別名:黒死病
別名:Pest
英語:the plague
ペスト菌によってもたらされる伝染病。ネズミからノミなどを経由してヒトにも感染する。中世ヨーロッパにおいて大流行したことが知られており、当時ヨーロッパでは数千万人がペストによって命を落としたとされている。人口が半減した街もあり、ヨーロッパの総人口も3割ほど減少したという。
ペストはネズミなどの齧歯類に多くみられる感染症であるが、罹患したネズミを咬んだノミがヒトを咬むなどしてヒトに感染する。ペスト菌がにエアロゾルとして空気中を漂い感染するケースもある。一般的なペストの症状は「腺ペスト」と呼ばれ、体内に侵入したペスト菌がリンパ腺に伝播し、リンパ節の壊死を招く。やがて全身に伝播し、敗血症を引き起こす。この段階になると全身が内出血で黒ずんだようになる。病状の進行がきわめて早く、発症して数日の間に死に至る。
ペストは、かつては致死率のきわめて高い危険な感染症であったが、今日では治療法が確立されているため、適切な処置を受けさえすれば高確率で命は助かる。ただしペストの感染事例が根絶されたわけではなく、小規模に流行することもある。
なお、「ペスト」(Pest)はドイツ語であり、英語ではplague(疫病・伝染病)に定冠詞を付けた「the plague」(ザ・伝染病のような表現)で示される。