2016年10月3日月曜日

大隅良典

読み方:おおすみよしのり
英語:Yoshinori Ohsumi

生物学者。専攻領域は分子細胞生物学。細胞が自らの細胞質成分を分解する「オートファジー」の研究により知られる。同研究の功績により2016年ノーベル医学・生理学賞を受賞した。

1945年福岡県生まれ、1967年東京大学教養学部卒業、1972年東京大学理学系研究科博士課程修了。2009年に東京工業大学特任教授に就任。2016年現在は同校名誉教授。

大隅良典は1990年代前半に、出芽酵母においてオートファジーが行われる経過を世界で初めて、顕微鏡を用いて肉眼で観察した。その後もオートファジーの構造やメカニズムの分析・解明を推進した。大隅の一連の研究とその成果はオートファジー研究のブレークスルーの役割を果たしたと評価される。

オートファジーは、細胞が飢餓状態と乗り切るために酵素のリサイクルを行う、細胞の基本的な機能の一つであると見られている。

大隅良典が研究対象とするオートファジーは、1990年代にはすでに提唱・命名がなされていたが、研究領域として注目されることはほとんどなかったといえる。東京工業大学の教員紹介ページは、「オートファジー関連の論文は、1990年代初めは年間10件程度だった」と記述している。なお、同記事は、2012年の時点では年間2000件に上る勢いで増加しているとも述べている。

2005年に大隅良典は藤原科学財団主宰の藤原賞を受賞。翌2006年に日本学士院賞、2012年に稲盛財団より京都賞が授与されている。2013年9月には論文が引用された数の多さに基づき選出される「トムソン・ロイター引用栄誉賞」にも選ばれている。

関連サイト:
大隅研究室 - 東京工業大学
大隅良典 - 東京工業大学 教員紹介
自分を食べて生き残る細胞に魅せられて - JT生命誌研究館サイエンスラボラトリー
「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を発表。日本からは、東京工業大学の細野秀雄氏、大隅良典氏、東京大学の水島昇氏 - トムソン・ロイター2013年 プレスリリース