2022年1月25日火曜日

報告と連絡の違い

部下が上司や先輩から与えられた業務に対して、進捗状況や今後の見通しを意志や感情を交えて伝達することが「報告」で、部下や上司の間柄に関係なく、同じ情報を共有する者同士でその情報の現況や結果を通知することが「連絡」です。「報告」は、部下から上司へのように、業務を与えられた側から与えた側に行う一方通行の関係になりますが、「連絡」は上司や部下にかかわらず、誰もが発信者と受信者の関係になり得るという点で異なります。

「報告」「連絡」の意味・読み方は?

「報告」は「ほうこく」と読み、業務を与えられた上司やその他関係者に対して今行っている作業や結果を正しく迅速に伝えることをいいます。そこには何故そういう現状になっているかの過去からの流れや、その現状から今後どのようになっていくかの未来の予測等、その業務を行っている者の意志を明確に伝えることが大切な要素となります。もちろん良い内容の伝達ばかりでなくミスの事実を知らせることも重要です。つまり与えられた業務に対して自ら行ってきた過去から現在までの事実を包み隠さずに伝達することが報告です。

「連絡」は「れんらく」と読み、ある情報を共有する関係者各位の間で今まさに起こっている事実や結果、予測等をお互いに周知徹底させることをいいます。そこには伝える側の意志や感情は必要なく、誰もが持つべき共通した情報を客観的に伝えていくことが必要となります。発信者と受信者がその都度変わることも特徴としながら、例えばイベントの日程やインフォメーションを知らせるといった関係者各位が知っておくべき内容を全員に伝達することが連絡です。

「報告」「連絡」の使い方、使い分けは?

報告と連絡の使い分けは大別すると二つの要素があります。まず一つの要素として発信者と受信者が明確に区別されているかどうかということ。そしてもう一つの要素として伝達内容に発信者の意志や感情が含まれているかどうかということです。前者では区別されている場合が報告で区別されていない場合が連絡、後者では意志が含まれている場合が報告で含まれていない場合が連絡と使い分けることができます。

部下から上司へ後輩から先輩へというように常に業務を与えられた側から与えた側へと行う伝達が報告で、上司・部下にかかわらず伝達する内容や時期等で発信者と受信者が変わり得る伝達が連絡です。また進捗状況や未来予想などを伝達するにあたり発信者の意志や感情が重要な要素となる伝達行為が報告で、現在起こっている事実や決まっている予定を客観的に伝達する行為が連絡となるわけです。

例えば、大きな会場を借り切ってあるイベントを行うプロジェクトを任された者が、そのイベントを行う会場の手配やイベントに協賛してもらう企業の誘致などを確実に進めていく過程において、この役割を自分に与えた上司に進捗状況を伝達する行為が報告になります。まず会場候補の名前や営業する予定の協賛企業の一覧といった発足直後の状況告知に始まり、会場と協賛企業決定の提言や何故そう決めたかの意図を説明する中間告知、また業務を進める上で犯してしまったミスの告知も報告として大切です。流れとしては部下から上司、後輩から先輩というように目下の者から目上の者への伝達が報告の根幹です。

それに対して、既に段取りされたイベントへの参加を勧めるために関係者各位へ場所や日程を告知する行為が連絡です。決定している会場の場所と名前、行われるイベントの日時といったように事実を淡々と伝達することが連絡で、ここには客観的事実以外の内容は必要ありません。伝達事項が何故そのように決まったかの意図や感情を含めた意味説明も必要ありませんし、受信者と発信者の間に上司と部下や先輩と後輩といった上下関係も存在しません。あるいは場合によって所属している組織の垣根を越えて伝達が行われることもあります。

「報告」「連絡」の用例・例文

報告と連絡の用例・例文として次の二つの例文を見てみましょう。「取引を行う上で浮上してきた問題点を上司に報告した」「会社へ戻る時間が遅くなる連絡を上司に入れた」前文の報告の例文では、相手が上司で内容も業務上の問題点を伝えるものです。業務そのものがそもそも上司の指示ですから、その結果導き出されたことの内容を告知する行為は報告になります。一方後文の連絡の例文では、相手が上司であるとはいえ戻る時刻の告知という業務内容とは直接関係のない客観的事実を単に伝えているだけなので連絡になります。

次の例文として「台風の被害状況が次々と報告されてきた」では、現場レベルの情報が指揮官に上がってきている伝達なので報告として、「台風が大型のため避難するように連絡がきた」では、地域住民全員に避難勧告が出ている旨のお知らせなので連絡としての用例になります。