2012年5月1日火曜日

TPP参加交渉におけるカナダの動き

TPP(環太平洋経済連携協定)参加交渉に関するカナダの動向は、概括すると次のようになります。
  • 2006年、P4協定への参加を検討した。この時点では参加を断念している。
  • 2010年、マレーシアやコロンビアと同時期にTPPへの参加の意向を表明。米国などから反対を受けて参加を断念。主な理由は、カナダの市場の開放状況が整っていない、といったもの。
  • 2011年11月、メキシコと共にカナダが参加への意欲を示していることを改めて表明した。

2011年11月の参加意向表明は、日本がTPP参加への意志を表明したことなどを受けて方針を転換したものと見られています。「Newsweek」誌(日本語版記事)では「日本の意思表示に便乗」という表現も用いられています。


▼カナダのTPPへの積極参加が見送られてきた理由
カナダがTPPに対して微妙な距離を保っている理由として、次のような事項が挙げられています。
  • カナダは知的財産に関連する条件付けを要求しており、アメリカの意向と衝突している。
  • カナダは農業関連分野で「供給管理制度」を敷き、国内の農産品を保護する政策を採っている。外国への門戸が開かれているとは言えず、貿易自由化を受け入れる体制が整っていない。

▼2012年5月現在の状況
2012年4月に日本の石田内閣府副大臣が米国とカナダを訪問して意見交換を行った際、カナダは次のような立場を示したと報告されています。
仮にTPP交渉入りした場合には、供給管理制度の対象品目も含め全ての品目をテーブルの上にのせて交渉する用意はあるが、交渉入りする前に条件等について交渉は行わない
( 石田内閣府副大臣のカナダ・米国出張 -国家戦略室)
関連サイト:
カナダとTPP - 国際貿易投資研究所
周回遅れでTPPに目覚めたカナダの焦り - Newsweek
包括的経済連携・TPP - 内閣官房 国家戦略室