2022年1月25日火曜日

実印と認印の違い

実印と認印の意味の違いは、その印鑑を押印する書類が重要であるかそうでないかの違いです。実印とは自治体の役所にて印鑑登録手続きを行った印鑑のことであり、法的効力が強いため需要な契約の際に使われます。認印とは確認や承認の意思を示す際に用いる印鑑のことであり、法的効力が弱いため日常生活で頻繁に使われます。

「実印」「認印」の意味・読み方は?

「実印」の読み方は「じついん」、「認印」の読み方は「みとめいん」または「にんいん」です。実印は、自治体の役所にて印鑑登録手続きを実施し本人の印鑑であることを証明する印鑑登録証を取得した印鑑を指します。認印は、日常生活において了承の意思を示すために用いられる個人を証明する力が弱い印鑑を指します。つまり、定義上は実印を認印として使用する事が可能ですが、防犯上これら二つには別の印鑑を使用する事が推奨されています。

印鑑の証明力が強い実印には、偽造を防ぐため一般的に個人で注文した一点物の高価な印鑑を用います。各自治体によって、印鑑を押したときの朱肉の跡である印影の大きさ、輪郭の形状や有無、刻印内容など登録できる印鑑に規定が設けられている場合があり、家族間でも同じ印鑑を実印として登録する事は出来ない事が殆どです。そのため、実印には劣化や変形が起きづらい木材や動物の角や牙、金属や石などの素材を使用したり、刻印する文字には吉相体や篆書体など偽造のされにくさを考慮した崩れた書体が選択されます。

日常生活において頻繁に使用される認印はその気軽さから三文判と呼ばれる事があり、その言葉が意味する様に大量生産された安価で簡単に入手できる印鑑を用いる事が一般的です。実印に比べて印鑑の証明力が弱いため登録などの手続きは不要で、印影について特に規定が設けられていない場合が多く、浸透印というシャチハタやネーム印などのインクが内蔵された朱肉が不要な印鑑も認められる場合が多いです。そのため、認印にはゴムやプラスチックなど加工が容易で安価な樹脂製の素材を使用したり、刻印する文字には古印体や隷書体などの読みやすさを重視した書体が選択されます。

「実印」「認印」の使い方、使い分けは?

実印と認印の区別は、届け出の有無とその印鑑を使用する書類とその内容の法的効力によって使い分けます。実印は届け出が必要な印鑑で主に法的効力の強い重要な書類に押印を求められ、認印は届け出が不要で主に法的効力が弱い日常的なやり取りで押印を求められます。ただし、何かしら効力を持つ場合が多いので、例え認印であっても押印する際には書類の内容に対する理解と同意が必要です。

実印は、具体的に不動産や車などの売却・購入・譲渡取引や法人登記や遺産相続などの法的手続き、保険の加入や保険金の受取など高額な金銭のやり取りや慎重な判断を伴う書類に対して用います。契約者の人生において大きな意味を持つ重要な場面に使用される場合が多く、実印の押印によってその書類の内容や効力を理解して確な本人が同意した事が証明されます。居住地の移転、結婚や離婚等による氏名の変更など実印の変更が必要になった際には変更前の印鑑を押印した相手にもその旨を連絡し手続きを行う必要があります。

認印は、具体的に荷物の受取、会社内の書類や地域の回覧など所属する組織内での確認など金銭のやり取りが発生しない、または少額である書類に対して用います。日常生活で比較的頻繁に起こる簡易的な場面に使用される場合が多く、確認または同意した事を示す場合や目を通した事を示す場合など要求されている内容によって認印が示す意味が異なることがあります。会社用、自宅用など押印する相手や用途によって複数の印鑑を使い分ける事も可能ですが、どの印鑑を使ったかを把握している必要があります。また、直筆のサインやインクをつけた指先を書類に押し指紋を残す拇印など別の方法によって代用が可能な事もあります。

「実印」「認印」の用例・例文

実印・認印の用例・例文には次のようなものがあります。
実印の用例
新しくこの街に転入したので、登録する実印について自治体の規定について知りたいのですが。
実印の例文
二十三日には筒井から四度目の呼出が来た。口書清書に実印、爪印をさせられた。(森鴎外『護持院原の敵討』)
「実印だってまだ僕の自由にはならないんですよ」(横光利一『家族会議)
認印の用例
私の苗字はかなり珍しくて、近所で認印を購入できる店を見つけるのに苦労したよ。
認印の例文
そして明日出すべき欠席届にはいかにしてまた母の認印を盗むべきかを考えた。(永井荷風『すみだ川』)
「あい」お妻は、奥へ認印をとりに行った。(海野十三『空襲葬送曲』)