2022年1月25日火曜日

社会人と学生の違い

社会人と学生は、まるで反義語のように使われている言葉です。ただし、それぞれの細かい定義を明確に説明できる人は少ないでしょう。「社会人として」「学生気分」のような言い回しについても、しっかり意味を理解しておきたいところです。この記事では、社会人と学生の意味や使い方、用例や例文などについて解説していきます。

「社会人」「学生」の違い・概要

まず、「社会人」と「学生」の最大の違いは、一般社会で役割を担っているかどうかです。企業に就職したり、自分で事業を立ち上げたりしている人間は社会人に該当します。一方で、学校に通っている段階の人は学生と形容されます。なお、社会人と学生は年齢によって定義されるわけではありません。年齢が若くても、自分で働いて生計を立てている人は社会人と呼ばれます。それに対して、年齢を重ねていても学校に在籍している人は学生にあてはまります。

「社会人」「学生」の意味・読み方は?

社会人は「しゃかいじん」と読みます。その意味は、「社会で役割を担いながら自立している人」とされることが多いでしょう。一般的には会社員や個人事業主、フリーランスとして生計を立てている人を社会人とみなしています。ただし、アルバイトやパートなどの非正規雇用者であっても、それで生活をしているなら社会人と呼ぶことがあります。社会人の定義は「何を本分としているか」であり、労働に重きを置いているなら職業、職種に関係なく、その人は社会人でしょう。

なお、何らかの理由があって、一時的に仕事から離れている人間も社会人に含まれます。たとえば、転職活動中の人、休職期間中の人などはまだ社会人です。それでも、本人に働く気がなく、家族の庇護を受けながら暮らしているような場合には社会人とみなされなくなっていきます。

一方、学生は「がくせい」と読みます。学生は「教育機関に籍を置いて学業に集中している段階の人」です。単に、勉強をしているだけの人は学生と呼びません。学校に通いつつ、それを本分としている人が学生です。すなわち、会社員をしながら学校に通っている人は、学生と呼ばれることは少ないでしょう。その場合の本分は会社員、あるいは社会人だとみなされるからです。

「社会人」「学生」の使い方、使い分けは?

通常、社会人と学生の使い方が混同されることは珍しいといえます。なぜなら、「学校に通っているかどうか」で判断できるからです。もしも学校に通うことが生活の中心になっているなら、その人は学生です。それに対し、社会の中での仕事が中心であれば、その人は社会人でしょう。使い分けが難しいのは、社会人でありながら学校に通っている人もいるからです。こうした場合は、自己申告で社会人と学生を使い分けているときも少なくありません。正社員として企業に勤めていたとしても、本人が学校に重きを置いているなら学生と名乗ることはあります。

また、何らかの仕事はしていても、自力で生計を立てられていない人もいるでしょう。たとえば、給料が少なすぎる人や、公的機関や家族の支援があってようやく生活できている人などです。こうした人々も、本人が「社会に貢献している」と思っていれば、社会人を自称することがあります。ただし、第三者からは社会人と認められない可能性も出てきます。

かつての日本社会においては、社会人の立場が強く学生が揶揄されることもありました。なぜなら、ある程度の年齢になれば就職し、自立して働くのが普通の価値観だったからです。そのため、20代半ば以上で学業を続けることは「恥ずかしい」「親に迷惑をかけている」と批判されがちでした。その時代には、「学生」という言葉に侮蔑が含まれていたといえます。誰かを批判したいときにあえて、学生と呼ぶような使い方がなされていました。しかし、時代が変わって多様な生き方が世間で受け入れられ始めています。年齢を重ねても学生を続けるのは珍しいことではなく、学生から蔑称としてのニュアンスが薄まってきました。

「社会人」「学生」の用例・例文

非常に多い言い回しは、「社会人として」「社会人なら」といった、個人の責任を問いかけるような用法です。社会人には「自立している人間」という意味が含まれているので、規律を守る精神が求められます。そのため、相手の自覚を促すような文脈で、社会人という言葉を使う人が多いのです。例文としては、「社会人としての振る舞いができないようなら、自分を見つめ直した方がいい」といったものが挙げられます。そのほかにも、「模範的な社会人」「立派な社会人」など、称賛の文脈で使われることもあります。

それに対し、学生は「学生気分」「学生の分際」など、ややネガティブな使われ方をするケースが少なくありません。なぜなら、学生は社会人と比べて、責任感が弱い立場だと世間にみなされているからです。社会人に向けて「学生気分がいつまで経っても抜けていないようだな」と、説教のために学生という言葉を用いることもあります。その一方で、学生は社会的責任が少ない分、堂々と他人の庇護を受けられる存在です。「学生旅行」「学生割引」といった、メリットを強調する言葉も生まれています。