2022年1月25日火曜日

総合職と一般職の違い

就職や転職において「総合職」もしくは「一般職」として働きたいという人も多いでしょう。混同されがちなこの2つですが、紐解いてみると様々な違いがあるためしっかり把握しておく事が大切です。誕生した背景やそれぞれの役割を併せて覚えておけば、双方の違いについてもより一層理解が深まるでしょう。総合職と一般職の違いは次の通りです。

「総合職」「一般職」の違い・概要

「総合職」と「一般職」は1986年に施行された「雇用機会均等法」がきっかけになって誕生したと言われています。従来の日本の雇用管理システムでは、男女それぞれが就く事の出来る職種がある程度制限されていました。雇用機会均等法では性別ではなく、仕事内容や成果に応じた適切な待遇・評価を目的としています。そのため採用活動においても男女平等の扱いが求められ、個々人が希望する働き方に合わせて「総合職」と「一般職」がコースとして選択出来るようになりました。総合職は、企業の事業活動を左右する総合的判断が必要な基幹業務に従事するコースの事です。一般職は、事務作業や補助的業務を中心に担当するコースを指しています。

「総合職」「一般職」の意味・読み方は?

総合職は「そうごうしょく」と読みます。将来的に管理職や幹部となるであろう候補生が集まるポジションとしても知られており、事業全体を見渡すために様々な業務を経験してノウハウを集積します。幅広い職種を経験する必要があるため転勤が多く、関連会社や子会社に出向して人脈を作る事も重要な仕事の1つです。1986年以前の日本では、主に男性社員が総合職に該当する働き方を担っていました。そのため、管理職や役員といった重役のほとんどを男性が占めていたのです。しかし雇用機会均等法が施行された事により性別による区分は撤廃されており、採用活動においても「総合職は男性のみ」「一般職は女性のみ」といった制限は禁止されています。

一般職の読み方は「いっぱんしょく」です。顧客対応・書類作成・受発注といった定型業務がメインとなり、一度配属先が決まると比較的長期間にわたって同じ勤務地で働くケースが多いです。一般職が総合職をサポートする役割を担っている企業も少なくありません。裏を返せば総合職の働きは一般職の仕事によって支えられているため、どちらが優れているという訳ではないという点には留意しておきましょう。

「総合職」「一般職」の使い方、使い分けは?

総合職と一般職は、求職者・企業それぞれの思惑によって様々な場面で使い分けられています。例えば総合職と一般職では「出世のスピード」が大きな違いとして挙げられるでしょう。総合職は企業側が幹部候補生を集め、将来の管理職となる人材を育成する事を目的としています。そのため基本的には総合職は出世スピードが早いとされており、若いうちからどんどんキャリアを積んでいきたい人に向いているコースなのです。総合職は従業員のキャリアプランに合わせて「事務系総合職」「技術系総合職」に大別されるという事も併せて覚えておきましょう。一方、一般職は転勤が少ない事から腰を据えて落ち着いた環境で働き続けるワークスタイルに向いているため、ワークライフバランスを重視する求職者から一定の需要があります。

また、総合職では責任の大きい業務を任される場面が多い事から、給与や待遇を高めに設定している企業が多いです。仕事の成果が重要視されるコースなので、若くして高年収を実現する事も不可能ではありません。したがって総合職には年収を重視する求職者が集まりやすく、昇給・昇格に積極的な風土が出来上がりやすいです。一般職では補助的な事務仕事がメインとなる関係で、仕事の成果を出しにくいという側面があります。そのため、一般職での昇給・昇格には資格の取得が有効であるケースが多いです。

多くの企業では先行して総合職の採用活動を展開し、その後で一般職の人選を行っています。これにはまず「早い段階から優秀な人材を幹部候補生として押さえておきたい」という企業側の思惑が見て取れると言えるでしょう。総合職として入社したい企業がある場合、求職者は早めのアクションが求められます。また、一般職は本社・本店のみならず各支店や営業所単位で採用される場合も多いです。

「総合職」「一般職」の用例・例文

総合職にはキャリアアップに積極的な姿勢を見せる人材が集まるため、例文としてはビジネス色の強い文面が多いと言えます。「総合職として大企業に勤め上げ、若くして管理職まで上り詰めた」「今年の総合職コースには将来有望な人材が大勢入社してきた」といった用例が挙げられるでしょう。一般職は企業を縁の下から支える役割を担っている事から「一般職に就いて誰かの役に立つ仕事がしたい」「表立って評価される事は少ないが、我が社の一般職が果たしている役目は非常に大きい」などのように用いられる事が多いです。また、雇用機会均等法が施行されて以降も慣習的に男性は総合職、女性は一般職に集まりやすい傾向が見られます。男女平等な社会参画の実現を目指す識者の間では「総合職と一般職には未だに性別的な隔たりがある」という論調で比較されるケースも少なくありません。