2011年11月18日金曜日

コースの定理

読み方:コースのていり
英語:Coase theorem

資源配分は、法的権利や法的義務などに関係なく、すべての状況で同じ配分であり続けるとする定理のこと。

コースの定理は、アメリカの経済学者でノーベル経済学賞を受賞したロナルド・コース(Ronald H. Coase)により発見された。

コースの定理では、農家と、農家に隣接する牧場において、牧場の牛が農家の穀物を荒らした場合を例に挙げている。このような状況下で、お互いが事業を継続する場合や、どちらか、あるいは両方が事業をやめる場合などの資源配分や、損害賠償が発生した場合の所得配分などを検証している。

例えば、お互いが事業を継続し、牧場主に損害賠償の責任が生じた場合を挙げると、資源配分は変わらないが所得配分は変わる。牧場主は農家へ賠償額を支払うことにより、牧場の収益が減少し、農家の収益は変わらない。一方、牧場主に損害賠償の責任が生じない場合、農家の収益は減少するが、牧場の収益は変わらない。これにより、損害賠償の有無に関係なく、社会的収益(農家と牧場の収益の合計額)は変わらないことがわかる。ちなみに、農家と牧場の所得配分は損害賠償の責任の有無により変わる。

コースの定理は、取引費用が存在しない前提で成立するものであり、取引費用が存在すると、資源配分はすべての状況で同じ配分でなくなる。

関連サイト:
The Problem of Social Cost - (英語)(PDF)