2022年1月25日火曜日

信用と信頼の違い

日常において「信用」と「信頼」を同じ意味だと思って使用している方もいるのではないでしょうか。「信用」と「信頼」は何かを信じる時に用いられる言葉ですが、実は両者の意味は違っているのです。そこで今回は「信用」と「信頼」という2つの言葉にスポットを当て、それぞれの意味や使い方、「信用」及び「信頼」を用いた例文などを紹介していきます。

「信用」「信頼」の違い・概要

「信用」と「信頼」は、両方とも相手の事を信じるという意味が含まれている言葉です。ただ、「信用」は「過去の言動や実績から確かなものと信じて受け入れる事」を指すのに対し、「信頼」は、「未来の行動を信じて頼りにする」というニュアンスの違いがあります。「信用」は過去の実績や成果に対する評価によって生まれた言葉であるのに対し、「信頼」はその人の人柄や立ち振る舞いを評価した上で、先の保証がないまま信じて頼るという意味合いがある言葉です。尚、英語表記の場合、「信用」はcreditと書いてクレジット、「信頼」はtrustと書いてトラストとなります。

「信用」「信頼」の意味・読み方は?

「しんよう」と読む「信用」には、「信じて用いる事」という意味があり、過去の成果物や実績など目に見える形のものに基づいて評価する言葉でもあります。例えば、商品の品質や特定人物の経歴や成績などでは「信用」が使用されるケースが一般的です。点数を付けるなどで評価をし、品質や成績が定められた基準を超えていると、その商品や人物は信用に値するという事になります。「信用」は、成果物や実績といった信じられる客観的な材料を必要としている言葉と言えるでしょう。一方、「しんらい」と読む「信頼」には、「信じて頼りにする事」という意味があります。その人の人柄などを見て「この人ならこの仕事を頼んでもきちんとやってくれるだろう」など、「信頼」はその人の未来の行動を期待する感情を表す言葉とも言えます。もちろん相手を信頼するためには何らかの判断材料が必要となりますが、その判断材料を確認した上で、その人の未来を信頼するという事になります。「信頼」はその人が持っている感覚やクセなど、目に見えない物に対して期待しているという気持ちを表現した言葉でもあるのです。

「信用」「信頼」の使い方、使い分けは?

「信用」の「信」には「いつわりがない」又は「まこと」、「用」には「はたらき」又は「ききめ」という意味がそれぞれあります。例えば、相手に嘘や偽りがない事を信じてその人の言動を素直に受け取ったり、事の対処や対応を全て任せても大丈夫という気持ちを表す場合に「信用できる」あるいは「信用する」といった使い方をします。また今までの言動などから信じられると認められる事を表現する際は「信用を得る」という使い方ができます。一方、「たのむ、たよる」などの意味を持っているのが「信頼」の「頼」です。そのため、人や物に対して疑う事なく、窮地に立たされた時に頼る事ができると確信し、全面的に任せようとする気持ちを表現する場合は、「信頼できる」あるいは「信頼する」という使い方が適切です。

例えば、お互いに頼る事ができる存在であると認識している関係性が成り立っている事を「信頼関係」という言葉で表現します。また、信頼されているにも関わらず、相手の気持ちに反する言動をした時に「信頼を裏切る」という言葉が使われます。「信用」は、「書籍の内容を信用する」、「この電気製品を信用する」などの表現があるように、人だけでなく生み出された物に対する評価を示す際に用いられる事が多々あります。

さらに「信用」は、物を作った人や成果を出した人に対し、評価を付けている人が一方的に信じる気持ちという捉え方もできます。それに対し「信頼」は、その人の性格や考え方などを推察し、「期待に応えてくれるだろう」と頼る気持ちを表す言葉です。そして信頼された側もまた、自らの行動によって結果を出し、信じられている事に対して応えようとします。「信頼関係」という言葉があるように、「信頼」はお互いの気持ちが通じ合っている場合に使われる言葉と言えます。そのため、「信用」と「信頼」を上手く使い分けるには、物質的なものを信じる場合は「信用」、精神的に人を信じるという場合には「信頼」を使用すると覚えておくと分かりやすいでしょう。

「信用」「信頼」の用例・例文

「信用」の例文としては「これまでの営業努力によって、顧客から信用されるようになった」、「電話対応が改善された事でお店の信用を取り戻す事ができた」、「浮気を何度もするような人は信用できない」などが挙げられます。また「信用」は物に対しても使用する事ができるため、「友人が気に入って使っているので、この掃除機は信用できる」、「この絵は本物だと信用できる」、「この化粧品は大手メーカーが販売しているので信用できる」といった例文を作成する事も可能です。一方、「信頼」は、精神的な評価がベースになっていると言える事から「彼はほとんど実績はないが、真面目に取り組んでいるので信頼できる」、「彼の音楽家としての能力を信頼している」、「多くの友人から信頼されている」、「彼は先生の信頼を裏切った」などの例文があります。