2011年10月11日火曜日

欧州金融危機

読み方:おうしゅうきんゆうきき
別名:欧州債務危機
別名:欧州債務危機問題
別名:ヨーロッパ債務危機
別名:欧州ソブリン危機
別名:2010年欧州ソブリン危機
英語:European sovereign debt crisis
英語:Europe's debt crisis

ヨーロッパを中心に取り沙汰される債務問題。特に、2009年以降に深刻化している、ギリシャ財政危機を発端とする欧州連合(EU)加盟国の金融危機のこと。

欧州金融危機の発端は、2009年10月のギリシャ政府による財政赤字の隠蔽発覚とする見方が多い。ギリシャはそれまで、財政赤字額は対GDP比3.7%と発表していたが、実際には13.6%にものぼっていることが発覚した。これにより外国為替市場では対ユーロ通貨が幅広く売られ、経済的な影響は欧州連合(EU)各国へと及んだとされる。

欧州金融危機として取り上げられている国には、景気回復の減速の著しいスペインやポルトガル、アイルランド、イタリアなどが挙げられる。欧州金融危機以降、2011年9月に至るまで、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、アイルランド各国のソブリン債の格付けは格下げされている。また、イタリアのソブリン債については見通しが「安定的」から「ネガティブ」へ変更されている。

なお、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン、およびアイルランドは、まとめてPIGS(またはPIIGS)と呼ばれる場合もある。

フランスとベルギーの両国に拠点を持つヨーロッパ金融大手デクシア(Dexia)は、ギリシアの国債を大量に保有しており、ギリシア危機によって企業価値を大幅に下げた。デクシアが持つ不良債権の総額は日本円に換算して9兆円とも10兆円とも言われている。

2011年10月、デクシアはフランス・ベルギーの両政府に支援を要請し、10月9日に両政府はデクシアを解体・再編成することで合意。デクシアは事実上の経営破綻となった。ベルギー政府は公的資金投入によるバッドバンク(badbank)の設立により不良債権を引き受け、デクシアの再建を図る方針を発表している。