2013年3月19日火曜日

がん幹細胞

読み方:がんかんさいぼう
別名:癌幹細胞
別名:ガン幹細胞

細胞の基になる「幹細胞」の性質を持ち、増殖するがん細胞の発生源になっていると考えられているがん細胞。

がん幹細胞には活性化した状態と冬眠状態(静止期)のあることが知られている。活性化すると多くのがん細胞を生み、生まれたがん細胞が増殖して身体を蝕む。冬眠状態に入ると、がん細胞を生み出さなくなる代わりに、抗がん剤に対して感受性を示さなくなる、すなわち治療が効かなくなるという性質を持つ。

がん治療によって多くのがん細胞を死滅できても、静止期に入っているがん幹細胞は死滅せず生き延びる場合が少なくない。がん幹細胞が再び活性化して、がん細胞を産み始めることが、がんの再発に繋がる。さながら悪の親玉である。2013年現在、がん幹細胞が静止期に入る仕組みは解明されておらず、静止期のがん幹細胞を的確に叩く方法も確立されていない。

 2013年3月19日、九州大学生体防御医学研究所では、細胞周期を調整するタンパク質「Fbxw7」のはたらきを利用してがん幹細胞を静止状態から強制的に活性状態にし、抗がん剤が効く状態にして、がん幹細胞を死滅させるという治療方法の研究成果を発表した。この方法が確立すればがんの根治も可能になると期待されている。

関連サイト:
がん幹細胞の撲滅による新しいがん治療法の開発に成功 - 科学技術振興機構(JST) 2013年3月19日