2015年6月29日月曜日

トランス脂肪酸

読み方:トランスしぼうさん
別名:トランス型不飽和脂肪酸
別名:TFA
英語:trans-unsaturated fatty acids

不飽和脂肪酸のうち、トランス型の二重結合を1つ以上含むものの総称。天然の油脂にはほとんど含まれていないが、水素添加や高温処理などの油脂の加工過程で生成される。

トランス脂肪酸を多く摂取すると、体内でLDLコレステロール、いわゆる「悪玉コレステロール」が増加し、心臓疾患のリスクが高まることが明らかになっている。2003年に世界保健機関(WTO)と国際連合食糧農業機関(FAO)がトランス脂肪酸と心臓疾患の関連性について報告し、以後トランス脂肪酸を規制対象とする国が増加した。

米国の食品医薬品局(FDA)はトランス脂肪酸の摂取を抑止する取り組みを進めている。2006年には食品におけるトランス脂肪酸の含有量表示を義務化し、2013年には天然由来でないトランス脂肪酸を含む食品の販売を原則禁止とした。2015年には、今後3年(2018年まで)の間にトランス脂肪酸を添加することになる油脂の使用禁止、すなわちトランス脂肪酸の全廃を決定している。

日本におけるトランス脂肪酸の平均摂取量は、欧米に比べて少ない。WTO/FAOが定めた基準も下回っている。そのため、2015年時点まで特段の規制措置は取られていない。ただし、トランス脂肪酸の低減の取り組みは業界の自主的な取り組みとして推進されてはいる。

トランス脂肪酸を多く含むマーガリンは、トランス脂肪酸の危険性を訴える立場から「食べるプラスチック」などと形容されることもある。他方、トランス脂肪酸の削減が代替品としての飽和脂肪酸の使用につながり、かえって肥満や動脈硬化といった健康被害をもたらす可能性を懸念する見解もある。

関連サイト:
すぐにわかるトランス脂肪酸 - 農林水産省
トランス脂肪酸等に関する情報開示について - 山崎製パン