2022年1月25日火曜日

面談と面接の違い

混同されがちな類義語として、「面談」と「面接」が挙げられます。いずれも、人と人が対面して話をする点では共通しています。しかし、細かい内容や目的は異なっているので、使い方には要注意です。さらに、これらの言葉が使われるシーンも違います。この記事では、面談と面接の意味や違い、用法や例文などを紹介していきます。

「面談」「面接」の違い・概要

もっとも大きな違いは、面談と面接の目的です。面談とは、「お互いの気持ちや素性を知るために行われる会話」を意味します。主に上司や教師などが、部下や生徒に対して行うことが多いといえます。基本的にはリーダーや年長者が、話を聞く側にまわる仕組みです。一方、面接の目的は「選考」にあります。就職活動や入学試験の一環として行われている手法であり、面接官は会話を通して志望者のスキル、人間性などを確認します。同時に、志望者も面接官を通して、企業や学校の魅力を探ることが可能です。

「面談」「面説」の意味・読み方は?

面談は「めんだん」と読みます。その意味は「面と向かって談話すること」です。談話には「くだけた態度で言葉を交わす」という意味があり、決して緊張感のある会話ではないといえます。面談は企業や学校などで行われており、主に目上の人間が、従業員や学生の気持ちを知ることが目的です。一方で、目上の人間が自分の気持ちを相手に伝える場合も少なくありません。面談は一方的な「説教」「説明」とは違い、その時間を通して今後の関係を改善するための手段です。

それに対して、面接は「めんせつ」と読みます。面接は「面と向かって接すること」です。面談よりも形式的なニュアンスを含んでおり、礼儀や敬語が重んじられる状況だといえます。面接も面談と同様に、企業や学校で行われています。ただし、面接ではその組織に属している人間が、志望者に対応することが一般的です。面接官は志望者の人となりや希望条件を聞き出したうえで、今後の選考の参考にします。多くの場合、面接では「合格」「不合格」という形で結果が志望者に伝えられます。

「面談」「面接」の使い方、使い分けは?

面談と面接の使い方は、「その場にいる人間の立場」によって変わってきます。面談は同じ組織に属している人間が、今後について話し合う機会です。上司と部下、教師と生徒、先輩と後輩など、肩書は違っても双方が同じ組織の人間です。一方、面接は、組織の人間と志望者によって行われるのが基本です。人事部と就職希望者、教師と入学希望者、店長とアルバイト候補など、内部の人間と外部の人間という構図で表せるでしょう。面接は内部の人間が、志望者を組織に迎え入れられるかどうかを見極める場です。そして、志望者も質問や会話によって、組織の実情を見極めます。

その場にいる人数も、面談と面接を使い分けるポイントです。面談は一対一で行われることが少なくありません。なぜなら、面談では非常に繊細な本音が語られるケースもあるからです。必要があれば、組織への不満やプライベートの事情も面談者は口にします。これらの話題は周囲に広められる内容ではないので、面談は機密性を保って行われてきました。ただし、家族やパートナーのように、当人と近しい関係にある人が同席することもあります。

それに対して、面接は大人数で行われることもありえる手法です。面接官が複数いたり、大勢の志望者が同時に呼ばれたりするケースもあるでしょう。なぜなら面接はあくまでも選考過程の一部であり、公にできる情報を開示しあうことが求められているからです。

そのほか、面談と面接は今後の影響においても、使い分けたい言葉です。面談が行われた後で、上司や教師は今後の対応を考えます、部下や生徒の希望を知ったうえで、彼らや彼女らの将来に役立つ対応をしなければなりません。なぜなら、面談は両者の関係を改善していくためのチャンスだからです。しかし、面接では、面接官と志望者の関りがその場限りになることもあります。面接官が志望者を「この組織にふさわしくない」と考えれば、それ以降の関係は途切れます。面接官はすべての志望者の希望を聞き入れる必要がなく、両者の関係を持続させなくてもいいのです。

「面談」「面接」の用例・例文

面談を用いた言葉に、「三者面談」「1on1面談」などが挙げられます。面談にはさまざまな種類があるものの、基本的には前向きで、今後につながる機会という意味合いを含んでいます。面談ではお互いの条件をすり合わせることが多く、対等な立場で会話がなされるでしょう。例文としては「三者面談を通して希望校の難しさが伝えられた」「1on1面談で部下の気持ちが分かった」などです。

一方、面接を用いた言葉には「圧迫面接」「集団面接」などがあります。面接は面談よりも堅苦しい場であり、日常的に行われるものではありません。そのため、面接をあえて、批判的なニュアンスで使う場合もありえます。たとえば、「まるで面接のように糾弾されて、私はうんざりした」のような文章が挙げられるでしょう。「面接官は鉄仮面のような表情で、まったく気持ちが見えなかった」というように、面接が使われる文脈では緊張感をともないやすいのも特徴です。