2022年1月25日火曜日

収入金額と所得金額の違い

収入金額と所得金額という言葉は、どちらも同じ意味であると思っている人も多いのではないでしょうか。しかしこれらはそれぞれに違う意味を持ち、使用用途も異なります。正しく理解することにより節税対策にもつながり、さらに税金を誤って払いすぎる事もありません。そこで今回は、収入金額と所得金額の違いについてご紹介します。

「収入金額」「所得金額」の違い・概要

収入金額と所得金額の違いは、自営業の場合と会社員などの給与収入を得る人の場合で解釈が異なります。まず、自営業の場合では、収入金額は売上金額です。そして所得金額は、売上金額から仕入金額と必要経費を引いた金額となります。会社員などの場合では、収入金額は給与の総支給額で、所得金額は総支給額から給与所得控除を差し引いた金額となります。

「収入金額」「所得金額」の意味・読み方は?

収入金額の意味は、まず農業や漁業、自営業者や個人経営の病院などの個人事業を行なっている人の場合においては、売上金額全てが収入金額となります。また、会社などに勤めている場合では、給与の総支給額が収入金額となります。収入金額を確認する方法は、給与明細を見ることです。一般的な給与明細では、上部のあたりに総支給額の記載があり、それを見ると分かります。

この時の注意点は、現金以外の利益でも収入金額に含む場合があるということです。例えば、勤務先の商品などを無償もしくは法外な低価格で譲渡された場合や、勤務先の所有する土地や建物を無償もしくは低価格で賃借した場合、勤務先から金銭を無利息もしくは法外な低金利で借り入れた場合などで得た利益に関しては、収入金額とみなされる場合があります。収入金額の読み方は、「しゅうにゅうきんがく」です。

所得金額の意味は、まず個人事業を行っている場合では、売り上げの総額から仕入金額、そのほか光熱費や家賃、税金、従業員がいる場合には人件費などの必要経費全てを引いた金額を指して所得金額と言います。そして、会社などに勤めている場合においては、総支給額から所得税や社会保険料などが引かれた後の金額です。

この時注意しておきたいのは、会社などで任意に行っている積立金や親睦会費などは、総支給額から引いて考えてはいけないということです。つまり積立金や親睦会費などは所得金額に含まれている金額と考えてください。年金などで収入を得ている人の場合も同じように、源泉徴収税額や特別徴収税額などが引かれた後の金額が所得金額となります。所得金額の読み方は、「しょとくきんがく」です。

「収入金額」「所得金額」の使い方、使い分けは?

収入金額という言葉の使い方は、店舗などの経営者が一日の売り上げを伝えるときなどに用いられます。その他には農家の人などが生産物を卸市場に出した時に売り上げた金額も収入金額です。収入金額とは必要経費が引かれる前の金額であることから、概算という意味合いを含み「粗利益」、もしくは「粗」と表現することもあります。粗利益の読み方は「あらりえき」で、粗の読み方は「あら」です。

会社員の場合には、年収額を伝えるときなどに用いられます。つまり年収額が500万円だったということは、収入金額が500万円であったということです。そのため、一般的に年収と言われている金額は、年間の給与及び賞与の総支給額を指して言います。また、会社員などが給料の額について人に伝えるときなどに「粗で○○円だった」という風に収入金額について表現する事もあります。

所得金額の使い方は、店舗などの経営者が年間の売り上げを伝えるときなどに用います。個人で事業を行っている農家や病院なども同じように表現します。所得金額とは必要経費が引かれた後の金額であることから、実際に手にする金額という意味合いを含め「手取り」と表現することもあります。手取りの読み方は「てどり」です。そのほかには、主に自営業者が所得金額の事を「純利益」もしくは「利益」と表現する場合もあります。純利益の読み方は「じゅんりえき」です。所得金額の事を「実入り」と言うケースも稀に見られます。読み方は「みいり」です。また収入金額や所得金額どちらにも当てはまる表現としては、「儲け」「稼ぎ」などもあります。読み方は「もうけ」「かせぎ」です。

会社員は、主に年末調整の際に収入金額と所得金額を使い分ける機会があります。収入金額と所得金額は、給与の総額なのか、それとも税金や社会保険料などが差し引かれた後の金額なのかを考えた上で使い分けてください。会社員の場合にも個人事業主と同じように所得金額を手取りと表現する場合があります。

「収入金額」「所得金額」の用例・例文

収入金額の用例・例文は、自営業者の人が経理担当の従業員などに「今日の収入金額はいくらだった」と尋ねるときや、農家の人が生産物を卸市場で売り上げた際に「今日の収入金額は少なかった」のように用います。

所得金額の用例・例文は、自治体で住民税を決定するときに「課税所得金額の〇%を基準にして算出します」と伝えるときや、子供などの扶養家族のいる給与所得者が、年末調整の際に、所得金額調整控除を経理担当者に依頼する場合などに用いられます。「申告書の所得金額欄はどのように記載すれば良いですか?」などと尋ねた時に「年間の収入金額から給与所得控除を差し引いた金額が所得金額ですので、それを記載してください。」などと用いられます。