2023年2月8日水曜日

エビデンス

英語:evidence
「エビデンス」とは、医学においては効果に関する科学的な根拠や検証結果といった意味でビジネスにおいては主張の裏付けや議事録としての証拠などのことを意味する表現。

エビデンスとは? エビデンスって何? エビデンスの意味

エビデンス(evidence)は、主に「証拠」「裏付け」「科学的な根拠」「検証結果」などの意味で用いられる語。英語の evidence をカタカナ表記した外来語である。ビジネスシーンをはじめ、政治・医療・介護など、幅広い分野において用いられている。

より簡単に、わかりやすくいうと

エビデンスとは、要するに「提案・主張・判断などの確かさの根拠・証拠となるもの」のことである。

「エビデンスのある物事」は、そのエビデンスが「実はエビデンスとして有効でない」ことを示す以外には、否定する余地がない。あるいは理不尽な理由で否定するしかない。

エビデンスの対極にある要素(なかば対義語)としては、「勘」「好み」「憶測」「思いつき」「迷信」「主観に基づく判断」「経験則」などが挙げられる。

「エビデンスがある」とは具体的にどういうことか

「エビデンス」は、「エビデンスがある」「エビデンスがない」といった言い方で用いられることが多い。

「エビデンスがある」とは、基本的には「ちゃんとした根拠に基づいている」「合理的な裏付けがある」という意味合いの表現である。文脈によっては「言質を取ってある」とか「証明できるもの(メールや証憑など)を残しておいてある」という意味で用いられることもある。

「エビデンス」の使い方の例

エビデンスに基づく医療
エビデンスがない感染症対策は無駄でしかない
エビデンスがあるのか?が口癖の有能堅物上司
・電話の内容をメールで送ってエビデンスを残す
・半年間の実証実験によりエビデンスが得られた
・予算を獲得するには相応のエビデンスが必要だ

英語における「エビデンス(evidence)」の意味

「エビデンス」は英語の名詞 evidence をカタカナ表記した語であり、外来語である。英語の evidence も主に「証拠」や「裏付け」を意味する語であり、日本語における「エビデンス」の意味・用法と大体一致する。

英語の evidence は日本語より幅広い文脈で用いられ、文脈によっては「証言」「形跡」「痕跡」「兆候」などと訳される。いずれも「証拠となるもの」という意味合いを含んでいる。


There's no evidence that ~
その事の根拠(証拠)など何もない

どうして英語を使うのか

エビデンスは日本語では「証拠」や「根拠」と言い換えられるのに、なぜわざわざ英語由来のカタカナ語を好んで用いるのか。これは「エビデンス」に限らずカタカナ語全般に言えることだが、複数の理由があると考えられる。

第一に「伝統的日本語の不本意なニュアンスを排除する」ため。たとえば「証拠」や「根拠」には、相手を問い詰めるようなニュアンスが伴いがちだったり、「裏付け」には「科学的・合理的な情報」のニュアンスが希薄だったりする。そのような語弊を防ぐ意味では、手垢のついていない語彙を用いることは有効である。

第二に「その言葉が含んでいる意味の範囲が手頃である」ため。エビデンスは単なる「証拠」の意味だけでなく「合理的な理由」「科学的な根拠」あるいは「言質」や「証憑」といった意味で用いられる。こうした事柄を一括で扱える「エビデンス」という言葉は、使い勝手がよいわけである。

第三に、カタカナ語はジャーゴンとして好まれやすいという理由もあるだろう。「裏付け」よりも「エビデンス」と言った方が、ビジネスマン的にカッコいいのである。

世間にはカタカナ語の濫用を好ましく思わない者もいる。多用はほどほどに、普通の日本語の語彙と使い分ける姿勢が望まれる。

ビジネスシーンにおける「エビデンス」の具体的な意味

ビジネスシーンにおいては、会議の議事録や契約書、覚え書きなどを指して「エビデンス」と表現することがある。これは後になって話の食い違いが生じることを防ぐために残される証拠・裏付け・形跡という意味合いが強い表現といえる。また、新規の取引先を訪問した際に名刺を渡したり訪問履歴を記録したりといった行動は「エビデンスを残す」と表現されることがある。この場合のエビデンスは「証拠」というよりも、自分が訪問したという「形跡」の意味合いが強い。

IT業界における「エビデンス」の具体的な意味

IT業界においては、システム開発の最終段階においてエビデンスという語がよく用いられる。ここでのエビデンスも「証拠」の意味合いが強いが、特にシステムが稼働中の画面を記録したスクリーンショット(ハードコピー)や、システム稼働時に使用したデータファイル、各種ログなどを指すことが多い。

行政分野における「エビデンス」の具体的な意味

行政の分野においては、エビデンスに基づき政策を立案する「EBPM(evidence-based policy making)」という考え方がある。EBPMは欧米で確立され、近年では日本でも導入が進みつつある。

医療における「エビデンス」の具体的な意味

医療の分野においては、ある治療法や薬が特定の病気・症状に効果があると研究結果から結論づけられた結果や科学的根拠のことをエビデンスという。

今日の医療分野では、「EBM」(evidence-based medicine)と呼ばれる考え方が重視されている。EBMは日本語では「科学的根拠に基づく医療」と訳されている。EBMでは、医者の経験則的な知見に頼らず、最新の医学研究の成果や臨床試験データによって確認された有効性を根拠(エビデンス)として参照することを重視する。これに加えて、自分の望む状態や治療にかけられる時間や費用なども考慮した上で、最善の意思決定をするという要素もEBMでは重視される。看護の分野においても、EBMと同様「エビデンスに基づくナーシング」という考え方があり、EBN(evidence-based nursing)と呼ばれている。

また、医療の現場で用いられるガイドラインなどでは、治療方法などを見定める際に、科学的根拠の信用度合いをわかりやすく表した「エビデンス・レベル(エビデンス・ヒエラルキー)」が使われる。一般的に、エビデンス・レベルでレベルが最も高い(信用度が高い)とされるのは、研究対象などがランダムに選ばれて行われるランダム化比較試験(英: randomized controlled trial, RCT)で、逆に単独の観察研究や専門家の意見はレベルが最も低い(信用度が低い)とされるが、エビデンス・レベルだけを基準に判断せず、エビデンスの確実性や推奨度なども加味して総合的に判断が下されることも多い。

エビデンスの類義語

エビデンスの類義語としては、「プルーフ(proof)」「ソース(source)」「ファクト(fact)」などが挙げられる。エビデンスとよく混同される語としては「プルーフ」「ソース」が挙げられる。

「プルーフ」はエビデンス同様「証拠」の意味を持つが、「証言」「形跡」といった意味合いは持たない点がエビデンスとは異なる。

「ソース」は「源泉」「情報源」など情報の出所を表す語であり、明確な根拠を表す「証拠」の意味は持たない。

エビデンスとファクトの違い

「ファクト」は「事実」「確実」を意味し、エビデンスが持つ「証拠」「根拠」などの意味はない。