問題は、「答えを出すべき問いかけ」です。問題は多くの場合、明確な答えが用意されています。解答者は論理や数式などを応用し、答えを導き出さなくてはなりません。そのほか、「トラブル」のことを問題と呼ぶときもあります。
課題とは「解決するべき出来事」を意味します。課題には答えがないかわりに、技術や労力を駆使して乗り越えなくてはなりません。なお、課題は横文字だと「タスク」と表現されています。
「問題」「課題」の意味・読み方は?
まず、問題は「もんだい」と読みます。問題は、考えれば答えや結論にたどりつく問いかけです。また、ビジネスシーンでは、「目標との間にある差」が問題と呼ばれています。つまり、問題をどうにかして処理すれば、「目標達成」という結果にたどり着くという仕組みです。そのほか、個人の能力や知識を試すための問いかけも問題と表現されてきました。問題については、正しい答えがあることも珍しくありません。そのため、問題の答えを導き出すには、定められた手順、技法が必要とされます。一方、課題は「かだい」と読みます。課題は、克服することで成功体験を得られる障害です。ビジネスシーンでは、「目標との差を埋めるために処理しなければならない物事」という意味です。問題を処理するにあたり、現場が任される具体的な作業が課題だといえるでしょう。課題は定められた方法論を使わなければ、解決できないわけではありません。効率的な手順こそあるものの、個人の考えで解決にあたります。
「問題」「課題」の使い方、使い分けは?
正解と不正解で語られるべき事象は問題で、解決と未解決で語られるべき事象が課題だといえるでしょう。たとえば、数学の式には明確に答えがあります。国語の文章読解や、日本史の年表の穴埋めなどにも正解が用意されています。これらの問いかけは、問題と呼ばれてきました。一方、「数学の重要性についてのレポート」「体育で創作ダンスを考案」といった物事には、絶対的な正解がありません。解決することで、本人の成長を促すような内容です。つまり、これらは問題ではなく課題と呼ぶのが相応しいのです。ビジネスシーンにおいては、「トラブルそのもの」が問題で、「トラブルを解決するための手段」が課題と呼ばれています。問題は組織全体が共有するのに対し、課題は役職や部門によって異なります。例を挙げるなら、「前年度比で売上が20パーセントも下がってしまった」というのは問題です。企業が生き残るためには、どうにかして問題を処理しなくてはなりません。そこで、上層部は「新商品を開発しなくてはならない」「Webマーケティングを強化しなければならない」といった課題を考え、現場に指示します。課題を解決することで問題は処理され、企業の利益になるのです。
そのほか、言葉に込められているニュアンスでも、問題と解決は使い分けられてきました。問題は、「物事があるべき形をなしていない」というネガティブな状況に使われてきた言葉です。もしも学生がいたとして、「単位が足りていないから卒業できない」というのは問題だといえます。訪れるはずだった卒業から、遠ざかってしまっている状態だとみなせるからです。
それに対し、「卒業のために急きょ、追試を用意してもらった」とするなら、それは課題です。課題は「ネガティブな事象の克服につながる」という、ポジティブなニュアンスを含んでいます。第三者が何かを「問題」とみなすとき、そこには批判的な響きが加わります。しかし、「課題」とみなされる際には、前向きで今後を見守っていこうとする感覚が込められているでしょう。
「問題」「課題」の用例・例文
問題も課題も、特定分野を意味する言葉と合わせて使用されることが珍しくありません。たとえば、「パワハラ問題」「経営課題」といった例が挙げられます。このうち、問題にはネガティブで、「報いを受けなくてはならない」というニュアンスが加わっています。そのため、「パワハラ問題で辞任を迫られている」「経営者としての才覚を問題視されてきた」といった、批判的な文章になることも多いのです。一方、課題には「克服することで人や組織の改善につながる」という感覚が込められています。例文もまた、「経営課題を踏まえて、抜本的な改革に踏み切った」「この合宿では得点力の強化が課題だ」と、ポジティブなニュアンスになるケースが多いでしょう。注意点として、問題は「解く」ものであるのに対し、課題は「克服する」ものです。「問題を克服する」「課題を解く」といった表現はほぼされていないので、要注意です。