などがある。

「禍福は糾える縄の如し」は、人間が遭遇する幸不幸は縄のように表裏一体に絡み合っており、交互に巡ってくることを表現している。この言葉にも、「塞翁が馬」と同じく、幸せだと思っていたことが不幸の元になったり、不幸が幸せを呼んだりするという意味がある。「禍福は糾える縄の如し」は、司馬遷が編纂した歴史書の「史記」から引用された言葉である。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は、人生を川の流れにたとえて浮き沈みがあることを表している。「生きている間には良いときと悪いときがあり、いずれも長くは続かないから思い悩む必要はない」というのが、この言葉の一般的な意味である。

英語で「塞翁が馬」に似ているのが、「Joy and sorrow are today and tomorrow」である。「今日の喜びは明日の悲しみになる」と訳されることが多いこの言葉は、「塞翁が馬」と同様に人生がどう転ぶかはわからないことを表現している。

塞翁が馬の使い方

実生活で「塞翁が馬」が使われるのは、概して悪い事態に遭遇したときが多い。たとえば、入学試験に落ちた学生に「人間万事塞翁が馬だよ」と言うときは、相手の心情を励ます気持ちが込められている。実際、受験した学校に落ちたことがきっかけで別な進路が開けたり、素晴らしい友達と出会えたりする幸運が訪れる可能性がある。不合格という災難をポジティブに捉えられるように発想の転換を促すのが、このようなケースだ。

また、失恋をした人を慰めるときにも「塞翁が馬」を使うことがあるかもしれない。このような場合、相手に振られたことでより理想に近い相手に巡り合えたり、不幸な結婚をせずに済んだりする可能性がでてくる。

このように、日常生活では、主に「災難が幸運につながるきっかけになる」ということを伝える目的で、「塞翁が馬」という格言が使用されている。

コミット

英語:commit

「コミット」とは、「目標に対して責任を持って深く関わる」や「目標を必ず達成するために全力で取り組む」などの意味で用いられる表現である。「コミットする」のように動詞として用いられることが多い。語源は英語の commit であり、英語の commit にも「専心する」「約束する」といった意味がある。

IT分野における「コミット」の意味

「コミット」はビジネスシーン等では「目標に向けて全力で取り組む」という意味合いで用いられるが、ITの分野では「バージョン管理システムで処理の反映や変更を確定させる」といった意味で用いられる。

たとえば「Git commit」は、「Git」というバージョン管理システムで変更や追加を行ったファイルを保存する時に使用されるコマンドを指す用語である。

「結果にコミットする」とはどういう意味なのか

コミットの類語は「尽力する」や「真剣に向き合う」などがある。パーソナルトレーニングジム経営をしているライザップ社は「結果にコミットする」というキャッチコピーで知られている。結果にコミットするとは、結果を出すために責任を引き受けて深く関わるという意味合いを持つ。

「コミットが足りない」とは

「コミットが足りない」という言葉は、目標達成のために深く関わろうとしていない、真剣に向き合おうとする姿勢が足りない、という意味である。コミットが足りない、は主にビジネス用語として使用されることが多く、業務の進捗状況や社員が仕事に対して向き合う姿勢を評価する際に用いられている。

ちなみにコミットと似たような言葉に「コミットメント」があるが、コミットメントは政治用語の1つで、「誓約」や「公約」という意味を持つ。

青天の霹靂

別名:青天のへきれき
別名:晴天の霹靂

「青天の霹靂」とは、「前触れなく突然に生じて人を大いに驚かせるような衝撃的な事件や出来事のこと」や「突然の知らせを受けた際の大きな衝撃のこと」を意味する表現である。中国の古典にもとづく故事成語である。

「青天の霹靂」の「青天」とは、青く晴れ渡った空のことである。意味は「晴天」と同じであるが、「青天の霹靂」では「青天」と書く。

「青天の霹靂」の「霹靂」とは、激しい雷鳴もしくは雷光・落雷のことである。「霹」も「靂」も雷および雷鳴を意味する字である。

要するに「青天の霹靂」とは、「よく晴れた日に突如として雷が鳴り響く」ということである。そして「あまりにも突然の衝撃的な知らせに死ぬほどビックリする」状況の比喩として用いられているわけである。

「青天の霹靂」の語源・由来  

「青天の霹靂」は故事成語である。古代中国(南宋)の詩人・陸游が詠んだ「放翁病過秋、忽起作醉墨。正如久蟄龍、青天飛霹靂」という一節を典拠とする。

故事成語の原典が「青天飛霹」と書かれているから、「青天の霹靂」が正しくて「晴天の霹靂」は正しくない、と判断されるわけである。

ただし、現代の漢字圏において「青天の霹靂」が正しく「晴天の霹靂」は誤りであるという共通認識が維持されているかというと、必ずしもそうとは限らない。

たとえば台湾の小学校が管理運営しているウェブサイト「基隆市武崙國小成語詞典」では、「青天霹靂」の項目とは別個に、「晴天霹靂」が見出し語(詞目)で「青天霹靂」を類似語(相似詞)として掲げている項目も設けられていたりする。

関連サイト:
晴天霹靂 ― 基隆市武崙國小成語詞典

ダイバーシティ

英語:diversity
別名:ダイバシティ
別名:ダイバシティー
別名:ダイバーシティー

「ダイバーシティ」とは、「組織や社会において、性別・民族・文化・価値観・ライフスタイルなどの違いを積極的に肯定・尊重し、人材として受け入れること」を意味する語である。特にビジネス・経営・雇用の文脈で用いられることが多い。

偏見や差別の意識にとらわれずに、平等に均等に、雇用機会や待遇を提供する、という理念

「ダイバーシティ(diversity)」は元々は英語で「多様性」を意味する名詞である。「diverse(多種多様である)+ity(という性質)」という構成の語。

「ダイバーシティ」の考え方の土台には、個人の多様性を尊重し、マイノリティ(少数派)を排除しない、という意識がある。また、「マイノリティへの配慮」という社会的な意義だけでなく、組織内に多種多様な視点や考え方を持つ人材を置き、適材適所で実力を発揮させることにより、柔軟かつ創造的な企業活動の実現が期待できる、という実利的な意義も期待される。

この「ダイバーシティ」の概念は、欧米(英語圏)では一般的に「Diversity and Inclusion」(D&I)という呼び名で扱われている。その意味では「ダイバーシティ」は「ダイバーシティ・アンド・インクルージョン」の略とも捉えられる。

「ダイバーシティ」と「インクルージョン」の意味と違い

「ダイバーシティ」という言葉そのものは、英語の名詞「diversity」をカタカナ書きした外来語表現である。この diversity は、diverse(様々な / 諸々の) という形容詞に接尾辞 ‐ity が付いて抽象名詞化された語彙である。単語だけ和訳する場合は大抵「多様性」と訳されるが、熟語としては「a diversity of languages(さまざまな言語)」とか「a diversity of opinion(多種多様な見解)」のように色々な表現に訳せる。

同じく「インクルージョン」は英語の名詞「inclusion」に由来する外来語であり、おおむね「包含-すること」と訳される。inclusion は動詞 include(含む)に接尾辞がついた抽象名詞である。

「Diversity and Inclusion」を素朴に直訳するなら、「多様性と包含」といったところである。 

「ダイバーシティ」と「インクルージョン」の違いは、着眼点が「多種多様であること」に留まる(ダイバーシティ)か、それを踏まえて「多種多様な個性が(同じ組織に)含まれている」(インクルージョン)ことまで見越すか、という点にあると言える。「インクルージョン」は「ダイバーシティ」を前提しつつ人材の活用にも目を向けている考え方であり、その意味でダイバーシティに取って代わる概念である。とはいえ「ダイバーシティ」の概念を前提にしないと意味不明でもある。そして、日本語における「ダイバーシティ」は、ダイバーシティとインクルージョンの両方の要素を兼ねた概念として扱われている。

ダイバーシティ経営とは

ダイバーシティ経営とは、簡単にいうと「多様な人材が適材適所で能力を発揮することにより創造的な成果につなげていく」ということである。つまり「ダイバーシティの考え方を理想的に実現する経営」ということである。

日本では経済産業省が「少子高齢化社会における人材確保」と「多様化する市場ニーズやリスクへの対応力の強化」という観点から「ダイバーシティ」および「ダイバーシティ経営」の充実に力を入れている。

欧米のダイバーシティ(D&I)は、人種・民族・宗教の違いによるマイノリティ排除の是正が大きな使命となっているが、日本では人種・民族・宗教の違いによるマイノリティ排除という問題はさほど大きくなく、むしろ性別・年齢・学歴・国籍といった要素が是正対象として主に扱われる。性的指向(いわゆるLGBT)も大きな要素である。


2023年2月7日火曜日

デジタル切腹

読み方:でじたるせっぷく
「デジタル切腹」とはオンラインゲーム内で行った不正行為などの悪質な行動に対しての落とし前としてアカウントを削除することを意味する表現。切腹という表現が使われてはいるものの起源は日本ではなく、海外のプレイヤーが「digital seppuku」と表現したのが始まりとされている。
日本国内では2023年2月1日にTwitterにてトレンド入りして認知度を高めた。きっかけはとあるプレイヤーが「ファイナルファンタジーXIV」に収録された高難易度コンテンツを不正ツールを用いてクリアしたことが発覚したことである。

2023年2月3日金曜日

アジェンダ

英語:agenda

「アジェンダ」とは、会議で取り上げる「議題・課題・協議事項・検討事項」のことや「行動計画・日程・日程表」のことを意味する表現である。ビジネスシーンでは「議題」の意味で、行政の分野では「行動計画」の意味で用いられることが多い。

わかりやすくいうと、「アジェンダ」は、「このような内容や段取りで進めていきます」と示し合わせるために用意される資料のことである。これが、会議においては議題のリストを指すことになり、政策においては計画のリストを指すことになる。

「アジェンダ」はビジネスジャーゴン(業界用語)の趣が強く、日常会話などの場面ではあまり用いられない。日常会話では「予定」「計画」「課題」などの表現を用いれば事足りる。

「アジェンダ」の語源

「アジェンダ」は英語の agenda に直接由来する言葉である、英語の agenda は元々は「agendum の複数形」であるが、最近は agenda が単数形として扱われ、複数形が agendas と表現されるようになっている。

英語の  agenda(agendum)の語源は、ラテン語の  agendum である。これは「なすべきこと」という意味合いの語である。

「アジェンダ」と「議事録」の違い

会議の場で用意される書類や資料を指す語としては「アジェンダ」の他に「議事録」がある。

アジェンダと議事録は「事前に用意するもの」と「事後にまとめたもの」という点で対照的である。

アジェンダは、会議の進行内容などを示し合わせるために事前に用意される資料である。議事録は、会議の場で実際に話し合われた内容を取りまとめた記録である。

アジェンダとレジュメとの違い

「レジュメ」も「アジェンダ」と同様、「あらかじめ要点を取りまとめた資料」を指す言葉である。

「レジュメ」は特に「論文の内容をまとめたもの(摘要)」の意味で用いられることが多い。つまり基本的にはアカデミックな分野で用いられる言葉である。

ビジネスシーンでも「レジュメ」の語が用いられることはある。この場合のレジュメは、おおよそ「プレゼンテーションの内容についてまとめた資料」を指す。

「レジュメ」は「発表内容をまとめた資料」であり、「一方向的な発信に先立つ資料である」という特徴がある。この点「アジェンダ」は、「協議・検討などの双方向的なやりとりに先立つ資料である」といえる。

アジェンダの書き方、コツ

アジェンダの書き方のコツは、できるだけ話し合う予定の内容を明確にすることと、話し合う議題が複数ある場合には話し合う順序を決めておくことである。特に、話し合いの順序や内容が逸れてしまうことで、スムーズな会議の進行が困難になってしまうからである。できるだけ明確なアジェンダを作成するには、目次のようにただ行うことだけを書かないようにすることがコツである。例えば、会議自体や会議の議題の目的を明確にしておくことで、話が脱線しそうになった場合にもアジェンダを振り返ることでもとの話し合いの路線に戻ることができる。この工夫によって、会議時間の短縮がされるので、長時間の会議を避けることにつながる。

ビジネスでは、会議をする内容が次回の会議につながっている場合も少なくないことから、次回に話し合うべき内容についてもアジェンダの後半に盛り込むと次回の会議にスムーズにつなげることができる。場所や日程などの基本的な事柄をアジェンダに記載しておくことが重要である。実際に会議をする際に時間配分に気をつけたり、会議時間を頭に入れておくことで、会議が始まるまでの気持ちの切り替えを万全に整えることにもつながることから、基本事項は漏れなく記載しておくことが必要である。万が一間違っていた場合には、会議自体の信用問題に関わることになるので、誤字脱字を含めた単純な誤りはできるだけ避けるようにし、アジェンダ作成者もすぐに誤りに対応ができるようにどこに何を書いたかわかりやすいレイアウトが望ましい。

アジェンダのテンプレート

ビジネスで使用するテンプレート例は以下の通りである。議事録を作成する場合にも、役立たせることができる。テンプレートにはアジェンダとして記載していくべき項目を載せており、その横に円括弧で補足事項を付している。

議題(何の会議をするかを記載する)
日時や場所(日時や場所についてはできるだけ紙面の上部に記載をすることが望ましい)
参加者(参加者が予めわかっている場合には、参加者の氏名や人数などを記入しておく)
会議進行役(会議の議長などが決まっている場合は、できるだけ記載)
議題(議題を複数設けている場合には、進行度順に記載していくことが重要)
議題1 00:00〜00:00(話し合いの時間の目安を決めておくことで時間配分に注意しつつ効率的な会議の進行を目指す)
議題2 上に同じ
議題3 上に同じ
次回の開催予定(会議が次回も続く場合には次回の会議の基本情報を記載しておく)

次回の会議がある場合には、基本情報だけ告知しておき、内容に関しては次回の会議が近づいてきた際に新たにアジェンダを作成することで、会議内容が前回の会議と混同しなくなる。余裕がある場合には、メモ欄などをアジェンダの空いている箇所に設けておくことが重要である。議事録を作成することになった担当者にとっては便利なスペースになるだけではなく、会議時に思いついたことをメモするためのスペースとしても活用することができる。

イノベーション

英語:innovation

「イノベーション」とは、商品やサービスまたはビジネスモデルに従来とは違った仕組みや技術を組み合わせることで今までにない革新的な価値を生み出し社会に大きなインパクトをもたらすことを意味する表現。

イノベーションとは、イノベーションの意味

イノベーションは、オーストリアの経済学者として知られるヨーゼフ・シュンペーターが考案した理論のなかで使った言葉で、技術革新や新機軸、導入のことを指す。わかりやすくいうと、イノベーションは「新しい技術や考え方を導入して新たに価値を生み出す」ということである。日本では、政府刊行物である「経済白書」でたびたび取り上げられたことで、イノベーションという言葉が広く使われるようになった。イノベーションは日本では「技術革新」と訳されることが多いが、定義には技術以外の分野での革新も含む。

イノベーションの言葉には、新しいアイデアや仕組み、情報などを取り入れて「社会的な価値を新たに生み出す」や「社会や会社にとって有益な変化を起こす」といった意味もある。実際、それまで会社が抱えていた問題を解決できるような新たな手法を考えだすことなども、「イノベーションを起こす」と表現されることがある。イノベーションは、会社が安定した経営を維持していくために欠かせないアプローチとして認識されることが多い。企業間の競争が激しい状況のなか、順調に収益を上げて会社をより長く存続させるには、常にイノベーションをおこなって時代のニーズに合ったサービスや商品を提供する必要がある。

設備投資などに一定の費用をかけて新しい価値を生み出していくイノベーションのアプローチは、大企業はもちろんのこと、中小企業にとっても重要な経営戦略のひとつになっている。

イノベーションのジレンマとは

イノベーションのジレンマとは、ハーバード・ビジネススクールの教授であるクレイトン・クリステンセンによって提唱された考え方であり、巨大企業が持続的イノベーションと、破壊的イノベーションの板ばさみになって苦しむ状況を指す。簡単にいうと、持続的イノベーションをおこなう巨大企業が破壊的イノベーションをおこなった新興企業の勢力に圧倒されるということである。「昔有名だったあの企業は、イノベーションのジレンマによってここ数年で衰退した」などは、この言葉の使い方の一例である。

長年にわたって社会的な信頼を得てきた巨大企業は、熱心に顧客の意見を聞きながら従来のサービスを持続させようと努力することが多い。ただ、このような企業側の持続的イノベーションは、肝心の顧客にとっては現実にあまり魅力的でない場合もある。実際、破壊的イノベーションで新たな価値を生み出した新興企業のサービスや商品が魅力的だと、巨大企業側の努力が功を奏しないケースがでてくる。イノベーションのジレンマを抱える事例として多いのが、通信機器やカメラなどの光学機器である。このような製品は人気の移り変わりが激しく、技術革新によって日々新しい製品が生み出されている。

顧客の意見を聞いて古いタイプの製品の質を上げても、消費者を獲得し続けるのは難しい場合もある。わかりやすく表現すれば、イノベーションのジレンマは「古いものを改良すること」と「新しいものを一から作り出すこと」とのせめぎ合いとも言えるだろう。このようなジレンマを避けるために、企業側でもさまざまな対策を行っている。

5種類のイノベーション

ヨーゼフ・シュンペーターは、自分の研究で5種類のイノベーションを提唱している。1つ目のプロダクション・イノベーションは、新製品によって革新をはかるアプローチを指す。これまでなかったような新しい製品を開発することで、新たに社会に価値を提供するのがこのプロダクト・イノベーションの定義である。iPhoneやスマホの新機種などは、プロダクト・イノベーションの一例に挙げられるだろう。2つ目のイノベーションは、仕事の場に新しい生産方法を導入するプロセス・イノベーションである。従来とは違った生産ラインを導入して業務の効率をアップしたり、生産性を高めたりすることは、プロセス・イノベーションに該当する。

3つ目のイノベーションは、マーケティング・イノベーションである。このイノベーションは、新しい販路を開拓するなど、市場を新たに生み出すアプローチを指す。将来、顧客になってくれそうな見込み客を把握し、自社をアピールすることなどは、このマーケティング・イノベーションのひとつである。4つ目のサプライチェーン・イノベーションは、資源や原料の供給源を最適化して業務に活かすアプローチである。資源や原料の調達から製品を消費者に提供するまでのプロセスを一新することは、経営にも大きな影響を与える可能性がある。5つ目のイノベーションは、組織そのものをリニューアルするオーガニゼーション・イノベーションである。

このイノベーションは、プロダクション・イノベーションなどを現実に実行するための組織づくりのことを指す。業務提携や組織の再編などは、オーガニゼーション・イノベーションのひとつである。

ビジネス分野以外におけるイノベーション

イノベーションという言葉は、ビジネス以外のシーンでも広く使われている。たとえば、自治体では地域の活性化を目的とした取り組みを「イノベーション」と名付けて、セミナーの参加者を募ったり住民向けの学校を開いたりしていることがある。このようなイノベーションにも、ビジネス分野のイノベーションと同様に「社会的な価値を新たに生み出す」という意味がある。ただ、地域活性化のイノベーションの場合は、製品やサービスの代わりに、地域の住民による革新的な活動が価値を生み出す仕組みになっているのが特徴である。

セミナーや学校で地域に貢献できる人材を育成することで、よりよい街づくりを実現するのが地域活性化のイノベーションが目指すところと言える。このほか、社会福祉や不動産の分野でもイノベーションという言葉が用いられることがある。社会福祉の場合は、「福祉サービスを向上させて介護を受ける人の満足度をアップさせる活動」などを「イノベーションをおこなう」と表現することが多い。従来の介護のやり方を見直し、介護される人がより快適に過ごせるように工夫することなどは、社会福祉のイノベーションが提供する価値のひとつである。「不動産のイノベーション」も、「新しいアイデアや工夫で新たに価値を創造する」といった意味で使われる。

斬新な施工方法によって実現する快適な住まいや、そこで暮らす人の幸福感などは、不動産のイノベーションで生み出される価値のひとつと言える。

アカウント

英語:account

アカウントとは、アカウントの意味

アカウントとは、特定のサイトやサービスを利用する際にユーザーが取得しなければならない個人情報のことを意味する表現。わかりやすくいうと、ログインの権利である。アカウントの語源は英語の account である。アカウントの語は、もともとは「会計」や「口座」という意味だった。すなわち、サービスを利用するために口座を開設するというイメージで、アカウントという言葉は用いられている。オンラインゲームやシステムに関する用語としても、アカウントは知られるようになった。

アカウントの語は、SNSを利用する際の権限として広まっている。インスタグラムやフェイスブックなどのSNSでは、アカウントを取得しなくても閲覧することはできる。しかし、投稿したり、他人とSNSを通じてコミュニケーションを取ったりするのであれば、アカウントの取得が必須である。多くのSNSでは、アカウントを取得するにあたり特別な条件はない。ただ、婚活サービスなど、会員に一定の条件を求める空間では、アカウント取得にあたっての審査が行われることもありえる。

アカウントの種類はさまざまで、通常は「ユーザーアカウント」という意味で、アカウントという言葉は用いられている。一部のユーザーにだけ利用を許可されたサービスにログインする際、必要になるのが「ローカルアカウント」だ。そして、企業向けにサービス側が発行するのは「ビジネスアカウント」である。ビジネスアカウントは有料制になっているケースが多い。そのかわり、ビジネスアカウントは普通のユーザーアカウントよりも機能が豊富で、多くの層にリーチできる。

ビジネスシーンでのアカウントの語の使われ方

アカウントの語は、ビジネスシーンにおいてさまざまな意味として使われている。たとえば、「アカウントマネージャー」といえば、「法人営業」のことである。アカウントマネージャーの仕事は、企業や官公庁を顧客として、Webビジネスに関する提案を行うことである。その提案内容は、企画から宣伝、マーケティングにいたるまで多岐にわたる。

「アカウント管理」という言葉もある。ある組織でシステムを導入する際、無限にアカウントを作れてしまうとセキュリティが脅かされてしまう。そうならないよう、アカウントの発行を企業側で管理し、動向を見守らなくてはならない。これらの作業を総じてアカウント管理と呼ぶ。アカウント管理は総務部や情報セキュリティ室が担当する。

「アカウント設定」という言い回しもある。通常、アカウント設定とはユーザーアカウントを発行する際に発生する一連の作業を指す。また、一度発行されたアカウント情報を変更、更新するのもアカウント設定に含まれる。その他、「アカウント統合」という言葉もある。異なるハードや、バージョンの違うOSで使用していたアカウントを1つにまとめるのがアカウント統合である。アカウント統合が果たされれば、ユーザーが複数アカウントを別々に管理する手間は省ける。情報の引継ぎもスムーズになる。そのかわり、サービス間でアカウント統合ができない場合もある。アカウント統合によって失われるデータもあり、作業時には慎重さが求められる。

アカウントロック、アカウント凍結

アカウントロックとは、特定のアカウントを用いてサービスにログインしようとした時、拒否されてしまう現象を意味する。一般的なWebサービスの場合、ログイン時に入力情報を繰り返し間違えてしまうと、アカウントロックが発動する。アカウントがロックされる入力ミスの回数は、「3度」に設定されているサービスが多い。アカウントロックは、あるユーザーの情報を他者が悪用しないために設けられた仕組みである。一方、アカウント凍結とは、サービス内での規約違反によって特定アカウントを利用不可能にされた状態を意味する。たとえば、他者への誹謗中傷や許可されていない宣伝活動、ロボットによるものと見られる投稿などがあると、アカウントは凍結されることが多い。

アカウントロックやアカウント凍結を解除するには、多くの場合、運営者に問い合わせて再開の許可をもらうしかない。あるいは、一定期間を過ぎると自動的にアカウントロックが解除されることもある。ただし、悪質なユーザーだとみなされれば凍結を超えて、アカウントは停止されることもある。

なお、YouTubeの場合は、アカウントロックとアカウント凍結が同じ意味で使われてきた。ユーザーが著作権に反する投稿や、卑猥な動画、残酷な動画をアップロードした際などにアカウントはロックされてしまう。YouTubeでアカウントロックを解除するには、異議申し立てや再審査要求を運営側に専用フォームから行わなくてはならない。何もしなかった場合、少なくとも半年前後、ユーザーはロックされたアカウントを利用できない状態が続く。

インスタグラム、Twitterのアカウント削除の手順

あるサービスを退会し、これまでのアカウントで二度とログインできなくする作業を「アカウント削除」と呼ぶ。アカウント削除は利用しなくなったサービスから安全に離れるため、重要な行為である。

インスタグラムのアカウントを削除するにはまず、「削除ページ」へとログインする。そうすると、ユーザーはアカウント削除の理由を画面上で聞かれる。適切な理由を選択し、決定すれば次の画面へと進める仕組みだ。なお、自身に該当する削除理由を選択肢から見つけられなかったら、「その他」を選んでおく。削除理由の次は、パスワードを再入力する画面になる。これまで使ってきたパスワードを入力すると、「アカウントを完全に削除」というボタンをクリックできるようになる。最終確認で、「OK」をクリックすればインスタグラムのアカウント削除は完了である。今後、誰かがインスタグラムにログインしようとしても、これまでのアカウントでは不可能となる。

Twitterのアカウントを削除する手順は、ドロップダウンメニューの「設定とプライバシー」から始まる。そこで、「アカウント」タブを選び、「アカウントを削除する」をクリックする。「ユーザー名を削除する」のボタンが表示されるのでクリックすると、運営側からのメッセージが表示される。ユーザーはメッセージを確認し、パスワードを入力した上で、「アカウントの削除」をクリックする。以上で、Twitterのアカウント削除は完了する。

2023年2月2日木曜日

ギャラ飲み

読み方:ギャラのみ

「ギャラ飲み」とは、飲み会に参加した女性へ男性側から謝礼金(ギャラ)が手渡されるという形で催される飲み会のことを意味する表現。典型的には「タクシー代」のような名目で女性に現金が手渡される。

男性側から見れば、ギャラ飲みはいわゆる素人女性にコンパニオンになってもらい一緒に楽しめる方法となり得る。女性側としては気楽なつきあいで手軽に現金が手に入る方法となり得る。また双方にとって出会いの場ともなり得る。


コンセンサス

英語:consensus

「コンセンサス」とは、「合意」「意見の一致」「総意(皆で一致した意思)」などの意味で用いられる表現である。「根回し」の意味合いを含むことも多い。主に「コンセンサスを取る」「コンセンサスを得る」といった言い回しで用いられる。

カタカナ語の「コンセンサス」は、「完全一致」「全員が納得しており異論が出ない状態」というニュアンスを込めて用いられることが多い。

「コンセンサス」は、英語の名詞 consensus に直接由来する語である。この英語の consensus は、ラテン語の consentire を語源とする。このラテン語の consentire は「con(共に)+sentire(感じる)」という構成の言葉である。

「コンセンサス」と「アグリーメント」の違い

コンセンサス(consensus)と同じく「同意・合意」を意味する英単語としてアグリーメント(agreement)が挙げられる。どちらも同意や賛成を表す言葉であり、ビジネスシーンでもよく用いられる。

コンセンサスとアグリーメントの際立った違いは、「大勢の合意を得る」意味で使わやすいか否かである。「コンセンサス」は複数人の間での合意・意見の一致を指す意味で用いられることが多い。他方「アグリーメント」は、ひとりの相手との合意・意見の一致を指す場面で用いられることが多い。

「コンセンサス」を使った表現例

「コンセンサス」の語を含む言い回しや慣用表現の例としては、「コンセンサス配列」や「コンセンサス方式」「コンセンサスアルゴリズム」「フォールスコンセンサス」などが挙げられる。

「コンセンサス配列」の意味

「コンセンサス配列(consensus sequence)」は生物学の用語であり、塩基配列やタンパク質のアミノ酸配列を複数種の生物どうしで比較した場合に見出される「共通の配列」を指す語である。

「コンセンサス方式」の意味

「コンセンサス方式(consensus system)は、会議・議会などにおける意思決定の方法のうち、「特に反対意見が表明されなければ、全員賛成したものとみなして採決する」という方法のことである。

コンセンサス方式は、誰も異論を挟まなければ意思決定に手間をかけることなく議論が円滑に進む。ただし反対意見が出た場合には議論を戦わせる必要があって流れが停滞・膠着しやすい。反対意見がよく出るような議題の場合は票決(投票による決定)方式などの方が適切といえる場合も多い。

「コンセンサスアルゴリズム」の意味

「コンセンサスアルゴリズム(consensus algorithm)」は、ビットコインに代表される暗号資産(仮想通貨)の技術的中枢であるブロックチェーンにおいて、「互いのデータの正当性を担保し合う」ための仕組みである。

ブロックチェーン技術は分散型システムであり、システムを管理・監視する「中央」の存在を設けない。ネットワーク上の取引で不正が行われないかどうかは、分散システムに参加する全てのノード(端末等)が整合性の確認などを通じて監視・検証している。この「ノード同士が互いのデータの正当性を担保し合う仕組み」が、コンセンサスアルゴリズムである。

「フォールスコンセンサス」の意味

「フォールスコンセンサス(false consensus)」は、いわゆる認知バイアスの一種で、「自分は基本的に多数派に属している」という前提に立ってしまうこと。ざっくり言うと「てっきり他の人も自分と同じだと思っていた」状況に陥りやすいという心理的傾向のことである。「偽の合意効果」ともいう。

フォールスコンセンサスは、自分は基本的に多数派に属している

エゴサーチ

エゴサーチとは、エゴサーチの意味

「エゴサーチ」とは、「インターネットの検索エンジンや SNS で自分の名前を検索して評判・評価などを確認すること」事を意味する表現である。わかりやすくいうと、インターネットで自分の名前を調べることである。語源は英語の ego(我・自我)とsearch(探す・調べる)というところからきている。「エゴサ」と略されることも多く「エゴサした」などいう形で用いられる。

エゴサーチは、芸能人やインフルエンサー、企業などが Twitter や Instagram といった SNS 系のアプリで行うことが殆どとされてきたが、近年では一般人でも他者からの評価や自分にまつわる噂、自己の創作物の評判などを知るために行うことが増えている。エゴサーチを行うメリットとしては繰り返し述べているように自分の評判や評価、噂を知ることができるというものが挙げられる。そのような情報は自分自身の価値を高めたり、円滑なコミュニケーションを実現することに寄与するため、知っておくべきという見方もできる。また、直接聞くのではなくオンライン上で調べるからこそ忌憚・遠慮がない意見を集めることも可能である。一方デメリットとしては、他人からの評価に敏感になるあまり言動に過剰に気を遣うようになることや、悪い評価を見たことで怒りやストレスが生じ精神に悪影響を及ぼすという点が挙げられる。根も葉もない噂話や誹謗中傷などに直面することもあり、最悪の場合自殺や精神疾患に繋がる可能性がある。SNS やインターネットが高度に発達した時代の到来と共に誕生した言葉であり、概念・文化であるといえる。

エゴサーチの対義語

エゴサーチの語は、欧米では egosearching(エゴサ―チング)や egosurfing(エゴサーフィン)と呼称されることが多い。対義語としては「パブリックリサーチ」があり、こちらはインターネットや SNS で他人、他社の名前を検索することである。エゴサーチを自己検索と和訳した場合は、他者検索、通常検索といった言葉も対義語として定義できる。

エゴサーチの起源

エゴサーチの起源そのものははっきりとしていないが、2006年頃から辞書、辞典に掲載されることが増えており、その数年前からエゴサーチという言葉が広まり、行われていたということが推測される。そもそもエゴサーチはマーケティングの一環という側面があり、企業ではインターネットが発達してきた2000年代初頭から実施されていた可能性は認められる。一般人に於いても、ネット上に動画や小説といった創作物を投稿していた層はその評判を確かめるために企業と同時期かそれ以前からエゴサーチを行っていた可能性はある。ただ、そのような行為がエゴサーチという名前を伴って一般化してきたのはそれ以降、 SNS が発達してきた2010年頃とされている。Twitter や Instagram の普及により、企業や創作物の投稿をしていない一般層にも自分の名前を検索するきっかけとその方法が与えられ、エゴサーチは言葉としての知名度を高めると同時に一つのカルチャーとして定着した。

一般人がエゴサーチをする意味、メリット、デメリット

一般人がエゴサーチを行うメリットは、端的に表すならば自分のことを他人がどう思っているかを知ることができるという点に尽きる。普段、自分のことをどう思っているか、どのような印象を抱いているかというのを周囲の人に聞くことは難しい。質問として突飛であるという面もあるが、本人を目の前にして正直に答えることは困難であるからである。特にマイナスな感情を持っている場合、そのまま伝えることはトラブルの原因となり得るので、直接的に言うことはまず無いだろう。その点、Twitter や Instagram といったツールを用いれば忌憚のない率直な意見を知ることができる。自分がいないところで他人が自分のことをどう思っているのか、ある意味それを覗き見ることがエゴサーチの本質であるともいえる。そこで得た情報を基に自分の印象や評判を良くする言動を行ったり、他者との関係性を良好にすることができるのがエゴサーチの大きなメリットである。また、自分に関連する噂話なども知ることができるため、事実無根の噂が存ぜぬところで広がることを防止できるという利点も存在する。一方、デメリットも当然存在する。忌憚のない意見を聞くということは、厳しい意見や悪口に近い言葉に直面する可能性を孕んでいる。それを気にしすぎて自身の言動や容姿などに自信が持てなくなったり、新たなコンプレックスを生む可能性もある。また、信頼していた人間が自分を悪く言っていたりすると、その人との関係性に影響が出ることも懸念される。

TwitterやLINEを使ったエゴサーチのやり方やコツ

TwitterやInstagramを使ったエゴサーチのやり方は実に単純で、検索欄に自分の名前もしくはユーザー名を入れて検索するだけである。より正確に行うコツとしてはあだ名や学校名なども同時に検索するという方法がある。創作物に関する情報に絞りたいのであれば作品名を検索するほか、「作品名+漫画」や「作品名+評価」などとすると、ダイレクトにエゴサーチの対象に関する投稿を見ることができる。

LINEで行う場合はトークルーム一覧またはトークルームの検索窓に先程と同様、自分の名前・あだ名を入れて行うというやり方が主流である。LINEでは友だち以外のトークルームや自分が入っていないグループのトークを閲覧することはできないので、範囲はかなり限られてくる。

エゴサーチは他人にバレるのか

エゴサーチをしたことは他人にバレるのか、というのは実際に行う時に気にする人が多い要素だが、結論的に言えばバレる可能性はある。友人などと会話する際に自分に関する情報を「Twitterで見た」というと「この人エゴサしてるのかな」などと思われ、エゴサーチをしている人間だと認定される事がある。また、他人とスマートフォンを一緒に見ながら SNS の検索欄を開いた時、検索履歴に自分の名前やユーザー名があるのを発見されると間違いなくエゴサーチをする人という印象を持たれる。だが、自分の言動にさえ気を付ければ基本的にバレないともいえる。エゴサーチをして得た情報であっても「知り合いから聞いた」などと言い換え、SNS の検索履歴はこまめに消去するといった対策を講じればエゴサーチをしたことがバレる可能性はかなり低くなる。

サプライチェーン

別名:供給連鎖
英語:supply chain

サプライチェーンとは、サプライチェーンの意味

サプライチェーン(supply chain)とは、商品が消費者に届くまでの「原料調達」に始まり「製造」「在庫管理」「物流」「販売」等を通じて消費者の手元に届くまでの一連の流れのこと。供給(supply)を鎖(chain)に見立て、ひと続きの連続した流れとして捉える考え方。「供給連鎖」ともいう。

簡単にいえば、サプライチェーンは「製品が消費者に届くまでの全過程」のことである。企業の違いは無視される。原料調達はもちろん商品の企画発案までサプライチェーンに含まれる。

サプライチェーンは「川上産業」「川中産業」「川下産業」に分かれる

サプライチェーンは全体の流れの位置づけに応じて「川上産業」「川中産業」「川下産業」に大別される。

サプライチェーンの過程において製造者に近い所に位置している産業を「川上産業」という。消費者に近い所に位置する産業を「川下産業」という。どちら寄りでもない、川上産業と川下産業の中間に位置する産業を「川中産業」という。

たとえば、スマートフォンの製造・販売のサプライチェーンでは、半導体メーカーやガラスメーカーなどが川上産業である。部品を組み立て、スマートフォンを生産する企業は川中産業。スマートフォンを販売する小売店は川下産業に該当する。

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは

サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management)は、商品の生産から販売に至るまでの一連の流れをコンピュータシステムを用いて管理することである。サプライチェーンマネジメントの目的は、物流の効率化を図ることにある。

サプライチェーンマネジメントでは、製造部門や物流部門、販売部門など1つ1つの部門をネットワークで接続し、原材料の仕入れ状況や問屋の在庫状況、店舗における売れ行き状況などを一元管理する。問屋の在庫が減ってきたら生産ラインを増やすといったことや、店舗在庫がなくなったらその日のうちに問屋から店舗へ商品を流通させるといったことが容易になる。



サイバーマンデー

英語:Cyber Monday

サイバーマンデーとは、アメリカのネット通販(オンラインショッピング)業界が年末ホリデーシーズン直前の特別大売り出しが始まる日。オンライン年末商戦の最大の書き入れ時となっている。

サイバーマンデーの実施日は「アメリカの感謝祭(11月の第4木曜日)の翌週の月曜日」となっており、具体的な月日はその年その年で違ってくるが、だいたい11月最終週から12月初週の間である。

2019年のサイバーマンデーは12月2日(月曜日)。
2020年のサイバーマンデーは11月30日(月曜日)。
2021年のサイバーマンデーは11月29日(月曜日)。

アメリカでは、感謝祭の翌日(11月の第4金曜日)に、全国の小売店で大々的に特別大売り出しが始まる。この日は伝統的に「ブラックフライデー」と呼ばれている。ブラックフライデーは実店舗における書き入れ時である。ブラックフライデーで目当ての商品を買いそびれた人の中には、週明けの月曜にオンラインで目当ての商品を買うに至るケースが多く、これがサイバーマンデーとして定着したとされる。

サイバーマンデーはアメリカでは2000年代半ば以降に定着した。日本でも Amazon.co.jp が大々的にセールを催すなどしており、2010年代半ば頃から認知度を高めつつある。

ナノプラスチック

別名:ナノプラスティック
英語:nanoplastics

「ナノプラスチック」は、直径がナノメートル単位のきわめて微細なプラスチックの粒子のことである。「マイクロプラスチック」の100分の1~1000分の1ほどのサイズの微粒子に粉砕されたプラスチック片。なお「ナノ(メートル)」は「10億分の1(メートル)」を意味する単位である。

これまでは「マイクロプラスチック」が、海洋をはじめとする自然環境に流出し、生物濃縮などを経て自然環境や水産資源に悪影響を及ぼす懸念があるとされ、問題視されてきた。

ナノプラスチックほどの微細粒子となったプラスチックは、細胞膜の隙間をかいくぐって細胞の内部に浸入できる大きさである。このため、ヒトを含む生体への悪影響があるとすれば一層深刻であろうと懸念されている。微細な粒子であるだけに飛散も容易と推測される。

マイクロプラスチックは2010年代半ば頃から、ナノプラスチックは2020年代初頭頃から大きく注目を集めている。マイクロプラスチックやナノプラスチックが自然界や人間社会へもたらす影響は、まだ詳しく分かっていないが、すでに北極・南極および深海でもナノプラスチックが発見されている。

デカップリング

英語:decoupling

デカップリング(decoupling)とは、英語で「分離」「切り離し」を意味する表現。とりわけ政治・経済の分野において、いわゆる「切っても切れない」ような親密・緊密・密接な関係を、解消して非連動的なものにすること。

2020年半ば現在、「デカップリング」は、もっぱら「米国経済と中国経済の緊密な関係の解消・希薄化」を指す語として用いられている。

米国によるデカップリングの動向は、通信の分野を筆頭に、たとえばスマホ大手ファーウェイ(華為技術)を米国のスマホおよび5Gの市場から排除したり、動画アプリ「TikTok」の使用を禁じたりといった形で実施されつつある。

デカップリングは de-coupl(e)-ing という構成の単語である。語根(語幹)である「couple」は、動詞としては「連結する」「2つを1つの対にしてつなぐ」といった意味合いがある。「de-」は「分離」「除去」「否定」といった打ち消しの意味を付与する接頭辞。「-ing」は動詞を動名詞にする接尾辞である。大雑把に言ってしまうと decoupling は「カップリングの解消」である。

「デカップリング」という言葉が具体的に《何と何との分離》を指すのかは、時代や文脈に応じて違ってくるが、政治経済の分野では「米国経済と世界経済の分離」を指す場合が多い。環境の分野では「経済成長とエネルギー消費量の増大の比例的関係の解消」を指してデカップリングという場合が多い。

エナジーバンパイア

「エナジーバンパイア」とは、人間関係において相手の精気を吸い取るような人のことを意味する表現。接していると、精神的に疲弊したり、体調を崩すなどといった人物がエナジーバンパイアと呼ばれることが多い。また、明確に他人を傷つけるような行動・言動をする人に限らず、ただ一緒にいるだけで疲労感を与えるような人を指すこともある。