2014年9月10日水曜日

北極の領有権問題

読み方:ほっきょくのりょうゆうけんもんだい
別名:北極海における領有権問題
別名:北極海の領有権問題
別名:北極海の領有権争い
別名:北極圏における領有権問題
別名:北極圏の領有権問題
別名:北極圏の領有権争い
別名:北極圏の領土問題

北極海の海域の領有権を巡る周辺各国の対立、および、それに関連する一連の問題の総称。2000年代後半から2010年代半ば現在にかけては、主にロシア、カナダ、デンマークの3国が、それぞれ北極の領有権を主張して対立している。

北極における領有権問題は、端的に言い換えれば、北極海の海底資源を巡る問題である。北極海の海底には原油や天然ガスなどの資源が大量に埋蔵されているといわれている。北極海の海域が自国領と認められれば、天然資源の探査、開発などにおいて主権を得ることができる。

北極における領有権問題には米国、フィンランド、スウェーデン、その他複数の国々が関わっているが、中でもロシア、カナダ、デンマークの3国は、北極点直下を含む北極海の大部分を自国の大陸棚の延長であると主張しており、そのため特に強い対立が生じている。なお2010年代に入ると北極海に接していない中国が北極海開発に乗り込む動向を示すようになっている。

ロシアは旧ソ連の時代から北極海の調査研究に資金と労力を投じている。2001年にロシアは旧ソ連の調査により発見・命名されたロモノソフ海嶺がユーラシア大陸の延長であるとする調査結果を根拠とし、国際連合に対して北極周辺の海域は自国の大陸棚の延長であると主張した。ただしこの主張は、国際連合により証拠不十分・さらなる調査が必要との判断が下されている。

カナダはロモノソフ海嶺が自国領土の延長線上にあると主張している。デンマークもグリーンランドの大陸棚が北極点直下まで延びていると主張している。

ロシアは2007年に北極海に遠征隊を派遣し、北極点直下の海底にロシア国旗を立て、この到達を領有権の根拠のひとつとした。この主張に対しては、米国が北極点への到達は領有権とは無関係であるとの見解を述べている。

ちなみに南極(南極大陸)では、20世紀半ばまで領有権問題があったが、1959年に採択された「南極条約」によって、それまでの一切の領有権主張が凍結されるに至っている。