2023年2月8日水曜日

ダイバーシティ

英語:diversity
別名:ダイバシティ
別名:ダイバシティー
別名:ダイバーシティー

「ダイバーシティ」とは、「組織や社会において、性別・民族・文化・価値観・ライフスタイルなどの違いを積極的に肯定・尊重し、人材として受け入れること」を意味する語である。特にビジネス・経営・雇用の文脈で用いられることが多い。

偏見や差別の意識にとらわれずに、平等に均等に、雇用機会や待遇を提供する、という理念

「ダイバーシティ(diversity)」は元々は英語で「多様性」を意味する名詞である。「diverse(多種多様である)+ity(という性質)」という構成の語。

「ダイバーシティ」の考え方の土台には、個人の多様性を尊重し、マイノリティ(少数派)を排除しない、という意識がある。また、「マイノリティへの配慮」という社会的な意義だけでなく、組織内に多種多様な視点や考え方を持つ人材を置き、適材適所で実力を発揮させることにより、柔軟かつ創造的な企業活動の実現が期待できる、という実利的な意義も期待される。

この「ダイバーシティ」の概念は、欧米(英語圏)では一般的に「Diversity and Inclusion」(D&I)という呼び名で扱われている。その意味では「ダイバーシティ」は「ダイバーシティ・アンド・インクルージョン」の略とも捉えられる。

「ダイバーシティ」と「インクルージョン」の意味と違い

「ダイバーシティ」という言葉そのものは、英語の名詞「diversity」をカタカナ書きした外来語表現である。この diversity は、diverse(様々な / 諸々の) という形容詞に接尾辞 ‐ity が付いて抽象名詞化された語彙である。単語だけ和訳する場合は大抵「多様性」と訳されるが、熟語としては「a diversity of languages(さまざまな言語)」とか「a diversity of opinion(多種多様な見解)」のように色々な表現に訳せる。

同じく「インクルージョン」は英語の名詞「inclusion」に由来する外来語であり、おおむね「包含-すること」と訳される。inclusion は動詞 include(含む)に接尾辞がついた抽象名詞である。

「Diversity and Inclusion」を素朴に直訳するなら、「多様性と包含」といったところである。 

「ダイバーシティ」と「インクルージョン」の違いは、着眼点が「多種多様であること」に留まる(ダイバーシティ)か、それを踏まえて「多種多様な個性が(同じ組織に)含まれている」(インクルージョン)ことまで見越すか、という点にあると言える。「インクルージョン」は「ダイバーシティ」を前提しつつ人材の活用にも目を向けている考え方であり、その意味でダイバーシティに取って代わる概念である。とはいえ「ダイバーシティ」の概念を前提にしないと意味不明でもある。そして、日本語における「ダイバーシティ」は、ダイバーシティとインクルージョンの両方の要素を兼ねた概念として扱われている。

ダイバーシティ経営とは

ダイバーシティ経営とは、簡単にいうと「多様な人材が適材適所で能力を発揮することにより創造的な成果につなげていく」ということである。つまり「ダイバーシティの考え方を理想的に実現する経営」ということである。

日本では経済産業省が「少子高齢化社会における人材確保」と「多様化する市場ニーズやリスクへの対応力の強化」という観点から「ダイバーシティ」および「ダイバーシティ経営」の充実に力を入れている。

欧米のダイバーシティ(D&I)は、人種・民族・宗教の違いによるマイノリティ排除の是正が大きな使命となっているが、日本では人種・民族・宗教の違いによるマイノリティ排除という問題はさほど大きくなく、むしろ性別・年齢・学歴・国籍といった要素が是正対象として主に扱われる。性的指向(いわゆるLGBT)も大きな要素である。