新語時事用語辞典とは?

2011年3月19日土曜日

仮設住宅

読み方:かせつじゅうたく
別名:応急仮設住宅

震災などで住居を失った被災者のために地方自治体などが提供する仮の住居。阪神・淡路大震災で広く認知されるようになった。

仮設住宅はいわゆるプレハブで、住居としては極めて簡素なものであることが多い。本来の住居を失ってプライバシーのない避難所生活を営むことによる疲労やストレスを軽減するために応急的に設置される。

放射能濃度

読み方:ほうしゃのうのうど
英語:radioactive concentration

物質が持つ放射能の割合。空気や水などにおける一定量(体積や重量)あたりの放射能の強さで表す。単位は測定対象により異なるが、「Bq/(容積)」や「Bq/(重量)」の形で表される。

なお、文書によっては「放射性濃度」とされている場合もある。

プッツマイスター

別名:Putzmeister

ドイツの車載式ポンプ(ポンプ車)メーカー。コンクリートポンプ車や浚渫用ポンプなどの重機を製造している。

コンクリートポンプ車は高所にコンクリートを流し込む作業などに利用される作業機械。 チェルノブイリ原子力発電所事故で「石棺」(サルコファガス)と呼ばれる封鎖用コンクリート壁を打ったことでも知られている。

2011年3月に東京電力福島第一原子力発電所で発生した原発事故では、3月19日現在、東京消防庁の「スーパーポンパー」や「屈折放水塔車」などが投入され、使用済み燃料貯蔵プールへの放水作業に当たっているが、プッツマイスター社製コンクリートポンプ車も注水に使用できると判断、導入することが決まった。

屈折放水塔車は20数メートルの高所から放水可能であるが、コンクリートポンプ車「M52 Multi-Z」は50メートル以上主柱(ブーム)を伸ばすことができる。このためより精度の高い注水が可能になる。

また、2011年4月11日にはプッツマイスター米国法人から空輸された「70Z-Meter」が日本に到着した。13対の車輪と70メートル級のブームを持つ世界最大級のコンクリートポンプ車である。

関連サイト:
プツマイスタージャパン
Putzmeister
70Z-Meter - Putzmeister America

高濃度被ばくエリア

読み方:こうのうどひばくエリア
別名:高濃度被曝エリア

高濃度の放射線が存在しており、人体に重篤な障害を与える危険のある区域。放射能汚染により、もはや人が立ち入ることができないエリア。

2011年3月に東京電力福島第一原子力発電所で発生した原発事故では、原子炉格納容器の破損や使用済み核燃料プールの水位低下などにより、施設内の深刻な放射能漏れが危惧されている。

休眠火力発電所

読み方:きゅうみんかりょくはつでんしょ
別名:休眠火力

計画的に稼動停止されている火力発電所。電力供給エリアに原子力発電所が建設されたり、不況で電力需要が落ち込んだり、といった理由によって稼動が長期的に停止される。

休眠火力発電所は、既に廃止されているわけではないので、メンテナンスをすれば再稼動が可能である。

2011年3月、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の影響で東京電力の主要な電源の一つであった福島第一原子力発電所が津波の影響で機能不全となり、首都圏を含む広範囲にわたって計画停電(輪番停電)を実施するレベルの電力不足が発生している。このため、東京電力は休眠火力発電所を稼動させて電力供給に充てることを検討している。しかしながら、休眠火力発電所の復旧・再稼動には2ヵ月、3ヵ月の期間を要するという。

スーパーポンパー

別名:遠距離大量送水システム
英語:Super Pumper

東京消防庁・消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー隊)が擁する遠距離大量送水装置。2キロメートル(2000メートル)先へ送水することが可能。主に大規模火災での送水、水害時の排水などに利用されている。

2011年3月に東京電力福島第一原子力発電所で発生した原発事故では、プールの冷却水が蒸発して深刻な放射能漏れが危惧されている「使用済み核燃料プール」への放水を行うため、「スーパーポンパー」および「屈折放水塔車」が投入された。3月19日0時より放水作業を開始している。スーパーポンパーは海岸から海水を引くために用いられ、使用済み核燃料プールへの放水は屈折放水塔車が高所から行っている。

同じく19日にはプッツマイスター社製コンクリートポンプ車の投入が決定された。50メートル以上先までノズルを伸ばして注水を行うことが可能であるため、高い効果が期待されている。

屈折放水塔車

読み方:くっせつほうすいとうしゃ

東京消防庁・消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー隊)が持つ、高所からの放水を可能とする放水車。

屈折放水塔車は、地上高十数メートルの高さから毎分数トン単位の水を放出することができる。高所で発生した火災に対しても有効な消火活動を行うことができる。また、放水対象へ向けた放水塔を固定すれば無人でも放水を続けることができる。

2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の原発事故では、格納容器の破損などで深刻な放射能漏れが危惧されており、屈折放水塔車を使用して遠距離から放水する試みが行われている。水は海水を引く。海岸から屈折放水塔車の元へ水をくみ上げるために、ハイパーレスキュー隊の持つポンプ車「スーパーポンパー」が使用される。

フクシマ50

読み方:フクシマフィフティ
別名:フクシマ・フィフティー
別名:フクシマ・フィフティーズ
別名:フクシマ50勇士
英語:Fukushima 50
英語:Fukushima Fifty

2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の原発事故において、事故発生後も現場で緊急作業に当たっている作業員のこと。

個々の作業員の名前が明らかでなく、当初50名の作業員と伝えられたことから、「Fukushima 50」の呼び名が定着したという。

「ニューヨークタイムズ」や「ABCニュース」などの欧米の有力メディアが、事故発生後どんどん状況の悪化する現場で消火活動を続ける作業員らを大きく取り上げ、「勇敢なヒーローたち」と賞した。それを受けて、Twitterでもハッシュタグ「#Fukushima50」をつけて作業員を賞賛したり気遣ったりするツイートが多く投稿されている。

関連サイト:
Japan's Fukushima 50: Heroes Who Volunteered to Stay Behind at Japan's Crippled Nuclear Plants - ABC News (英語)

廃炉費用

読み方:はいろひよう

原子炉を廃止するために必要となる費用。

2011年3月に東京電力福島県第一原子力発電所で発生した原発事故を受けて、福島第一原発、第二原発、ひいては長期的に国内の原子力発電所を廃止する案が上っている。

2007年2月、電気事業連合会が国内55基の原子力発電所を廃炉にした場合の費用を試算している。それによると、国内の原発を解体撤去するには3兆円近くのコストが必要になるという。

大連立

読み方:だいれんりつ
別名:大連立内閣

議会勢力の大半が同じ連立政権下に入るような大規模な連立。特に、議会において対立する2大政党が連立政権を立てることを指すことが多い。

通常は、議会の第1党と第2党は常に対立関係にあり、対立政党を議席で上回るために他党との連立が行われる。しかし、深刻な経済危機や戦争勃発などのような危機に国家が直面した場合、政党同士の対立を止めて課題への対処に取り組むため大連立が組まれる場合がある。

大連立が実現すると政局は一致団結し、政権争いではなく政策の検討・推進に全力を つぎ込むことができる。他方で、政策に反対意見を述べる役割の者がなくなり、議会が形骸化するという弊害が生じやすいとされる。

放射線影響研究所

読み方:ほうしゃせんえいきょうけんきゅうじょ

日米共同研究機関として運営されている研究機関。1975年に発足した。放射線が人体に及ぼす医学的影響を平和目的で調査研究することを主要な使命としている。

関連サイト:
財団法人放射線影響研究所

U2偵察機

読み方:ユーツーていさつき

米軍が保有している戦略偵察機。グライダーのような長い主翼を持ち、高度25000メートル以上の高高度を飛行できる。1人乗り。

2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の原発事故においては、米国は無人偵察機「グローバルホーク」に次いでU2偵察機を原発の上空へ投入したと報道されている。

災害関係特約

読み方:さいがいかんけいとくやく
英語:accidental death benefit rider
別名:災害特約
別名:災害割増特約
別名:災害死亡給付特約

交通事故で死亡したり、高度の障害に陥った場合などに、保険金や給付金などが増額して支給される生命保険契約のこと。

生命保険においては死亡保障が主契約であり、災害関係特約はオプション契約(特約)の1つとなっている。特約のみでの契約はできない。なお、特約には入院特約やガン特約などが挙げられる。

2011年3月12日、社団法人生命保険協会に加入している多くの生命保険会社は、2011年3月に発生した東日本大震災で被災した契約者に対して、災害関係特約を適用し全額支払うことを決定したとされる。通常、災害関係特約では、地震による保険金や給付金の支払いは減額、あるいは、支払われないことが多いが、今回は全額支払われるとされる。

関連サイト:
社団法人生命保険協会

建設国債

読み方:けんせつこくさい
別名:四条国債

道路やダム工事などの公共事業費を調達するために発行される国債のこと。財政法第4条を根拠法としているため、「四条国債」とも呼ばれる。

2011年3月に発生した東日本大震災の復興に際して、2011年3月18日の時点では、建設国債をはじめ、赤字国債、震災復興国債などの発行が検討されている。

震災復興国債

読み方:しんさいふっこうこくさい

2011年3月に発生した東日本大震災の復興経費を調達するために発行される国債のこと。

震災復興国債は、日本銀行(日銀)が直接引き受け、発行額は10兆円とされる。

2011年3月18日の時点では、震災復興国債に向けて政府と日銀との間で調整に入るとの報道がある一方、国債発行に否定的な見解を示す閣僚もいる。

なお、日銀が国債を直接引き受けることは財政法により禁止されているが、『特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。』とした但し書きを適用することにより可能とされる。

関連サイト:
財政法

ソーラーランタン

太陽光発電により充電して点灯するランタン(手提げ提灯)。多くは上部分に太陽電池モジュールを搭載し、日中充電しておけば、電源のない場所でも光源として利用できる。

ソーラーランタンは電力網の通っていない地域でも手軽に使用できる利点がある。NPO法人ガイア・イニシアティブは、インドなどの電気のない地域にソーラーランタンを贈って支援する「ソーラーランタンプロジェクト(Lighting a billion lives)」を推進している。

2011年3月におきた東日本巨大地震では、パナソニックが、電池や懐中電灯などと共にグループ会社である三洋電機製のソーラーランタン4000個を被災地に義捐物資として提供することを発表した。

関連サイト:
ソーラーランタンプロジェクト - ガイア・ヴィレッジ・プラットフォーム

嫌疑不十分

読み方:けんぎふじゅうぶん

被疑者に対する犯罪の疑いが十分に証明されない状態。嫌疑不十分の場合、検察官は公訴を提起せず不起訴処分とする。

捜査の結果、被疑者が当事者であり人違いでないかどうか、被疑者の行為が犯罪に当たるかどうか、といった点について、証拠がなかったり十分な証拠を示すことができなかった場合、嫌疑不十分とされる。

嫌疑不十分の処分では、勾留されている被疑者は釈放される。

嫌疑不十分の他に、嫌疑なしの場合や、被疑者が当時心神喪失状態にあったと認められた場合なども、同様に不起訴処分とされる。

ちなみに、不起訴処分には嫌疑不十分の他に、「嫌疑なし」、「起訴猶予」などが挙げられる。なお、「処分保留」は不起訴処分とは異なる。

不起訴処分

読み方:ふきそしょぶん

検察官が公訴提起を行わず、被疑者を不起訴に処すること。

捜査の結果、被疑者に対して嫌疑がない(人違いだった、など)、嫌疑不十分(十分な証拠がない)、訴訟要件を欠く(親告罪で告訴が取り消された)、被疑者の事件当時の状態により罪とならない(心神喪失状態にあった、など)、あるいは起訴猶予に処すると判断された場合、被疑者は不起訴処分とされる。

関連サイト:
刑事事件フローチャート - 法務省