2013年11月7日木曜日

ポロニウム

英語:polonium

19世紀にキュリー夫妻によってラジウムと共に発見された放射性物質。原子番号は84。極めて微量ではあるが天然にも存在する。

ポロニウムには複数の放射性同位体がある。安定同位体はない。最初に発見されたポロニウムの同位体は「ポロニウム210」であり、半減期は約138日である。

ポロニウムの同位体は、いずれも強い放射能を持つ。ポロニウムから放出される放射線は主にアルファ線であり、皮膚を透過しないため外部被曝による健康被害の危険は少ないとされるが、体内にポロニウムが取り込まれた場合の内部被曝は深刻であり、ナノグラム単位のポロニウムが体内の取り込まれただけで生命に危害が及ぶといわれている。
ポロニウムは原子力電池などに利用されており、入手は可能である。放出されるアルファ線は容易に遮蔽できるため、運搬しやすい。半減期も数ヶ月程度あり、作戦の余裕がある。それでいて、微量でも体内に取り込めば致命的となる強毒性を持つ。こうした要素から、ポロニウム210は暗殺用の毒物として適するとされている。